JPH04132861U - 自動変速機の駐車レンジ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本考案は車両の自動変速機の駐車レンジ装置に
関する。自動変速機の駐車レンジへの変位と共に、これ
に連動して高圧流体回路の制御システムを作動してシリ
ンダ−ピストン型作動器から高圧流体を排出させ、そこ
で該作動器のピストンに加えられているバネの力が該ピ
ストンを介して、変速機出力軸に結合したディスクブレ
ーキに作用し、ブレーキを係止状態にして該出力軸を固
定し、従って車両を駐車ロック状態にする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、自動車のような車両の自動変速機（トランスミッション）に設備し 、その変速機の駐車（パーキング）レンジで車両の駐車固定を行うための駐車レ ンジ装置に関し、特にバスやトラック等のような車両重量の比較的大きい車両に も適用できるように構成した駐車レンジ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

車両が駐車中に不測に動き出すのを防止するため駐車ブレーキ装置（駐車装置 ）を備えていることは周知である。

【０００３】 そのような駐車装置として、いわゆるサイドブレーキがあり、これは通常、車 両の変速機の出力軸端部に結合した駐車ブレーキドラム又はディスクと、これに 着脱自在に摩擦係合できる駐車ブレーキシューとを備え、駐車時にサイドブレー キレバーを操作してシューをドラムに摩擦係合させることにより駐車期間中の車 両の不動を確保する。

【０００４】 上記のようなサイドブレーキの他に、自動変速機が駐車レンジになるとそれに 連動して自動的に車両の駐車状態を固定にする駐車ロック装置があり、サイドブ レーキと併設される。この駐車ロック装置は、一般には、自動変速機の出力軸端 部の近傍に結合した駐車ロック歯車と、これに着脱自在に噛合う駐車ロック爪と を備え、このロック爪は自動変速機の変換（シフト）レバーと連結され、変速レ バーが駐車（パーキング）レンジへ変位（シフト）するとこれに連動して自動的 にロック歯車に噛合って駐車期間中の車両の不動を確保する。

【０００５】 しかし、従来、上記のような駐車ロック装置は、普通、乗用車のような車両重 量の比較的軽い車両にしか適用されていない。それは、トラックあるいはバス等 のような車両重量のより大きい車両の場合、例えば坂道のような場所では、駐車 ロック歯車とロック爪との係合部に大きい荷重が掛かるから、それら歯車や爪及 びこれに付随する諸部品を頑丈な構造、従って一般的に大型のものにしなければ ならない。この結果ロック装置全体が大型になり、ひいては変速機自体の大型化 を招くことになるからである。

【０００６】 又、大重量の車両では駐車ロック歯車とロック爪に掛かる大きな荷重のため、 それらの係合状態を解除する力も大きなものが必要になる。従って変速レバーを 駐車レンジから他のレンジ（前進、後退、ニュートラル）へ変位（シフト）させ るとき、そのレバーに非常に大きい力を加えなければならず操作が大変になる。 以上のような理由から、従来、車両重量の大きい車両では、サイドブレーキの 他に、軽量車両の場合のような駐車ロック装置が併設されることがなかった。

【０００７】 しかし大きい車両重量の車両でも、できればそのような駐車レンジ装置を備え ることが望ましいことはいうまでもない。それは車両の駐車固定の機能を高め、 従ってその商品価値を高めることになる。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】

そこで本考案は、自動車等のような車両の自動変速機の駐車レンジへの変位時 にこれと連動して自動的に駐車固定を行い、そして大重量の車両の場合でも小さ な力でその駐車固定の解除を行うことができ、しかも構造が小型で簡単な駐車レ ンジ装置を提供する。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

