JPH0350108B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 この発明はエンジン、更に具体的に云えば、フ
アン・ジエツト・エンジンのフアンの羽根の破片
が偶発的に失われたことによつて起るフアンの不
平衡による損傷の後、このフアンの密封区域の構
造的な強度を保つ手段を含むフアンの羽根の収納
構造に関する。

フアン・ジエツト・エンジンはその前端に大容
積のフアンを持つていて、周囲の空気を流れ通路
に強制的に送込む。この流れ通路がこの後軸流圧
縮機、燃焼器及びタービンに入る第１の流れ通路
と、この第１の流れ通路を側路して直接的に推力
を発生する第２の流れ通路とに別れる。フアンは
エンジンの前端にあるから、例えば鳥の様な異物
の衝撃によつて最も損傷を受ける惧れのある回転
要素である。鳥がぶつかることによつてフアンを
損傷する惧れがあり、極端な場合には、フアンの
羽根の１つ又は更に多くの破片又は羽根全体がは
ずれることがあり、これらが勢いよく飛散る傾向
を持つ。

この様な破片を収納する為、従来の羽根の破片
の収納構造は、フアンの羽根の破片がエンジンか
ら飛出して、航空機又はその周囲の区域を更に損
傷する前に、こういう破片を遮る為、フアンの羽
根の先端を取囲む例えば鋼の様な強度の強い材料
から成る環状帯を持つているのが典型的である。
勿論、鋼は重い材料であり、それを使うことは、
航空機の構造を軽量にしようという普通の希望に
反することである。

いろいろな種類のエンジンでは、例えば入口カ
ウルの様な他の要素が羽根収納構造によつてフア
ンの前側に支持されるのが普通である。鋼の装甲
帯を持つフアン構造の場合、鋼の装甲帯がこの様
な前側構造を支持する実質的な強度を持つてい
る。

羽根収納構造の重量を減らそうとして、鋼の装
甲帯に代る高強度の生地を用いたシミユレイシヨ
ン及び試験が行なわれた。高強度の生地は、Ｅ、
Ｉ、ジユポン・ネムアース・アンド・カンパニに
よつて製造されるケブラー（Kevlar）の名前で
市場で知られている生地である。この試験による
と、ケブラーのブランケツトはフアンの羽根の破
片を収納するのに成功した。この試験結果が1981
年５月にNASAに報告された報告書番号NASA
CR−165212号に述べられている。このNASA試
験では、羽根の先端の近くに封じ条片を支持する
為に、ケブラーのブランケツトの内側にハネカム
層を設けた。

この発明では、例えば鳥を吸い込んだことによ
り、１枚の羽根並びに隣りの羽根の１／３が失わ
れるという様な、フアン・ジエツト・エンジンの
フアンの最悪の場合の破損により、エンジンの著
しい不平衡が起つて、重心が偏心する為に、フア
ンの残りの羽根が一層大きな半径で回転すること
が判つた。この状態では、フアンの残りの羽根の
先端が、普通の動作半径を越えて外向きに突出
し、その為、封じ条片を含む環状帯、及びハネカ
ムの少なくとも半径方向の内壁及び少なくともハ
ネカムの心の実質的な部分を損傷する。

ハネカム構造の１つの壁が完全に破壊される
と、ハネカム構造の強度及び剛性のかなりの部分
が失われる。損傷を受けた構造の残りの強度及び
剛性は、ハネカムの残つている壁の強度及び剛性
程度である。ハネカムの壁は比較的薄いアルミニ
ウム又は複合体の薄板であるのが普通であるか
ら、損傷を受けた環状領域の残りの強度及び剛性
は、この領域に於けるもとのハネカムの外壁の小
さな強度及び剛性に大体対応する。

前に述べた様に、前側構造は、それを支持する
為に、フアンの羽根の先端を取囲む領域に垂れ下
がつていることがある。破片を収納する機能の為
に高強度の生地を使うことによつてなくした鋼帯
の強度がなければ、損傷を受けたハネカム構造の
強度は、それに取付けた前側構造を適切に支持す
るのに不十分であることがあり、エンジンの一層
の損傷が起る惧れがある。

