JPH0422327Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、メガネの携帯性の向上に関する改良
案、詳しくは、別体のメガネケース等を必要とせ
ずに、当該メガネを構成する部品中にコンパクト
に自己収納することができる「携帯に便利なメガ
ネ」に関するものである。

〔従来の技術および問題点〕

メガネには、近視、遠視、乱視、老視などの不
正視を矯正するための視力矯正用メガネと、強烈
な光による眩輝羞明（dazzling）の防止や紫外
線・電磁波等による障害を防止する目の保護用メ
ガネとが存するが、何れのものもポケツトなどに
収納して携帯し必要時に取り出して着用すること
が多い。

ところで、視力矯正用にしろ、目の保護用にし
ろ、メガネは顔面の目に対応する箇所にレンズを
当て支えるフロント枠部材と、このフロント枠部
材の両側にブラケツト状に設けられるテンプル部
材とを基本的に有し、しかもテンプル部材は通常
フロント枠部材の接眼側に折畳めるようにヒンジ
連結によつて取り付けられる。そして、このよう
なメガネを掛けずに携帯する場合の用具として
は、プラスチツクなどで出来たメガネケースや布
製の袋などが存するけれども、これを持ち運ぶの
にはポケツトに入れるには嵩張り過ぎるため、鞄
やハンドバツクなどに入れることが必要である。
しかし、このような形式の従来メガネケースは几
帳面な年配者は別として、一般の人には大変に億
劫なものであり、特に若年者層に至つてはメガネ
をそのまゝ胸ポケツトや内ポケツトに挿入して持
ち運び、メガネケースなど使用しないのが通例と
いつてよい。そのため、満員の電車やバスなどの
人込みのなかでメガネが押し潰されたり、あるい
は何らかの外的衝撃でメガネのフレームが歪曲す
る弊害があるうえに、レンズや装飾の施されたフ
レーム部分がムキ出しになるため、その表面を損
傷することも多かつたのである。

〔解決すべき技術的課題〕

本考案は、メガネを着用せずに持ち歩く際に従
来のメガネには前述のような不便に鑑みて為され
たもので、メガネのフロント枠部材が自己の他の
部品中に埋入してコンパクトな状態を納まつて携
行に適した形態となる実用的メガネを提供するこ
とを技術的課題とする。

また、本考案の他の技術的課題は、携行に際し
てフラツトで薄型の状態に自己収納することがで
きるポケツトに挿入するに適した携帯用メガネを
提供するにある。

また、本考案の他の技術的課題は、フロントの
レンズやデザイン上の重要部分を携行時に損傷す
ることがなく安心して持ち運べるメガネを提供す
るにある。

さらに、本考案の他の技術的課題は、携行中の
収納状態にレンズが塵埃などによつて汚染する惧
れがなく、クリアーなレンズを引出して直ちに使
用できる携帯・使用の双方に都合の良いメガネを
提供するにある。

本考案の更に他の目的と利点は、本考案につい
ての以下の説明により一層明瞭になろう。

〔課題解決のために採用した手段〕

本考案者が前述の問題点を解決して所期の目的
を達成するために採用した最大の技術的ポイント
は、これを添附図面を参照して説明すると、レン
ズ１を有するフロント枠部材２の両側に各々ヒン
ジ連結されるテンプル部材３を、ヒンジ連結され
る側が少なくとも開口された中空の鞘枠
（sheath）３ａと；この鞘枠３ａに引出し・引込
み自在に装着された耳掛ロツド３ｂとで構成する
と共に、これらの鞘枠３ａの鞘口部に当該鞘筒３
１内へ進退スライド可能に嵌設されたピボツト軸
８を介し、前記フロント枠部材２を前記鞘筒３ａ
の中に収納可能にしたという点に存する。

