JPH0378535B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、ガスタービン駆動装置用の環状燃焼
室であつて、炎管が環状燃焼室長手方向において
階段状に段付けされた２重壁構造を有していて、
燃焼室に対してこけら板状又はうろこ状に被覆さ
れている外側及び内側の保持体を有しており、該
保持体に、被覆体要素が円周方向に摺動可能に懸
吊されている形式のものに関する。

従来の技術 ガスタービン駆動装置は通常環状の炎管を備え
た環状燃焼室を有しており、炎管は金属薄板から
又は丸められて溶接された鋳造リングから製造さ
れている。最近では修理費用を下げるため及び保
持力を高めるためにこけら板又はうろこの形の炎
管内被覆体が使用されている。この場合費用はこ
けら板状又はうろこ状の多数の個別要素及びこれ
に関連した比較的多くのパツキン数によつて極め
て大きくなる。

このような環状燃焼室の運転時には熱負荷によ
つて、高温ガス流内における被覆体部位とその保
持体との間に比較的大きな膨張差が生じる。この
場合保持体は炎管外壁構造の構成部材として、コ
ンプレツサ端部から取り出される空気によつて取
り囲まれる。前記膨張差に起因する熱応力によつ
て非所望の変形が生じ、極端な場合には被覆体部
位において亀裂又は破損の生じることがある。

米国特許第4480436号明細書に基づいて公知の
冒頭に述べた形式の環状燃焼室では、炎管被覆体
は軸方向及び周方向において個別化された多数の
被覆体要素から成つている。この場合保持体構造
の、炎管の段部を構成する半径方向壁区分は、周
方向に延びている舌状部と、互いに重なり合つて
いて軸方向に張り出している舌状部とを有してお
り、これらの舌状部を介して被覆体要素は周方向
において対応切欠きを用いて順に保持体構造に差
込み可能である。周方向においては被覆体要素は
互いに対応する溝・キー結合手段を介して係合し
合うようになつている。公知の場合さらに保持体
構造の軸方向部位は、ほぼ炎管全長にわたつて延
びている軸方向フランジを用いて互いにねじ締結
されている。つまり損傷した被覆体要素を取り出
すためには、時間と手間をかけて保持体構造を部
分的に分解する必要があり、この場合少なくとも
１つの軸方向部位が除去された後で初めて当該の
被覆体要素を少しずつ周方向において取り出すこ
とができる。

上に述べた公知の場合に問題となる保持体の個
別化及び固定形式はさらに構成部材強度、シール
及び燃焼室重量に関して様々な不都合を引き起こ
すことになる。

保持体構造の、常に直接燃焼室に向かつて張り
出している半径方向壁部分に関して言えば、上に
述べた公知の場合ではさらに保持体構造をほぼ炎
管全長にわたつて高温ガスに対して遮蔽すること
は不可能である。従つて構成部材の局部的に強さ
の異なつた温度勾配は、被覆体要素の所望の自由
な膨張可能性を得るための邪魔になる。

しかしながらこのような問題は構成部材を強力
に冷却することによつて部分的に解消することが
できる。このような強力な構成部材冷却は被覆体
要素及び該被覆体要素の懸吊側部分の衝撃冷却と
膜冷却との組合わせによつて達成され、この場合
保持体構造の半径方向壁部分に設けられた軸方向
に延びる冷却空気孔は、各被覆体要素と対応する
保持体部位との間に形成されていて外側（２次通
路）から冷却空気を供給される環状室と接続され
ている。

米国特許第2544538号明細書に基づいて公知の
２重壁のガスタービン駆動装置用の管状燃焼室で
は、確かに一体でかつ回転対称的な外側の保持体
構造に長手方向に延びた内側の被覆体要素が円周
方向に摺動可能に懸吊されている。

この公知の解決策はしかしながら、冒頭に述べ
た形式に基づく長手方向において段階的な炎管・
２重壁構想が存在しないことにより本発明とは無
関係である。

さらに詳しく述べるとこの公知の管状燃焼室で
は比較的複雑な形式で被覆体要素がほぼその全長
にわたつて、内側に向かつて開いた通路状の縦長
保持体に懸吊されており、縦長保持体自体は舌片
状の横方向保持体を介して外側の保持体構造の内
面に固定されている。この場合それぞれ隣接した
２つの被覆体要素は、長手方向において互いに逆
向きに延びていて舌片状に内側に向かつて曲げら
れた２つの端縁を用いて、これに対応して両側に
おいて内側に向かつて曲げられた開いた縦長保持
体の端部舌片に差し嵌められている。

