JPH04280057A - 放電灯用電極 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、金属蒸気放電灯の電極
構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に金属蒸気放電灯は、電源電圧が投
入された起動時から定格の光束に達するまでの立上り時
間に数分の待ち時間を要する性質があり、この始動立上
り時間を短縮する対策が種々提案されている。

【０００３】例えばメタルハライドランプの場合、立上
り時間を短縮する対策の１つとして、発光金属となる金
属ハロゲン化物と一緒に高圧の始動用希ガス、例えばキ
セノンを封入し、始動時に大電流を流すことにより上記
始動用希ガスを励起して発光させ、これにより瞬時に定
格またはそれに近い光束を得るとともに、上記始動用希
ガスが発光しているうちに管壁温度を上昇させ、これに
より金属ハロゲン化物の蒸発を促し、最終的にこの金属
ハロゲン化物の原子の発光に移行するようにしている。

【０００４】しかしながら、このような金属蒸気放電灯
においては、始動時に大電流が流れるので、細い電極を
用いると電極が過熱されて電極物質が蒸発し、電極の細
りや蒸発した電極物質が管壁に付着して早期黒化を発生
する不具合がある。

【０００５】これを防止するため、電極を太くすると熱
容量が大きくなり、かつこの電極を通じて発光管の封止
部に熱が逃げやすくなり、電極の温度が熱電子を放出す
るに適した温度に上昇しなくなって立ち消えを発生する
場合がある。また、電極が大きいと発光管の端部に封着
し難くなる不具合もある。

【０００６】このようなことから、従来の電極の最も一
般的な構造は、電極軸およびこの電極軸の先端部に電極
コイルを巻回して構成してある。このような構造の場合
、電極軸の先端部に設けたコイル部により熱容量を大き
くすることができ、電極が過熱されて電極物質が蒸発す
るのを防止することができ、しかも電極軸は相対的に細
くすることができるので熱伝導による熱の逃げを防止す
ることができ、電極先端部の温度を適度に維持すること
ができる利点がある。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな電極コイルをもつ電極は、部品点数が増加し、組み
付け手間を要する不具合がある。また、この種の電極は
、電極軸の先端部を電極コイルから突出させ、この突出
部にアークスポットを形成させるようになっており、こ
の場合アークスポットは一定箇所に発生するからこの部
分が集中的に浸蝕され、電極物質の飛散が多くなる。

【０００８】本発明はこのような事情にもとづきなされ
たもので、簡単な構造でありながら、起動時に大電流が
流れても電極の過度な温度上昇による蒸発を抑止し、し
かも電極から熱が逃げるのを防止することができる放電
灯用電極を提供しようとするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明の電極は、発光管
に封着される根元側に比べて先端側の径を漸次大きくし
、かつ先端面を曲面形状にしたことを特徴とする。

【００１０】

【作用】本発明によれば、電極先端部の径が大きいから
熱容量が増して大電流が流れても電極の過熱を防止する
ことができ、しかも電極根元部は細いので電極の熱が逃
げ難く、立ち消えを防止することができる。また、先端
部から根元部に亘り径を漸次小さくしてあるので連続し
た温度変化となり局部的な熱負荷が生じなくなり、さら
には先端面は曲面としてあるのでアークスポットの移動
が容易であり、電極の浸蝕が低減される。

【００１１】

【実施例】以下本発明について、図面に示す一実施例に
もとづき説明する。

【００１２】図面はメタルハライドランプに適用した場
合を示し、図１の（ａ）図において１は発光管である。 発光管１は石英や硬質ガラスなどにより形成され、両端
部に圧潰封止部２、２が形成されている。これら圧潰封
止部２、２にはそれぞれモリブデンなどのような難融性
金属からなる金属箔導体３、３が封着されている。金属
箔導体３、３には、タングステンよりなる電極４、４が
溶接されており、これら電極４、４の先端は発光管１内
で互いに対向させられている。

【００１３】電極４は図１の（ｂ）図に示す通り、発光
管１の端部に封着される根元４ｂ側に比べて先端４ａ側
の径を漸次大きくしてあり、先端面は球面形状に形成さ
れている。

【００１４】本実施例の具体的寸法を説明すれば、発光
管１は肉厚２ｍｍ、長径１３ｍｍ、短径１０ｍｍの石英
からなる楕円形をなしており、両端部に外径６ｍｍ程度
の封止部２、２を備えている。Ｍｏからなる金属箔導体
３、３は、縦３ｍｍ、横５ｍｍ、厚さ２０μｍとされて
いる。

【００１５】電極４はタングステンに形成され、長さＬ
が７ｍｍで先端部４ａの最大径Ｄは０．３５ｍｍ、根元
４ｂの径ｄは０．１８ｍｍとされている。この場合、ｄ
／Ｄは約０．５である。なお、先端面は直径Ｄが０．３
５ｍｍとされた半球面の曲面となっている。

【００１６】上記金属箔導体３、３には外部リード線５
、５が接続されている。外部リード線５、５もタングス
テンにより形成されており、少なくとも一方の外部リー
ド線５には封止部２から導出された箇所に電気絶縁被膜
６が形成されている。電気絶縁被膜６は、例えば熱分解
性窒化ホウ素（ＰＢＮ）が用いられている。７は給電線
を兼ねるサポートワイヤである。上記発光管１の内部に
は所定量の金属ハロゲン化物、例えば６ｍｇのＮａＩと
、２ｍｇのＳｃＩ３　、４ｍｇの水銀、１気圧のキセノ
ンガスが封入されている。

