JPH04211375A - 合成遺伝子及びそれを用いたヒト血清アルブミンの製造法 - Google Patents

合成遺伝子及びそれを用いたヒト血清アルブミンの製造法

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JPH04211375A
JPH04211375A JP1460091A JP1460091A JPH04211375A JP H04211375 A JPH04211375 A JP H04211375A JP 1460091 A JP1460091 A JP 1460091A JP 1460091 A JP1460091 A JP 1460091A JP H04211375 A JPH04211375 A JP H04211375A
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JP
Japan
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serum albumin
human serum
gene
plasmid
synthetic dna
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JP1460091A
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Kenichi Hashiguchi
賢一 橋口
Hiroyuki Kojima
宏之 児島
Kazuhiko Yamada
和彦 山田
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Ajinomoto Co Inc
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はヒト血清アルブミン(H
SA)をコードする遺伝子を含む合成DNA、合成DN
Aを有するプラスミド、該プラスミドにより形質転換さ
れた微生物及び該微生物を培養してヒト血清アルブミン
を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】組換えDNA技術の進歩によって、大腸
菌等の微生物において高等真核生物由来の遺伝子を発現
させ、その目的遺伝子産物を微生物を培養することによ
って取得する技術が発展してきた。一般に高等真核生物
の遺伝子は、mRNAを調製して、逆転写酵素によって
作製したcDNAからクローニングすることによって得
られている。ヒト血清アルブミンについても、例えば特
開昭58−56684等にcDNAの調製法が開示され
ている。
【0003】蛋白質をコードする遺伝子はその蛋白質の
アミノ酸配列を1アミノ酸につきDNAの3塩基からな
る遺伝暗号(コドン)によってコードしているが、ある
アミノ酸に対応する遺伝暗号は必ずしも1つではない。 そして、大量に発現している遺伝子では生物種によって
使用されている遺伝暗号に偏りがみられることが知られ
ている。
【0004】従って、前記の方法で調製されたcDNA
からなる遺伝子は高等真核生物において多用される遺伝
暗号からなる遺伝子であり、必ずしも大腸菌等の原核生
物である微生物における発現に好適なものではない。
【0005】また、遺伝子を発現させるには適当な発現
制御系に接続する必要があり、より好適な発現制御系に
接続することによって同じ遺伝子の発現効率を飛躍的に
高めることが出来ることが知られている。遺伝子をより
好適な発現制御系に接続するためには、遺伝子中に存在
する制限酵素部位等が適切に配置されていることが操作
上望ましく、特にコードする蛋白質のN末端付近の領域
に単一の制限酵素部位が存在することが望ましい。しか
しながら、cDNAにおいては遺伝子中に存在する制限
酵素部位は全くランダムと言ってよく、操作上好適な配
置をとっている場合は極めて希である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述の如く、高等真核
生物由来の蛋白質を原核生物である微生物を培養するこ
とによって工業的に有利に生産するためには、目的遺伝
子をより好適な発現制御系に接続することとともに、遺
伝子本体もまた宿主たる原核生物である微生物において
より効率よく発現するDNA配列を持ったものであるこ
とが望まれる。また、より好適な発現系に接続するにあ
たっての便宜上、適当な制限酵素部位が、適切に配置さ
れていることが望まれる。本発明の目的は、cDNAを
用いて高等真核生物由来の蛋白質を原核生物である微生
物に生産せしめる方法の不完全さを是正し、より効率的
な遺伝子発現、蛋白質生産を行なうための技術を提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、高等真核
生物であるヒト由来の蛋白質であるヒト血清アルブミン
を大腸菌等の原核生物である微生物においてより効率的
に生産するために、ヒト血清アルブミンのアミノ酸配列
をコードするDNA配列を、 ■アミノ酸配列を変化させない。 ■操作上有用と思われる制限酵素部位を残し、不用な制
限酵素部位を除く。 ■目的蛋白質のN末端をコードする領域に単一の有用な
制限酵素部位を設ける。 ■安定な2次構造を取らないようにする。 ■大腸菌で多用されている遺伝暗号(コドン)を用いる
。 について考慮しながら設計し、化学合成したDNAのオ
リゴマーから実際にヒト血清アルブミンを大腸菌等の原
核生物である微生物において著量生産させ得る合成DN
Aを構築するとともに、この合成DNAを含有するプラ
スミドで形質転換された微生物を培地中で培養すること
により目的のヒト血清アルブミンを生産することができ
、本発明を完成するに至った。
【0008】さて、cDNAを用いて大腸菌(E.co
li)、枯草菌(B.subtilis)等の微生物で
ヒト血清アルブミンを生成する方法は、特開昭58−5
6684、特開昭58−150517、特開昭61−2
