JPH043023Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は円形織機のタテ糸送出しを間欠的に調
整して、例えば、防滑効果をもたせるために織成
面に部分的にタテ糸を他の部分よりも浮上らせる
等の織成条件に対応させることを目的としたタテ
糸強制送り装置に関するものである。

〈従来の技術〉 円形織機のタテ糸送出しを強制送りするために
従来は下記のような構造があつた。

実公昭57−35583号にみられるように、タテ
糸送出しローラの表面に変形ゴム弾性体を巻付
け、その反発力で余分に糸を送出す構造。

第７図に示したように、タテ糸送出しローラ
２０と押圧ローラ２１との間にタテ糸６を挟
み、押圧ローラ２１をバネで押圧弾支して他の
タテ糸より速い速度で駆動させてタテ糸を送出
す構造。

第８図に示したように、タテ糸送出しローラ
２２の表面に摩擦係数の高いゴム体２３を巻付
け、他の糸より速い速度で駆動させてタテ糸を
送出する構造。

〈考案が解決しようとする問題点〉 従来のこのような構造は、以下に示すような問
題点を有していた。すなわち、上記〜に示し
た構造は、いずれも常時ローラ間の摩擦力で積極
的送りをかけているから、ゴム弾性体が劣化した
り、ローラが糸ゴミ等で汚れてローラ表面とタテ
糸の摩擦係数が変化し、安定なタテ糸の強制送出
しが困難となる。

その他、に示した構造はタテ糸を挟んで送出
すため、ローラの速度（一定の増速比）に合致し
てしまう。タテ糸の浮上り量は必ずしも送り量に
一致しない為、やがて撓み量が蓄積してダンシン
グレバーが倒れ、止つてしまう。

更に、タテ糸が切れた時、タテ糸送出しローラ
２０と押圧ローラ２１との間に、タテ糸６を挟む
ため、タテ糸が引出せない、すなわち、糸通しが
困難で、作業性が非常に困難である等の問題点を
有している。

に示した構造はクリールからローラ迄の抵抗
はタテ糸それぞれ異なり、また、ボビン径の変化
に対しても抵抗が異つてきて、強制タテ糸送出し
ローラ表面の密着力に違いが生じ送出し量が変化
する問題点を有している。

〈問題点を解決するための手段〉 そこで、上記のような問題点を、一部のタテ糸
送出しローラを他のタテ糸送出しローラ１より大
なる周速の駆動ローラ４と、その駆動ローラ端部
に設けた間欠的にローラ径より突出するカム５
と、前記駆動ローラ４との間にタテ糸６を挟んで
平行に設けた自由ローラ７とし、この自由ローラ
７は前記カム５の突出部で接触して駆動ローラ４
と離れるよう両端を遊動支持した構造のタテ糸強
制送り装置を開発して解決したのである。

ここにいう遊動支持とは、駆動ローラ４と自由
ローラ７間に間〓が設けられてタテ糸６が強制送
出しを受けない状態の自由ローラ７の位置と、駆
動ローラ４と自由ローラ７とが接触する自由ロー
ラの位置との間を自由に動くことができるように
支持したといつた意味である。その構造例を示す
と、自由ローラ７の両端に回転自在なベアリング
を設けて、このベアリングが装置本体側へ設けら
れたガイドレールに接触転動する構造とか、自由
ローラ軸がガイド溝中を摺動可能に保持した構造
である。

〈作用〉 上記のような構造であると、カム５が駆動ロー
ラ４から自由ローラ７を間欠的に離して、自由ロ
ーラ７が駆動ローラ４と接している時のみ間欠的
にタテ糸の強制送りをする。また、駆動ローラ４
に自由ローラ７が接していないときは、駆動ロー
ラ４と、タテ糸との摩擦係数によつてのみ送り出
され、このような間欠動作によつて糸送りの緩急
調整ができる。