このような構造形式によつて、比較的長い摩擦
接続的な相互の接触面と比較的明確な相互の熱伝
達面とが、被覆体要素の自由な膨張可能性のため
に特に変動する運転状態に関して生ぜしめられ
る。

さらに述べるとこの公知の管状燃焼室では個々
の被覆体要素は、該被覆体要素が前端部及び後端
部に、開いた縦長保持体の対応する端面に半径方
向内側に向かつて屈曲可能なカバー縁を有してい
ることによつて、軸方向におけるシフトを防止す
ることができる。しかしながらこのように構成さ
れていることによつて、特に平たい２重壁炎管形
式に関する自体可能な利点つまり被覆体要素の交
換が比較的簡単であるという利点は再びなくなつ
てしまう。

発明の課題 ゆえに本発明の課題は、冒頭に述べた形式の環
状燃焼室を改良して、これら板状又はうろこ状の
炎管被覆体が熱による膨張差を抑制されかつ同時
に極めて組立て及び保守し易く構成されかつ配置
されている環状燃焼室を提供することである。

課題を解決するための手段 この課題を解決するために本発明の構成では、
被覆体が、ほぼ炎管全長にわたつて延在している
矩形の一体の被覆体要素から成つており、該被覆
体要素が、軸方向かつ周方向に延びている舌状部
を有していて、該舌状部で被覆体要素が、保持体
の半径方向に延びる区域に構成された対応する周
溝に軸方向で押し込まれており、被覆体要素が環
状壁を構成していて、各１つの環状壁がそれぞれ
ただ１つの固定部材によつて一緒に軸方向で固定
されている。

発明の作用並びに効果 本発明のように構成されているとほぼ炎管内側
全長にわたつて延びていて一体組込み式に構成さ
れかつこけら板状又はうろこ状又はこれに類した
形状の被覆体要素によつて、炎管長手方向におい
てそれぞれ必要な炎管段部の数と同数必要な、
個々の被覆体要素のための面倒な固定作業及び対
応する保持体における高価な固定部材を省くこと
ができる。

すなわち本発明の構成では、その都度手による
簡単な作業で当該の周溝内に軸方向で差し込まれ
得る矩形の被覆体要素が得られる。矩形の複数の
被覆体要素が１つの環状金属薄板ユニツトにまと
められると、このユニツトは周方向に延びている
ただ１つの構成部材（固定部材）を用いて軸方向
移動を阻止され得る。保持体への被覆体要素の押
込みと同時に、各条片状の被覆体要素のこけら板
状の部位は該部位と対応する保持体の階段状の対
応部位との間に個々の環状室を形成する。

被覆体要素が周方向において分割されているこ
とつまり階段状の縦長条片として周方向において
ゆるく隣接して配置されていることによつて並び
に、軸方向固定部材に対して階段状の被覆体要素
が局部的に適当な位置決め及び寸法設定されてい
ることによつて、被覆体要素を自由回転可能に配
置することが最も簡単に構成される。被覆体要素
はつまりこの場合相対的に制限された周部におい
てもゆるく対応する保持体に懸吊されていて、温
度負荷に適合すること及び周方向に摺動すること
ができ、しかもこの際に他の部材に力を伝達又は
加えることはない。

実施例 次に図面につき本発明の実施例を説明する。

第１図に示された環状燃焼室では、駆動装置軸
線に対して同軸的に配置された炎管が設けられて
おり、図示の炎管は特に、外側の環状の保持体１
及び内側の環状の保持体２並びに外側及び内側の
炎管背壁区分３，４から成つている。図示されて
いない形式でこのような炎管は外側及び内側のケ
ーシング壁によつて半径方向間〓をおいて取り囲
まれていて、炎管と前記ケーシング壁との間には
それぞれ外側及び内側の環状の２次空気通路が形
成されており、両２次空気通路から炎管には場合
によつては特に１次空気、２次空気、３次空気並
びに冷却空気が供給され得る。さらにこのような
形式の環状燃焼室では同じく図示されていない燃
焼噴射手段例えば空気助成式の燃料ノズル又は燃
料気化バーナが設けられており、これらは同一形
状で燃焼室の周囲にわたつて分配されていて炎管
背壁区分３，４から軸方向で入口領域に向かつて
炎管内に張り出している。