75229、特開昭62−215393などに開示され
ている。しかしこれらは遺伝暗号(コドン)の選択の余
地の無いcDNAの持つ性格の故に、その発現効率、従
って生産量には自ずと限界があるものである。大腸菌等
においてのヒト血清アルブミン生産量の飛躍的な増加は
、本発明によって初めて可能となった。また、特開昭6
2−29985には特定のアミノ酸配列から類推される
DNA配列一般が開示されているが、本発明のアミノ酸
配列は特開昭62−29985に開示されているアミノ
酸配列とは多くの相違点がある。
【0009】本発明者らは原核生物に適したコドンに注
目して、ヒト血清アルブミンをコードするDNAをデザ
インして化学合成した。
【0010】なお、オリゴヌクレオチドの合成にはトリ
エステル法(Nuc.Acid.Res.10,655
3(1982))や、ホスホアミダイト法(Tetra
hedron  Letters22,1859(19
81))等の方法がすでに開発されており、いずれの方
法を用いてもよい。
【0011】また、近年、合成に必要なヌクレオチドや
試薬のキット更には自動合成機器も市販されいるので、
当然これらを用いてもよい。
【0012】次にこの合成DNAを宿主に導入し、増殖
、発現させるために適当なプラスミドに組み込む。
【0013】本発明において用いられるプラスミドは特
に限定されないが大腸菌を宿主とする場合は通常よく利
用されるpSC101,pBR322,pUC19,p
UC18,pHSG298,pHSG299,pHSG
398,pHSG399等を用いればよい。
【0014】また枯草菌を宿主とする場合には、pUB
110,pC194,pE194等を用いればよい。
【0015】バチルス・ブレビスを宿主とする場合は、
pHY500,pNU200(Proc.Natl.A
cad.Sci.USA,86,3589(1989)
)等を用いればよい。もちろん、繰り返し述べるが、本
発明は上記プラスミドベクターに限定されるものではな
い。
【0016】次に、このようにして得た組み換えDNA
で宿主を形質転換するのである。形質転換法として■細
胞を塩化カルシウム、塩化ルビジウム、または燐酸カル
シウムで処理する方法(塩化カルシウム、塩化ルビジウ
ム、または燐酸カルシウム法)、■電気パルスによる方
法(エレクトロポーレーション法)、■プロトプラスト
を利用する方法(プロトプラスト法)等の方法があるが
、いずれの方法を用いてもよい。またその他の方法を用
いてもよい。最後にこの形質転換体を培地中で培養して
菌体内に生産もしくは培地中に分泌させ、それを精製す
るのであるが、このプロセスは通常用いられる以下の方
法に従えばよい。
【0017】培地は適当な炭素源、窒素源、無機塩類、
使用菌株が特に要求する物質を含んだものを用いればよ
い。培養時間は使用菌株によって多少異なり特に限定さ
れないが、通常5時間から100時間程度でよい。
【0018】生成物の取り上げ方法は、菌体内に顆粒状
に生産させた場合は、集菌後菌体をリゾチーム、超音波
等で処理して破砕し、低速遠心によって顆粒を沈澱、採
取し、尿素や塩酸グアニジン等で処理して可溶化する。 それを希釈や透析等によって巻き戻しを行い、通常よく
用いられるHPLC法等によって精製すればよい。培地
に分泌生産した場合は、菌体を除去後、培地から通常よ
く用いられるHPLC法等によって精製すればよい。
【0019】以下、本発明を実施例に従って具体的に説
明する。
【0020】
【実施例1】 [全合成ヒト血清アルブミン遺伝子の構築]遺伝子の設
計 現在の合成DNA技術と、本発明者らの採用している精
製法では安定して得られるDNA鎖は最大70塩基程度
である。ヒト血清アルブミンは585アミノ酸であるの
で1755塩基の遺伝子が少なくとも必要であり、少な
くとも25本程度に分割して合成する必要がある。また
2本鎖としてプラスミドに組み込む必要があるので、そ
の2倍のDNAを合成する必要がある。またプラスミド
に組み込んだ時点で塩基配列の確認が必要なので確実に
塩基配列が確認できる長さに分けてプラスミドに組み込
む方が操作上都合がよい。従って全体を一度に組み立て
るのではなく、8つ程度の部分に分けてフラグメントの
集合を行い、そこで塩基配列の確認を行ってから全体を
構築することにした。
【0021】以上の前提条件をもとに、■ヒト血清アル
ブミンのアミノ酸配列を変化させない。 ■集合させる時に用いる制限酵素の認識部位を必要なだ
け持たせる。
【0022】(不必要な認識部位を除く。)■N末端の
なるべく近くに遺伝子内で単一の制限酵素部位を1つ持
たせる。(様々な発現システムへ容易に遺伝子を接続す
ることを可能にする。) ■安定な2次構造を取らないようにする。 ■大腸菌で汎用されている遺伝子暗号をなるべく用いる
。 の順番に条件を考慮しながら遺伝子の設計を行った。ヒ
ト血清アルブミンのアミノ酸配列は複数の文献によって
開示されているが、それらは互いに少しずつの相違があ
る(FEBS  LETTERS  58,134,(
1975)、Nucleic  Acids  Res
earch  9,6103,(1981)、Proc
.Natl.Acad.Sci.USA,79,71,
(1982)、J.Biol.Chem.261,67
47,(1986))。
【0023】本発明者らは、一般にDNAの配列を求め
る方がアミノ酸の配列を求めるよりも信頼性が高いと考
えられること、報告されている年次が新しいことの2つ
の理由により、アミノ酸配列そのものを決定した文献で
はなく、mRNAより作製したcDNAの塩基配列を決
定することによってアミノ酸配列を報告している比較的
新しい文献、即ち、Nucleic  Acids  
Research  9、6103(1981)及びP
roc.Natl.  Acad.Sci.USA,7
9、71、(1982)を主に参考にした。
【0024】しかし、上述の2つの文献に示されたcD
NAから類推されるアミノ酸配列にも2ケ所の相違点が
ある。すなわち1つは胎児の肝臓から取ったmRNAか
