JPH034928Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は体液を流動させつつ該液中の特定成分
を測定する体液成分測定装置に関し、詳細には血
液等を検査対象として血糖値等を測定するに当
り、血液等を流動緩衝液に注入混合し、流動状態
で酵素電極に接触させて測定する測定装置に関す
るものである。

例えば血糖値の測定は糖尿病の判定に当つて不
可欠であり、糖尿病の増大に伴なつて医療機関に
おける検査頻度は激増しつつある。又血糖値に限
らず現今の医療における生化学検査の重要度は
益々高まつて、自動測定装置の開発が進められて
おり、既に特願昭55−160970（特開昭57−84346号
公報）号等によつて各種体液（血液・尿等を含
む）中の化学成分を酵素反応的に比較的精度よく
且つ迅速に測定し得る装置が提供されている。第
１図は上記測定装置全体の概念を示す系統図で、
緩衝液貯留部Ａから分岐部Ｂに至る測定ラインＸ
と、分岐部Ｂから緩衝液貯留部Ａに戻る返送ライ
ンＹと、分岐部Ｂから排出部Ｃに至る排出ライン
Ｚからなり、これらはラインパイプによつて連結
されている。そしてポンプ（図示せず）の吸引力
によつて緩衝液貯留部Ａから測定ラインＸに供給
されてきた緩衝液は、インキユベーシヨンコイル
１によつて測定至適温度（通常は37℃）迄昇温す
る。加熱された緩衝液はサンプルポート２に至
り、該ポート２内を流動する緩衝液に対して被検
体液が注入される。上記被検体液の注入は、ライ
ンパイプ内における圧力損失の大きいことを考慮
して大気圧以上の圧力で行つているので、大気を
シールした手動方式による圧入が行なわれる。あ
るいは手動方式に代えてオートサンプラー１７等
による自動注入式を採用することもできる。サン
プル注入を受けた流動緩衝液は、測定部５へ至る
までに十分混合しておく必要から、螺旋状の細管
からなる混合装置３を通過しここでサンプルと緩
衝液は十分に混合され（以下混合液という）、次
に測定部５に至る。測定部５では混合液を流動状
態で酵素電極４に接触させる方式を採つており、
流動混合物が酵素電極に接すると酵素反応が生ず
る。酵素反応で消費した酵素量はまた生成物、例
えば過酸化水素を測定することにより被検体液中
の対象成分の濃度を求める。測定部５は外部から
混入してくる空気あるいは内部において発生する
ガス等に基づく測定誤差を防止できると共に、酵
素電極表面に到達した混合液を該表面に十分接触
させ、しかも速やかに流出させ得る様な構造のフ
ローセル方式となつている。又上記対象成分の濃
度の演算及び記録等はコンピユータ１３によつて
行なわれる。そして測定の終了した混合液は測定
部５及び流動抵抗部６を通過した後、３方コツク
７から排出ラインＺを経て排出部Ｃへ送給され
る。

ところで測定部５に設けられる酵素電極４は、
酵素膜とプラスチツク膜より構成される固定化酵
素膜を酵素電極や過酸化水素電極等のイオン電極
の表面に覆つたものであり、酵素としては、例え
ばウレアーゼ、Ｌ−アミノ酸オキシダーゼ、Ｄ−
アミノ酸オキシダーゼ、β−グルコシダーゼ、ブ
ルコースオキシダーゼ、ペニシリナーゼ等が利用
される。そしてこれらの固定化酵素膜はシール能
の高いＯ−リングに貼着されフローセルとイオン
電極の間で圧接保持される。そして混合液を測定
するに当つては、酵素電極表面に到達した混合液
を固定化酵素膜に十分接触させて安定な酵素反応
を速やかに進行させ且つ消費したあるいは生成し
た酵素や過酸化水素を速やかに透過させ得る様な
構造が望まれている。その為固定化酵素膜の張設
状態が不均一（例えばしわ、波等が発生した状
態）であると、酵素電極による正確な濃度測定は
行ない得ない。

そこで本考案者等はフローセルと酵素電極との
間に配設される酵素膜が均一に張設され得る様な
装置を提供すれば、高精度測定ができるであろう
と考え、本考案を案出するに至つた。

即ち上記目的を達成し得た本考案の体液成分測
定装置とは、環状の突出壁によつて囲繞されるセ
ルに対して、該突出壁の外周側に装着されるＯ−
リングに貼着された酵素膜を添設し、電極先端面
によつて前記Ｏ−リングを押圧し、該酵素膜をセ
ルの前記突出壁頂面に当接してなる酵素電極にお
いて、前記突出壁の外周面を全周に亘つて裾開き
の突出壁としてなることを要旨とするものであ
る。