〔実施例〕

以下、本考案を添附図面に示す実施例に基い
て、更に詳しく説明する。

図中の符号Ａで指示するものは本考案を適用し
て構成したメガネである。このメガネＡは、レン
ズ１を抱持した合成樹脂製のフロント枠部材２
と、このフロント枠部材２の両側２ａ，２ａに
各々連接された一対のテンプル部材３，３とで構
成されている。

上記各テンプル部材３は、フロント枠部材２が
ヒンジ連結される側が開口して鞘口になつてお
り、其処から中が鞘筒３１を形成するところの中
空の平型鞘枠３ａと；この鞘枠３ａの他端側にテ
レスコピツク（telescopic）式に引出し・引込み
自在に結合された耳掛ロツド３ｂとで構成してあ
り、各々の鞘枠の鞘筒３１内へ上記フロント枠部
材２が半分ずつ収納可能なる如く進退スライド自
在に当該鞘口部に対しフロント枠部材２をピボツ
トヒンジ連結してある。

即ち、鞘枠３ａの中にスライドして収納される
フトツト枠部材２の両側端部２ａ，２ａには、第
１０図に示すごとき心棒ケース７，７を備えてお
り、この心棒ケース７内にピボツト軸８の両端部
が浮沈動作自在にスプリング７ｂにより弾持され
ている。ピボツト軸８は、パイプ軸部８１に四角
錐形の笠端部８２を設けた雌型軸ピース８ａと；
前記パイプ軸部８１内にスライド自在に挿入され
た細径軸部８３に前記笠端部８２と同形の笠端部
８２′を設けた雄型軸ピース８ｂとから構成され
ており、前記軸部８１，８３が心棒ケース７内に
コイルスプリング７ｂを介装した状態で内装され
ることによつて浮沈可能になつている。

他方、フロント枠部材２が収納される鞘枠３ａ
の鞘筒３１には、その鞘口部と奥端部に上下相対
向する一対のピボツト孔３１ａ，３１ａおよび３
１ｂ，３１ｂが形成されている。このピボツト孔
３１ａ，３１ｂは、好ましくは、上記ピボツト軸
８の笠端部８２，８２′の形状に合致する形状に
するのがよく、また上記鞘枠３ａの鞘口部側に設
けられた少なくとも一方のピボツト孔３１ａを弾
力構造にしておくのが望ましい。第８図に示す実
施例品における下側のピボツト孔３１ａは板ばね
４の上面に凹設されており、螺子５によつて鞘口
部の下面に支持させてある。したがつて、テンプ
ル部材３は、ピボツト軸８に形成した四角錐状の
笠端部８２，８２′とこれに弾圧的に合着するピ
ボツト孔３１ａ，３１ａとの相互作用により、
90°の角度範囲で心地よい接曲操作を行える。

また、鞘筒３１の鞘口部には、前記ピボツト孔
３１ａのテーパー角に連続するごとく奥行側から
所要の勾配をもつて斜面６が形成してあるので、
前述のフロント枠部材２を収納状態から常態に戻
して使用するばあいには、フロント枠部材側部２
ａに心棒ケース７を介して配設されたピボツト軸
８の笠端部が前記斜面６にガイドされて前記ピボ
ツト孔３１ａの中に嵌入して安座することにより
ヒンジ機能を発揮することになるのであり、テン
プル部材３は接曲操作可能になる。逆に、使用状
態から収納状態に形態変化させる場合には、テン
プル部材３をフロント枠部材２を一直線に並ぶ位
置まで拡展させ、そのうえでフロント枠部材２を
鞘枠３ａの鞘筒３１の奥端に向けて押し込めば、
前記ピボツト軸８の上下の笠端部はピボツト孔３
１ａの勾配で連続する前記斜面６にガイドされて
徐々に心棒ケース７の中に沈入され、滑らかに奥
へスライドできることになる。

