JPH0429753Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は真空ベルト乾燥機における給液ヘツダ
ーに関するものであり、更に詳しくは液状、スラ
リー状、もしくはペースト状をなす被乾燥材料を
真空ベルト乾燥機の無端搬送ベルト上に均一に供
給するための流量制御機構を具えた給液ヘツダー
に関するものである。

従来の技術 近年、医薬品や食品材料の製造装置、特にそれ
らの乾燥処理装置として真空乾燥機が使用されて
いる。例えば食生活の多用化に伴つて数多くの種
類の加工食品材料やインスタント食品が市販され
ているが、このような食品加工分野においては、
消費者が製品を調理素材として使用する場合の溶
解性と即席性を所定の水準に維持すると共に、最
終製品に品質の低下と成分の変質を伴わない復元
性を付与する目的で、各種の常圧乾燥装置や真空
乾燥装置が使用されている。このような乾燥装置
のなかで、調理素材たる加工食品材料の溶解性を
良好な水準に維持することが比較的容易である点
に着目され、真空乾燥装置の使用分野が急速に増
大しつつある。汎用の真空乾燥装置としては、噴
霧乾燥機や凍結乾燥機が知られているが、前者は
乾燥コストが安価である反面、乾燥温度上の制約
に起因して加工食品材料の溶解性と品質の保持性
能ならびに成分変化の防止性能が幾分劣り、後者
は氷結・昇華工程を採用していることに起因して
装置の構造複雑化や乾燥コストの高騰と云う問題
点を付随せしめている。ここにおいて、上記噴霧
乾燥機や凍結乾燥機に認められている実用上の問
題点の解決手段として、真空ベルト乾燥機の開発
が要請されるに至つた。

真空ベルト乾燥機は、真空容器内に恒率乾燥
域、減率乾燥域、ならびに冷却域を順次配設する
と共に、これらの区域に乾燥すべき材料、例えば
加工食品材料を搬送するためのベルト搬送装置を
設け、液状、スラリー状、もしくはペースト状に
分散供給し、この無端搬送ベルトの回動によつて
加工食品材料を前記恒率乾燥域、減率乾燥域、な
らびに冷却域に順次導入し、比較的低温の乾燥条
件下で真空乾燥を施すように構成されている。こ
の際、無端搬送ベルト上に薄膜状を呈して載置さ
れた加工食品材料では内部に含有されている水分
の激しい蒸発現象が生起し、加工食品材料は膨張
すると共に内部に多数の通気孔を形成し、多孔室
の中間製品として前記無端搬送ベルトの回動経路
の末端に設けられたクラツシヤーに送り出され
る。以上の説明から理解されるように、真空ベル
ト乾燥機は、慣用の噴霧乾燥機や凍結乾燥機の代
替技術手段としてその有用性が評価されている。
この点に着目して本考案の出願人は、先に特開昭
61−223480号公報等に真空ベルト乾燥機の改良を
提案している。

考案が解決しようとする問題点 真空ベルト乾燥機は、製品の品質保持の容易
性、成分変化の防止機構、あるいは乾燥コストの
低減性において、慣用の噴霧乾燥機や凍結乾燥機
の水準を大幅に上廻る性能を発揮することができ
るが、乾燥処理を施すべき食品材料や医薬材料等
の多様化に対応するためには、構造上ならびに機
能上更に改良を要する点が少なくない。例えば、
無端搬送ベルト上に液状、ペースト状、もしくは
スラリー状に調整された被乾燥材料を供給するた
め、無端搬送ベルトの幅方向に沿つて複数の液流
出口を開口させた固定式の給液ヘツダーや、無端
搬送ベルト上でその略全幅に亘つて首振り運動す
る揺動式の給液ノズルが使用されているが、被乾
燥材料を無端搬送ベルト上に均一に供給する上に
実用上の難点が認められる。より詳しく説明する
と、流動抵抗によつて給液ヘツダーの長手方向に
沿う被乾燥材料の動圧が不均一になり、複数の流
出出口から無端搬送ベルト上に吐出される乾燥材
料の量に変動が生ずると云う欠点が付随する。こ
の結果、無端搬送ベルト上に吐出された被乾燥材
料の乾燥条件が不均一になり、過剰乾燥や乾燥不
足に起因する品質低下や変質等の問題が発生す
る。