ら類推したもの(Nucleic  Acids  R
esearch  9、6103(1981))、もう
1つは成人の肝臓から取ったmRNAから類推したもの
(Proc.Natl.  Acad.Sci.USA
,79、71、(1982))である。
【0025】本発明者らは実用性を考えて成人の配列を
採用した。コンピュータを用いてアミノ酸配列から取り
得る制限酵素部位を検索し、それをもとにして大腸菌で
汎用されているコドンを選びながら制限酵素部位の取捨
選択を行い、DNA配列の最初の候補を作成した。
【0026】その候補配列をコンピュータの高次構造検
索プログラムに入力し、著しい二次構造を検索し、取り
除いた。最終的に決定した遺伝子の塩基配列を図1に示
した。
【0027】この設計した遺伝子でのコドンの使用割合
を以下に示した。
【0028】
【表1】
【0029】下線を施した部分は、大腸菌で大量に発現
するとされている遺伝子に広く用いられているコドン(
メジャーコドン)と、一種類しかない、メチオニン、ト
リプトファン、それにコドンユーセージに片寄りが見ら
れないシステインのコードである(参考文献:細胞工学
,2,1541(1983))。上記のようにほとんど
メジャーコドンを用いて遺伝子を設計することができた
。アミノ酸配列のもとにした文献のヒト血清アルブミン
をコードするエクソン部分のDNA配列について同じこ
とを行なうと以下のようになり、大腸菌におけるメジャ
ーコドンの使用頻度はむしろ低いことが判明した。
【0030】
【表2】
【0031】さて、図1に示した配列において、最初に
あるAAGCTTのHindIII部位は遺伝子構築の
便宜上、付加したものである。またN末端近くにユニー
クな制限酵素部位を導入する目的で、認識部位と切断部
位とが離れているFokIを図2のように導入して切り
離すようにした。
【0032】FokIは認識部位の9塩基/13塩基(
上側鎖/下側鎖)3’側を切断するので、認識部位を図
2のようにアミノ酸配列の5’に隣接して置くことによ
り血清アルブミン遺伝子のN末端近くで切断できるよう
になる。ただしこのためには、遺伝子中のFokI認識
配列を全て除いておく必要がある。
【0033】遺伝子全体の構築に用いる制限酵素はHi
ndIII,KpnI,SalI,PstI,XbaI
,SphI,BamHIとした。これらの酵素での切断
点地図を図3に示した。
【0034】DNAの化学合成 設計したDNA配列(図1)を図4のようにフラグメン
トに分割し、Applied  Biosystems
社のDNA合成機を用いて各々のフラグメントの両鎖を
ホスホアミダイト法(Tetrahedron  Le
tters  22,1859  (1981))によ
りそれぞれ合成した。
【0035】遺伝子の構築 合成したDNAの260nmの吸光度を測定して濃度を
決定した後に、1回の操作で約100ピコモルを用いた
。図3,4に示した制限酵素で8つのブロックにわけ、
各ブロックを構成する各断片の両鎖をアニールし、T4
リガーゼでライゲーションして各ブロックに相当する断
片を生成させ、それらをpUC18もしくはpUC19
にクローン化した。クローン化した各ブロックのDNA
配列をジデオキシ法(Science,214,120
5(1981))によって少なくとも2回にわたって確
認した後、各ブロックの断片を調製した。次に各断片約
1μgとpUC18またはpUC19約1μgを用いて
ライゲーションを行い、ブロック1,2,3とブロック
4,5と、ブロック6,7,8とをそれぞれ連結した中
間的ブロックをpUC18またはpUC19にクローン
化した。最後に3つの中間的ブロック約1μgとpUC
19約1μgを用いてライゲーションを行い、全ブロッ
クを連結した目的の遺伝子を含むプラスミドpHSAを
構築した(図3)。
【0036】
【実施例2】 [全合成ヒト血清アルブミン遺伝子の大腸菌での発現]
前出の方法と合成機を用いて図5に示すような合成DN
Aを作成した。なお、同図中、SDはリボソーム結合部
位を表す。次にこの合成DNAと先ほど作成したプラス
ミドpHSA及びプラスミドpT13s(Nco)(J
.Biochem.,104,30(1988))とか
ら図6に示すように発現プラスミドpSDHSA4を作
成した。なお、プラスミドpT13s(Nco)は、工
業技術院微生物工業研究所に寄託されている保持菌株A
J12447(FERM  P−10757)から調製
した。
【0037】この発現プラスミドpSDHSA4の調製
の詳細は以下の通りである。即ち、pHSAをFokI
とBamHIで切断し、最も大きな断片(合成ヒト血清
アルブミン遺伝子の大部分を含む約1.8kb断片)を
調製する。一方、pT13s(Nco)をClaIとB
amHIで切断し、大きい方の断片(trpプロモータ
ー、ターミネーター、アンピシリン耐性遺伝子を含む約
2.6kb断片)を調製する。この両者と図5に示した
合成DNAとをT4リガーゼでライゲーションしてpS
DHSA4を構築した。
【0038】このようにして得られたプラスミドpSD
HSA4は、trpプロモーター−オペレーターの制御
下、Met残基に成熟型HSAが直接連結した蛋白を発
現するように設計されており、転写ターミネーターとし
てtrpAターミネーターを備えている。
【0039】次にこの発現プラスミドpSDHSA4で
通常よく用いられる塩化ルビジウム法を用いて大腸菌H
B101株を形質転換し、形質転換株HB101/pS
DHSA4を得た。この株をグルコース、酵母エキス、
KH2PO4,NH4Cl,MgSO4,CaCl2,
ビタミンB1を含む培地で培養した。培養開始後4時間
でインドールアクリル酸による誘導をかけ、誘導後約1
5時間培養したところ、菌体内に顆粒が生成していた。
【0040】集菌後、20mM  Tris−HCl 
 30mM  NaCl  0.5M  EDTAバッ
フアーに懸濁し、0.25mg/mlリゾチームで0℃
1時間処理後、超音波破砕した。顆粒を低速遠沈後、2
0mM  Tris−HCl  30mMNaCl  
