JPH036406B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、全く新規な着火手法を採用した触媒
燃焼方法に関する。

先ず、従来の触媒燃焼方法を、その方法を適用
した装置について説明する。

即ち、第１図に示すように、有底筒状ケースａ
の開口部を塞ぐように、保温マツトｂ、触媒層ｃ
および保持金網ｄを底部側よりこの順に配設する
とともに、ケースａの底部に形成されたガスポー
トとしての閉空間ｅ内には燃料ガス供給路ｆに連
結されたガスデイストリビユータｇを設け、か
つ、ケースａの一側辺部に燃焼用空気供給口ｈを
設け、そして、着火手段としては、前記保温マツ
トｂまたは触媒層ｃ内にニクロム線等を内挿した
電気ヒーターｉ式のものを用いて触媒燃焼装置が
構成されていたものである。なお、ｊはサーモス
タツトであつて、触媒層ｃが所定温度に達したこ
とを検出したときには、電気ヒーターｉは自動的
に作動停止し、燃料ガス供給路ｆからの燃料ガス
供給が開始されるようになつている。

しかしながら、かかる従来構成の触媒燃焼方法
においては、下記のような欠点があつた。

即ち、燃料ガスおよび燃焼用空気を触媒層ｃに
送給するに先立つて、その触媒層ｃを反応可能な
温度（着火温度−約200℃以上）にまで上昇させ
るために、前記電気ヒーターｉに通電するのであ
るが、 (ア) 触媒層ｃの温度上昇は、温度立上り特性に劣
る電気ヒーターｉからの伝導伝熱によつて行な
われるため、触媒層ｃ全体が所定の反応温度に
達するまでに非常に長時間を要する、 といつた機能上の重大な欠点があるばかりで無
く、 (イ) エネルギーコストが高く、かつ、加熱効率も
比較的良くない電力を用いるヒーターｉを採用
しているために、ランニングコスが高くつくと
共に、そのヒーターｉとしては相当大容量のも
のを用いなければならず設備コストも高くつ
き、 (ウ) また、電気ヒーターｉを保温マツトｂまたは
触媒層ｃ内に埋設する形態を採用しているため
に、保温マツトｂまたは触媒層ｃを交換する際
には、当然に電気ヒーターｉも交換しなければ
ならず、また、逆に電気ヒーターｉが故障した
場合には、それのみならずまた使用できる保温
マツトｂまたは触媒層ｃをも取り替えなければ
ならないというようにメンテナンスコストも高
くつく、 といつた構造上避け得ない欠点がある。

本発明は、かかる現状に鑑みてなされたもので
あつて、その目的は、設備コスト、ランニングコ
ストおよびメンテナンスコストが安価で済み、し
かも、触媒層を速やかに且つその全範囲に亘つて
均一に加熱できる、全く新規な着火手段を採用し
た触媒燃焼方法を提供せんとすることにある。

上記目的を達成するに、本発明による触媒燃焼
方法は、 () 触媒層の表面近傍に燃料ガスと空気の予混
合気を送給し、 () 前記予混合気に点火してこれを燃焼させる
ことにより前記触媒層を強制予熱し、 () 前記触媒層が前記強制予熱により触媒燃焼
可能な温度に達したときに、前記予混合気の送
給を停止すると共に、前記触媒層に触媒燃焼用
燃料ガスを送給して触媒燃焼状態に移行させ
る、 という手法、特に、上記（）、（）のふたつの
ステツプによる着火手法を採用している点にその
特徴がある。

この特徴故に発揮される作用および効果は下記
の通りである。即ち、 (a) 触媒層を触媒燃焼可能な着火温度（反応温
度）まで予熱するための加熱源として、従来の
ように温度立上り特性の悪い電気ヒーターを用
いるのでは無く、温度立上り特性に優れ、か
つ、容易に高温を得られるところの、燃料ガス
と空気の予混合気による燃焼炎（予混合気であ
るから完全燃焼し易い）を用いたことによつ
て、触媒層を所定の着火温度（反応温度）にま
で予熱するための時間を、従来に比べて大幅に
短縮することができ（約1/10程度にできた）、 (b) また、前記予熱源を、従来のように触媒層ま
たはそれに対する保温マツトの内部に固定的に
埋設するのでは無く、触媒層の表面近傍におい
て前記予混合気を燃焼させるように、そのため
の燃焼機構を触媒層および保温層の外部にそれ
とは別個に構成すれば足りるので、触媒燃焼装
置全体の構成がシンプルとなつて、その製造が
容易かつ安価に行なえるばかりで無く、メンテ
ナンスも容易に行なうことができ、 (c) 更にまた、予熱エネルギーとして、電気に比
べて加熱効率に優れ、かつ、非常に安価の燃料
ガスを用いるので、ランニングコストも安価で
済み、 (d) 加えて、触媒層をその表面から予熱する手段
を採用しているので、本発明方法は、特によく
利用される表面燃焼式の触媒燃焼装置に好適に
利用できる、 のである。

以下、本発明方法の実施例を、それを適用した
表面燃焼式触媒燃焼バーナの図面に基いて説明す
る。

第２図および第３図に示すように、外周囲全体
に亘つて環状エアポート１が形成された有底筒状
ケース２の開口部を塞ぐ状態で、その底部側から
順に、例えばカオウール等から成る保温層３とし
ての保温マツト、例えばPd、Ptなどを主成分と
する触媒層４としての触媒マツト、および、その
触媒層４に対する保持金網５を設け、かつ、前記
ケース２の底部にはデイストリビユータ６が内挿
された閉空間Ｓを形成し、そして、前記環状エア
ポート１には第１空気供給路９を導入接続し、そ
のエアポート１の上端部全周に亘つて、前記触媒
層４および保持金網５の表面に沿つて内方側へ空
気を噴出する空気供給口８を形成し、一方、前記
デイストリビユータ６には、電磁式遮断バルブ
V₁および電磁式開閉元バルブV₀を介装した燃料
ガス供給路７と、電磁式遮断バルブV₃が介装さ
れた第２空気供給路１０の合流管１１を導入接続
してある。

