JPH041125B2

JPH041125B2 -

Info

Publication number: JPH041125B2
Application number: JP8457887A
Authority: JP
Inventors: Hiroshi Inagaki
Original assignee: Individual
Current assignee: Individual
Priority date: 1987-04-08
Filing date: 1987-04-08
Publication date: 1992-01-10
Also published as: JPS63251504A

Description

【発明の詳細な説明】（産業上の利用分野）本発明は水面上に浮かべて浮棧橋や浮防波堤等
として使用する多角形浮遊構造物に関するもので
ある。

（従来の技術）従来の浮棧橋や浮防波堤は、工場やドツク等に
おいて四角箱状に一体形成された中空状の鉄筋コ
ンクリート製の浮体を海や湖等の現場へ運搬し、
アンカーと連結した係留チエンの一端が四隅に固
着して係留されている。

（発明が解決しようとする問題点）以上のような浮棧橋や浮防波堤を構成する従来
の浮体は、単なる鉄筋コンクリート製の浮体で形
成されているため波による衝撃又は揺動によりひ
び割れがおき易く、耐久性が劣るという問題があ
つた。

そのため、該浮体内にPC（プレストレストコン
クリート以下同じ）鋼線を内蔵してプレストレス
トコククリート構造にすることが考えられるが、
その製造には手間がかかり、かつ経済的にも高価
な材料を多く要し、全体としてコスト高となる問
題があり、また工場やドツク等で一体構造物とし
て製造された場合は運搬上の制限もあつた。

さらに、浮体の係留がその外周部分でなされる
ため波による揺動時に係留箇所に局部的な大荷重
がかかり係留が困難であるという問題があつた。

本発明はこのような従来の問題にかんがみ、ひ
び割れが防止できかつ耐久性に富み、しかも高い
防波効果が得られ、大型の場合にも製造及び係留
が容易な多角形浮遊構造物の提供を目的としたも
のである。

（問題点を解決するための手段）上述の如き問題点を解決するための本発明の要
旨とする構成は中空状のコンクリートユニツトを
連結して中心を通る対角線を有する正多角形のリ
ング状をした浮体本体を形成し、該浮体本体の各
対角をPC鋼材で夫々連結するとともに、該PC鋼
材を緊張して該浮体本体に各対角が相互に近ずく
方向の緊張力を付与したことを特徴としたことで
ある。

（作用）而して上記構成によれば、各対角に夫々連結さ
れたPC鋼材を緊張させて該浮体本体に各対角が
相互に近ずく方向の緊張力を付与したことにより
洋上接合を可能とし、該PC鋼材に沿つて働く中
心方向の引張力の分力が正多角状のリング状に連
結されたコンクリートユニツトの長さ方向に夫々
働き、該各コンクリートユニツトに夫々プレスト
レスが付与される。

また各PC鋼材は、リング状の浮体本体の中央
にて交差するため、その交差部分にて係留させる
ことができることとなる。

（実施例）以下本発明の一実施例を図面に基づいて説明す
る。

図中Ａは本発明にかかる多角形浮遊構造物であ
り、Ａは中空状のコンクリートユニツト２を連結
して正六角形状に形成された浮体本体１と、該浮
体本体１の各対角θ，θ₁，θ₂，θ₂およびθ₃，θ₃間
を夫々連結かつ緊張したPC鋼材３とからなり、
これを適宜数連結して海上及び湖上において浮棧
橋又は浮防波堤等の浮上構造物として使用するも
のである。

浮体本体１はコンクリートユニツト２の短辺側
の両側面が相互に連結されて、中心を通る対角線
を有する正六角形のリング状に形成されている。

そして、該浮体本体１の各対角θ₁，θ₁，θ₂，θ₂
およびθ₃，θ₃をPC鋼材３で夫々連結するととも
に、該PC鋼材３を緊張させて各対角間が相互に
近ずく方向の緊張力が付与されている。

該PC鋼材３が緊張されることによつて各対角
間に互いに引き合う向きの力Ｐが作用するととも
に各コンクリートユニツト２に夫々分力P₁，P₂
が作用し、これら各コンクリートユニツト２に
夫々プレストレスが付与されるものである。

コンクリートユニツト２は縦筋４ａ及び横筋４
ｂが夫々適宜間隔をも配筋された内部に空間部ｍ
を有する長尺状でかつ断面正方形の中空体であ
り、それ自体が水平上に浮上するだけの浮力を有
している。

また、該コンクリートユニツト２は平面台形状
に形成されるとともに短辺側の両側面２ａ，２ａ
にはテーパー状の接合面５が形成されている。

該接合面５は他のコンクリートユニツト２を連
結するためのものであり、その上下部の両側に連
結ボルト６ａを取り付ける取付孔６が穿設される
と共に、その周縁には接合枠７が起立形成されて
いる。

また、該接合面５は形成される正多角形の角数
に応じてその傾斜角度が決定され、例えばそれが
多数角になるにしたがつて鈍角になり、少数角に
なるにしたがつて鋭角となる。

前記接合枠７の両側枠７ａ中央部にはPC鋼材
３が挿入される半円形の挿入孔８′が形成され、
該コンクリートユニツト２の接合面５同士を合せ
た状態で円形の挿入孔８が形成されるものであ
る。

