JPH0421833Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、羊毛紡績の前紡工程で使用するボ
ビナーにおいて、スライバーをドラフトさせるロ
ーラドラフト域で使用するドラフト用のローラに
係り、ローラ外周がバルーンコツトで被覆されて
ローラ外周側に膨出したバルーン部が、少なくと
も二つ近接して設けられてなるバルーンローラに
関するものである。

［従来技術及びその問題点］ 従来より、羊毛紡績の前紡工程においては、第
３図に示すようなボビナー１０を使用しており、
ケンス１１に収容されたスライバー１２を、クリ
ール１３に設けられた各ガイド１４及び各送りロ
ーラ１５を介して移送し、このように移送された
スライバー１２を、ボビナー１０のローラドラフ
ト域１６においてドラフトした後、ラツピングエ
プロン部１７において、これに撚りを付与し、こ
れをボビン１８に捲き取るようになつていた。

ここで、上記のローラドラフト域１６におい
て、バツクトツプローラ１６ａとフロントトツプ
ローラ１６ｂとの間に位置する上部のドラフト用
ローラ１６ｃとしては、従来より、第４図に示す
ように、ローラ１の外周がバルーンコツト２′で
被覆されて、ローラ１外周側に膨出されたバルー
ン部３を有するバルーンローラを用いるようにし
ていた。

そして、このようなバルーンローラは、通常、
近接して移送される２本のスライバー１２を同時
にドラフトするため、同図に示すように、ローラ
１の外周側に膨出したバルーン部３を二つ近接し
て設けたものを用いるようにしていた。

ここで、このような従来のバルーンローラにお
いて、バルーン部３を二つ近接して設けるにあた
つては、ローラ１に設けられた三つの鍔部１ａ，
１ｂ，１ｃ間に、二つのバルーンコツト２′，
２′を適宜間隔をおいて設け、ローラ１の外周を
それぞれ分離された二つのバルーンコツト２′，
２′によつて被覆するようにしていた。

しかし、このようにローラ１の外周をそれぞれ
別のバルーンコツト２′，２′で被覆して、バルー
ン部３を二つ近接して設けるようにした場合、バ
ルーンコツト２′の取り付け及び取り外しを個々
に行わなければならず面倒であり、バルーンコツ
ト２′を表面処理する等の際に手間取るという問
題があつた。

また、このようにローラ１の外周をそれぞれ別
のバルーンコツト２′，２′で被覆した場合、バル
ーン部３，３間において、バルーンコツト２′と
ローラ１とが接触する部分に隙間が生じ、この隙
間にスライバー１２が喰い込み、これが成長して
バルーンローラに絡み付き、これによつて多くの
トラブルが発生するという問題もあつた。

［考案が解決しようとする課題］ この考案は、上記のようなバルーンローラにお
ける問題を解決することを課題としてなされたも
のである。

すなわち、この考案は、ローラ外周がバルーン
コツトで被覆されてローラ外周側に膨出したバル
ーン部が、少なくとも二つ近接して設けられてな
るバルーンローラにおいて、バルーンコツトの取
り付け及び取り外しが容易で、バルーンコツトの
表面処理等が簡単になると共に、バルーン部間に
おいて、バルーンコツトとローラとの間に隙間が
生じてスライバーが喰い込むということがなく、
スライバーの喰い込みによるトラブルの発生がな
いバルーンローラを提供するものである。

［課題を解決するための手段］ この考案は、上記のような課題を解決するた
め、ローラ１の外周がバルーンコツト２で被覆さ
れてローラ１外周側に膨出したバルーン部２が、
少なくとも二つ近接して設けられてなるバルーン
ローラにおいて、上記近接した各バルーン部３
を、一つの連続したバルーンコツト２によつて構
成するようにしたものである。

［作用］ 上記のようにローラ１外周側に膨出したバルー
ン部３を少なくとも二つ近接して設けるにあた
り、各バルーン部３を一つの連続したバルーンコ
ツト２によつて構成すると、バルーン部３間にお
けるローラ１の部分もこのバルーンコツト２によ
つて被覆されてしまい、各バルーン部３間におい
て、バルーンコツト２とローラ１との間に隙間が
存在せず、スライバー１２が喰い込むということ
がなくなる。