0.5M  EDTAバッフアーにて洗浄、再び遠沈し
、10mM  EDTA溶液に懸濁し、顆粒画分とした
【0041】図7(A)はHB101,HB101/p
SDHSA4の全菌体蛋白及び顆粒画分をSDSポリア
クリルアミド電気泳動した図である。図中の1,2,3
,Mの略号は以下の通りである。
【0042】1.HB101全菌体蛋白2.HB101
/pSDHSAE12全菌体蛋白3.HB101/pS
DHSAE12顆粒画分M.分子量マーカー HB101/pSDHSA4の菌体蛋白には、宿主のH
B101には見られない分子量約67Kのバンドが認め
られ、それは、顆粒画分に回収されている。ヒト血清ア
ルブミンの分子量は約67Kであり、予定された分子量
の蛋白が顆粒として生成していることがわかった。
【0043】図7(A)と同様の電気泳動後(蛋白量は
1/30)、抗HSA抗体でウェスタンブロッテイング
を行なうと図7(B)のようなパターンになり、顆粒状
生成した蛋白は抗ヒト血清アルブミン抗体と反応するこ
とが示された。
【0044】顆粒を6M塩酸グアニジンで可溶化し、ジ
チオスレイトールを加えて(final  0.1M)
100℃2分処理後、逆相HPLCで顆粒蛋白を精製し
た。これをアミノ酸シークエンサーにかけ、N末端付近
のアミノ酸配列を調べたところ、図8のように、調べた
16アミノ酸残基の全てが一致した。なお、同図中、O
bservedは実際に観察された配列を、Predi
ctedは予定した配列をそれぞれ示す。
【0045】以上のことから、大腸菌においてN末端に
Met残基の付加した形でヒト血清アルブミンを顆粒状
に生成することができたことが示唆された。
【0046】形質転換株HB101/pSDHSA4(
AJ12498)は、工業技術院微生物工業研究所に寄
託されている(FERM  P−11208)。
【0047】顆粒を6Mグアニジンで可溶化後、1Mジ
チオスレイトールを1/10量加えて100℃2分で還
元を行い、逆相HPLCによって定量したところ本培養
によるヒト血清アルブミンの生成量は15〜20mg/
L/O.Dであった。特開昭61−275229には、
大腸菌における最高生成量5〜10mg/L/O.Dが
記載されている。本発明による生成量は、この最高生成
量を2倍以上上回るものである。
【0048】
【実施例3】 [ヒト血清アルブミンの枯草菌における分泌生産]本発
明者らは、まず枯草菌のベクターとして多用されるpU
B110(J.Bacteriol.134,318(
1978))と大腸菌のベクターpBR327(Gen
e  9,287(1980))とをEcoRI部位で
連結し、大腸菌と枯草菌の両方で複製可能なシャトルベ
クターpBU4371を構築した。pBU4371は、
大腸菌ではアンピシリン耐性、枯草菌ではカナマイシン
耐性を賦与する(図9)。
【0049】枯草菌のα−アミラーゼ遺伝子amyEの
うち、α−アミラーゼの発現と分泌に必要な部分は、約
0.4kbの領域に存在しており、大腸菌β−lact
amaseを枯草菌で分泌するプラスミドpTUB25
6(Biochem.Biophys.Res.Com
mun.134,624,(1986))では、この領
域が0.4kb  HindIII断片として得られる
【0050】図10は、α−アミラーゼの分泌に必須で
あり分泌時には切り離されるシグナルペプチドの切断点
(Ala33)付近のアミノ酸配列及びDNA配列を示
している。任意のタンパク質の遺伝子を介在配列なしに
シグナルペプチド切断点の直後に連結するためには、切
断点の直前と目的遺伝子のN末端の直後に、アミノ酸配
列を変えることなくユニークな制限酵素部位を配置し、
その間を切断点とN末端を丁度つなげるようなアミノ酸
配列をコードする合成DNAで連結するとよい。切断点
付近のアミノ酸配列から考えられるDNA配列をもとに
可能な制限酵素部位を検索したところ、HapII部位
の直後、Ala30をコードする配列をGCTからGC
Cに置換することによって唯一のNotI部位が導入で
きることが判った。
【0051】そこで、図11のような合成DNAをAp
plied  Biosystems社製のDNA合成
機を用いて作製し、次に図12のようにして汎用分泌ベ
クターpASEClを構築した。pASEClは、これ
をNotIとSmaIで切断し、任意の目的遺伝子の3
’末端を平滑化してN末端付近の適当な制限酵素Eで切
断しておき、両者を5’末端がNotI  cohes
iveで3’末端が制限酵素Eに合うような合成DNA
で連結することによって、amyEのシグナルペプチド
切断点と任意の目的蛋白とが直接連結した遺伝子を構築
することができるようになっている。
【0052】HSA分泌プラスミドの構築まず図13に
示すような2本の合成DNAを作製した。 この2つの合成DNAと実施例1で構築した全合成ヒト
血清アルブミン遺伝子を含むプラスミドpHSA(図3
参照)及びプラスミドpUC19とから、プラスミドp
UC33HSAを構築した(図13)。
【0053】このプラスミドpUC33HSAの構築の
詳細を以下に示す。
【0054】即ち、pHSAをFokIとBamHIで
切断し、最も大きな断片(合成ヒト血清アルブミン遺伝
子の大部分を含む1.8kb断片)を調製する。一方、
pUC19をBamHIとHindIIIで切断してお
く。これらと図13中に示した2本の合成DNAとをT
4リガーゼで連結し、目的のプラスミドpUC33HS
Aを構築した。
【0055】さて次にプラスミドpUC33HSAを制
限酵素BamHIで処理した後にクレノウ処理し、次い
でNotIで処理することによって得られた1.8kb
の断片と、プラスミドpASEClをNotI,Sma
Iで処理して得た7.5kbの断片とをT4リガーゼを
用いて結合させた。このようにして得られたプラスミド
がヒト血清アルブミン分泌プラスミドpAMY33HS
A4である(図14)。
【0056】枯草菌によるヒト血清アルブミンの分泌当
業者ならば容易に入手し得る枯草菌1A510株(J.
