JPH04101315U - 高周波変圧器巻線用多層絶縁電線 - Google Patents
高周波変圧器巻線用多層絶縁電線Info
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Landscapes
- Coils Of Transformers For General Uses (AREA)
- Insulated Conductors (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 高周波変圧器等に好適な巻線用多層絶縁電線
を提供する。 【構成】 複数本の細径導体1を略平行にかつ断面円形
状に集束した集束導体、または該集束導体外径の20倍
以上の極めて粗い撚りピッチを付与した集束導体2を形
成する。次にこの外周上に耐熱性樹脂の押出層3a,3
b及び3cからなる絶縁層3を設ける。前記3層のうち
の何れか2層の絶縁層で規定の耐電圧特性を保持せしめ
るべく形成すると共に、前記3層の絶縁層の各層はそれ
ぞれ独立していて分離可能とする。 【効果】 IEC,UL等の各種安全規格に適合する変
圧器巻線用絶縁電線として、スイッチング周波数を高周
波化したときにもスイッチング変圧器の発熱を押さえる
ことが可能となる。
を提供する。 【構成】 複数本の細径導体1を略平行にかつ断面円形
状に集束した集束導体、または該集束導体外径の20倍
以上の極めて粗い撚りピッチを付与した集束導体2を形
成する。次にこの外周上に耐熱性樹脂の押出層3a,3
b及び3cからなる絶縁層3を設ける。前記3層のうち
の何れか2層の絶縁層で規定の耐電圧特性を保持せしめ
るべく形成すると共に、前記3層の絶縁層の各層はそれ
ぞれ独立していて分離可能とする。 【効果】 IEC,UL等の各種安全規格に適合する変
圧器巻線用絶縁電線として、スイッチング周波数を高周
波化したときにもスイッチング変圧器の発熱を押さえる
ことが可能となる。
Description
【0001】
本考案は電子機器のスイッチング電源等に用いられる高周波変圧器、高周波リ
アクター或は高周波コイルに好適な巻線用絶縁電線に関するものである。
【0002】
一般にスイッチング電源の巻線用絶縁電線としては、単線導体上にポリウレタ
ン樹脂,ポリエステル樹脂等の絶縁層を施したマグネットワイヤが主として用い
られている。
スイッチング電源等の安全変圧器については、IEC (International Elect
rotechnical Commission) 或はUL (Standards of Underwriter's Laboratorie
s, Inc.,) 等の各種安全規格に基づき次の如き制約を受ける。
(1)電線の層間や一次,二次巻線間に所定の絶縁フィルムを介して絶縁耐圧を
保証する。
(2)巻線,コア間の沿面距離を確保するため、巻線,コア間を絶縁物でスペー
ス絶縁を行なう。このために巻線スペースの制約を受ける。
(3)ピン端子へリード線を引き出す際、絶縁チューブ等を用いて絶縁処理を施
す必要がある。
【0003】
このような安全規格上の制約から、マグネットワイヤを使用する場合は変圧器
の小型化が困難であったり、各種絶縁処理を施すための部品点数と工数が必要と
なりコストアップ要因になり、更に小型で高性能の変圧器を得難い等の問題があ
った。そこで本考案者等は実願平2−49801号に記述するように変圧器の巻
線に三層絶縁電線を用いることを提案しIEC或はUL等の安全規格を満足する
ことが可能となっている。
【0004】
スイッチング電源はスイッチング効率を向上させる目的からスイッチング周波
数に数十KHzから数百KHzの高周波数が適用されるようになってきた。
しかしながら上記のような高周波帯域になると変圧器巻線の導体内の渦電流損
及び表皮効果による損失が顕著になり、変圧器の発熱量の増大を招き、巻線用絶
縁電線はもとより変圧器の特性を劣化させる恐れが生じてきた。
【0005】
本考案は上記問題点を解決するために為されたものであり、上記各種安全規格
を満足し、かつスイッチング周波数が高周波数帯域であっても変圧器の発熱量の
低減を図ることが可能な変圧器巻線用絶縁電線を提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するために本考案は、複数本の細径導体を略平行にかつ断面円
形状に集束した集束導体、または該集束導体外径の20倍以上の極めて粗い撚り