該挿入孔８はPC鋼材３を挿入した場合、該PC
鋼材３が多角形の中心で交差するため、該PC鋼
材３の直径分だけ上下のいずれかのずらせた位置
に形成されている。

PC鋼材３は六角形状に形成された浮体本体１
の各対角に定着具９を介して連結されるものであ
り、適宜ジヤツキを使用して各PC鋼材３を引張
し、両端部に螺合されたナツト３ａを締結するこ
とにより緊張されて各対角θ₁，θ₁，θ₂，θ₂、およ
びθ₃，θ₃に中心方向に近ずく緊張力が付与された
状態が維持される。

前記定着具９はPC鋼材３の両端部に取り付け
られてその対角θへの連結及び締結を安定させる
ものであり、その内側に浮体本体１の外側の角部
と対応する当接部９ａが形成されている。

また、該PC鋼材３は夫々多角形の中心で交差
され、本実施例の場合は三本が夫々上下に重ね合
わされた状態で連結されている。

これは角数が増減することによりPC鋼材３が
増減した場合も同様である。

次に該多角形浮遊構造物Ａの組立形成について
説明する。

多角形浮遊構造物Ａは工場等で製造された各コ
ンクリートユニツト２を洋上に浮べ、そこでそれ
らを組み合わせて任意の正多角形状のものを形成
する。

従つて従来の一体形成の浮体と比べ、製造及び
運搬が容易に行えるので、どの様な場所にも簡単
に運搬し組立形成ができる。

而して、まず六体のコンクリートユニツト２の
接合面５同士を夫々合致させると共に、これらを
両接合面５の一方における各取付孔６に取り付け
られた連結ボルト６ａで連結して対角線が中心を
通る正六角形のリング状の浮体本体１を組立形成
する。

この場合連結ボルト６ａにおけるボルト頭部６
a₁下側とナツト６a₂下側とには夫々中空部ｍへの
水の流入を防止するためのパツキン１０が設けら
れている。

また、これら連結ボルト６ａの連結は、コンク
リートユニツト２の上壁又は側壁に設けられた作
業孔（図示せず）から中空部ｍへ作業者が入つて
中空部ｍの内側から行うものである。

次に六角形のリング状に形成された浮体本体１
の各対角に夫々PC鋼材３を連結すると共に、両
端部のナツト３ａを締結して該PC鋼材３を緊張
させることにより各コンクリートユニツト２にプ
レストレスを付与する。

そして、このように六角形のリング状に形成さ
れた多角形浮遊構造物Ａを多数海上及び湖上に浮
べて、それらを第４図に示すように連結具ｎ等で
連結して任意の形状又は大きさの浮棧橋Ｂ又は浮
防波堤ｂを形成する。

よつて例えば該リング状の浮体Ａを連結してさ
らに大きなリング状の浮防波堤を形成することに
より消波効果を高めることができる。

この場合アンカー１１に連結された係留チエン
１２の一端は夫々多角形浮遊構造物Ａの中心で交
差するPC鋼材３の交差部０に連結することがで
きる。

したがつて、該係留チエン１２は多角形浮遊構
造物Ａの揺動の中心部すなわち一番揺動の少いと
ころに接続されるため、過大の力がかかわらずに
切断される危険を防止することができる。

尚、本発明の実施例における多角形浮遊構造物
Ａは六角形であるが、四角形、八角形、十角形等
の正多角形に形成することも任意であり、かつ浮
体本体の任意の側面で連結して任意の形態の浮棧
橋及び浮防波堤を形成することも可能である。

（発明の効果）本発明は以上のような構成にしたことにより下
記効果を有する。

中空状のコンクリートユニツトを連結して中
心を通る対角線を有する正多角形の多角形浮遊
構造物を形成するとともに、該多角形浮遊構造
物の対角にPC鋼材を連結し、これを緊張して、
各コンクリートユニツトにプレストレスを付与
したので、多角形浮遊構造物を構造するコンク
リートユニツトのひび割れを防止し、該多角形
浮遊構造物の耐久性を高めることができる。

中空状のコンクリートユニツトを連結して多
角形浮遊構造物を形成したことにより海上や湖
上にて、任意の角数及び大きさの正多角形の多
角形浮遊構造物を形成することができるととも
に、これらを連結して任意の形状、大きさ及び
長さ、例えば弯曲及びＵ字状等の浮棧橋又は浮
防波堤を容易に形成でき、かつその防波効果も
高めることができる。

PC鋼材が正多角形の中心で交差して連結さ
れることにより、係留チエンを動揺の一番小さ
なその交差部にて係留することができるので係
留箇所に局部的な大荷重がかかるのを防止する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の多角形浮遊構造物の平面図、
第２図は同正面図、第３図は要部の拡大断面図、
第４図は多角形浮遊構造物を連結して浮防波堤を
形成した状態の斜視図、第５図はコンクリートユ
ニツトの横断面図、第６図は第５図の−線拡
大断面図、第７図はコンクリートユニツトの斜視
図である。Ａ：多角形浮遊構造物、１：浮体本体、２：コ
ンクリートユニツト、３：PC鋼材。

Claims

【特許請求の範囲】

１中空状のコンクリートユニツトを連結して中
心を通る対角線を有する正多角形のリング状をし
た浮体本体を形成し、該浮体本体の各対角をPC
鋼材で夫々連結するとともに、該PC鋼材を緊張
して該浮体本体に各対角が相互に近ずく方向の緊
張力を付与したことを特徴としてなる多角形浮遊
構造物。