Bacteriol.165,934(1983))を
上述のプラスミドpAMY33HSA4でプロトプラス
ト法により形質転換し、形質転換株1A510/pAM
Y33HSA4を得た。
【0057】このようにして得た形質転換株1A510
/pAMY33HSA4とコントロールとしてプラスミ
ドpBU4371を有する形質転換株1A510/pB
U4371との両方をトリプトン、酵母エキス、NaC
l、カゼインを含む培地で37℃で振盪培養した。14
,16,18時間で培養液をサンプリングし、培養上清
を1μlずつ1回及び5回ナイロンメンブランにスポッ
トして抗ヒト血清アルブミン抗体を用いてドットイムノ
ブロッテイングを行なったところ、図15に示すように
、ヒト血清アルブミンが培地に分泌生成していたことが
確認された。なお、同図中においてStandards
は、SIGMAのEssentialgloblin 
 free  HUMAN  Albuminを用いた
。Brothの位置には、培地をスポットした。図中の
1,2,4,5の位置には1A510/pAMY33H
SA4を、3,6の位置には1A510/pBU437
1をそれぞれスポットした。
【0058】形質転換株1A510/pAMY33HS
A4(AJ12493)と1A510/pBU4371
(AJ12492)は、工業技術院微生物工業研究所に
寄託されている。その寄託番号は、1A510/pAM
Y33HSA4がFERMP−11207で、1A51
0/pBU4371がFERM  P−11206であ
る。
【0059】
【実施例4】 [全合成ヒト血清アルブミン遺伝子の構築]遺伝子の設
計 実施例1と同様の順番に条件を考慮しながら遺伝子の設
計を行った。ヒト血清アルブミンのアミノ酸配列は複数
の文献によって開示されているが、それらは互いに少し
ずつの相違がある(FEBS  LETTERS  5
8,134,(1975)、Nucleic  Aci
ds  Research  9,6103,(198
1)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA
,79,71,(1982)、J.Biol.Chem
.261,6747,(1986))。
【0060】本発明者らは、一般にDNAの配列を求め
る方がアミノ酸の配列を求めるよりも信頼性が高いと考
えられること、mRNAから逆転写によって作成される
cDNAでは、逆転写の際に塩基の間違いが生じ易いこ
と、報告された年次が新しいことの3つの理由により、
ヒト染色体上のアルブミン遺伝子のDNA塩基配列とア
ミノ酸配列を決定した文献に報告されているアミノ酸配
列が最も信頼性が高いと判断し、J.Biol.Che
m.261,6747,(1986)に報告されたアミ
ノ酸配列を採用した。
【0061】コンピュータを用いてアミノ酸配列から取
り得る制限酵素部位を検索し、それをもとにして大腸菌
で汎用されているコドンを選びながら制限酵素部位の取
捨選択を行い、DNA配列の最初の候補を作成した。
【0062】その候補配列をコンピュータの高次構造検
索プログラムに入力し、著しい二次構造を検索し、取り
除いた。最終的に決定した遺伝子の塩基配列を図16に
示した。
【0063】この設計した遺伝子でのコドンの使用割合
を以下に示した。
【0064】
【表3】
【0065】下線を施した部分は、大腸菌で大量に発現
するとされている遺伝子に広く用いられているコドン(
メジャーコドン)と、一種類しかない、メチオニン、ト
リプトファン、それにコドンユーセージに片寄りが見ら
れないシステインのコードである(参考文献:細胞工学
,2,1541(1983))。上記のようにほとんど
メジャーコドンを用いて遺伝子を設計することができた
。アミノ酸配列のもとにした文献のヒト血清アルブミン
をコードするエクソン部分のDNA配列について同じこ
とを行なうと以下のようになり、大腸菌におけるメジャ
ーコドンの使用頻度はむしろ低いことが判明した。
【0066】
【表4】
【0067】さて、図16に示した配列において、最初
にあるAAGCTTのHindIII部位は遺伝子構築
の便宜上、付加したものである。またN末端近くにユニ
ークな制限酵素部位を導入する目的で、認識部位と切断
部位とが離れているFokIを図2のように導入して切
り離すようにした。
【0068】FokIは認識部位の9塩基/13塩基(
上側鎖/下側鎖)3’側を切断するので、認識部位を図
2のようにアミノ酸配列の5’に隣接して置くことによ
り血清アルブミン遺伝子のN末端近くで切断できるよう
になる。ただしこのためには、遺伝子中のFokI認識
配列を全て除いておく必要がある。
【0069】遺伝子全体の構築に用いる制限酵素はHi
ndIII,KpnI,SalI,PstI,XbaI
,SphI,BamHIとした。これらの酵素での切断
点地図を図17に示した。
【0070】DNAの化学合成 設計したDNA配列(図16)を図18のようにフラグ
メントに分割し、Applied  Biosyste
ms社のDNA合成機を用いて各々のフラグメントの両
鎖をホスホアミダイト法(Tetrahedron  
Letters  22,1859  (1981))
によりそれぞれ合成した。
【0071】遺伝子の構築 合成したDNAの260nmの吸光度を測定して濃度を
決定した後に、1回の操作で約100ピコモルを用いた
。図17,18に示した制限酵素で8つのブロックにわ
け、各ブロックを構成する各断片の両鎖をアニールし、
T4リガーゼでライゲーションして各ブロックに相当す
る断片を生成させ、それらをpUC18もしくはpUC
19にクローン化した。クローン化した各ブロックのD
NA配列をジデオキシ法(Science,214,1
205(1981))によって少なくとも2回にわたっ
て確認した後、各ブロックの断片を調製した。次に各断
片約1μgとpUC18またはpUC19約1μgを用
いてライゲーションを行い、ブロック1,2,3とブロ
ック4,5と、ブロック6,7,8とをそれぞれ連結し
た中間的ブロックをpUC18またはpUC19にクロ
ーン化した。最後に3つの中間的ブロック約1μgとp
UC19約1μgを用いてライゲーションを行い、全ブ
ロックを連結した目的の遺伝子を含むプラスミドpHS
AE2を構築した(図17)。
【0072】
【実施例5】[全合成ヒト血清アルブミン遺伝子の大腸
菌での発現(1)] 前出の方法と合成機を用いて図5に示すような合成DN
Aを作成した。なお、同図中、SDはリボソーム結合部
位を表す。次にこの合成DNAと先ほど作成したプラス
ミドpHSAE2及びプラスミドpT13s(Nco)
(J.Biochem.,104,30(1988))
とから図19に示すように発現プラスミドpSDHSA
E12作成した。なお、プラスミドpT13s(Nco
)は、工業技術院微生物工業研究所に寄託されている保
持菌株AJ12447(FERMP−10757)から
調製した。
【0073】この発現プラスミドpSDHSAE12の
調製の詳細は以下の通りである。即ち、pHSAE2を
FokIとBamHIで切断し、最も大きな断片(合成
ヒト血清アルブミン遺伝子の大部分を含む約1.8kb
断片)を調製する。一方、pT13s(Nco)をCl
aIとBamHIで切断し、大きい方の断片(trpプ