ピッチを付与した集束導体の外周上に、耐熱性樹脂の押出層からなる絶縁層を少
なくとも3層設け、該3層のうちの何れか2層の絶縁層で規定の耐電圧特性を保
持せしめるべく形成すると共に、前記3層の絶縁層の各層はそれぞれ独立してい
て分離可能とした高周波変圧器巻線用多層絶縁電線(以下多層絶縁電線と略記す
る)にある。
【0007】
本考案の素線導体は銅線,銅合金線,或は錫又ははんだめっき銅線等の細径導
体が用いられる。導体径は変圧器の仕様により適宜に選択されるが、集束導体の
高周波特性を考慮して約0.032mm2(AWG32)から0.52mm2(AW
G20)の範囲の導体が用いられる。この細径導体の複数本を略平行に断面円形
状に集束して集束導体とするか又は集束導体外径の20倍以上の極めて粗い撚り
ピッチで構成する理由は、集束導体の隣接する導体素線間の接触を小さくして接
触抵抗を高くすることにより高周波における集束導体内の渦電流損或は表皮効果
による損失を低減することにある。
【0008】
多層絶縁電線の絶縁層としては、耐熱性樹脂,例えば各種ふっ素樹脂あるいは
種々のエンジニアリングプラスチック等を導体上に複数回重層して押出しした押
出層が用いられる。また、必要であれば、各絶縁層を明確に識別するために、各
絶縁層樹脂を異なる色相の樹脂を用いる等の方法によって各層を異なる色相に着
色して用いてもよい。
【0009】
3層の絶縁層の各層が独立していて分離可能であるとの意味は、各絶縁層が個
別に剥離可能であり、かつ独立した1層として存在するものを言う。絶縁層の剥
離手段としては、剥離器(ストリッパー)を用いる方法,絶縁層にスリット傷を
入れて除去する方法,或は絶縁層を熱刃で焼き切り除去する方法等がある。これ
に対し、マグネットワイヤの皮膜は導体の外周に絶縁塗料を複数回塗布,焼付け
して形成されるが、全塗膜により単一層の絶縁層が形成され、層毎に分離するこ
とが不可能であるため多層絶縁電線とは認められないものである。
【0010】
本考案の集束導体は、複数本の細径導体を略平行にかつ断面円形状に集束する
か、または該集束導体外径の20倍以上の極めて粗い撚りピッチを付与したもの
であるので、該集束導体内で隣接する各導体素線相互は横断面において点接触導
通を形成している。このため、集束導体内での渦電流経路の電気抵抗が高く、渦
電流の発生は低く押さえられるので、渦電流損に伴う高周波抵抗の増加を押さえ
ることが出来る。また集束導体は、単線の導体と比較すると導体表面積が大幅に
増大するため、表皮効果による損失の増大を著しく改善することが可能となる。
更に、集束導体の撚りピッチを集束導体外径の20倍以上とすることにより、通
常の撚り線と比較して撚り込み長さの差だけ使用導体長を短くすることができる
ので、その分コイルの直流抵抗を減ずることが可能となる。
【0011】
また、本考案の多層絶縁電線は、少なくとも3層の独立した耐熱性樹脂の押出
層からなる絶縁層を設け、そのうちの何れか2層で安全規格で規定する絶縁耐力
(IEC 950の場合3.75KV)を保持するよう形成されているので、安全
規格上十分な絶縁特性を有する巻線用絶縁電線として認められ、前述の変圧器に
課せられている多くの制約から解放される。
【0012】
本考案の実施例につき図を用いて説明する。なお、本考案は実施例に限定され
るものではない。
実施例1
図1は本考案の多層絶縁電線の実施例を示す断面図である。素線導体1として
導体径0.12mmφの銅線を用い、この銅線19本を略平行に断面円形状に集束
し、集束外径0.60mmの集束導体2を形成した。次に、この集束導体2の外周
に一次絶縁層3aとして赤色に着色したフッ化エチレンプロピレン樹脂(FEP
)(テフロン100J,三井・デュポン・フロロケミカル社商品名)を厚さ約0
.06mmで押出した押出層を設け、次にこの外周に二次絶縁層3bとして自然色
のFEPを厚さ約0.06mmで押出した押出層を設け、更にこの外周に三次絶縁
層として青色に着色したFEPを厚さ約0.06mmで押出した押出層を設けて多
層絶縁電線4を製造した。この多層絶縁電線4の絶縁層3の各層は被覆表面にス
リット傷を入れる方法或はストリッパーを用いる方法の何れによっても分離が可
能であった。
【0013】
実施例2
素線導体1として導体径0.12mmφの錫めっき銅線を用い、この錫めっき銅
線19本を断面円形状に24mmの撚りピッチで集束し外径0.60mmの集束導体
2を形成した。次に、この集束導体2の外周に実施例1と同様にして3層のFE
