JPH0433743Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、鶏舎等に設置する動物用水飲み器
に関する。

〔従来の技術〕

例えば鶏舎に設置する水飲み器としては、細長
い樋状の容器を鶏舎に沿つて設置して、これに常
時水を溜めておくものが古来使用されていたが、
この水飲み器においては、水を容器に長時間溜め
ておくものであるため鶏により水が汚染され、こ
れが腐敗等をもたらして衛生上好ましくないとい
う問題点があるし、また前記汚染を防止するため
に水を常時流していると、オーバーフローした水
によつて環境が悪化するばかりか、使用する水量
が嵩むという問題点がある。

そこで、近時は、水の供給管に開閉弁を介在さ
せるものが使用されている。その第１は、水平に
架設された水供給管の上側に小さな容器を取付
け、この容器内に水供給管からの水の上向きの出
口を設けたうえ、出口に開閉弁を配置して、鶏が
嘴で開閉弁の操作部を突くとその間だけ開閉弁が
開いて、水が容器内に供給されるようになつてい
る。従つて、これによれば、鶏が開閉弁を操作し
て水を容器内に出し、その水を飲むことになる。

また第２は、水平に架設された水供給管の下側
に水の下向きの出口を設け、この出口に開閉弁を
配置して、鶏が嘴で開閉弁の操作部を突くと、そ
の間だけ開閉弁が開いて、出口から水が流下する
ようになつている。従つて、これによれば、鶏が
開閉弁を操作して水を流下させ、この流下する水
を嘴で受けて飲むことになる。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、前記の開閉弁を介在させた水飲
み器にあつては、水の出口を鶏が突くことにより
開閉させる必要があることと、１回分の飲み水の
量は少量であることのために、水の出口や開閉弁
を小型のものとしていた。このため、水の出口や
開閉弁がゴミ詰まりにより閉塞されて鶏が水を飲
むことができなかつたり、また開閉弁がゴミによ
り解放されたままになつて水が出たまま止まらな
い事態が生じるという問題点がある。さらに前記
開閉弁を用いたものは、開閉弁の操作を鶏が行わ
ねばならないために、鶏に開閉弁の操作を学習さ
せる必要があるとともに、前記操作を習熟しない
鶏は水を飲むことができないという問題点もあつ
た。

かくして、水に腐敗がなく且つ水出口の閉塞が
なくて動物がいつも新鮮な水を飲めること、余分
な水を出さないこと、水を飲むことに習熟を必要
としないこと、の各条件を満足する動物用水飲み
器の出現は未解決の課題であつた。

この考案は、この未解決の課題を解決すること
を目的としている。

〔課題を解決するための手段〕

この考案の動物用水飲み器は、水が溜められる
容器と、この容器に立設され且つ一定圧の水源に
接続されて上端から容器内に水を供給する供給管
と、この供給管に上から被せられ且つ下端が前記
容器内の水面下に位置して内部に前記供給管及び
前記容器と連通する空気室を形成する中空体と、
から構成してなる。

〔作用〕

水源から一定圧で供給される水は、供給管の上
端から中空体内を流下して容器に供給され、ここ
に溜る。容器内の水位が上昇すると中空体の下部
が水により閉塞され、中空体内に空気が封じ込め
られて空気室が形成される。水は容器内で中空体
内外にわたつて溜り、ここで中空体外で水面に加
えられる大気圧と、中空体内で空気室により加え
られる内圧とがバランスして、容器内の水位と中
空体内の水位とが安定する。このとき、空気室の
内圧と水源の水圧とにより供給管上端の水位が安
定し、以て水源の水圧に対して、中空体外におけ
る容器内の水位が所定の位置に維持される。

動物が容器内の水を飲むことによつて、中空体
外における容器内の水位が低下すると、空気室の
内圧を介してバランスしている前記容器内の水位
と水源の水圧との関係が崩れて、これらがバラン
スするまで供給管から容器内に水が供給され、中
空体外における容器内の水位が前記所定の位置に
戻る。

