JPH043021Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はテープ織物のような細幅織物を織成
する細幅織機に関し、特に織成密度が互いに異な
つた二種類の細幅織物、或いは幅が互いに異なつ
た二種類の細幅織物を同時に織成可能にした細幅
織機に関するものである。

〔従来の技術〕

従来公知の一般的な細幅織機は、複数の織成部
を有し、この織成部の数に対応した枚数の細幅織
物が同時に織成できるようになつている。

第４図及び第５図は、前記従来の細幅織機を示
すもので、左側壁２Ａと右側壁２Ｂとの間に両端
軸部が支持されている上下一対のローレツトロー
ラ２１，２２（表面に摩擦力を増大させるローレ
ツトを形成したローラ）を備え、図示省略の織成
部にて織成された細幅織物を上下のローレツトロ
ーラ２１，２２で引張りながら取出すようになつ
ているので、この細幅織機で構成される細幅織物
の織り密度は上下ローレツトローラ２１，２２の
回転速度によつて決定される。

即ち、上下ローレツトローラ２１，２２の回転
速度が速いと、緯糸（横糸）の間〓が広くなり、
織り密度の粗い粗密な織物が織成でき、また上下
ローレツトローラ２１，２２の回転速度が遅い
と、緯糸（横糸）の間〓が狭くなり、織り密度の
細かい細密な織物が織成できる。

このような織成密度を決定する上下ローレツト
ローラ２１，２２の回転は、モータ（図示せず）
の回転力を織機外壁例えば左側壁２Ａに装着した
複数段のギヤＡ〜Ｅからなる駆動歯車群２６で伝
達して行われるもので、この複数段ギヤＡ〜Ｅの
駆動歯車群２６によつて下側のローレツトローラ
２２が減速した状態で回転駆動されると、この下
側ローレツトローラ２２の回転が、その軸端部に
固着されている連動ギヤ２３と、右側壁２Ｂに軸
着されている中間ギヤ２４及び上側ローレツトロ
ーラ２１の軸端部に固着されている連動ギヤ２５
を介して上側のローレツトローラ２１に伝達され
て、上下のローレツトローラ２１，２２が同一方
向に連動回転されるようになつている。

このように駆動される上下のローレツトローラ
２１，２２と、上ローレツトローラ２１の上方に
配置されるテンシヨンローラ２０，２７と、上下
ローレツトローラ２１，２２の間に配置されるテ
ンシヨンローラ２７′及び下ローレツトローラ２
２の接近位置に配置されるゴムローラ２８には織
成部（図示せず）で織成された細幅織物３０が第
６図の如く蛇行状に掛装され、前記ローレツトロ
ーラ２１，２２の回転により織機の外に送出され
るようになつている。なお、上下のローレツトロ
ーラ２１，２２の回転速度はギヤＡ，Ｂ，Ｃの歯
数によつて決定している。

〔考案が解決しようとする課題〕

前記従来の細幅織機は、織成部で織成される複
数枚の細幅織物３０が上下ローレツトローラ２
１，２２の回転により同一の速度で引出されるの
で、織成密度が同一な一種類の織物だけしか織成
し得ない問題があつた、即ち、少量多品種の製品
を要求する現代社会において、一台の織機で同一
製品を多量に織成することは問題であり、特に見
本のような細幅織物を少量生産する場合に、複数
枚の織物を同時に織成可能な織機を使うことは浪
費が多く不経済である。

この考案は前記従来の問題を解消するためにな
されたもので、その目的は一台の細幅織機で織成
密度や幅等が異なる二種類の細幅織物を同時に織
成できるように構成した、少量多品種の製品生産
に好適な細幅織機を提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