第１図に示された環状燃焼室の構造ではつまり
室長手方向において階段状に段付けされた炎管２
重壁構造を出発点としている。

本発明によれば炎管における、高温の燃焼ガス
流側の被覆体は、ほぼ炎管内側の全長にわたつて
延在していて一体に組み込まれかつ周方向におい
て分割されている被覆体要素５，６から成つてお
り、これらの被覆体要素５，６は保持体１，２の
周溝７，８に周方向において摺動可能に懸吊され
ている。

この場合周溝７，８は保持体１，２の、段部を
形成する半径方向壁区分９，１０に配置されてい
る。

さらに第１図に示されているように、例えば部
位Ｇ，Gaにおいて被覆体要素５，６は部分的に
重合するように段付けされていて、炎管における
主流方向に（第１図下）か又は主流方向とは逆向
きに（第１図上）軸方向で張り出した端部区分
（舌状部）１１，１２を用いて、周溝７，８に係
合している。

組立て及び保守を容易にするためには、被覆体
要素５，６が周溝７，８への差込み後に、被覆体
要素５，６と結合されるただ１つの固定部材によ
つて軸方向において固定されるようになつてい
る。

第１図上に示されているようにこの固定部材は
固定リング１３であり、この固定リング１３は保
持体１の後端部に設けられた半径方向フランジに
例えばねじ及びナツト又はこれに類したものによ
つて固定可能である。

第１図下に示されているように、当該の被覆体
要素６の軸方向固定のために一方の炎管背壁区分
４を固定部材として使用することができる。この
場合炎管背壁区分４は被覆体要素６及び保持体２
の共通の端部区分１５，１６を挟持している。

高い運転確実性のために被覆体要素は、例えば
ニツケル基（H188）又はコバルト基（C263）の
耐熱性の鋳造合金から製造されていると有利であ
る。

このような金属材料と択一的に被覆体要素は耐
熱性のエンジニアリングセラミツク材料例えば炭
化珪素、自己焼結した炭化珪素のような炭化物の
グループから又は、高温圧縮された又は自己焼結
した窒化珪素（Si₃N₄）のような窒化物グループ
から製作されていてもよい。

このような又はこれに類したセラミツク材料の
高い耐熱性及び耐燃焼性によつて、被覆体要素の
比較的長い耐用寿命が得られる。このようなセラ
ミツク材料の一般に有利な熱絶縁特性に基づい
て、当該のセラミツク製の被覆体要素は金属製の
保持体に対する極めて有効な保護シールドを形成
する。セラミツク材料を上述のように使用するこ
とによつて、少なくとも被覆体範囲における冷却
費用を減じることができる。

さらに付け加えると、第１図及び第２図に示さ
れた燃焼室構想ではコンプレツサ端部から取り出
された高圧空気を用いた当該の環状の保持体１，
２及び被覆体要素５，６の有効な冷却の保証され
ることが前提であり、この場合保持体１，２のた
めには対流冷却が、被覆体要素５，６のためには
場合によつて対流冷却と膜冷却との組合わせもし
くは対流冷却と衝撃冷却と膜冷却との組合わせが
行われ得る。

例えば第１図の左上に示されているように外側
の２枚空気流（矢印Ｓ）を有する環状通路から部
分空気量（矢印Ｌ）が取られ、保持体１の段付け
された壁部分１８に設けられた孔１７を介して、
当該の環状室１９に軸方向で同様に分割されて供
給される。環状室１９から冷却空気はさらに孔例
２０（第２図参照）を介して炎管内部に供給され
る。炎管への進入後にこのようにして供給された
冷却空気はまず膜状に（矢印Ｆ）被覆体要素５の
外側の表面区分に密着する。

さらに述べれば、周方向において分割された被
覆体要素５同士もしくは被覆体要素６同士の間に
おける軸方向間〓は、運転中における同被覆体要
素の自動的な整合によつて互いにシールされる。
すなわち、周方向において互いに向かい合つてい
る、各被覆体要素５，６の端縁もしくは突合わせ
縁の間には、常温では、軸方向に延在する間〓が
残されている。しかしながら被覆体要素５，６は
運転中における温度上昇時に、周方向においても
膨張し、これによつて、各突合わせ縁の間におけ
る軸方向間〓は閉鎖されてシールされることにな
る。形状の許容範囲内のばらつき又は過渡的な運
転状態を考慮してわずかな軸方向間〓が残つてい
る場合でも、このような軸方向間〓は第１図左上
に示された冷却空気供給によつておおわれること
によりシールされ得る。