〔実施例〕

次に図示した実施例に基づいて説明する。この
実施例は鶏舎に設置される鶏用の水飲み器であ
り、第１図は平面図、第２図は正面図、第３図は
第２図のー線断面図、第４図は水飲み器の配
置例を示す説明図である。

ここで１が容器であり、この容器１内に水２が
溜められる。この容器１は、上端開口部が広く且
つ底１ａが狭くなつていて左右の側壁１ｂがテー
パをなす。この容器１の形状によつて鶏が水を飲
みやすくするとともに、容器１内の水量を少なく
して、水の滞留時間を少なくしている。この容器
１には、正面側に供給管３が立設される。この供
給管３の上端は容器１の上端開口部より上位にあ
り、下端は容器１を下方に貫通して、連結管４に
より水源３５に連結される。

供給管３には、上から中空体６が被せられる。
中空体６は、上部が小径の円筒をなし且つ下部が
大径の円筒をなし、これら小径部６ａと大径部６
ｂとは一体をなしており、さらに下端が開口され
ている。かかる中空体６は、容器１に形成された
嵌合部１ｃに着脱自在に嵌合され、かつ両者１，
６間に形成された凹凸係合部７において係合し
て、後述の空気室８における内圧により中空体６
が浮上しないように構成される。この凹凸係合部
７に代えて、中空体６の自重により前記浮上を防
止する手段等も採用することができる。空気室８
は、容器１内の水２により下側が閉塞された中空
体６内に内部空気が封じ込められて形成された室
であつて、この空気室８を介して、供給管３と容
器１内とが連通している。

容器１の後壁１ｄは上方に延長され、その外側
面と内側面とにリブ１ｅ，１ｆが一体成形されて
補強されたうえ係合穴１ｇが開設される。この係
合穴１ｇは鶏舎の適所に容器１を取り付けるため
の穴である。

この実施例では、容器１と供給管３とは合成樹
脂により一体成形され、またこれらとは別体の中
空体６も合成樹脂により形成されるが、容器１と
供給管３とは別体のものであつてもよいし、また
材質は他の部材を用いたものであつてもよい。

前記水源５は、第４図に示すように、貯水タン
ク５ａと、その内部に臨む水道管５ｂと、水道管
５ｂ先端のフロート５ｃ付き開閉弁とからなり、
その水面１０の高さ、即ちその水位１０ａは常時
一定に保たれている。そして、この水位１０ａ
は、同一高さを保つて鶏舎に多数設置される容器
１の各供給管３上端より所定の高さを維持して、
この水位差により貯水タンク５ａ内の水２を加圧
して供給管３に導いている。しかし、供給管３に
一定の水圧により水を送る構成であれば他の手段
を採用することができることは勿論である。

第４図において、１１は供給管３上端の水面で
１１ａはその水位、１２は中空体６内の水面で１
２ａはその水位、１３は容器１における中空体６
外の水面で１３ａはその水位を示す。

次に作動を説明する。

先ず、多数の容器１を鶏舎の所定の位置に夫々
が同一高さになるように設置する。この実施例に
よれば、容器１の後壁１ｄの係合穴１ｇを鶏舎の
突起等に係合することにより容器１を設置し、さ
らに各容器１の供給管３を連結管４を介して水源
５に連結する。

これによつて、水源５からの水圧に基づいて供
給管３の上端から水が容器１内に流下し、容器１
内に水２が溜まる。容器１内の水位１３ａが次第
に上昇して、中空体６下端開口部より上に至る
と、中空体６は水２により閉塞され、中空体６内
の空気が封じ込められて空気室８が形成される。
水２は容器１内で中空体６内外にわたつて溜ま
り、ここで中空体６外で水面１３に加えられる大
気圧と、中空体６内で空気室８により加えられる
内圧とがバランスすると、両水位１２ａ，１３ａ
が安定する。このとき、空気室８の内圧とタンク
５内の水位差に基づく水圧とがバランスして供給
管３上端の水位１１ａも安定する。これが第３図
の状態である。

