JPH04218343A - 無菌平板給餌育用の家蚕用人工飼料 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、家蚕の全齢飼育のオー
トメーションファクトリー化用の人工飼料および従来の
全齢人工飼料育では得られぬ高品質の繭糸若しくは生糸
の生産に関する。

【０００２】

【従来の技術】家蚕の人工飼育については、特開昭５１
−３９８４号公報等に記載されており、また、人工飼料
による家蚕の無菌飼育方法については、日本蚕糸学雑誌
第３６巻３９頁〜４５頁（１９６７年）等に記載されて
いる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】これまで、蚕の周年飼
育による生糸の安定的かつ大量生産、すなわち、人工飼
料を用いた蚕の全齢飼育のオートメーションファクトリ
ー化は、養蚕・蚕糸関係者の永年の夢であった。この実
現には育蚕にかかわる多くの技術開発が必要とされた。 特に、人工飼料の開発は重要な技術のひとつであり、多
くの研究者の努力により、その基本組成および飼料が具
備すべき諸性状が検討され、あきらかにされた。さらに
、桑葉に代わる人工飼料の組成改善を通じて実用性のあ
る人工飼料が数多く開発され、すでに国内の数社から種
々の現場においては、その普及率は約４０％に達すると
の報告もある。しかし、蚕の１〜３齢（稚蚕）、４齢お
よび５齢の各齢期での飼料食下量の割合は約３％、８％
および約９０％であり、稚蚕育での人工飼料の普及率が
約４０％に達するとはいえ、全食下量の約９０％を占め
る５齢期の飼育には全く使用されていないのが現状であ
る。この５齢蚕飼育への人工飼料の普及を阻害する原因
としては、既存の組成の人工飼料は高価格であり、この
飼料を５齢蚕飼育に用いた場合には飼育代が極めて高く
つくというコスト面の要因があげられる。よって、この
５齢期には従来の桑葉による養蚕飼育が採用されている
のが現状である。

【０００４】しかしながら、この養蚕方法は、桑の刈り
取り、給桑、除沙、上蔟、収繭等の一連の作業により成
り立っており、この作業過程において莫大な労力を必要
とする。この５齢期間中の飼育労力を削減するために５
齢蚕の飼育に人工飼料を導入する事が必要とされるが、
このような蚕の全齢人工飼料育を実現するには、安価で
、実用的な５齢用人工飼料の開発が不可欠かつ急務であ
る。さらに、現在市販されている人工飼料を用い、全齢
人工飼料育を行った場合、得られる繭糸は精錬時の練減
率、生糸の伸度、光沢、色相等に問題があり、これらの
点での改善が要望されていた。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる現
状に鑑み、５齢蚕の発育と成長に必要な成分およびその
代替物について検討を加えた結果、従来の人工飼料にお
いて、エネルギー源としての炭水化物や造形剤としての
寒天またはカラギーナン等の高価な原料を必要としない
、安価な飼料組成を見い出すとともに、本飼料および飼
育法を用いることにより、従来の人工飼料育蚕から得ら
れるものに比べ、優れて高い品質の繭糸および生糸が得
られることを発見し、本発明を完成した。

【０００６】すなわち、本発明は、トウフ粕粉末、桑葉
粉末および脱脂大豆粉末を必須成分とする飼料原料と、
水との配合比が１：２から１：２．５であることを特徴
とする蚕の無菌平板給餌育に使用する人工飼料（以下、
本発明飼料と記す。）、本発明飼料を用いる無菌平板給
餌育法による蚕の人工飼育方法（以下、本発明飼育法と
記す。）および本発明飼育法により生産される繭糸もし
くは生糸（以下、本発明糸と記す。）に関するものであ
る。

【０００７】ここで言うトウフ粕は、我々の日常の食生
活に供せられるところのトウフまたは豆乳製造の過程で
生ずる、いわゆる「おから」と呼ばれるものである。

【０００８】本発明飼料に用いたトウフ粕は従来よりト
ウフ、豆乳等大豆汁を利用する製品の副産物として生産
され、家畜の飼料として利用されたものであるが、最近
ではむしろその廃棄が問題となっており、無償に近い価
格で容易に入手しうるため、人工飼料のコストを大幅に
低下させることが可能である。

【０００９】本発明飼料において、必須成分である飼料
原料の桑葉粉末、脱脂大豆粉末およびトウフ粕粉末の飼
料原料全重量に対する含量は、それぞれ、１０〜４０重
量％、１５〜３５重量％および７５〜２５重量％である
。

【００１０】桑葉粉末およびトウフ粕粉末としては乾燥
したものが好ましい。また、飼料含量には馬鈴薯澱粉、
フィトステロール、クエン酸、ビタミンＣ、およびビタ
ミンＢ１　、ビタミンＢ６　等のビタミン類の微量成分
、鉄分、リン分、カルシウム分、マグネシウム分等の無
機物からなる微量成分、摂食促進物質であるモリン等を
添加することが好ましい。

