JPH0349694Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、排泄物を受止し吸収する使い捨てお
むつ、とくにその吸収体に関する。

（従来の技術） 従来、使い捨ておむつの吸収体を、粉砕パルプ
と高吸収性ポリマーとの混合物で形成したもの、
あるいは液拡散性シートに高吸収性ポリマー粒子
を結合し上下面に粉砕パルプを積層して形成した
もの、これら吸収体を加湿してまたは加湿せずに
その厚さ方向に圧縮したものなどが、枚挙にいと
まがないほど提案され、それらの或る種のものが
実用に供されている。

（考案が解決しようとする問題点） 公知技術は、体液を吸収体の表面層で局部的に
吸収し吸収体の内部で拡散吸収して保持する、体
液の吸収能力ないし容量を増大する、高吸収性ポ
リマーの有効利用をはかる、といつた種々の点を
目的とし教示している。

しかしながら、従来技術は、所期の目的を十分
に達成しえていない。これは、吸収体を構成する
粉砕パルプおよび高吸収性ポリマー粒子の位置・
使用量・他の材料との組み合せ、液拡散性シート
の特性・構造、これらによる吸収機構などについ
ての検討が不充分であることに基因している。

本考案の目的は、前述のような公知材料などを
用いながら、前述のような不充分な点を改善する
ことができる吸収体を有する使い捨ておむつを提
供することにある。

（問題点を解決するための手段） 前記目的を達成するための、本考案は、透水性
表面シートと、不透水性裏面シートと、これらの
表裏面シートの間に介在するとともに粉砕パルプ
と高吸収性ポリマー粒子との混合物中に液拡散性
シートが介在する吸収体とを含み、吸収体が厚さ
方向へ圧縮されて一体化されている使い捨ておむ
つを前提とする。

吸収体は、粉砕パルプからなる上部層と、親水
性不織布に高吸収性ポリマー粒子が間欠的かつ一
体的に結合してなる中間部層と、粉砕パルプと高
吸収性ポリマー粒子との混合からなる下部層とか
ら構成されている。

上部層は、下部層よりも薄くて坪量が少なく、
中間部層に存在する高吸収性ポリマー粒子は、下
部層に存在する高吸収性ポリマー粒子よりも坪量
が多くされている。

不織布は、親水性繊維どうしが交絡することに
より形態を維持するとともに、高密度部分１１と
低密度部分１２とがおむつの長さ方向に延びかつ
つ幅方向に交互に配列する縦縞模様を有してい
る。

（実施態様） さらに本考案のおむつを図示の実施態様に基づ
いて説明すると、以下のとおりである。

第１図、第２図に示すように、おむつは、後側
ウエストの外側に延設した感圧性粘着テーピ１を
有し、その自由端を前側ウエスト近傍に固着する
ことによつて組み立てられる。そして、おむつ
は、透水性表面シート２と、不透水性裏面シート
３と、該表裏面シート間に介在する吸収体４と、
該表裏面シートの外側間に伸長下に配置した弾性
部材５とを含む。

表面シート２は不織布・多孔性プラスチツクシ
ートなど、裏面シート３はプラスチツクシート・
防水加工不織布などが、それぞれ用いられる。こ
れらは、ホツトメルト型接着剤などの接合手段に
より、相会する外周縁において互に一体的に接合
されるとともに、吸収体４に比較的不動に固定さ
れる。弾性部材５は糸状ゴム・ポリウレタンフオ
ーム・熱可塑性プラスチツクフイルムなどが用い
られる。

吸収体４は、上部層６と、中間部層７と、下部
層８とから構成される。上部層６は粉砕パルプで
下部層８よりも薄く形成され、中間部層７は、お
むつの長さ方向への液拡散性が強い親水性繊維不
織布９に高吸収性ポリマー粒子１０が間欠的かつ
一体的に結合して形成され、下部層８は、上部層
６よりも厚く粉砕パルプに高吸収性ポリマー粒子
１０が実質的に均等に分布するように混合して形
成される。

上部層６は100〜120g／m²、中間部層７の不織
布９は７〜60g／m²、該中間部層の高吸収性ポリ
マー粒子１０は30〜60g／m²、下部層８の粉砕パ
ルプは200〜250g／m²、該下部層の高吸収性ポリ
マー粒子１０は20〜50g／m²であることが好まし
い。とくに中間部層７の高吸収性ポリマー粒子１
０の前記坪量の上限値は、該粒子が体液を吸収し
たとき互に干渉することなく充分に膨張すること
ができるとともに、体液が中間部層７から下部層
８へ移行するのに対する障壁を形成しないように
するため設定されている。

これら上部層６、中間部層７、下部層８は、吸
収体４がおむつ用として所要の柔軟性を失わずか
つ上部層６が体液をスポツト吸収する機能を減殺
しない程度に、それら各層の積層状態でそれらの
厚さ方向へ圧縮して一体化される。この場合、吸
収体４の剛性は、上層部６が低く（柔かく）、下
部層８が高く（硬く）なるように処理されること
が好ましく、かく処理するには種々の方法がある
が、たとえば、下部層８は前記一体化のための圧
縮処理の前に別に所要の圧縮処理をしてもよい。
またこれらの圧縮は全面プレスでも適宜模様のエ
ンボスであつてもよい。