ロモーター、ターミネーター、アンピシリン耐性遺伝子
を含む約2.6kb断片)を調製する。この両者と図5
に示した合成DNAとをT4リガーゼでライゲーション
してpSDHSAE12を構築した。
【0074】このようにして得られたプラスミドpSD
HSAE12は、trpプロモーター−オペレーターの
制御下、Met残基に成熟型HSAが直接連結した蛋白
を発現するように設計されており、転写ターミネーター
としてtrpAターミネーターを備えている。
【0075】次にこの発現プラスミドpSDHSAE1
2で通常よく用いられる塩化ルビジウム法を用いて大腸
菌HB101株を形質転換し、形質転換株HB101/
pSDHSAE12を得た。この株をグルコース、酵母
エキス、KH2PO4,NH4Cl,MgSO4,Ca
Cl2,ビタミンB1を含む培地で培養した。培養開始
後4時間でインドールアクリル酸による誘導をかけ、誘
導後約15時間培養したところ、菌体内に顆粒が生成し
ていた。
【0076】集菌後、20mM  Tris−HCl 
 30mM  NaCl  0.5M  EDTAバッ
フアーに懸濁し、0.25mg/mlリゾチームで0℃
1時間処理後、超音波破砕した。顆粒を低速遠沈後、2
0mM  Tris−HCl  30mMNaCl  
0.5M  EDTAバッフアーにて洗浄、再び遠沈し
、10mM  EDTA溶液に懸濁し、顆粒画分とした
【0077】図7(A)はHB101,HB101/p
SDHSAE12の全菌体蛋白及び顆粒画分をSDSポ
リアクリルアミド電気泳動した図である。図中の1,2
,3,Mの略号は以下の通りである。
【0078】 1.HB101全菌体蛋白 2.HB101/pSDHSAE12全菌体蛋白3.H
B101/pSDHSAE12顆粒画分M.分子量マー
カー HB101/pSDHSAE12の菌体蛋白には、宿主
のHB101には見られない分子量約67Kのバンドが
認められ、それは、顆粒画分に回収されている。ヒト血
清アルブミンの分子量は約67Kであり、予定された分
子量の蛋白が顆粒として生成していることがわかった。
【0079】図7(A)と同様の電気泳動後(蛋白量は
1/30)、抗HSA抗体でウェスタンブロッテイング
を行なうと図7(B)のようなパターンになり、顆粒状
生成した蛋白は抗ヒト血清アルブミン抗体と反応するこ
とが示された。
【0080】顆粒を6M塩酸グアニジンで可溶化し、ジ
チオスレイトールを加えて(final  0.1M)
100℃2分処理後、逆相HPLCで顆粒蛋白を精製し
た。これをアミノ酸シークエンサーにかけ、N末端付近
のアミノ酸配列を調べたところ、図8のように、調べた
16アミノ酸残基の全てが一致した。なお、同図中、O
bservedは実際に観察された配列を、Predi
ctedは予定した配列をそれぞれ示す。
【0081】以上のことから、大腸菌においてN末端に
Met残基の付加した形でヒト血清アルブミンを顆粒状
に生成することができたことが示唆された。
【0082】形質転換株HB101/pSDHSAE1
2(AJ12576)は、工業技術院微生物工業研究所
に寄託されている(FERM  P−11804)。
【0083】顆粒を6Mグアニジンで可溶化後、1Mジ
チオスレイトールを1/10量加えて100℃2分で還
元を行い、逆相HPLCによって定量したところ本培養
によるヒト血清アルブミンの生成量は15〜20mg/
L/O.Dであった。特開昭61−275229には、
大腸菌における最高生成量5〜10mg/L/O.Dが
記載されている。本発明による生成量は、この最高生成
量を2倍以上上回るものである。
【0084】
【実施例6】 [ヒト血清アルブミンの枯草菌における分泌生産]本発
明者らは、まず枯草菌のベクターとして多用されるpU
B110(J.Bacteriol.134,318(
1978))と大腸菌のベクターpBR327(Gen
e  9,287(1980))とをEcoRI部位で
連結し、大腸菌と枯草菌の両方で複製可能なシャトルベ
クターpBU4371を構築した。pBU4371は、
大腸菌ではアンピシリン耐性、枯草菌ではカナマイシン
耐性を賦与する(図9)。
【0085】枯草菌のα−アミラーゼ遺伝子amyEの
うち、α−アミラーゼの発現と分泌に必要な部分は、約
0.4kbの領域に存在しており、大腸菌β−lact
amaseを枯草菌で分泌するプラスミドpTUB25
6(Biochem.Biophys.Res.Com
mun.134,624,(1986))では、この領
域が0.4kb  HindIII断片として得られる
【0086】図10は、α−アミラーゼの分泌に必須で
あり分泌時には切り離されるシグナルペプチドの切断点
(Ala33)付近のアミノ酸配列及びDNA配列を示
している。任意のタンパク質の遺伝子を介在配列なしに
シグナルペプチド切断点の直後に連結するためには、切
断点の直前と目的遺伝子のN末端の直後に、アミノ酸配
列を変えることなくユニークな制限酵素部位を配置し、
その間を切断点とN末端を丁度つなげるようなアミノ酸
配列をコードする合成DNAで連結するとよい。切断点
付近のアミノ酸配列から考えられるDNA配列をもとに
可能な制限酵素部位を検索したところ、HapII部位
の直後、Ala30をコードする配列をGCTからGC
Cに置換することによって唯一のNotI部位が導入で
きることが判った。
【0087】そこで、図11のような合成DNAをAp
plied  Biosystems社製のDNA合成
機を用いて作製し、次に図12のようにして汎用分泌ベ
クターpASEClを構築した。pASEClは、これ
をNotIとSmaIで切断し、任意の目的遺伝子の3
’末端を平滑化してN末端付近の適当な制限酵素Eで切
断しておき、両者を5’末端がNotI  cohes
iveで3’末端が制限酵素Eに合うような合成DNA
で連結することによって、amyEのシグナルペプチド
切断点と任意の目的蛋白とが直接連結した遺伝子を構築
することができるようになっている。
【0088】HSA分泌プラスミドの構築まず図20に
示すような2本の合成DNAを作製した。 この2つの合成DNAと実施例4で構築した全合成ヒト
血清アルブミン遺伝子を含むプラスミドpHSAE2(
図17参照)及びプラスミドpUC19とから、プラス
ミドpUC33HSAEを構築した(図20)。
【0089】このプラスミドpUC33HSAEの構築
の詳細を以下に示す。
【0090】即ち、pHSAE2をFokIとBamH
Iで切断し、最も大きな断片(合成ヒト血清アルブミン
遺伝子の大部分を含む1.8kb断片)を調製する。一
方、pUC19をBamHIとHindIIIで切断し
ておく。これらと図20中に示した2本の合成DNAと
をT4リガーゼで連結し、目的のプラスミドpUC33
HSAEを構築した。
【0091】さて次にプラスミドpUC33HSAEを
制限酵素BamHIで処理した後にクレノウ処理し、次
いでNotIで処理することによって得られた1.8k
bの断片と、プラスミドpASEClをNotI,Sm
aIで処理して得た7.5kbの断片とをT4リガーゼ
を用いて結合させた。このようにして得られたプラスミ
ドがヒト血清アルブミン分泌プラスミドpAMY33H
SAE2である(図21)。
【0092】枯草菌によるヒト血清アルブミンの分泌当
業者ならば容易に入手し得る枯草菌1A510株(J.