鶏が容器１内に頭を臨ませて嘴から水を飲むこ
とにより容器１内の水位１３ａが低下すると、水
面１３，１２に作用している空気圧のバランスが
崩れ、これにより空気室８の内圧を介してバラン
スしている水位１３，１０間の関係が崩れて、こ
れらがバランスするまで供給管３から容器１内に
水２が供給されて、第３図に示した当初の水位１
３ａに復元する。このように、容器１内の水面１
３は常時所定の水位１３ａに維持されるから、鶏
は水を出すための操作の学習をする必要もなく自
然に水を飲むことができる。また、容器１内で供
給管３と中空体６とが正面側に偏寄して配置して
あるから、これらが鶏の水飲みに邪魔になること
もなく、容器１の左右から鶏が頭を容器１内に臨
ませて水を飲むことができる。

ここでは、容器１内の水２に鶏舎内や鶏の塵が
混入しても、供給管３の上端と水面１２との間に
は空気室８が介在するため、供給管３に前記塵が
入り込むことはないし、また供給管３の径も比較
的大きなものとなつているため、塵詰まりによつ
て供給管３が閉塞されることはない。

また、この実施例では、容器１が、底部の面積
が小さくて左右の側壁１ｂがテーパをなすことに
よつて容積が小さくなつているため、水２が短時
間のうちに置換されることから、容器１内の水２
が経時的に腐敗するおそれもない。

さらに、定期的にタンク５からの水の供給を遮
断すれば、鶏の飲用によつて容器１内の水位１３
ａが中空体６下端よりも低下して、空気室８内に
空気が供給される。これによつて、空気室８内の
空気量は確保される。

なお、この実施例では中空体６を容器１に対し
て着脱自在にしたから、同一寸法の他の中空体６
に交換が容易になるとともに、特に空気室８の体
積や平断面積を変更した中空体６に交換すること
も容易となる。しかし、この考案では、中空体６
を容器１に対して固定式とすることを除外するも
のではない。また、この実施例では容器１を鶏舎
に配置する便宜のために容器１の後壁１ｄを上方
に延長して、係合穴１ｇを設けた構成としている
が、容器１を設置するための構成としては容器１
に脚を付して、容器１を床や台の上に設置する形
態等を採用することも可能であるし、また鶏舎へ
の容器１の取り付け部を、容器１の正面側に設け
て、後壁１ｄ側からも水を飲めるように構成する
こともできる。

また、この実施例では、水飲み器を鶏用とし
て、その大きさを図示の大きさとしたが、他の家
畜その他の動物に使用することができ、さらにそ
の使用する動物の種類に応じて容器１の寸法や形
状を変更することができることは勿論である。即
ち、大きさは動物が飲む水量に対応させて決定す
るものとし、形状は動物の種類に応じて最も飲み
やすい形状に設定するものとする。

〔考案の効果〕

以上説明したように、この考案においては、容
器内の水が腐敗することなく且つ水の出口がゴミ
等によつて閉塞されることもなく、動物がいつも
新鮮な水を飲むことができる一方、流出するよう
な水の浪費を防止することができるとともに、水
を飲む目的で動物が格別の操作をする必要もない
から、操作に習熟しない動物は水を飲むことがで
きないという弊害を防止することもできるという
効果がある。さらにこの考案においては、開閉弁
のような機械的な動作をする構造になつておら
ず、合成樹脂による成形等のみで製造することが
できるから、構造が簡単で且つ製造コストも低く
維持できるという効果もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案の一実施例を示す平面図、
第２図は同正面図、第３図は第２図の−線断
面図、第４図はこの考案の水飲み器の配置例を示
す説明図である。 １……容器、２……水、３……供給管、４……
連結管、５……タンク（水源）、６……中空体、
７……凹凸係合部、８……空気室。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 水が溜められる容器と、この容器に立設され且
   つ一定圧の水源に接続されて上端から容器内に水
   を供給する供給管と、この供給管に上から被せら
   れ且つ下端が前記容器内の水面下に位置して内部
   に前記供給管及び前記容器と連通する空気室を形
   成する中空体とから構成したことを特徴とする動
   物用水飲み器。