発明の目的 従つて、この発明の目的は、新規で改良された
羽根収納構造を提供することである。

この発明の別の目的は、フアンの密封区域の羽
根収納構造として、羽根の破損の後に残りの羽根
が廻ることによつてハネカム形流路の環状領域が
損傷を受けた後も、実質的な強度を保有する羽根
収納構造を提供することである。

この発明の別の目的は、中心の隔壁を持つてい
て、この隔壁はハネカム構造の内壁が損傷を受け
ても、残りのハネカム構造に実質的な強度及び剛
性を保有する様な２重ハネカム形羽根収納構造を
提供することである。

この発明の別の目的は、フアン・ジエツト・エ
ンジンのフアンを取囲む羽根収納構造として、フ
アンの羽根の先端を取囲むハネカム構造と、この
ハネカム構造を取囲む生地ブランケツトとを持
ち、生地ブランケツトがフアンの損傷によつて外
向きに投げ飛ばされた羽根の破片を収納する作用
を持つ様な形式であり、ハネカム構造が内壁及び
隔壁を持つ内側ハネカム領域を含んでいて、この
隔壁が内側ハネカム領域の外壁であつて前記内壁
から半径方向外側に予定の距離だけ隔たつてお
り、更にハネカム構造が外壁を持つ外側ハネカム
領域を持ち、前記隔壁が外側ハネカム領域の内壁
となり、前記予定の距離が、フアンの最大不平衡
状態で羽根の先端が突出する半径方向の最大距離
を越えており、この為、外側ハネカム領域が無き
ずのまゝであつて、羽根収納構造に構造的な強度
を持たせる様にした羽根収納構造を提供すること
である。

発明の概要 簡単に云うと、この発明の１実施例は、フア
ン・ジエツト・エンジンの羽根の先端を取囲む環
内に２層のハネカム領域を設ける。ハネカムの内
層は、不平衡になつたフアンの先端の為に犠性に
なつても、ハネカムの外層が実質的に損傷を受け
ずにいる様な深さである。その結果、ハネカム領
域は残りの外側ハネカム層の為に実質的な強度を
保有し、前側構造の支持が不適切であることによ
る一層の損傷を避ける。

この発明の上記並びにその他の目的、特徴及び
利点は、以下図面について説明する所から明らか
になろう。図面全体にわたり、同様な部分には同
じ参照数字を用いている。

実施例の記載 第１図にはこの発明の１実施例を用いた例とし
てのフアン・ジエツト・エンジン１０が示されて
いる。フアン・ジエツト・エンジン１０は、この
発明を理解するのに必要な範囲だけが示されてい
る。普通の様に、フアン・ジエツト・エンジン１
０がフアン・ケーシング１２を持ち、これがフア
ン１４を取囲んでいて、典型的には出口案内翼１
６及び結合棒１７によつて支持されている。圧縮
機部分１８がフアン１４の後方にある。燃焼部
分、タービン部分及び排気部分（図に示していな
い）の様な他の普通の要素が普通のエンジンで設
けられている。これらは当業者によく知られてい
る普通の要素であるから、図面にも示さないし、
説明も省略する。

図示のエンジン１０の実施例では、タービン
（図に示してない）によつて駆動される軸２０が、
例えばフアンに対しては7300rpmという様な高速
で、フアン１４及び圧縮機部分１８を駆動する。
フアン１４が大量の空気を出口案内翼１６に送
り、そこでこの空気が分割器２２により、側路流
路２４とエンジン流路２６に分割される。側路流
路２４を流れる大量の空気が環状のフアン吐出ノ
ズル２７に直接的に送出され、そこでフアン・ジ
エツト・エンジン１０の全推力のかなりの部分を
発生する。エンジン流路２６を通る残りの空気の
流れが圧縮されて加熱され、タービン（図に示し
てない）を駆動する為に使われる。このタービン
が圧縮機部分１８及びフアン１４を駆動すると共
に、排気を発生し、それがフアン・ジエツト・エ
ンジン１０の推力の残りを発生する。