【００１７】このような構成によるメタルハライドラン
プにおいては、電極４の先端部４ａを大きくし、根元部
４ｂを漸次細くしたので、電極先端部４ａの熱容量を大
きくすることができ、大電流が通じても電極４が過熱さ
れることがなく、電極物質の蒸発が防止される。よって
、電極の細りによる電極の短命や、電極物質の管壁付着
による黒化などを防止することができ、長寿命になる。

【００１８】また電極４の根元部４ｂは小径になってい
るので、発光管封止部２へ熱伝導による熱の逃げを防止
することができ、電極先端部４ａの温度を熱電子を放出
するのに適度な温度に維持することができる。このため
、ランプ電圧の変動を防止し、立ち消えを防止すること
ができるとともに、発光効率などのランプ特性が安定す
る。そして、電極４は先端部４ａから根元部４ｂに亘り
径が漸次小さくなっているので連続した温度変化となり
局部的な熱負荷が生じない。

【００１９】さらに先端面４ａは球面とされているので
アークスポットの移動が容易であり、１点に集中的にア
ークスポットが発生せずに移動するから、電極の浸蝕が
軽減される。しかも、この電極はタングステンにより一
体成形されているので、部品点数が少なく、組み付け手
間を省ける利点もある。なお、電極先端部４ａの最大径
Ｄと根元４ｂの径ｄの関係は、 ０．２６≦ｄ／Ｄ≦０．８６ にするのがよい。このような条件は本発明者等の実験に
よるもので、この実験結果について説明する。

【００２０】タングステンからなる電極として、長さＬ
が７ｍｍ、先端部４ａの最大径Ｄが０．３５ｍｍを一定
とし、根元４ｂの径ｄをそれぞれ、０．０６ｍｍ、０．
０９ｍｍ、０．１２ｍｍ、０．１８ｍｍ、０．２１ｍｍ
、０．２７ｍｍ、０．３０ｍｍおよび０．３５ｍｍのも
のを、各種類５本づつ制作した。これら８種類の電極に
ついて、電極の蒸発具合と、ランプ寿命について測定し
た結果を、図２および図３に示す。

【００２１】図２は、先端部４ａの最大径Ｄと根元４ｂ
の径ｄの比ｄ／Ｄと、ランプを起動させた場合に電極が
蒸発したことが目視で確認された電極についてその時の
点灯初期電流値との関係を示す特性図である。電極根元
の径ｄが細い電極ほど、小さな電流であっても蒸発が認
められる。

【００２２】これは電極全体の熱容量が小さくなるため
である。図２から、ｄ／Ｄが０．２６以上であれば電極
蒸発を発生させる初期電流値を大きくすることができ、
つまり大電流が流れても電極蒸発を発生し難くなること
が認められる。図３は、先端部４ａの最大径Ｄと根元４
ｂの径ｄの比ｄ／Ｄと、ランプ寿命との関係を示す特性
図である。

【００２３】電極根元の径ｄが大きいほど、電極を通じ
て発光管に熱が伝わり、発光管温度が上昇して種々の熱
的な不具合を生じ、また気密不良が発生してランプ寿命
が低下する。ｄ／Ｄは０．８６を越えるとランプ寿命が
急速に低下することが判る。なお、上記実施例の場合、
外部リード線５の封止部２から導出された箇所に電気絶
縁被膜６を形成してあるので、この外部リード線５とサ
ポートワイヤ７との間で絶縁が保たれる。ランプ起動時
には高圧パルスなどを印加して電極に大電流を流す場合
があり、この際極性が反対の外部リード線５とサポート
ワイヤ７との間で絶縁破壊による外部放電を発生するこ
とが心配されるが、外部リード線５に電気絶縁被膜６を
形成してあるので、これらの間の放電が防止される。特
に電気絶縁被膜６を熱分解性窒化ホウ素（ＰＢＮ）など
の塗布膜で形成すれば、膜厚が小さいからランプから出
る光を遮るなどの不具合が軽減される。なお、本発明は
上記実施例には制約されない。

【００２４】すなわち、上記実施例ではメタルハライド
ランプについて説明したが、本発明は高圧ナトリウムラ
ンプや水銀ランプなどの他の金属蒸気放電灯用電極であ
ってもよい。また、電極はタングステンにより構成され
たものに限らず、モリブデンやトリウムを含有したタン
グステン（トリタン）であってもよい。さらに、先端面
の曲面は、楕円面や放物面などであってもよい。

【００２５】

【発明の効果】以上説明したように本発明によると、電
極先端部の径を大きくしたから熱容量が増して大電流が
流れても電極の過熱を防止することができ、しかも電極
根元部は細くしたの電極の熱が逃げ難く、立ち消えを防
止することができる。また、先端部から根元部に亘り径
を漸次小さくしてあるので連続した温度変化となり局部
的な熱負荷が生じなくなり、さらには先端面は曲面とし
てあるのでアークスポットの移動が容易であり、電極の
１点が集中して浸蝕されるのが低減される。このため、
ランプ特性が安定し、ランプ寿命が長くなる。しかも、
電極は一体成形が可能であるから構造が簡単である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示し、（ａ）図はメタルハ
ライドランプの発光管の断面図、（ｂ）図は電極の側面
図。

【図２】電極の蒸発発生具合を示す特性図。

【図３】ランプ寿命を示す特性図。

【符号の説明】

１…発光管、２…封止部、４…電極、４ａ…電極先端部
、４ｂ…電極根元部。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　発光管の端部に封着される耐熱性金属
   からなる電極であり、発光管に封着される根元側に比べ
   て先端側の径を漸次大きくし、かつ先端面を曲面形状に
   したことを特徴とする放電灯用電極。
2. 【請求項２】　　根元側の最小径をｄとし、先端側の最
   大径をＤとした場合、 ０．２６≦ｄ／Ｄ≦０．８６ の関係を満足するようにしたことを特徴とする請求項１
   に記載の放電灯用電極。