JPH0412446Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 家畜の粗飼料である生草、あるいは牧乾草グラ
スサイレージ、コーンサイレージのような植物体
の螢光Ｘ線分析または赤外線分析等を行うために
は、その一定量を例えば円柱状に押し固めて試料
となし、これにＸ線または赤外線を照射する必要
がある。しかし上記のような粗飼料には数パーセ
ントから10パーセント以上に及ぶ水分が含まれて
いるから、特に螢光Ｘ線分析のように試料室を排
気する必要のある場合は所定の真空度に達するま
でに著しく長時間を要すると共に排気ポンプが水
分で汚染される等の欠点がある。また粗飼料を予
め充分に乾燥して数グラムの試料を成形すると、
表面が容易に破損して凹凸面となり易い。かつこ
の欠点を除くために粗飼料にセルローズ・パウダ
ーのようなバインダーを添加して成形するとそれ
らの混合に長時間を要し、更に小量の粗飼料とセ
ルローズ・パウダー等によつてダブルレヤー・ペ
レツトを作ると、その両者について精密な秤量を
必要とすると共に飼料によつてはセルローズのベ
ース部から試料が容易に離脱する等の欠点があ
る。従つて本考案は極めて小量で含有水分の絶対
量が少ない粗飼料をプラスチツク保持板上に極め
て均一でしかも確実に添着し、かつこれを強固に
押し固めて上述のような欠点を除去することので
きる分析試料の成形装置を提供するものである。

図面は本考案の一実施例で、第１図、第２図、
第３図はそれぞれこの装置を用いて分析試料の成
形を行う各工程における縦断面図、また第４図、
第５図はそれぞれ第１図のＡ−ＡおよびＢ−Ｂ断
面図、第６図は試料保持板の一部を拡大した断面
図である。このように本考案の装置は試料台１
と、抜型２と、試料保持板３と、コイルばね４
と、粗飼料のならし具５と、粗飼料圧縮蓋６と、
抜型固定治具７とからなるもので、つぎに上記各
部の構造を説明する。

試料台１は垂直に配置された円柱体であつてそ
の上端は水平面を形成し、下端には台板８を設け
てある。抜型２は円柱状の試料台１に摺動自在に
嵌合する円筒体であつて、その上端の外側面に環
状の切欠き９を設けてある。試料保持板３は例え
ば厚さ１mm径40mmの合成樹脂円板であつて、第６
図のように一方の面に両面粘着テープ１０を貼着
してある。すなわち使用に際し表面の粘着層保護
紙を取除いて試料台１の上端に載置する。コイル
ばね４は試料台１に嵌合してその台板８と抜型２
の下端との間に張架してある。ならし具５は抜型
２の上端に着脱自在に嵌合する蓋板１１の中心に
ねじ１２を螺合して、下縁が水平な直線状をなし
たならし板１３を上記ねじ１２の下端に垂直に固
着したものである。また粗飼料圧縮蓋６は抜型２
の上端に上記ならし具５と交換して着脱自在に嵌
合するもので、嵌合状態において下面が水平面を
なすように形成されている。更に抜型固定治具７
はほぼ半円筒状をなしたもので、前記コイルばね
４の外側あるいは切欠き９に嵌合するように形成
され、かつばね４より多少大きい高さを有する。