前記の目的を達成するために、本考案の細幅織
機は、左側壁２と右側壁２′間の中央位置に隔壁
１を設置し、この隔壁１と左右両側壁２，２′に
左側の下ローレツトローラ６及び右側の下ローレ
ツトローラ６′の各両端軸部をベアリング９で軸
着させ、左右の下ローレツトローラ６，６′の上
方位置に両端が左右両側壁２，２′に固定された
支軸８と、この支軸８の外周部にベアリング９
ａ，９ｂで支承された左右の上ローレツトローラ
５，５′を配設し、右側の上下ローレツトローラ
５′，６′の一端部に装着した連動ギヤ３′，４′を
中間ギヤ７′で連動させ、左側の上下ローレツト
ローラ５，６の他端部に装着した連動ギヤ３，４
を中間ギヤ７で連動させると共に、左右の下ロー
レツトローラ６，６′の回転軸部を左側壁２及び
右側壁２′の外側に装着されるギヤ交換可能な駆
動歯車群１６，１６′に夫々連結して別々に回転
駆動することにより、織成密度等が異なる二種類
の細幅織物を同時に織成できるようにしたことを
特徴とするものである。

〔作用〕

前記構成の細幅織機は、左側の上下ローレツト
ローラ５，６の回転速度と、右側の上下ローレツ
トローラ５′，６′の回転速度を駆動歯車群１６，
１６′のギヤ交換によつて適宜に変えることがで
きるので、例えば左側の上下ローレツトローラ
５，６の回転速度を速くすれば、緯糸（横糸）の
間〓が広くなつた織り密度の粗い粗密な細幅織物
を織機左側で織成することができ、また右側の上
下ローレツトローラ５′，６′の機転速度を左側ロ
ーレツトローラ５，６の回転速度より遅くすれ
ば、緯糸（横糸）の間〓が狭くなつた織り密度の
細かい細密な細幅織物を織機右側で同時に織成す
ることができる。更に、左側の上下ローレツトロ
ーラ５，６の回転速度と、右側の上下ローレツト
ローラ５′，６′の回転速度を同一にした場合にお
いても、織物幅が互いに異なつた二種類の細幅織
物を織機の右側と左側で同時に織成することは可
能である。

〔実施例〕

以下、本考案の一実施例を第１図乃至第３図に
従い具体的に説明すると、この細幅織機は左側壁
２と右側壁２′間の中央位置に隔壁１を設置して、
この隔壁１と左右両側壁２，２′に左側の下ロー
レツトローラ６及び右側の下ローレツトローラ
６′の各両端軸部をベアリング９で軸着させ、こ
の左右の下ローレツトローラ６，６′の上方位置
に両端が左右両側壁２，２′に固定された支軸８
と、この支軸８の外周部にローラ係止体１０で位
置決めし且つベアリング９ａ，９ｂで回転支承さ
れた円筒形をなす左右の上ローレツトローラ５′，
５′を配設し、右側の上下ローレツトローラ５′，
６′の一端部に装着した連動ギヤ３′，４′を右側
壁２′に軸着した中間ギヤ７′の噛み合いで連動さ
せ、左側の上下ローレツトローラ５，６の他端部
に装着した連動ギヤ３，４を左側壁２に軸着した
中間ギヤ７の噛み合いで連動させると共に、左側
下ローレツトローラ６の回転軸部を左側壁２の外
側に装着されるギヤ交換可能な駆動歯車群１６
に、右側下ローレツトローラ６′の回転軸部を右
側壁２′の外側に装着されるギヤ交換可能な駆動
歯車群１６′に夫々連結して、左右の下ローレツ
トローラ６，６′を別々に回転駆動できるように
構成している。

なお、前記駆動歯車群１６，１６′は図示しな
いモータにベルト、チエーン等で連結されて回転
駆動される第１段ギヤＡ，A′と、この第１段ギ
ヤＡ，A′に噛合する第２段ギヤＢ，B′と、この
第２段ギヤＢ，B′に噛合する第３段ギヤＣ，
C′と、この第３段ギヤＣ，C′に噛合する第４段ギ
ヤＤ，D′と、この第４段ギヤＤ，D′で回転され
る終段ギヤＥ，E′とからなり、第１段から第３段
までのギヤＡ〜Ｃ，A′〜C′を歯数が異なるギヤ
と交換することにより、左側下のローレツトロー
ラ６および右側下のローレツトローラ６′の回転
速度を変更できるようにしている。