本考案の主要な目的は、在来の液状被乾燥材料
供給装置に認められた上記の如き問題点を解決し
得る機構の簡易性と給液量の均一性に優れた給液
ヘツダーを提供することにある。

問題点を解決するための手段 上記目的の達成手段として本考案は、真空容器
内に被乾燥材料搬送用の無端ベルトを回動自在に
張設してなる真空ベルト乾燥機において、被乾燥
材料授入側の前記無端搬送ベルトの上方に、この
無端搬送ベルトの略全幅に亘つて所定間隔で複数
の液流出口を開口してなるヘツダーパイプを配置
すると共に、このヘツダーパイプ内に、その軸線
方向に沿つてパイプ内を２分割する仕切り板を挿
入し、液状をなす被乾燥材料の流量制御機構を形
成した真空ベルト乾燥機における給液ヘツダーを
提供するものである。

作 用 ヘツダーパイプ内に仕切り板を挿入し、仕切り
板の両端をＵ字状に宇回する液状被乾燥材料の分
割流を形成すると共に、必要に応じて仕切り板に
適当な間隔で小孔を穿設して被乾燥材料の流動調
整機構を形成し、これによつて給液ヘツダーから
流出する被乾燥材料の流量を無端搬送ベルトの幅
方向全域に亘つて均一化する。

実施例 第１図は真空ベルト乾燥機の全体構造を例示す
る縦断面図、第２図は給液ヘツダーの斜視図であ
り、第３図ａ，ｂは吸液ヘツダーの断面断面図で
ある。

第１図に例示するように真空容器１内は、コー
ルドトラツプおよび真空ポンプ２によつて運転
中、10Torr前後の真空度を保持している。液状、
スラリー状、もしくはペースト状に調合された被
乾燥材料、例えばコーン・スープの濃縮液が給液
ヘツダー３を介して無端搬送ベルト４上に所定間
隔を保持して薄膜状に分散供給される。給液ヘツ
ダー３は、第２図に示すように被乾燥材料受入側
の前記無端搬送ベルト４の上方に配設されてお
り、無端搬送ベルト４の略全幅に亘つて所定間隔
でヘツダーパイプ３４の壁面に複数の液流出口３
５，３５……を穿設すと共に、両端を閉塞された
前記ヘツダーパイプ３４内にこのパイプ本体より
も稍長さの短い仕切り板３３を第３図ａあるいは
ｂに示すように挿入することによつて、ヘツダー
パイプ３４の内端面とは仕切り板３３の外端縁と
の間にＵ字状に湾曲した液状乾燥材料用の分割流
路３２ａ，３２ｂを形成している。仕切り板３３
はステンレス網もしくは合成樹脂のような耐食性
材料製のプレート材から成形されており、ネジ止
めまたは支持溝内への嵌め込み等の公知の固定手
段によつてヘツダーパイプ３４内に着脱自在に装
着されている。そして必要に応じて仕切り板３３
の長手方向に沿つて適当な間隔で被乾燥材料の通
過用開口３６を穿設しヘツダーパイプ３４内を流
れる被乾燥材料の流動圧を調整している。分割流
路３２ａ，３２ｂの幅寸法および前記開口３６の
孔径と穿設ピツチへ、ヘツダーパイプ３４の長手
方向に沿う被乾燥材料の流動圧の分布が略一様に
なるように前記液流出口３５の穿設一、被乾燥材
料の流量と粘度、およびヘツダーパイプ３４の管
径に応じて選定する。