また、このように近接した各バルーン部３を、
一つの連続したバルーンコツト２によつて構成す
ると、その取り付け及び取り外しが一度で行える
ようになる。

［実施例］ 以下、この考案の一実施例を、、第１図及び第
２図に基づいて具体的に説明する。

この実施例におけるバルーンローラは、第１図
に示すように、ローラ１の両側部において、ロー
ラ１の外周側に膨出したバルーン部３を、それぞ
れ近接して二つ設けるようにしている。

ここで、この実施例においては、上記のように
ローラ１の両側部において、それぞれ二つのバル
ーン部３，３を近接して設けるにあたり、二つの
膨出部分２ａ，２ａが少しの間隙を介して連続し
て形成されたゴム製のバルーンコツト２を用いる
ようにしている。

そして、このバルーンコツト２の両膨出部分２
ａ，２ａ間におけるくびれ部２ｂが、ローラ１に
設けられた三つの鍔部１ａ，１ｂ，１ｃの中の中
央に位置する鍔部１ｂの外周上に位置するように
して、バルーンコツト２をローラ１に設けられた
両側の鍔部１ａ，１ｃ間に配し、このバルーンコ
ツト２によつて、ローラ１の外周を被覆するよう
にしている。

なお、この実施例のものにおいては、上記のよ
うにローラ１の外周側に膨出したバルーン部２を
近接して二つ設けるようにしただけであるが、さ
らに多くのバルーン部３を近接して設けるように
することも可能であり、この場合には、ローラ１
の外周を被覆するバルーンコツト２として、膨出
部分２ａがさらに多く連続して形成されたバルー
ンコツト２を用いるようにする。

そして、このように構成されたこの実施例のバ
ルーンローラを、第３図に示す前記ボビナー１０
のローラドラフト域１６において、バツクトツプ
ローラ１６ａとフロントトツプローラ１６ｂとの
間に位置する二つのドラフト用ローラ１６ｃに使
用し、スライバー１２をドラフトさせるようにし
た場合、各バルーン部３，３間におけるローラ１
部分も、バルーンコツト２によつて被覆されてい
るため、従来のように、バルーンコツト２とロー
ラ１との隙間にスライバー１２が喰い込み、これ
が成長してバルーンローラに絡みつくということ
がなく、トラブルが大幅に減少した。

［考案の効果］ 以上詳述したように、この考案に係るバルーン
ローラにおいては、ローラ外周側に膨出したバル
ーン部を少なくとも二つ近接して設けるにあた
り、各バルーン部を一つの連続したバルーンコツ
トによつて構成し、各バルーン部間におけるロー
ラの部分も、このバルーンコツトによつて被覆す
るようにしたため、従来のように、各バルーン部
間におけるバルーンコツトとローラとの間に隙間
が存在して、この隙間にスライバーが喰い込み、
これが成長してバルーンローラに絡み付くという
ことがなく、ボビナーに使用した場合、スライバ
ーの絡みつきによるトラブルが解消された。

また、この考案に係るバルーンローラにおいて
は、近接した各バルーン部を、一つの連続したバ
ルーンコツトによつて構成したため、そのバルー
ンコツト取り付け及び取り外しが一度で行え、従
来のように各バルーン部をそれぞれ別のバルーン
コツトで被覆した場合に比べて、バルーンコツト
の取り付け及び取り外しが容易になり、バルーン
コツトの表面処理等が簡単に行えるようになつ
た。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例に係るバルーンロ
ーラのバルーンコツト部分を切断した部分断面
図、第２図は同実施例に係るバルーンローラの平
面図、第３図はローラドラフト域においてバルー
ンローラを使用するボビナーの概略断面図、第４
図は従来のバルーンローラのバルーンコツト部分
を切断した部分断面図である。 符号の説明、１……ローラ、２……バルーンコ
ツト、３……バルーン部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ローラ１の外周がバルーンコツト２で被覆され
   てローラ１外周側に膨出したバルーン部２が、少
   なくとも二つ近接して設けられてなるバルーンロ
   ーラにおいて、上記近接した各バルーン部３が、
   一つの連続したバルーンコツト２によつて構成さ
   れたことを特徴とするバルーンローラ。