そのために本考案の駐車レンジ装置は、車両の自動変速機に取付けたディスク ブレーキと、該変速機の変速レバーの変位の動きに応じて制御できるブレーキ作 動器とを備え、該ブレーキ作動器は、固定のシリンダ、このシリンダ内で摺動で きるピストン、及びこのピストンをブレーキ作動方向へ押圧する圧縮バネにより 構成され、しかして該自動変速機の駐車レンジでは、該シリンダ内の該ピストン に関して該バネ側とは反対側の室内の高圧流体が排出され、従って該バネの押圧 力により該ピストンを介して該ディスクブレーキを係止状態にして該車両の駐車 ロックを保持し、一方、該自動変速機が駐車レンジから他のレンジへ変位すると 、これに連動して該反対側の室内に高圧流体を供給して該ピストンを該バネに抗 して反対方向へ動かし、上記ブレーキを解放状態にして該車両の駐車ロックを解 除するようにしている。

【００１０】

【実施例】

以下、本考案の駐車レンジ装置の実施例を示す添付図面を参照に本考案のより 具体的且つ詳細な説明を続ける。

【００１１】 図面において、１は車両の自動変速機（トランスミッション）、２は変速機１ の出力軸、３は、この出力軸２上に装架される本考案による駐車レンジ装置（後 述するように全体的に符号１０で指示する）を収納するハウジング、４は、通常 ドラム又はディスクブレーキで構成されるサイドブレーキで、ハウジング３の出 力側端部に設けられている。

【００１２】 自動変速機１、出力軸２及びサイドブレーキ４に関しては、当該技術において 周知であるから、それらの詳述は省略する。

【００１３】 図１と図２に示すように、本考案の駐車レンジ装置１０は、自動変速機１の出 力軸２に取付けられる単板又は多板型のディスクブレーキ２０と、このブレーキ を作動するための円周方向等分位置に配した例えば４個の作動器３０（図１及び ２中ではその１個のみ示す）を備える。

【００１４】 ディスクブレーキ２０は当該技術で周知の単板又は多板型ブレーキであり、そ のブレーキディスク２１が出力軸２にスプライン２２等の手段で軸方向に摺動自 在にかつ軸２と一体に回転するよう結合される。ディスク２１はこれの外周部両 面に合計一対の環状の摩擦リング２３を装備する。図１，２中左方の摩擦リング ２３に対応する支承プレート２４がハウジング３に固定され、又同図中右方の摩 擦リング２３に対応する環状の押圧プレート２５が備えられている。押圧プレー ト２５はその外周縁がスプライン２６によって支承ブレート２４に結合されて、 軸方向へ若干距離摺動可能となっている。

【００１５】 ディスクブレーキ２０は、次に詳述するブレーキ作動器３０によりその押圧プ レート２５を図１，２中左方へ押圧して、これによりブレーキディスク２１を支 承プレート２４に対し押圧して係止状態にさせる。こうしてブレーキ２０が係止 状態になると出力軸２は回転不可能のブレーキ状態即ち駐車ロック状態となる。 各ブレーキ作動器３０は、図示のように、円筒形内面を有する一のシリンダ３ １と、これの中に軸方向摺動自在に装架される一のピストン３２とで成るシリン ダ−ピストン型作動器である。

【００１６】 シリンダ３１は、図示の実施例の場合、駐車装置１０のハウジング３と一体に 製作され、その円筒形内面の軸心が、ディスクブレーキ２０のディスク２１の摩 擦リング２３に対応位置するように形成される。いうまでもなく、シリンダ３１ は、これを別個に製作して、後からハウジング３に取付けるようにすることもで きよう。

【００１７】 ピストン３２はディスクブレーキ２０の方へ延出するロッド３３を一体的に有 し、このロッド３３はその先端部に、ブレーキ２０の押圧プレート２５を押圧す るための例えば円形の押圧部材３４（押圧面３５を有する）を取付けられている 。

【００１８】 ３６はシリンダ３１内でピストン３２のロッド３３とは反対側に収納された圧 縮コイルバネで、ピストン３２をブレーキ２０の方へ押圧している。

【００１９】 シリンダ３１のディスクブレーキ２０側部分はピストンロッド３３が貫通する カバー３７により密閉され、ロッド３３の貫通部分はＯリング３８によりシール される。かくして、シリンダ３１内のピストン３２とカバー３７との間に密閉室 ３９が形成される。室３９には、空圧又は油圧のような高圧の流体の送給ダクト （図示せず）が接続されるポート４０を有する。