第１図からさらにわかるように被覆体要素５，
６の部分的に重合した部位Ｇ，Gaには、室長手
方向軸線に対して平行もしくは斜めに延びている
冷却空気孔が設けられていてもよく、これらの冷
却空気孔を介して冷却空気は付加的な壁冷却膜形
成のために矢印Fa，Fbのように供給され得る。

第１図の下に示されているように所望の壁膜冷
却は、部分的に重合した部位Gaに付加的に当該
の被覆体要素６の軸平行な区分に対して半径方向
及び軸方向に張り出した周壁区分２１が設けられ
ていることによつて、助成される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による環状燃焼室の外側及び内
側の環状の保持体と該保持体に固定された内側の
被覆体要素とを示す縦断面図、第２図は第１図に
示された外側の保持体に所属の被覆体要素を示す
斜視図である。 １，２…保持体、３，４…炎管背壁区分、５，
６…被覆体要素、７，８…周溝、９，１０…半径
方向壁区分、１１，１２…舌状部、１３…固定リ
ング、１４…半径方向フランジ、１５，１６…端
部区分、１７…孔、１８…壁部分、１９…環状
室、２０…孔列、２１…周壁区分。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ガスタービン駆動装置用の環状燃焼室であつ
   て、炎管が環状燃焼室長手方向において階段状に
   段付けされた２重壁構造を有していて、燃焼室に
   対してこけら板状又はうろこ状に被覆されている
   外側及び内側の保持体を有しており、該保持体
   に、被覆体要素が円周方向に摺動可能に懸吊され
   ている形式のものにおいて、 被覆体が、ほぼ炎管全長にわたつて延在してい
   る矩形の一体の被覆体要素５，６から成つてお
   り、 該被覆体要素が、軸方向かつ周方向に延びてい
   る舌状部１１，１２を有していて、該舌状部で被
   覆体要素５，６が、保持体１，２の半径方向に延
   びる区域に構成された対応する周溝７，８に軸方
   向で押し込まれており、 被覆体要素５，６が環状壁を構成していて、各
   １つの環状壁がそれぞれただ１つの固定部材によ
   つて一緒に軸方向で固定されていることを特徴と
   する、ガスタービン駆動装置用の環状燃焼室。 ２ 被覆体要素５，６が部分的に重合しつつ段付
   けされていて、主流方向に又は主流方向とは逆向
   きに炎管において軸方向で張り出している舌状部
   １１，１２を用いて周溝７，８に係合している、
   特許請求の範囲第１項記載の環状燃焼室。 ３ 前記固定部材が固定リング１３である、特許
   請求の範囲第１項又は第２項記載の環状燃焼室。 ４ 前記固定部材が炎管背壁区分４である、特許
   請求の範囲第１項又は第２項記載の環状燃焼室。 ５ 炎管背壁区分４が、被覆体要素６及び保持体
   ２の端部区分１５，１６を一緒に挟持している、
   特許請求の範囲第４項記載の環状燃焼室。 ６ 被覆体要素が、耐熱性の鋳造合金から製造さ
   れている、特許請求の範囲第１項から第５項まで
   のいずれか１項記載の環状燃焼室。 ７ 被覆体要素が耐熱性のエンジニアリングセラ
   ミツク材料から製造されている、特許請求の範囲
   第１項から第６項までのいずれか１項記載の環状
   燃焼室。 ８ 被覆体要素５，６の部分的に重合して段付け
   された部位Ｇ，Gaに、壁膜冷却を目的として給
   気孔が設けられており、該給気孔が、被覆体要素
   ５，６と保持体１，２との間に位置していて空気
   を供給される環状室１９と連通している、特許請
   求の範囲第１項から第７項までのいずれか１項記
   載の環状燃焼室。 ９ 部分的に重合した部位Gaに、被覆体要素６
   の軸平行な壁区分に対して軸方向及び半径方向に
   張り出した周壁区分２１が設けられており、該周
   壁区分が軸平行な壁区分に対して中間室を形成し
   ていて、該中間室から冷却空気が壁膜冷却のため
   に供給される、特許請求の範囲第８項記載の環状
   燃焼室。