以下実施例図面に基づいて本考案の構成及び作
用効果を説明するが、下記実施例は一具体例に過
ぎず、前・後記の趣旨に従つて種々設計を変更す
ることはいずれも本考案の技術的範囲に含まれ
る。

第２図は本考案に係る酵素電極を示す一部破断
説明図で、第１図の測定ラインＸに接続した測定
部５及び酵素電極４を示している。第３図は更に
その要部を拡大して示す組立部品図である。これ
らの図において。８は混合液の供給路、９は混合
液の放出路、１０はセル、１４はＯ−リング、１
５は突出壁、１６は酵素膜を夫々示している。即
ち供給部８と放出部９はセル１０を介して直角に
形成され、放出部９はセル１０から真上に向けて
配置される。そしてセル１０を囲繞する突出壁１
５の外周面は裾開き状に形成され、該突出壁１５
の酵素膜支持面２４は後述するイオン電極２３の
当接面２１に対応した湾曲面で形成している。そ
して突出壁１５のまわりにはＯ−リング１４の装
着間隙をおいてスペーサリング１８が同心状に取
り付けられる。即ち突出壁１５の外周面とスペー
サリング１８の内側壁２２との間にＯ−リング収
納溝１９が形成され、酵素膜１６を片面側に貼着
したＯ−リング１４がＯ−リング収納溝１９に嵌
設される。そして酵素電極４は酵素膜１６の外面
側から圧接する様に装着する。尚ボルト２０はス
ペーサリング１８の固定用部材である。（第４図） ところでＯ−リング１４に貼着された酵素膜１
６は第４図に示す様に白抜き矢印Ｄ方向から圧接
されるイオン電極２３の当接面２１によつて酵素
膜支持面２４に押付けられると共に、当接面２１
による押付力Ｆを受けるＯ−リング１４は該押付
力Ｆによる圧縮変形を受けつつＯ−リング収納溝
１９の奥部へ押込まれる。この時Ｏ−リング１４
は裾開き状に形成された外周壁の外周面１５によ
つて内周面からの拘束力を受けるので当接面２１
による押込力は専らＯ−リング１４の外周面側に
作用しＯ−リング１４は全周に亘つて遠心方向へ
旋回する様な力を受け、矢印Ｅ方向へ転動しよう
とする。その為酵素膜１６は矢印Ｇ方向へのテン
シヨンを受け、強く張りわたされる。即ち外周壁
１５によつてその圧縮変形方向が規制されるＯ−
リング１４は、イオン電極２３の装着によつて矢
印Ｅ方向へころがる様に変形するので、Ｏ−リン
グ１４に貼着された酵素膜１６は周方向（Ｇ）へ
引張られることになる。従つてセル１０に添設さ
れた酵素膜１６にはしわや波が現われず、安定し
た平滑面が得られるので、酵素電極４による測定
精度が飛躍的に向上する。

一方検体測定が終了してセル１０の洗浄を行な
うときや酵素膜を取替えるに際しては酵素電極４
を測定部５から取り外すが、セル１０内には先の
検体液が残留しているので、このままの状態で酵
素電極４を取り外せば残留検体液がこばれ落ち装
置近傍を汚染する。そこで本考案では第５図に示
す様に測定部５を固定具５ａを介して変位可能に
枢支し、測定終了後は固定具５ａを緩めて測定部
５及び酵素電極４を矢印Ｈ方向へ旋回する。こう
して仮想線で示す様に変位すればセル１０が傾め
下方向きから横向きになるので、酵素電極４取り
外しによる残留検体液のたれ落は極めて少なくな
る。従つて酵素膜取換時における測定装置近傍の
汚染は可及的に抑制される。

本考案は概略以上の様に構成されているので、
被検体液の測定精度が飛躍的に向上し、生化学検
査の発展に貢献する。

【図面の簡単な説明】

第１図は体液成分測定装置の全体概念図、第２
図は本考案に係る測定装置の一部破断説明図、第
３図は組立部品拡大説明図、第４図は組立過程を
説明する要部断面図、第５図は他の変形例を示す
説明図である。 ４……酵素電極、５……測定部、１４……Ｏ−
リング、１５……外周壁、１６……酵素膜。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 環状の突出壁によつて囲繞されるセルに対し
   て、前記突出壁の外周側に装着されるＯ−リング
   に貼着された酵素膜を添設し、電極先端面によつ
   て前記Ｏ−リングを押圧し、該酵素膜をセルの前
   記突出壁頂面に当接させてなる酵素電極におい
   て、前記突出壁の外周面を全周に亘つて裾開きの
   突出壁としてなることを特徴とする体液成分測定
   装置。