【００２０】 本考案の駐車レンジ装置１０は、以上記述してきた構成の他に更に、ポート４ ０を通して室３９に高圧流体を送給及び排出するための高圧流体回路とその流体 制御システム（共に図示せず）とを含む。

【００２１】 上記流体制御システムは、車両の自動変速機（トランスミッション）１の変換 （シフト）レバーが駐車レンジの位置へ変位（シフト）すると、これに連動して 自動的に室３９から流体を排出する。又逆に変速レバーが駐車レンジから他のレ ンジ（前進、後退、ニュートラル）へ変位すると、室３９へ流体を供給するよう な機能をもつ。かかる流体制御システムは当業者が容易に想定できるものである から、ここではその詳細な説明は省く。

【００２２】 流体制御システムの上記機能によって、自動変速機１が駐車レンジになると、 各ブレーキ作動器３０において、バネ３６の押圧力によりピストン３２が図１中 左方へ押圧摺動されて摺動し、これによりディスクブレーキ２０が係止状態にさ れ、従って車両の駐車ロックが行なわれる。又逆に駐車レンジから他のレンジへ 変位すると、室３９への高圧流体の供給によりディスクブレーキ２０が解放状態 にされ、従って駐車ロックが解除される。

【００２３】

【考案の効果】

以上の記述から自明なように、本考案の駐車レンジ装置１０は、バネ３６、デ ィスクブレーキ２０及びシリンダ−ピストン型作動器３０といった、工業分野で きわめてありふれた作動手段を利用するものであるため、装置の構成が単純であ り、従ってその製作のためのコストや時間が掛からず、しかも駐車ロックとその 解除の操作を確実に行うことができる。

【００２４】 又、流体圧力による作動又は制御システムは比較的小さな入力で大きな出力を 得るようにすることができるので、駐車ロックの解除を、前記のような従来技術 の駐車ロック装置の場合より小さい力で容易且つ確実に行うことができる。従っ て、本考案の駐車装置１０はトラックやバスのような車両重量の大きい車両にも 適用でき、その車種の商品価値を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】自動変速機に装備される本考案の駐車レンジ装
置の縦断側面図で、上記装置が非作動状態になっている
ところを示す。

【図２】図１と同様な図面であるが、上記装置が作動状
態になっているところを示す。

【符号の説明】

１０ 駐車レンジ装置 ２０ ディスクブレーキ ３０ ブレーキ作動器 ３１ シリンダ ３２ ピストン ３６ バネ

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両の自動変速機に設備し、その変速機
   の駐車レンジで車両の駐車ロックを行うための駐車レン
   ジ装置において、該自動変速機（１）の出力軸（２）と
   ハウジング（３）との間に取付けたディスクブレーキ
   （２０）と、該変速機の変速レバーの変位の動きに応じ
   て制御できるブレーキ作動器（３０）とを備え、該ブレ
   ーキ作動器（３０）は、固定のシリンダ（３１）とこの
   シリンダ内で摺動できるピストン（３２）と及びこのピ
   ストンをブレーキ作動方向へ押圧する圧縮バネ（３６）
   とにより構成され、しかして前記変速レバーが駐車レン
   ジへ変位すると、該シリンダ内の該バネ側とは反対側の
   室の流体が排出されることにより該ピストンが該バネの
   弾発力により押圧移動されて該ディスクブレーキを押圧
   して係止状態にして車両の駐車ロックを保持し、一方、
   前記変速レバーが駐車レンジから他のレンジへ変位する
   と、前記反対側の室内に高圧流体が供給されて、該ピス
   トンが該バネに抗して移動復帰することにより該ディス
   クブレーキを解放状態にして車両の駐車ロックを解除す
   るように構成したことを特徴とする自動変速機の駐車レ
   ンジ装置。
2. 【請求項２】 前記ブレーキ作動器（３０）のシリンダ
   （３１）及びピストン（３２）の機構は、ハウジング
   （３）内の円周等分位置に夫々個別に設けられているこ
   とを特徴とする請求項１記載の装置。