次に、耳掛ロツド３ｂ，３ｂは、各鞘枠３ａの
長手方向上縁に沿つて刳抜形成された引込み孔３
２にテレスコピツク式に引出し・引込み自在に結
合されている。

また、符号９で指示するものは、一方の鞘枠３
ａの外面の自由端側からフロント枠方向に向けて
装着したクリツプであり、フロント枠部材２を鞘
枠３ａ，３ａ内に収納した状態で上着等のポケツ
トに掛止せしめる働きがある。

〔本実施例メガネの作用・使用方法〕

本考案に係る実施例メガネの基本的構造は概ね
前述のとおりであるが、その使用方法について注
釈すると、次のとおりである。

まず、使用可能な状態にある第１図のメガネＡ
のテンプル部材３，３、つまりフロント枠部材２
に対してブラケツト状態に配向された鞘枠３ａ，
３ａを、互いのヒンジ連結に配設されたピボツト
軸８を支点として各々外方へ90°拡展させて第５
図のごとくフロント枠部材２と一直線に並ぶごと
く位置させ、次いで各耳掛ロツド３ｂ，３ｂを鞘
枠３ａ，３ａにおける引込み孔３２に引込み収納
させ、さらに第６図に示すようにフロント枠部材
２を鞘枠３ａ，３ａの中に押込みスライドさせれ
ば、ピボツト軸８とピボツト孔３１ａとのヒンジ
連結的嵌合は解除されて当該フロント枠部材２は
前記鞘枠３ａ，３ａの中に半分ずつ収納され、外
形的には第２図〜第４図に示す状態、構造的には
第６図に示す状態を形成し、携行に適した収納状
態となる。この際、ピボツト軸８の笠端部８２，
８２が鞘枠３ａの鞘筒３１の奥端に設けたピボツ
ト孔３１ｂ，３１ｂに嵌合することになるので鞘
枠３ａからフロント枠部材２が不用意に抜け出し
たりする心配もなく、安心してポケツトに差込掛
止して携帯することができる。

他方、収納状態にある本考案メガネを使用する
必要が生じたときには、第２図の状態にある本考
案メガネＡにおける鞘枠３ａ，３ａの中から耳掛
ロツド３ｂ，３ｂを引出すと共に、鞘筒３１から
はフロント枠部材２を引き出すと、フロント枠部
材２の両側端部２ａ，２ａに配設してあるピボツ
ト軸８の笠端部８２，８２′は鞘口部の上下に対
設したピボツト孔３１ａ，３１ａにヒンジ嵌合し
て第５図に示す状態となる。そこで、テンプル部
材３，３全体を前記ピボツト軸８，８を支点とし
て接眼側へ90°ほど回動させると、本考案メガネ
は使用可能な第１図の状態を形成する。

〔変形例〕

以上実施例をもつて本考案を説明したが、本考
案は前述の実施例に限定されるものではなく、例
えば、上記の実施例にあつては鞘枠３ａ，３ａの
鞘口部に設けたピボツト孔３１ａ，３１ａのうち
下側のピボツト孔のみを弾力構造としたものを示
したが、両方共に弾力構造にしてもよく、その具
体的手段についても、板ばね４のごとき手段だけ
でなく、他の付勢手段を代替してもよい。また、
耳掛ロツド３ｂ，３ｂを鞘筒３ａ，３ａにテレス
コピツク的に引出し・引込み可能に装着する手段
についても第１２図および第１３図に示すよう
に、鞘筒３ａ，３ａの側面にリツプ溝形のレール
１０，１０を付設し、このレール１０，１０の溝
の中に板状の耳掛ロツド１１，１１を引出し・引
込み自在に嵌装させてもよく、さらにフロント枠
部材２について云えば、これをレンズ１，１と一
体成形によつて作製することも可能である。

