JPH0429183B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は高圧金属蒸気放電灯特にアルミナ発光
管を使用し金属ハロゲン化物を封入したメタルハ
ライドランプ用発光管端部閉塞体に関するもので
ある。

（従来の技術） 高圧金属蒸気放電灯特に金属ハロゲン化物を封
入したメタルハライドランプとして発光管の管体
には金属ハロゲン化物の腐食に耐える透光性アル
ミナを用い、その端部に電極を取付けるための端
部閉塞体としてサーメツトを用いることが知られ
ている。サーメツトを使用するのは以下の理由か
らである。すなわち高圧ナトリウムランプ用発光
管の端部閉塞方法として通電導体にはニオブが使
用されているが、これは発光管および端部閉塞体
に使用されているアルミナの熱膨張に近いことか
らシール性が優れているためである。しかしニオ
ブは高価である上金属ハロゲン化物により腐食さ
れやすいという問題がある。一方耐金属ハライド
性に優れたタングステンやモリブデンを通電導体
に用いることが考えられるがアルミナとの熱膨張
に差があり、ガラスフリツトによるシールが出来
ない。従つてアルミナとタングステン（またはモ
リブデン）の中間の熱膨張を有するサーメツトが
端部閉塞体として検討されているのである。サー
メツトは耐金属ハライド性と導電性を必要とする
ため、例えばアルミナ顆粒に金属タングステン粉
末を被覆し圧縮成形後焼結したものであり、この
サーメツトを用いた端部閉塞構造として、電極の
耐食性とシール性を確保するため、発光管内方よ
りサーメツトの中ほどまでタングステン電極を埋
設するとともに、これとずれた位置で発光管外方
よりサーメツトの中ほどまでリード部材を埋設
し、リード部材からサーメツトを通してタングス
テン電極に給電するようにしたものが提案されて
いる（特開昭52−71695号）。

（発明が解決しようとする問題点） しかしながら従来の構成では、サーメツトの導
電性並びに緻密焼結性を得るためにはアルミナ微
粉末を一旦顆粒にした上でその表面に金属粉末を
被覆せねばならず、製造工程が繁雑となる欠点が
あつた。そこで原料に粗粒アルミナを適用し顆粒
化をしないで導電性を発現することが考えられる
が、サーメツト中のタングステンまたはモリブデ
ン粉末の量を増やさなければ導電性が得られず、
一方、サーメツト中の金属粉末量を増やすとサー
メツトの緻密焼結が困難となつてシール性が低下
する問題があつた。しかもサーメツトの熱膨張は
アルミナ発光管と通電導体であるタングステンま
たはモリブデンとの中間にあり、サーメツト中の
タングステンまたはモリブデン粉末の量を増やす
とアルミナ発光管との熱膨張差が大きくなるため
に気密シールの信頼性に欠ける問題もあつた。

また放電灯の始動時にアークが電極先端から出
ずに導電性サーメツト部から発生するバツクアー
ク現象によるサーメツトのクラツク発生や蒸発、
飛散したサーメツト材の耐熱性金属成分が発光管
内壁に付着して黒化し、光束の低下を招く等の問
題点があつた。

（問題点を解決する手段） 本発明はこのような従来の問題点を解決するた
めになされたものであり、本発明の高圧金属蒸気
放電灯用発光管端部閉塞体は所定の電極とリード
部材を支持して発光管端部を閉塞する導電性サー
メツトデイスクからなる閉塞体において、該サー
メツトデイスクの電極側表面部に電気絶縁層を設
けると共に、該サーメツトデイスクのリード部材
側表面部にシール層を設けたことを特徴とするも
のである。

（作用） この構成によれば電気絶縁層によりバツクアー
ク現象が防止でき、サーメツト層により電極とリ
ード部材との間の電気的導通が得られ、しかも電
気絶縁層サーメツト層によりリード部材を金属ハ
ロゲン化物の腐食から保護することができる。

さらに、シール層には、発光管材質及びリード
部材と熱膨張がほぼ等しい材質を使用できるの
で、電気絶縁層ならびにサーメツト層では達成で
きない発光管の気密信頼性を確保することができ
る。

（実施例） 以下に図面を参照して本発明の高圧金属蒸気放
電灯用発光管端部閉塞体を詳述する。

第１図は本発明の一実施例を示す図である。第
１図において１は発光管、２，２′は発光管１の
両端を封鎖する端部閉塞体であり、電気絶縁層３
と導電性サーメツト層４とシール層５とを積層し
て一体に固着するとともに電気絶縁層３側より挿
通させて導電性サーメツト層４に電極６を埋設
し、シール層５側より挿通させて導電性サーメツ
ト層４にリード部材７を埋設している。なお発光
管１は例えば高純度アルミナ製とし、電気絶縁層
３およびシール層５もアルミナ製とし導電性サー
メツト層４はアルミナ粗粒粉末とタングステンま
たはモリブデン粉末とを混合して焼結したもので
あり、必要なだけの導電性が得られればこれらの
混合化率はどのようなものを用いてもよい。電極
６はタングステンまたはモリブデン製とし、導電
性サーメツト層４のアルミナ粉末に混合する金属
と同一のものを用いた方がより好適である。リー
ド部材７は導電性材料であればどのようなもので
も適用可能であるがシール層５に使用するアルミ
ナとの熱膨張の適合性の良さからニオブ、チタン
カーバイド、チタンカーバイドとアルミナとの複
合体を用いるのがシール性から好ましい。