【００１１】本発明飼料を用いた蚕の飼育方法としては
、初齢期から５齢期を通して用いてもよいが、安価な方
法としては、例えば、シルクメート（日本農産工業株式
会社製）等の市販の人工飼料粉末を用いて、従来の人工
飼育法に従って湿体飼料を調製し、４眠まで飼育したの
ち、５齢期に本発明飼料を平板状に伸ばし、蒸煮滅菌し
、冷却後、無菌環境下で蚕を飼育する、いわゆる平板給
餌法にて飼育する方法が好ましい。

【００１２】すなわち、本発明飼料においては、従来の
人工飼料の原料コスト中最も高いシェアを占める寒天や
カラギーナン等の造型剤・保水剤を省くことにより大幅
な原料コストの削減が可能となったが、反面従来から行
われている給餌法のすべてを適用することは出来ないが
、この給餌法により５齢飼育期間中の飼料の補充・取替
えが不要になり、５齢蚕の飼育の問題点であった労力の
面からも最も望ましい給餌法である。

【００１３】本発明飼料において、上記必須成分以外の
添加物の飼料原料全重量の対する含量は、馬鈴薯澱粉；
０〜２０重量％、ビタミンＣ；０．５〜２重量％、フィ
トステロール；０．１〜０．５重量％、クエン酸；１〜
５重量％、ビタミンＣを除いた微量成分；０．５〜２重
量％である。また、蚕の品種によってはその飼料の摂食
を促進する必要から、蚕の摂食促進物質であるモリン等
を微量成分に加えてもよい。

【００１４】

【実施例】以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明
するが、本発明は以下の例のみに限定されるものではな
い。なお、部は重量部を表す。

【００１５】実施例１ 市販人工飼料（シルクメート）粉末を用い、常法に従っ
て湿体飼料を調製し、家蚕（錦秋×鐘和）を３０℃、暗
条件で４眠まで飼育した。

【００１６】表１に示すごとき組成を有する人工飼料（
本発明飼料）を、乾物の約２．５倍量の水で練合後、１
００℃で約１時間蒸煮し、平板状に圧延した飼料上に、
上記シルクメートで飼育した５齢起蚕を放飼して５齢期
を通して飼育し、その飼育成績を調査した。比較対照と
して表１の対照飼料（京都工芸繊維大学製ＫＩＴ−３６
）を５齢期を通して用いた。５齢期の飼育温度は２４±
１℃、自然光条件下で飼育し上蔟を行った。

【００１７】表２は本飼料及び対照飼料で飼育した蚕の
飼育成績である。得られた繭の全繭重、繭層重、繭層歩
合はいずれも従来飼育による飼育方法からみて、なんら
遜色なかった。

【００１８】表３および表４は、表２で得られた繭を常
法に従い操糸・精錬した生糸の検査成績である。本発明
飼料で飼育した蚕繭から得られた生糸は、対照の人工飼
料育の蚕繭から得られたものに比し、練減率、伸度、光
沢、色相および加熱後の黄変度等で優れた性質を有した
。

【００１９】

【００２０】

【００２１】

【００２２】

【００２３】

【発明の効果】本発明により、家蚕飼育用の安価な人工
飼料が供給され、家蚕の全齢期におけるオートメーショ
ンファクトリー化（工業的飼育法）が可能となり、高品
質の絹糸の安価な供給が実現される。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】トウフ粕粉末、桑葉粉末および脱脂大豆粉
   末を必須成分とする飼料原料と、水との配合比が１：２
   から１：２．５であることを特徴とする蚕の無菌平板給
   餌育に使用する人工飼料 【請求項２】馬鈴薯澱粉粉、フィトステロール、クエン
   酸、ビタミン類と無機物からなる微量成分、モリンを飼
   料原料に添加した請求項１記載の人工飼料【請求項３】
   飼料原料中の必須成分の含量が、桑葉粉末１０〜４０重
   量％、脱脂大豆粉末１５〜３０重量％、トウフ粕粉末７
   ５〜２５重量％である請求項１記載の人工飼料 【請求項４】請求項１記載の人工飼料を用いる無菌平板
   給餌育法による家蚕の人工飼育方法 【請求項５】請求項１記載の人工飼料を家蚕の５齢期に
   無菌平板給餌育法により用いる家蚕の人工飼育方法【請
   求項６】請求項４記載の人工飼育方法により生産される
   繭糸 【請求項７】請求項４記載の人工飼育方法により生産さ
   れる生糸 【請求項８】請求項５記載の人工飼育方法により生産さ
   れる繭糸 【請求項９】請求項５記載の人工飼育方法により生産さ
   れる生糸