JPH04118686U - 光軸調整機能付きレーザレーダ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 〔目的〕レーザビームを放射するレーザ発光素子と標的
からの反射光を受ける受光素子と、これら各素子の前方
に配置される収束レンズとを備えるレーザレーダにおい
て、簡易・安価な光軸の角度の調整を実現する。 〔構成〕レーザ発光素子（１）と受光素子（２）の対を
固定しておき、それぞれの前方に配置される送光レンズ
（１０）又は受光レンズ（２０）を、ビームの放射方向
又は反射光の入射方向（Ｚ軸方向）とほぼ直交する
（Ｘ，Ｙ）平面内の２軸方向に微動可能とすることによ
り光軸の角度の調整を行う。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、車載の近距離用レーダなどとして利用される光軸調整機能付きレー ザレーダに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

車載の近距離用レーダや船舶の接岸速度計としてレーザレーダが開発中である 。このレーザレーダでは、鋭いパルス状のレーザビームが半導体レーザから放射 され、標的からの反射光のビームがＡＰＤなどの受光素子に受光され、レーザビ ームの放射からその反射波が受光されるまでの所要時間に基き標的までの距離が 算定される。

【０００３】 送光系では、半導体レーザから放射されるレーザビームの拡がり角が３０^o 程 度もの大きな値となるため、その前方に送光レンズを配置することによりビーム の拡がり角を数^o 程度に抑えている。また、受光系では、放射ビームによる標的 上の照射部分のみを視野に収めることによりその外側部分からの不要な入射光を 遮断して雑音を抑圧するために、受光素子の前方に受光レンズを配置している。 そして、上記送光系と受光系の光軸は、典型的には、数百ｍから数十ｍ程度の検 出可能な最遠点において交叉するように調整される。

【０００４】 従来、上記送光系と受光系の光軸を所定の遠地点で交叉するように調整するに は、発光／受光素子とそれぞれの前方に配置される送光／受光レンズとを一体に 組合せた送光系／受光系の鏡筒全体の光軸を調整しており、厳密な意味ではこの ような光軸調整方法しかない。しかしながら、このような厳密な調整方法では光 学系の機構が複雑・高価になるという問題があるため、本出願人の先願に係わる 実願平２ー１２１３７５号に開示されているように、送光／受光レンズを固定し ておき、発光／受光素子をレンズの光軸に垂直な平面内の２軸方向に微動させる という便宜的な光軸調整方法が開示されている。この光軸調整方法では素子の微 動に伴って素子とレンズとの距離が変化するため光学的な厳密さは欠くが、調整 機構の簡略化に伴う低コスト化の効果は究めて大きい。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

上記従来のレーザレーダにおける光軸調整方法では、固定されている送光レン ズや受光レンズに対して発光素子や受光素子を微動可能とするために、発光素子 や受光素子を含む可動構造の電気／光変換回路と、その周辺の固定構造の電気回 路とを別々のプリント配線板上に分離して形成することが必要になり、部品点数 と製造・調整工数とが増加しコスト低減の効果が必ずしも十分とは言えない。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案の光軸調整機能付きレーザレーダは、固定されたレーザ発光素子及び受 光素子の対と、上記レーザ発光素子又は受光素子の前方においてレーザビームの 放射方向又はその反射光の入射方向とほぼ直交する平面内の２軸方向に微動可能 に配置される送光レンズ又は受光レンズとを備えることにより、受光素子や発光 素子をその周辺の電気回路と共に単一のプリント配線板上に形成することを可能 とし、部品点数と製造・調整工数の低減に伴う低コスト化を実現するように構成 されている。

【０００７】

【実施例】

図１は本考案の一実施例のレーザレーダの構成を概略的に示す斜視図である。 プリント配線板Ｐの表面である（Ｘ，Ｙ）平面上に所定の間隔でレーザ発光素子 １と受光素子２の対が固定されている。レーザ発光素子１と受光素子２の前方に は、それぞれ送光レンズ１０と受光レンズ２０が配置される。送光レンズ１０は 、その中心をレーザ発光素子１の発光面の中心を通る法線、すなわちこの発光面 から放射されるレーザビームの中心の近傍に位置させながらＸ軸方向とＹ軸方向 に微動可能な状態で（Ｘ，Ｙ）面に平行な面内に配置される。受光レンズ２０は 、その中心を受光素子２の受光面の中心を通る法線上に位置させながら固定状態 で（Ｘ，Ｙ）平面に平行な面内に配置される。