而して、モータ（図示せず）からの回転力がベ
ルト、チエーン等の連動手段を介して左側壁２に
装着した駆動歯車群１６の第１段ギヤＡに伝達さ
れると、前記ギヤＢ〜Ｅの歯車連動によつて左側
下のローレツトローラ６が回転され、このローラ
回転による連動ギヤ３，４及び中間ギヤ７を介し
た歯車連動で左側上のローレツトローラ５も左側
下ローレツトローラ６と同一方向に回転される。

また、これと同様に右側壁２′に装着した駆動
歯車群１６′の第１段ギヤA′をモータ（図示せ
ず）からの回転伝達によつて回転させると、前記
ギヤB′〜E′の歯車連動によつて右側下のローレツ
トローラ６′が回転され、このローラ回転による
連動ギヤ３′，４′及び中間ギヤ７′を介した歯車
連動で右側上のローレツトローラ５′も右側下ロ
ーレツトローラ６′と同一方向に回転されるよう
になる。この場合の左側の上下ローレツトローラ
５，６および右側の上下ローレツトローラ５′，
６′の回転速度は、前述したようなギヤ交換によ
つて適宜に変更することが可能である。

前記構成の細幅織機は、従来の織機と同様に織
成部で織成される細幅織物３０を第６図の如くテ
ンシヨンローラ２０，２７→上ローレツトローラ
５，５′→テンシヨンローラ２７′→下ローレツト
ローラ６，６′→ゴムローラ２８という順序に掛
装した状態で使用するもので、織成部で織成され
る二種類の細幅織物３０が左側の上下ローレツト
ローラ５，６又は右側の上下ローレツトローラ
５′，６′の回転により織機の外に送出される。

〔考案の効果〕

本考案の細幅織機は、前記のような構成のもの
であるから、一台の細幅織機で織成密度や織物幅
等が異なる二種類の細幅織物を同時に織成できる
効果があり、少量多品種の製品生産に好適な実用
価値の高い細幅織機を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係わる細幅織機の
要部断面図、第２図はこの細幅織機の左側面図、
第３図は同細幅織機の正面図、第４図は従来の細
幅織機の側面図、第５図は従来の細幅織機の正面
図、第６図は織成された細幅織物が引出される状
態を示した本考案及び従来の作用説明図である。 １……中央隔壁、２……左側壁、２′……右側
壁、３，４，３′，４′……連動ギヤ、５……左側
上ローレツトローラ、５′右側上ローレツトロー
ラ、６……左側下ローレツトローラ、６′……右
側下ローレツトローラ、７，７′……中間ギヤ、
８……支軸、９，９ａ，９ｂ……ベアリング、１
６，１６′駆動歯車群。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 細幅の織物を織成する細幅織機において、左側
   壁２と右側壁２′間の中央位置に隔壁１を設置し、
   この隔壁１と左右両側壁２，２′に左側の下ロー
   レツトローラ６及び右側の下ローレツトローラ
   ６′の各両端軸部をベアリング９で軸着させ、こ
   の左右の下ローレツトローラ６，６′の上方位置
   に両端が左右両側壁２，２′に固定された支軸８
   と、この支軸８の外周部にベアリング９ａ，９ｂ
   で支承された左右の上ローレツトローラ５，５′
   を配設し、この右側の上下ローレツトローラ５′，
   ６′の一端部に装着した連動ギヤ３′，４′を中間
   ギヤ７′で連動させ、左側の上下ローレツトロー
   ラ５，６の他端部に装着した連動ギヤ３，４を中
   間ギヤ７で連動させると共に、左右の下ローレツ
   トローラ６，６′の回転軸部を左側壁２及び右側
   壁２′の外側に装着されるギヤ交換可能な駆動歯
   車群１６，１６′に夫々連結して別々に回転駆動
   することにより、織成密度等が異なる二種類の細
   幅織物を同時に織成できるようにしたことを特徴
   とする二種類の織物が同時に織成可能な細幅織
   機。