〔本考案の効果〕

以上説明したとおり、本考案メガネにあつて
は、フロント枠部材の両側に折曲操作自在にヒン
ジ連結させるテンプル部材を、 (a) ヒンジ連結される側が少なくとも開口された
中空の鞘枠と、 (b) この鞘枠に引出し・引込み自在に装着された
耳掛ロツドとで構成すると共に、 (c) これらの鞘枠の鞘口部に当該鞘筒内へ進退ス
ライド可能に嵌設されたピボツトヒンジ軸を介
し、前記フロント枠部材全体を前記鞘筒内に収
納可能にする、 という技術的手段を採用した結果、フロント枠部
材と耳掛ロツドを鞘枠内にスライドさせて引込ま
せるといつた簡単な操作でレンズや装飾部が傷付
かず、かつ、埃や汗脂によつて汚損されない状態
に収納することが可能であり、しかもフロント枠
部材や耳掛ロツドが嵩張ることなく薄型の鞘枠内
にコンパクトにワンタツチ収納することが可能に
なつたのである。

また、本考案メガネは収納状態の形態が薄型板
状の従来類例を見ない個性に富んだデザインにな
るので、これまでの老眼鏡を持ち歩くときのよう
に年寄り臭くならず、若者には日用携帯品として
気軽に受け入れられるであろうなど、従来のメガ
ネを携行する際に抵抗となつていた問題点は全て
解消されたと云つても過言ではない。

更にまた、本考案メガネは前述したように構造
簡素であるため、量産性に富み大量生産のメリツ
トとして価格もダウンも大きく見込めることは想
像に難くない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るメガネの着用に供する状
態の外観を示す斜視図、第２図は同メガネの収納
時に形態を示す斜視図、第３図は同平面図、第４
図は同側面図、第５図はフロント枠部材とテンプ
ル部材とを一直線上に広げて収納せんとする寸前
の状態を示す本考案メガネの一部省略断面図、第
６図は収納時における本考案メガネの各部品の状
態を示す一部省略断面図、第７図は第６図のＡ−
Ａ線断面図、第８図は本考案メガネにおけるフロ
ント枠部材とテンプル部材とのヒンジ連結部分の
構造を示す部分拡大断面図、第９図はフロント枠
部材に対しテンプル部材をブラケツト状態に位置
させた状態の本実施例メガネの底面図、第１０図
は本実施例メガネに用いるヒンジの心棒部材の一
例を示す断面図、第１１図は同平面図、第１２図
は本考案に用いるテンプル部材の他の例の側面
図、第１３図は同横断面図である。 １……レンズ、２……フロント枠部材、３……
テンプル部材、３ａ……鞘枠、３１……鞘筒、３
ｂ……耳掛ロツド、７……心棒ケース、７ｂ……
コイルスプリング、８……ピボツト軸、８１……
パイプ軸部、８２，８２′……笠端部、８３……
細径軸部。Ａ……メガネ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 左右一対のレンズを備えたフロント枠部材
   と、このフロント枠部材の両側に各々ヒンジ連
   結された一対のテンプル部材とを含み、 前記各テンプル部材は、ヒンジ連結される側
   が少なくとも開口された中空の鞘枠と、この鞘
   枠に引出し・引込み自在に装着された耳掛ロツ
   ドとより成ると共に、これらの鞘枠の鞘口部に
   当該鞘筒内へ進退スライド自在に嵌設されたピ
   ボツト軸を介し前記フロント枠部材が鞘筒内に
   収納可能に構成されていることを特徴とした携
   帯に便利なメガネ。 フロント枠部材の両側端にテンプル部材をヒ
   ンジ連結するピボツト軸の上下端部が四角錐状
   の笠形に形成されており、かつ、同笠形の端部
   がフロント枠部材の側部上下縁より出没可能に
   弾持された状態で装着されており、当該ピボツ
   ト軸が鞘枠の鞘口部に位置しているときには突
   出してフロント枠部材と鞘枠とを折曲操作可能
   にヒンジ連結し、フロント枠部材が鞘枠内に挿
   入スライドするときには沈入することを特徴と
   した請求項記載の、携帯に便利なメガネ。 耳掛ロツドが溝形レールを介して鞘枠に引出
   し・引込み自在に嵌装されている請求項また
   は記載の、携帯に便利なメガネ。