上述の装置を用いて試料を作成する場合はまず
第１図に示したように治具７をコイルばね４の外
側に嵌合して試料台１の台板８と抜型２の下端と
の間に介挿し、抜型２をこの治具上に載架すると
共に試料台１の上端に試料保持板３を載置する。
この状態で所定量、例えば0.5ｇの粗飼料１４を
保持板３の上部へ投入し、抜型２の上端にならし
具５を嵌合してならし板１３の下縁を試料保持板
３に極めて近い位置に配置する。この状態から、
ねじ１２を緩速度で回転してならし板１３を回転
しなら上方へ引き上げることにより粗飼料１４か
ら離隔させる。つぎにならし具５を抜型２から取
除いて、第２図のように圧縮蓋６を抜型２の上端
に嵌合する。この状態で装置を例えば機械プレス
装置上に設定すると共に治具７を取除いて、プレ
ス装置のプランジヤー１５で圧縮蓋６を上方から
例えば15トン程度の力で押圧する。従つてばね４
が図のように圧縮されて抜型２が下降し、試料台
１と蓋６との間の粗飼料１４が強力に圧縮され
て、例えば１〜２mmの厚さの円板状に形成された
試料１６が得らえると共にその試料は粘着テープ
１０によつて保持板３に貼着される。つぎにプラ
ンジヤー１５を引き上げると第３図のようにばね
４の力で抜型２も上方へ押し上げられるが、プラ
ンジヤー１５を更に上方へ引き上げて抜型の切欠
き９に治具７の下縁を嵌合することにより、その
治具を抜型２の上端とプランジヤー１５との間に
介挿する。この状態でプレス装置のプランジヤー
１５を再び下方へ移動させると、ばね４が圧縮さ
れて抜型２が下方へ移動するから試料１６および
保持板３が抜型２の上端から突出する。従つてほ
ぼ半円筒状をなした治具７の開口部から保持板３
に貼着した成形試料１６を該保持板３と共に取り
出して、例えば螢光Ｘ線分析装置に取付けること
により、試料の成分を検出することができる。

以上実施例について説明したように、本考案の
装置はならし具５を用いて、粗飼料の圧縮成形前
にこれを均一にならし、かつ表面を水平に揃える
ことができる。このため粗飼料の所要量を少なく
して成形された試料の厚みを数ミリメートル以下
の極めて薄いものとなし得る。従つて分析に際し
て真空室に入れた場合の水分蒸発量が少なく、迅
速に所望の真空度に到達するから、分析の操作を
能率よく行うことができると共に真空装置の汚損
も防止される。かつ薄い試料が合成樹脂等の保持
板に貼着されているから、これが破損するような
おそれがなく、試料の取扱が容易である。更にほ
ぼ半円筒状をなした治具を抜型の固定と、試料を
取出すための開口部の形成とに共用するから、所
要部品数が少なく、しかも試料の取出し、および
成形前のならし操作を容易に行つて前述のように
小量の粗飼料で薄い試料を成形することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図、第３図は試料を成形するめの
各工程における本考案実施例の縦断面図、第４
図、第５図はそれぞれ第１図のＡ−ＡおよびＢ−
Ｂ断面図、第６図は試料保持板３の一部を拡大し
た断面図である。なお図において１は試料台、２
は抜型、３は試料保持板、４はコイルばね、５は
ならし具、６は粗飼料圧縮蓋、７は抜型固定治
具、である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 垂直に配置される円柱状の試料台と、上記試料
   台に摺動自在に嵌合する円筒状の抜型と、上面に
   粘着層を有し前記試料台上に載置して成形された
   試料の保持基台とする円板状の試料保持板と、前
   記試料台の下部に嵌合して抜型を上方へ押圧する
   コイルばねと、前記抜型の上端に着脱自在に嵌合
   する蓋板の中心にねじを螺合しかつ下縁が水平な
   直線状をなしたならし板を上記ねじの下端に垂直
   に取付けて上記ねじを回転することにより前記試
   料保持板上に挿入した粗飼料を均一にならすため
   のならし具と、前記抜型の上端に着脱自在に嵌合
   して前記試料台との間の粗飼料を円板状に圧縮成
   形する粗飼料圧縮蓋と、前記試料ならし具の操作
   に際しては前記抜型の下部に配置して該抜型を固
   定しまた成形された試料の取出しに際しては該抜
   型の上部に配置して試料取出口を形成するための
   ほぼ半円筒状をなした抜型固定治具とよりなる粗
   飼料分析試料成形装置。