不織布９は、第４図に示すように、繊維密度の
高い部分１１と低い部分１２とが幅方向に交互に
配列する縦縞模様を有し、繊維どうしが三次元方
向に交絡して形態を維持しているものである。か
ような不織布９は、たとえば、本出願人の出願に
かかる特開昭55−71853号、同57−39268号に開示
した高速水流処理により不織布を製造する方法に
よつてうることができる。不織布９を構成する親
水性繊維としては、レーヨン・繊維表面が親水化
されたポリエステル繊維の単独または混合物など
が用いられる。かくしてえられた不織布９は、通
常の乾式不織布に比較してバルキー性に富むの
で、高吸収性ポリマー粒子１０が不織布９の表面
に散布された場合、該表面ばかりでなくその繊維
間にも存在することになり、したがつて、該粒子
は、その坪量が比較的多い場合でも不織布９に間
欠的に分布することになり、体液の吸収によつて
最大限膨張しても互に干渉したり、体液の下部層
８への移行に対する障壁を形成したりすることが
ない。

なお不織布９に対する高吸収性ポリマー粒子１
０の一体的結合は、該不織布または該粒子に該粒
子の表面が湿る程度の水を噴霧することによりな
される。また第３図中１３は上部層６の形成時に
用られるテイツシユペーパーなどのキヤリヤーシ
ートであるが、これは上部層６の形態安定性を保
持する機能をも有しており、必要に応じて、かか
るシート１３は下部層８の下面に用いられること
もある。

（作用） 体液は、上部層６において面方向へ広く拡散す
ることなくスポツト状に吸収されて中間部層７へ
移行する。中間部層７においては、高吸収性ポリ
マー粒子１０に吸収されるが、その場合、不織布
９によつて主としておむつの長さ方向へ拡散され
ながら吸収されるので、その吸収において高吸収
性ポリマー粒子１０が広範囲にわたり有効に利用
される。中間部層７の高吸収性ポリマー粒子１０
に吸収されない余剰の体液は下部層８の粉砕パル
プおよび高吸収性ポリマー粒子１０に吸収保持さ
れる。そして、たとえば、体液が下部層８におい
て局部的に飽和状態になるまで吸収保持された場
合、中間部層７に高吸収性ポリマー粒子１０が比
較的多量かつ高密度に分布しているので、吸収体
４が加圧されても上部層６へ逆流し表面シート２
に滲出することがきわめて少ない。

（実施例） 220g／m²の粉砕パルプと30g／m²の高吸収性ポ
リマー粒子から下部層を形成し、高速水流噴射処
理による30g／m²のレーヨン繊維不織布を載置し
てこれに水を噴霧して40g／m²の高吸収性ポリマ
ー粒子を上面から散布するとともに下面からサク
シヨンで吸引して固定して中間部層を形成しこれ
を前記下部層に載置し、該中間部層に再び水を噴
霧して110g／m²の粉砕パルプを積層して上部層
を形成し、これら各層を７Kg／cm²の全面プレスを
かけて圧縮し一体化して吸収体を作製した。前記
水の噴霧量は中間部層のポリマー粒子の10重量％
であつた。

かくしてえられた吸収体を調べたところ、中間
部層においては不織布の表面および繊維間に高吸
収性ポリマー粒子が間欠的かつ一体的に結合し、
かつ上部層・中間部層・下部層がこれらを分離し
ようとすると崩壊する程度に一体的に結合してい
ることが認められた。

（考案の効果） 本考案の吸収体によれば、上述のような構成お
よび作用効果を有するので、該吸収体を用いた使
い捨ておむつにおいては、体液を比較的多量吸収
しかつその状態で加圧した場合でも、体液が表面
へ逆流滲出することがなく、しかも吸収体の中間
部層および下部層を広範囲に利用して比較的多量
の体液を吸収保持することができるなど、所期の
目的を充分に達成することができ、この種の吸収
体として実用に供し極めて有益である。

とくに、液拡散性シートとして、親水性繊維ど
うしが交絡することにより形態を維持するととも
に、高密度部分と低密度部分とがおむつの長さ方
向に延びかつ幅方向に交互に配列する縦縞模様を
有する特殊な不織布を用いるので、体液拡散性に
優れ高吸収性ポリマー粒子を有効に利用すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施態様を示すもので、第１図
はおむつの組み立て斜視図、第２図は一部を切欠
したおむつの展開平面図、第３図はおむつの断面
図、第４図は不織布の拡大平面図である。 ２：表面シート、３：裏面シート、４：吸収
体、６：上部層、７：中間部層、８：下部層、
９：不織布、１０：高吸収性ポリマー粒子、１
１：高密度部分、１２：低密度部分。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 透水性表面シート２と、不透水性裏面シート３
   と、これらの表裏面シートの間に介在するととも
   に粉砕パルプと高吸収性ポリマー粒子との混合物
   中に液拡散性シートが介在する吸収体４とを含
   み、吸収体４が厚さ方向へ圧縮されて一体化され
   ている使い捨ておむつにおいて、 吸収体４は、粉砕パルプからなる上部層６と、
   親水性繊維不織布９に高吸収性ポリマー粒子が間
   欠的かつ一体的に結合してなる中間部層７と、粉
   砕パルプと高吸収性ポリマー粒子との混合からな
   る下部層８とから構成され、 上部層６は、下部層８よりも薄くて坪量が少な
   く、中間部層７に存在する高吸収性ポリマー粒子
   は、下部層８に存在する高吸収性ポリマー粒子よ
   りも坪量が多くされ、 不織布９は、親水性繊維どうしが交絡すること
   により形態を維持するとともに、高密度部分１１
   と低密度部分１２とがおむつの長さ方向に延びか
   つ幅方向に交互に配列する縦縞模様を有すること
   を特徴とする前記おむつ。