次にこの端部閉塞体２，２′の作成方法を説明
する。まず上記材料による電気絶縁層３と導電性
サーメツト層４とシール層５とを積層し電極６と
リード部材７とをそれぞれ電気絶縁層３およびシ
ール層５を挿通させて導電性サーメツト層４に埋
設したうえで真空または還元雰囲気で1900℃前後
焼成してこれらを一体に焼結して、端部閉塞体
２，２′が得られる。

次にこの端部閉塞体２，２′の発光管端部への
閉塞固着方法として、予め焼成されて透明化され
た透光性アルミナ発光管の両端部を共にフリツト
によつて前記閉塞体を接着することができる。な
お発光管の垂直点灯時に、発光管内の過飽和の封
入物が最冷点で凝縮して液状となり反応性が高く
なる発光管の下端部には、フリツトを用いること
なく発光管の透明化焼成と同時に下端部閉塞体を
焼嵌めることがより好ましい。この時透明化焼成
前の発光管の下端部に予め嵌入しておく閉塞体は
未焼成のものでも焼成したものでもよい。この後
発光管１の内部に金属ハロゲン化物が封入され、
上記と同様にして予め作成焼結された端部閉塞体
２′がガラスフリツト８により発光管１の上方の
端面に接合される。なお発光管１の形状は第１図
に示した円筒形以外にも種々の形状が適用可能で
ある。

以上のようにして製造された高圧金属蒸気放電
灯用発光管はリード部材７を電源に接続すれば電
流は導電性サーメツト層４を通じて電極６に流れ
て放電を行なうものであり、過飽和の封入物が最
冷点で凝縮して液状となり、反応性が高くなる発
光管１の下方の端面がフリツトを用いることなく
端部閉塞体２と発光管１との直接の焼結により焼
嵌められているので内部の金属ハロゲン化物によ
つて接合部が腐食されることがなく、また電気絶
縁層３が設けてあることからバツクアークの発生
も防止でき、さらにシール層５により発光管１の
下端とともに導電性サーメツト層４の下部を被つ
ているため導電性サーメツト層４に仮にクラツク
が生じたとしても発光管１の内部の封入物が外部
に漏洩することはない。

第２図は本発明の他の実施例を示す図である。
この実施例では電気絶縁層３に凸部６ａを設ける
とともにシール層５とリード部材７との間をガラ
スフリツト８で封着したものである。

これによりこの実施例では前述の実施例の効果
に加えて電気絶縁層３に凸部６ａを設けたことに
より発光管１の内部の過飽和の封入物が最冷点で
凝縮して液状となつた際に電極６の下部がこの液
状の封入物に浸漬しなくなるので電極６と電気絶
縁層３との間に液状の封入物が侵入しにくくな
り、発光管１の内部の封入物が導電性サーメツト
層４内に流入しにくくなる。またリード部材７と
端部閉塞体２との間をガラスフリツト８で封着し
ているためシール層５のシール効果をさらに確か
なものとすることができる。

（効果） 以上詳述したように本発明の高圧金属蒸気放電
灯用発光管端部閉塞体は電極側の電気絶縁層とリ
ード部材側のシール層とこれらの間の導電性サー
メツト層との３層構造としたため電気絶縁層によ
りバツクアーク現象が防止できるのでサーメツト
が損傷を受けにくく、またたとえサーメツトにク
ラツクが発生した際にもシール層によりシールさ
れているため発光管内部の物質が外部に漏洩する
ことがなく耐久性に優れ寿命の長い高圧金属蒸気
放電灯が提供でき産業の発展に寄与するところ極
めて大なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の高圧金属蒸気放電灯用発光管
端部閉塞体の一実施例の一部切欠き断面図、第２
図は本発明の他の実施例の構成を示す一部切欠き
断面図である。 １……発光管、２，２′……端部閉塞体、３…
…電気絶縁層、４……導電性サーメツト層、５…
…シール層、６……電極、７……リード部材、８
……ガラスフリツト。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 所定の電極とリード部材を支持して発光管端
   部を閉塞する導電性サーメツトデイスクからなる
   閉塞体において、該サーメツトデイスクの電極側
   表面部に電気絶縁層を設けると共に、該サーメツ
   トデイスクのリード部材側表面部にシール層を設
   けたことを特徴とする高圧金属蒸気放電灯用発光
   管端部閉塞体。 ２ 前記電極材料がタングステンまたはモリブデ
   ンであり、前記リード部材がニオブ、チタンカー
   バイドまたはチタンカーバイドとアルミナの複合
   体である特許請求の範囲第１項に記載の高圧金属
   蒸気放電灯用発光管端部閉塞体。 ３ 前記電気絶縁層とシール層とがアルミナ製で
   ある特許請求の範囲第１項または第２項に記載し
   た高圧金属蒸気放電灯用発光管端部閉塞体。 ４ 前記シール層のリード部材取付部にガラスフ
   リツトシールが施されている特許請求の範囲第１
   〜３項のいずれかに記載の高圧金属蒸気放電灯用
   発光管端部閉塞体。