〈実施例〉 以下図面によつて本考案の実施例を詳細に説明
する。

第１図は本考案の実施例を示す正面図であり、
第２図は同一部破断側面図である。第３図はロー
ラ接触時の様子を示す要部側面図である。第４図
及び第５図はカムの形状例を示す正面図である。
第６図は円形織機の正面図である。

円形織機におけるタテ糸強制送り装置を説明す
る前に円形織機の概略を説明すると、第６図にみ
られるように、タテ糸６は多数のタテ糸ボビン８
から送出しローラ１、ガイドローラ２、ダンシン
グレバー３を経てシヤトル９の走行路でタテ糸開
口をして、シヤトルの通過によりヨコ糸が織込ま
れて筒状織物１０に織成される。

このような装置において、本考案ではタテ糸の
一部の織込み調子を変化させる上記目的を可能と
するために、第１図に示すように一部のタテ糸送
出しローラを他のタテ糸送出しローラ１より大な
る周速の駆動ローラ４と、その駆動ローラ両端部
に設けた間欠的にローラ径より突出するカム５
と、前記駆動ローラ４との間にタテ糸６を挟んで
平行に設けた自由ローラ７としている。

その自由ローラ７は前記カム５の突出部で接触
して駆動ローラ４と離れるように、両端を遊動支
持している。遊動支持の具体例は第１図及び第２
図に示している。自由ローラ７の両端に回転自在
なベアリング１１を設けて、このベアリング１１
が装置本体側へ設けられたガイドレール１２に接
触転動する。したがつて、カム５が第１図の縦方
向のときは第２図のようにタテ糸６は自由ローラ
７に接触せず、カム５がそれより外れると（90°
回転）第３図のようにタテ糸６に接触し、タテ糸
６を強制的に送る。

カム５はその形状によつてタテ糸６の間欠的送
出しの様子を変えることができる。第１図及び第
２図に示したカム５は上述のように、円周上に２
個の突出部が設けられており、一回転の間に２回
タテ糸の強制的送出しが可能である。第４図には
突出部が１個のもの、第５図には３個の突出部が
それぞれ設けられている。このようにカム５の形
状を変えることによつて、要求される防滑効果を
もたせる等のために織成面へ部分的にタテ糸を他
の部分よりも種々異る状態で浮上らせることがで
きる。

〈考案の効果〉 以上のような構造としたことによつて、筒状織
物の織成面へ確実に間欠的なタテ糸の浮上りを可
能とした。また、駆動ローラ４と自由ローラ７間
に通したタテ糸が切れた場合でも、自由ローラを
簡単に撤去することで、タテ糸の糸通しが簡単に
出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す正面図であり、
第２図は同一部破断側面図である。第３図はロー
ラ接触時の様子を示す要部側面図である。第４図
及び第５図はカムの形状例を示す正面図である。
第６図は円形織機の正面図である。第７図及び第
８図は従来例を示す側面図である。 １……送出しローラ、２……ガイドローラ、３
……ダンシングレバー、４……駆動ローラ、５…
…カム、６……タテ糸、７……自由ローラ、８…
…タテ糸ボビン、９……シヤトル、１０……筒状
織物、１１……ベアリング、１２……ガイドレー
ル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. タテ糸ボビンからタテ糸が送出しローラ１、ガ
   イドローラ２、ダンシングレバー３を経てシヤト
   ル走行路でタテ糸開口をして筒状織物に織成する
   円形織機において、一部のタテ糸送出しローラを
   他のタテ糸送出しローラ１より大なる周速の駆動
   ローラ４と、該駆動ローラ端部に設けた間欠的に
   ローラ径より突出するカム５と、前記駆動ローラ
   ４との間にタテ糸６を挟んで平行に設けた自由ロ
   ーラ７とし、該自由ローラ７は前記カム５の突出
   部に接触して駆動ローラ４と離れるよう両端を遊
   動支持してなることを特徴とする円形織機におけ
   るタテ糸強制送り装置。