Bacteriol.165,934(1983))を
上述のプラスミドpAMY33HSAE2でプロトプラ
スト法により形質転換し、形質転換株1A510/pA
MY33HSAE2を得た。
【0093】このようにして得た形質転換株1A510
/pAMY33HSAE2とコントロールとしてプラス
ミドpBU4371を有する形質転換株1A510/p
BU4371との両方をトリプトン、酵母エキス、Na
Cl、カゼインを含む培地で37℃で振盪培養した。1
4,16,18時間で培養液をサンプリングし、培養上
清を1μlずつ1回及び5回ナイロンメンブランにスポ
ットして抗ヒト血清アルブミン抗体を用いてドットイム
ノブロッテイングを行なったところ、図15に示すよう
に、ヒト血清アルブミンが培地に分泌生成していたこと
が確認された。なお、同図中においてStandard
sは、SIGMAのEssentialgloblin
  free  HUMAN  Albuminを用い
た。Brothの位置には、培地をスポットした。図中
の1,2,4,5の位置には1A510/pAMY33
HSAE2を、3,6の位置には1A510/pBU4
371をそれぞれスポットした。
【0094】形質転換株1A510/pAMY33HS
AE2(AJ12578)と1A510/pBU437
1(AJ12492)は、工業技術院微生物工業研究所
に寄託されている。その寄託番号は、1A510/pA
MY33HSAE2がFERM  P−11806で、
1A510/pBU4371がFERM  P−112
06である。
【0095】
【実施例7】[全合成ヒト血清アルブミン遺伝子の大腸
菌での発現(2)] 大腸菌でのもう1つの発現プラスミドを図22のように
して構築した。即ち、まず実施例5で構築したプラスミ
ドpSDHASE12のtrpAターミネーターを含む
0.3kb  BamHI−HincII断片をpHS
G299のBamHI−HincIIサイトに連結し、
pKT91を構築する。次にpSDHASE12のtr
pプロモーターを含む80bp  EcoRI−Cla
I断片と、ヒト血清アルブミン遺伝子を含む1.8kb
  ClaI−BamHI断片とをpKT91のEco
RI−BamHIサイトに連結し、目的のプラスミドp
KT91HSAE4を得た。
【0096】次にこの発現プラスミドpKT91HSA
E4で通常よく用いられる塩化ルビジウム法を用いて大
腸菌HB101株を形質転換し、形質転換株HB101
/pKT91HSAE4を得た。この株を実施例5と同
様な培地で培養を行ったところ、やはり菌体内に顆粒が
生成した。
【0097】実施例5と同様に顆粒を調製し、同様にヒ
ト血清アルブミンの定量を行ったところ、生成量は80
〜90mg/L/O.Dであり、実施例5の生成量をさ
らに4倍以上上回るものであった。
【0098】HB101/pKT91HSAE4(AJ
12577)は、工業技術院微生物工業研究所に寄託さ
れている(FERM  P−11805)。
【0099】
【発明の効果】原核生物が好んで用いるコドンを多用す
るようにしてデザインした合成DNAを用いて目的とす
るヒト血清アルブミンを生産させる本発明は、cDNA
を用いてヒト血清アルブミンを微生物に生産させる従来
の方法の不完全さを是正し、より効率的な蛋白質生産を
行う上で極めて重要なものである。
【0100】
【配列表】配列番号:1 配列の長さ:1781 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸  合成DNA 配列の特徴 特徴を表す記号:cleavage−site存在位置
:21..26 特徴を決定した方法:S 配列
【0101】
【0102】
【0103】
【0104】
【0105】配列番号:2 配列の長さ:1781 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸  合成DNA 配列の特徴 特徴を表す記号:cleavage−site存在位置
:21..26 特徴を決定した方法:S 配列
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明者らが設計し、実際に全合成して構築し
た、ヒト血清アルブミンをコードするDNA配列を示す
図である。
【図2】ヒト血清アルブミンのN末端付近に単一の制限
酵素切断部位を導入するために配置したFokI認識部
位と切断部位を示す図である。
【図3】遺伝子中の制限酵素部位の配置を示す図である
。なお、矢印はブロック1からブロック8各々の領域と
、3つの中間的ブロックの領域、及びpHSAが保持す
る領域を示す。
【図4】図4Aはヒト血清アルブミン遺伝子構築のため
、DNA合成機で合成したDNAオリゴマーのブロック
1から3を示す図である。図4Bはヒト血清アルブミン
遺伝子構築のため、DNA合成機で合成したDNAオリ
ゴマーのブロック4,5を示す図である。図4Cはヒト
血清アルブミン遺伝子構築のため、DNA合成機で合成
したDNAオリゴマーのブロック6から8を示す図であ
る。
【図5】構築したヒト血清アルブミンを大腸菌の発現ベ
クターに接続するために作製した合成DNAを示す図で
ある。なお、SDは、リボソーム結合部位を表す。
【図6】構築したヒト血清アルブミンを大腸菌で発現す
るプラスミドpSDHSA4の構築手順を示す図である
。なお、プラスミドpT13S(Nco)は、大腸菌t