フアン１４は円周方向に相隔たる複数個の羽根
２８を持つており、これらはチタン合金の様な軽
量で強度の強い材料で作ることが出来、例えば12
乃至14吋の長さであつてよい。この各々の羽根は
２乃至３ポンド程度の重さであり、従つて設計速
度で回転する時、その運動エネルギは約30000フ
イート・ポンドになる。この発明の１実施例の環
状羽根収納構造３０が、羽根２８の通路を直ぐ取
囲む様に配置されていて、偶発的に外れるかも知
れない羽根の破片を受入れる様に作用すると共
に、この破片がフアン・ジエツト・エンジン１０
の外部への自由な投出体にならない様に保持す
る。更に収納構造３０は、入口カウル３１を支持
する様に作用する。

第２図には、フアン・ケーシング１２の内、収
納構造３０及びその中の要素を含む部分を更に詳
しく示している。収納構造３０は、フアン・ケー
シング１２の後側部分の後側フランジ３２の所
で、エンジン１０に取付けられ、入口カウル３１
の様なエンジン１０の前側部分を前側フランジ３
４の所で支持する様に作用する。

巣区域３６がその半径方向の内面が内壁４０に
よつて限定され且つ外面が隔壁４２によつて限定
された環状の第１の半径方向内側ハネカム領域３
８を持つている。環状の第２の半径方向外側ハネ
カム領域４４が隔壁４２を内壁として共有し、そ
の外面は外壁４６によつて限定されている。例え
ばケブラー生地の複数個の層を含んでいてよい収
納ブラケツト４８が外壁４６に重ねられる。収納
ブラケツト４８は、例えばその縁を普通の手段
（図に示してない）によつて締付けるという様な
任意の適当な手段により、所定位置に固定され
る。この代りに、収納ブラケツト４８は外側保護
殻体５０によつて動作位置に保持することが出来
る。羽根の破片の外向きの力が、収納ブラケツト
４８によつて吸収されると共に、収納構造３０の
円周に沿つて分布させられる。

内壁４０に設けた浅い凹み５２が適当な擦り条
片５４を持ち、羽根２８の先端５６をそれに対し
て密なはめ合せにして、先端５６を越えて空気が
漏れる量を減少する密封区域を作る。擦り条片５
４は、最初のなじみ運転の際に、羽根２８の先端
５６によつて容易に且つ滑らかに磨耗し得る材料
であり、こうして出来るだけ緊密な先端の封じが
得れる様にする。この材料並びにそれを使う方法
は普通のことであるから、こゝでは詳しく説明し
ない。

内側ハネカム領域３８を限定する内壁４０及び
隔壁４２は、例えばアルミニウムの様な任意の適
当な材料にすることが出来る。外壁４６も例えば
アルミニウムか、或いはエポキシ樹脂マトリクス
に入れた繊維材料の様な任意の適当な材料にする
ことが出来る。然し、好ましい実施例では、強度
並びに堅牢性を強める為、この場所では、エポキ
シ樹脂マトリクス中の黒鉛繊維材料が好ましい。
最後に、保護殻体５０もアルミニウム又は繊維／
樹脂マトリクスの様な任意の普通の材料であつて
よいが、好ましい実施例では、収納作用及び保護
作用を強める為に、保護殻体５０はエポキシ・マ
トリクス中のケブラー生地である。

隔壁４２は金属又はその他の材料の１枚のシー
ト又は層であつてもよいし、或いは材料の２枚の
別々のシートを面どうし合せたものであつてもよ
い。ハネカムの内側及び外側の心３８，４４は例
えばアルミニウムであつてよい。

動作について説明すると、羽根２８の１つは又
は更に多くの破片が離れた場合、それらが内壁４
０、隔壁４２及び外壁４６に突刺し孔を作ると共
に、収納ブラケツト４８によつて収納される。然
し、１つ又は更に多くの羽根２８が失われたこと
により著しい不平衡が起つて、残りの羽根２８が
軸２０のもとの軸線の周りを大きくなつた軌道に
沿つて移動し、こうして擦り条片５４に突入し、
浅い凹み５２を介して内側ハネカム領域３８に入
ることがある。内側ハネカム領域３８は、羽根２
８の先端５６の半径方向外向きの最大の行程が隔
壁４２に達しない位に深くする。