Pの押出層3a,3b及び3cからなる絶縁層3を設けて多層絶縁電線4を製造
した。
【0014】
耐電圧特性
実施例1及び実施例2の多層絶縁電線について、各絶縁層を設けた試料を採取
し外径及び耐電圧特性を試験した結果は表1の通りで、実施例1及び実施例2と
の間には差違は認められなかった。
【0015】
【表1】
【0016】
上記の表において注(1) は10mmφマンドレル巻付破壊電圧(15ターン巻付) で
ある。
【0017】
表1から明らかなように上記構造の絶縁電線はIEC950規格の耐電圧特性
すなわち3.75KV・1分に耐えるものであった。
【0018】
変圧器昇温試験
本考案実施例1の3層絶縁電線を2次巻線として用いたスイッチング変圧器と
0種ポリウレタン銅線0.60mmを2次巻線として用いたスイッチング変圧器と
をその他を全く同一にして製造した。出力136Wのスイッチング電源に用いら
れる発振周波数50KHzのスイッチング変圧器について、これらのスイッチング
変圧器を出力電圧161V,0.5Aで作動させ、そのときのスイッチング変圧
器の巻線の表面温度をサーミスタ温度計を用い測定した。その結果を表2に示す
。
【0019】
【表2】
【0020】
表2から明らかなように本考案の多層絶縁電線を用いたスイッチング変圧器は
従来の単銅線を用いた変圧器に比較して6.5℃温度が低減されていることがわ
かる。
【0021】
本考案の多層絶縁電線は複数本の細径導体を略平行にかつ断面円形状に集束し
た集束導体、または該集束導体外径の20倍以上の極めて粗い撚りピッチを付与
した集束導体を用いることにより、導体に発生する渦電流損及び表皮効果損によ
る発熱が大幅に低減され、スイッチング周波数を高周波化したときにもスイッチ
ング変圧器の発熱を押さえる事が可能となり、この結果スイッチング電源の効率
を向上する事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の高周波変圧器巻線用多層絶縁電線の実
施例を示す断面図である。
施例を示す断面図である。
1 細径導体
2 集束導体
3 絶縁層
3a 一次絶縁層
3b 二次絶縁層
3c 三次絶縁層
4 高周波変圧器巻線用多層絶縁電線
Claims (1)
- 【請求項1】 複数本の細径導体を略平行にかつ断面円
形状に集束した集束導体、または該集束導体外径の20
倍以上の極めて粗い撚りピッチを付与した集束導体の外
周上に、耐熱性樹脂の押出層からなる絶縁層を少なくと
も3層設け、該3層のうちの何れか2層の絶縁層で規定
の耐電圧特性を保持せしめるべく形成すると共に、前記
3層の絶縁層の各層はそれぞれ独立していて分離可能で
あることを特徴とする高周波変圧器巻線用多層絶縁電
線。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1432791U JPH04101315U (ja) | 1991-02-20 | 1991-02-20 | 高周波変圧器巻線用多層絶縁電線 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1432791U JPH04101315U (ja) | 1991-02-20 | 1991-02-20 | 高周波変圧器巻線用多層絶縁電線 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04101315U true JPH04101315U (ja) | 1992-09-01 |
Family
ID=31748998
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1432791U Pending JPH04101315U (ja) | 1991-02-20 | 1991-02-20 | 高周波変圧器巻線用多層絶縁電線 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH04101315U (ja) |
Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
1991
- 1991-02-20 JP JP1432791U patent/JPH04101315U/ja active Pending
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