rpプロモーターを含む公知のプラスミドである。
【図7】ポリアクリルアミド電気泳動図及びウェスタン
ブロッテイング図である。詳細に述べると(A)はSD
Sポリアクリルアミド電気泳動後、クーマシーブルーで
タンパク質を染色した図である。また(B)は(A)の
1/30量の蛋白を用いて同様の電気泳動後、ゲル内の
蛋白をナイロンメンブランにエレクトロトランスファー
し、抗ヒト血清アルブミン抗体を用いてウェスタンブロ
ッテイングした図である。図中の1,2,3,Mの略号
は以下の通りである。 1.HB101全菌体蛋白 2.HB101/pSDHSAE12全菌体蛋白3.H
B101/pSDHSAE12顆粒画分M.分子量マー
カー
【図8】精製顆粒蛋白のアミノ酸配列を示す図である。 Observedは実際に観察された配列、Predi
ctedは予定した配列を示す。
【図9】シャトルベクターpBU4371の構築を示す
図である。
【図10】α−アミラーゼの分泌に必須であり分泌時に
は切り離される、amyEのシグナルペプチドの切断点
(Ala33)付近のアミノ酸配列及びDNA配列を示
す図である。なお、矢印は、Ala33をコードする配
列をGCTからGCCに置換することによってNotI
部位が生ずること、及びシグナルペプチド切断点を表わ
す。
【図11】分泌ベクター構築のために作製した合成DN
Aを示す図である。
【図12】分泌ベクターpASEClの構築図である。
【図13】pASEClに接続するためのヒト血清アル
ブミン遺伝子の構築図である。
【図14】ヒト血清アルブミンを枯草菌で分泌するため
のプラスミドpAMY33HSA4の構築図である。
【図15】1A510/pAMY33HSA4または1
A510/pAMY33HSAE2及び1A510/p
BU4371の培養14,16,18時間目の培養上清
1μlを1回及び5回ナイロンメンブランにスポットし
、抗ヒト血清アルブミン抗体でブロッテイングした図で
ある。Standardsは、SIGMAのEssen
tial  globlinfree  HUMAN 
 Albuminを用いた。Brothの位置には、培
地をスポットした。図中の1,2,4,5の位置には1
A510/pAMY33HSA4または1A510/p
AMY33HSAE2を、3,6の位置には1A510
/pBU4371をそれぞれスポットした。
【図16】本発明者らが設計し、実際に全合成して構築
した、ヒト血清アルブミンをコードするDNA配列を示
す図である。
【図17】遺伝子中の制限酵素部位の配置を示す図であ
る。なお、矢印はブロック1からブロック8各々の領域
と、3つの中間的ブロックの領域、及びpHSAE2が
保持する領域を示す。
【図18】図18Aはヒト血清アルブミン遺伝子構築の
ため、DNA合成機で合成したDNAオリゴマーのブロ
ック1から3を示す図である。図18Bはヒト血清アル
ブミン遺伝子構築のため、DNA合成機で合成したDN
Aオリゴマーのブロック4,5を示す図である。図18
Cはヒト血清アルブミン遺伝子構築のため、DNA合成
機で合成したDNAオリゴマーのブロック6から8を示
す図である。
【図19】構築したヒト血清アルブミンを大腸菌で発現
するプラスミドpSDHSAE12の構築手順を示す図
である。なお、プラスミドpT13S(Nco)は、大
腸菌trpプロモーターを含む公知のプラスミドである
【図20】pASEClに接続するためのヒト血清アル
ブミン遺伝子の構築図である。
【図21】ヒト血清アルブミンを枯草菌で分泌するため
のプラスミドpAMY33HSAE2の構築図である。
【図22】構築したヒト血清アルブミンを大腸菌で発現
するプラスミドpKT91HSAE4の構築手順を示す
図である。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  大腸菌で多用されるコドンを頻用して
    設計した、ヒト血清アルブミン蛋白をコードする遺伝子
    を含む合成DNA。
  2. 【請求項2】  合成DNAがヒト血清アルブミン蛋白
    のN末端付近をコードする領域に単一の制限酵素切断部
    位を保持することを特徴とする請求項1記載の合成DN
    A。
  3. 【請求項3】  合成DNAが下記に示す制限酵素地図
    を有するものである請求項1記載の合成DNA。
  4. 【請求項4】  合成DNAが配列表の配列番号1で示
    される配列を有するものである請求項1記載の合成DN
    A。
  5. 【請求項5】  合成DNAが配列表の配列番号2で示
    される配列を有するものである請求項1記載の合成DN
    A。
  6. 【請求項6】  請求項1ないし5記載の合成DNAを
    含有するプラスミド。
  7. 【請求項7】  請求項6記載のプラスミドで形質転換
    された微生物。
  8. 【請求項8】  微生物がエシェリシア・コリ(E.c
    oli)、バチルス・サチルス(B.subtilis
    )またはバチルス・ブレビス(B.brevis)であ
    る請求項7記載の微生物。
  9. 【請求項9】  請求項7または8記載の微生物を培地
    中で培養し、その微生物菌体または培地中からヒト血清
    アルブミンを単離することを特徴とするヒト血清アルブ
    ミンの製造法。
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