【０００８】 レーザ発光素子１の発光面の中心に立てた法線と送光レンズ１０の中心とのず れが小さな範囲では、発光面の中心と送光レンズ１０の中心を通る直線が送光系 の見かけ上の光軸となり、この光軸の角度は送光レンズ１０をＸ，Ｙ各軸方向に 微動させることによって、図１に実線と点線で例示するように微調できる。一方 、受光系の光軸は受光レンズ２０の中心と受光素子２の受光面の中心を通る直線 であり、固定されている。従って、送光系の送光レンズ１０の位置をＸ，Ｙ各軸 方向に微調することによって送光系と受光系の光軸の相対角度を変化させ、両者 を交叉させる遠地点を容易に調整できる。

【０００９】 図２は、図１の構成を具体的に示す斜視図である。送光レンズ１０はプラスチ ックを素材としており、中心部分に形成された非球面レンズ部１１と、この非球 面レンズ部を囲むように形成された保護リング１２と、これらの周辺部分に形成 された矩形上のレンズホルダー１３とから構成されている。受光レンズ２０も同 様である。プリント配線板３を保持しながら延在される複数本の支柱３２，３３ ・・・の先端部分に、フレーム３１がプリント配線板３と平行になるように固定 されている。このフレーム３１には、レーザビームを通すための開口３４と、タ ッピングビス３９，４０を通過させるための開口３５，３６が形成されている。 送光レンズ１０が、板バネ３７と３８を介在させつつフレーム３１内に収容され たのち、開口３５と板バネ３７の中央部に形成された開口を通してタッピングビ ス３９が挿入されると共に、開口３６と板バネ３８の中央部に形成された開口を 通してタッピングビス４０が挿入される。これに伴い、レンズホルダー１３の上 側面と右側面の中心部分に上記各タッピングビスと螺合するネジ溝が形成されな がら送光レンズ１０がフレーム３１内に固定される。これらのタッピングビス３ ９と４０の挿入深さを調整することにより、板バネ３７，３８の押圧力に従いあ るいは逆って送光レンズ１０がＸ，Ｙ各軸方向に微動し、光軸の角度の微調が行 われる。

【００１０】 上記光軸の微調は、典型的には、所定の最遠点に設置した標的にレーザビーム を照射し、標的から反射光の受光レベルが最大になるようにタッピングビスの挿 入深さを調整することなどによって行われる。

【００１１】 以上、受光系の光軸を固定しておき送光系の光軸を調整する構成を例示した。 しかしながら、逆に送光系の光軸を固定しておき受光系の光軸を調整するように 構成することもできる。あるいはまた、送光系、受光系双方の光軸を調整するよ うに構成することもできる。

【００１２】

【考案の効果】

以上詳細に説明したように、本考案の光軸調整機能付きレーザレーダは、発光 素子や受光素子を固定し、前方の送光レンズや受光レンズを光軸に垂直な面内で 微動させることによって光軸を調整する構成であるから、受光素子や発光素子を その周辺の電気回路と共に単一のプリント配線板上に形成することが可能になり 、部品点数と製造・調整工数が低減し、低コスト化が実現される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の光軸調整機能付きレーザレ
ーダの構成の概略を示す斜視図である。

【図２】上記実施例の具体的な構成の一例を示す斜視図
である。

【符号の説明】

１ レーザ発光素子 ２ 受光素子 ３ プリント配線板 10 送光系の送光レンズ 11 非球面レンズ部 12 保護リング 13 レンズホルダー 20 受光系の受光レンズ 31 フレーム 32,33 支柱 37,38 板バネ 39,40 タッピングビス

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】固定されたレーザ発光素子及び受光素子の
   対と、前記レーザ発光素子の前方においてレーザビーム
   の放射方向とほぼ直交する平面内の２軸方向に微動可能
   に配置される送光レンズと、前記受光素子の前方に配置
   される受光レンズとを備えたことを特徴とする光軸調整
   機能付きレーザレーダ。
2. 【請求項２】固定されたレーザ発光素子及び受光素子の
   対と、前記レーザ発光素子の前方に配置される送光レン
   ズと、前記受光素子の前方においてレーザビームの反射
   光の入射方向とほぼ直交する平面内の２軸方向に微動可
   能に配置される受光レンズとを備えたことを特徴とする
   光軸調整機能付きレーザレーダ。