前記電磁式遮断バルブV₁に対して並列に分岐
されたバイパス路７′には流量調節用ニードルバ
ルブV₂が介装されている。そして、前記遮断バ
ルブV₁が開状態である場合にはそのバルブV₁を
通つて比較的多量のガスが流れ、一方、前記遮断
バルブV₁が閉状態にある場合には前記ニードル
バルブV₂を通つて比較的少量のガスが流れるよ
うになつている。図中、１２は触媒層４の表面に
向かつてスパークを発する点火器、１３は点火確
認用フレームセンサー、１４は触媒層の温度を検
出するサーモスタツト、そして、１５は、前記フ
レームセンサー１３およびサーモスタツト１４か
らの入力信号に基いて、前記点火器１２および各
バルブV₀，V₁，V₃に対する制御信号を発する自
動制御装置である。

次に、上記のように構成された表面燃焼式触媒
燃焼装置の自動制御構成ならびに動作について説
明する。

前記自動制御装置１５の起動スイツチ（図示せ
ず）に対して起動操作を行なうと、前記燃料ガス
供給路７の開閉元バルブV₀および遮断バルブV₁、
ならびに、前記第２空気供給路１０の遮断バルブ
V₃が自動開動され、前記合流管１１およびデイ
ストリビユータ６を介して、比較的多重の燃料ガ
スと空気との予混合気が前記空間Ｓ内に圧送供給
され、もつて、その予混合気は触媒層４の裏面側
から表面側に向かつて通過して、その触媒層４の
表面全体の近傍に予混合気が供給される。

一方、前記点火器１２は前記起動操作直後から
自動的に作動して触媒層４の表面に向かつてスパ
ークを発しており、これによつて前記予混合気は
点火されて燃焼を開始し、やがて触媒層４の表面
全体において燃焼するに至る。この状態になると
前記点火器１２に対向する辺部に位置するフレー
ムセンサー１３により前記燃焼炎が検知されて、
この検知結果に基いて点火器１２の作動は自動的
に停止される。

そして、また、前記起動操作によつて前記第１
空気供給路９にも空気が圧送され、これによつ
て、触媒層４の表面外周囲から中央に向かつて、
かつ、その表面に沿つて空気が送給され、もつ
て、前記予混合気の触媒層４の表面に向かつて抑
え込まれる状態で燃焼する。このように炎の立上
りを抑制した燃焼状態によれば、燃焼炎の触媒層
４に対する加熱が非常に効果的に行なわれると共
に、たとえ、触媒燃焼装置上に被加熱物が載置さ
れている場合であつても、その被加熱物に対して
熱損を与えることが無い。

上記のようにして、予混合気の燃焼が開始され
てある程度時間が経過すると（約１〜２分程度）、
触媒層４は予熱されて触媒燃焼が可能な着火温度
（反応温度）にまで上昇する。そして、この着火
温度に対応する設定温度が、前記サーモスタツト
１４によつて検知されると、第２空気供給路１０
の遮断バルブV₃が自動的に閉動されて、前記触
媒層４には燃焼ガスのみが送給される状態に切替
ると共に、前記燃料ガス供給路７の遮断バルブ
V₁は開状態から閉状態に自動的に切替えられ、
これによつて、流量調節用ニードルバルブV₂を
通つて定常燃焼に適した比較的少量の燃料ガスが
供給され、通常の触媒燃焼が行なわれるに至るの
である。

そして、自動制御装置１５に対して燃焼終了指
令操作をすると、全てのバルブV₀，V₁，V₃は閉
動されると共に、第１空気供給路９に対する空気
供給も停止される。

なお、上記した実施例においては、触媒燃焼用
の燃料ガス供給路７が、予混合気を送給するため
の供給路を兼用した構成を採用しているので、全
体構成が簡素化されているが、両供給路を各別に
構成しても差支え無い。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来技術を説明するために示した従来
方法を適用した触媒燃焼装置の一部断面側面図で
ある。そして、第２図は本発明方法を適用した装
置の一実施例を示すところの触媒燃焼装置の一部
断面概略側面図、第３図は概略縮少平面図であ
る。 ４……触媒層。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 触媒層４の表面近傍に燃料ガスと空気の予混
   合気を送給し、 前記予混合気に点火してこれを燃焼させること
   により前記触媒層４を強制予熱し、 前記触媒層４が前記強制予熱により触媒燃焼可
   能な温度に達したときに、前記予混合気の送給を
   停止すると共に、前記触媒層４に触媒燃焼用燃料
   ガスを送給して触媒燃焼状態に移行させる、 ことを特徴とする触媒燃焼方法。 ２ 前記予混合気を前記触媒層４の裏面側から表
   面側に向かつて通過させることを特徴とする特許
   請求の範囲第１項に記載の触媒燃焼方法。 ３ 前記予混合気を送給するための供給路を、前
   記燃媒燃焼用燃料ガスを送給するための供給路に
   兼用することを特徴とする特許請求の範囲第２項
   に記載の触媒燃焼方法。 ４ 前記触媒層４の表面に送給された予混合気
   を、空気流により前記触媒層４の表面に向かつて
   抑え込むようにすることを特徴とする特許請求の
   範囲第２項または第３項に記載の触媒燃焼方法。