更に具体的に云うと、内側ハネカム領域３８の
隔壁４２は、内壁４０及び羽根の先端５６から半
径方向外向きに予定の距離だけ隔たつている。こ
の予定の距離は、外側ハネカム領域４４が無きず
のまゝであつて、損傷を受けず、羽根収納構造３
０に構造的な強度を持たせる様に、フアン１４の
最大不平衡状態で羽根２８の先端５６が半径方向
に突出する最大距離より大きくする。この為、最
悪の場合、隔壁４２の略全部、外側ハネカム領域
４４及び外壁４６は損傷を受けずにおり、内側ハ
ネカム領域３８の環状条片が実質的な損傷を受け
ても、前側フランジ３４から後側フランジ３２に
荷重が伝達される様にする。

特定のエンジンに必要な内側ハネカム領域３８
の深さが具体的に幾らになるかは、勿論エンジン
とそれが受ける損傷の種類に関係する。当業者で
あれば、以上の説明から、所定の一組の条件の下
で、関心のある任意のエンジンに対して、この深
さを決定することが出来よう。

図面についてこの発明の特定の好ましい実施例
を説明したが、この発明はこういう実施例に制約
されるつもりはなく、特許請求の範囲に記載され
たこの発明の範囲内で、種々の変更を加えること
が出来ることを承知されたい。例えば、ケブラー
生地のブランケツトが好ましいが、ブランケツト
は合成繊維又は金属を含めたこの他の適当な材料
で作つてもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の１実施例の羽根収納構造を
用いたフアン密封区域を含むフアン・ジエツト・
エンジンの前側部分の一部分を断面で示した側面
図、第２図は第１図の収納構造を更に詳しく示す
拡大断面図である。 主な符号の説明 ２８：フアンの羽根、３８：
内側ハネカム領域、４０：内壁、４２：隔壁、４
４：外側ハネカム領域、４８：収納ブランケツ
ト。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ガスタービンエンジンの羽根を取囲む羽根収
   納構造に於て、 前記羽根の羽根先端の全軸方向範囲より半径方
   向外側で位置決め可能な環状ハネカム構造が、隔
   壁とそこから半径方向内側に隔つた内壁とによつ
   て限定され、前記羽根先端に面することができる
   半径方向内側ハネカム領域と、前記隔壁とそこか
   ら半径方向外側に隔つた外壁によつて限定された
   半径方向外側ハネカム領域とを有し、 前記第２のハネカム領域の前記外壁の半径方向
   外側に配置された生地収納ブランケツトが羽根の
   損傷時に外向きに投げとばされた羽根の破片を収
   納するに有効である羽根収納構造。 ２ 特許請求の範囲１に記載した羽根収納構造に
   於て、前記隔壁は前記内壁から半径方向外側に所
   定の距離だけ隔つて、前記羽根の損傷時に羽根の
   軌跡によつて前記外側ハネカム領域は無きずのま
   まであり、前記内壁、隔壁及び外壁に突入する羽
   根の破片を保持するに有効で、前記収納ブランケ
   ツトによつて収納されている羽根収納構造。 ３ 特許請求の範囲２に記載した羽根収納構造に
   於て、前記羽根収納構造が前記エンジンのケーシ
   ングの一部として有効であり、前記外側ハネカム
   領域が前記隔壁を有し、前記外壁は荷重伝達して
   前記エンジンの第２の構造を支持する羽根収納構
   造。 ４ 特許請求の範囲２に記載した羽根収納構造に
   於て、前記ハネカム構造の前記内壁、隔壁及び外
   壁は軸方向に間隔をおいた端部で結合して後側フ
   ランジと前側フランジを形成し、前記羽根収納構
   造はエンジン・ケーシングの一部として有効であ
   り且つ前記後側フランジのところで固定結合可能
   であり、前記ハネカム構造は前記前側フランジに
   荷重を伝達して取付可能な前記エンジンの第２の
   構造を支持する羽根収納構造。 ５ 特許請求の範囲４に記載した羽根収納構造に
   於て、前記ケーシングがフアン・ケーシングであ
   り、前記羽根がフアン羽根であり、前記第２の構
   造が入口カウルである羽根収納構造。 ６ 特許請求の範囲１に記載した羽根収納構造に
   於て、前記収納ブランケツトがケブラー生地の複
   数個の層で構成される羽根収納構造。