一方、真空ベルト乾燥機には水タンク１７、ポ
ンプ１８、熱交換器１９からなる熱水生成装置２
０が設けられており、これに対応して無端搬送ベ
ルト４の下面には、恒率乾燥手段として機能する
第１加熱プレート５ａ、第２加熱プレート５ｂ、
および減率乾燥手段として機能する第３加熱プレ
ート５ｃが前記無端搬送ベルト４の移動方向に沿
つて、順次配設されている。更に第３加熱プレー
ト５ｃの下流域には、チラーユニツト９から供給
される冷水によつて被乾燥材料を冷却する冷却プ
レート６が設けられている。斯くして、分散ノズ
ル３から無端搬送ベルト４の恒速移動に伴つて、
第１加熱プレート５ａ、第２加熱プレート５ｂ、
第３加熱プレート５ｃ、ならびに冷却プレート６
上を順次通過し、所定の乾燥処理を施される。更
に詳しく説明すると、被乾燥材料は先ず第１加熱
プレート５ａによつて加熱され、激しい水分の蒸
発と膨張を開始し、これによつて保有水分の約50
パーセントを蒸発させ、乾燥水分比率を約50パー
セント、固形分濃度を50乃至66パーセントに調整
された状態で第２加熱プレート５ｂ上に移動す
る。第２加熱プレート５ｂによつて加熱されるこ
とにより被乾燥材料は保有水分の大部分を蒸発さ
せ、略一定の膨化厚みと表面形状を具えた中間乾
燥製品として後続の第３加熱プレート５ｃ上に送
り出される。第２加熱プレート５ｂ上から送り出
された中間乾燥製品は、恒率乾燥によつて乾燥水
分比率を約40パーセントに、また固形分濃度を66
乃至95パーセントに維持されている。この後、第
３加熱プレート５ｃ上で減率乾燥されることによ
つて、上記中間乾燥製品は約10パーセントの最終
水分率に到達する迄含有水分量を現象させる。こ
の減率乾燥によつて固形分濃度が95乃至97パーセ
ントに上昇し被乾燥材料の表面が硬化する。上記
中間乾燥製品を表面温度20乃至10°を有する冷却
プレート６上に供給して降温硬化させることによ
つて固形化工程が完了する。このようにして固形
分濃度を約97パーセントに調整された被乾燥材料
が多孔室の乾燥フオーマツト１１として無端搬送
ベルト４の回動経路の終端部に送り出され、真空
容器１の上部に装着された往復動剪断刃を具えた
プレクラツシヤー７によつて１次破砕される。１
次破砕された被乾燥材料は、多孔質フオーマツト
としてクラツシヤー１４内に自重落下し２次破砕
され、顆粒状もしくは細粒状の最終製品として製
品タンク１３内へ送り出される。

考案の効果 給液ヘツダーをヘツダーパイプと仕切り板から
形成することによつて、無端搬送ベルト上に吐出
される被乾燥材料の流量が無端搬送ベルトの幅方
向全域に亘つて均一化し、これによつて真空容器
内の乾燥条件が大幅に改善される。斯しくて本考
案は、最終製品の品質向上と変質防止に対して在
来装置の水準を大幅に上廻る性能を発揮し得るも
のである。

【図面の簡単な説明】

第１図は真空ベルト乾燥機の縦断面図であり、
第２図は本考案に係る給液ヘツダーの斜視図であ
る。第３図ａ，ｂは第２図Ａ−Ａ線の断面図であ
る。 ３……給液ヘツダー、４……無端搬送ベルト、
３４……ヘツダーパイプ、３２ａ，３２ｂ……分
割流路、３３……仕切り板、３５……液流出口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 真空容器内に被乾燥材料搬送用の無端ベルトを
   回動自在に張設してなる真空ベルト乾燥機におい
   て、被乾燥材料受入側の前記無端搬送ベルトの上
   方に、この無端搬送ベルトの略全幅に亘つて所定
   間隔で複数の液流出口を開口してなるヘツダーパ
   イプを配置すると共に、このヘツダーパイプ内
   に、その軸線方向に沿つてパイプ内を２分割する
   仕切り板を挿入し、液状をなす被乾燥材料の流量
   制御機構を形成したことを特徴とする真空ベルト
   乾燥機における給液ヘツダー。