JPH0344244Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は回分式活性汚泥法により下水処理を行
う場合に使用される反応槽等から水面付近の上澄
液を抜き取るために用いられるフロート式集水装
置の改良に関するものである。

（従来の技術） 近年注目されている回分式活性汚泥法は反応槽
内で汚水と活性汚泥とを曝気混合し、有機物を分
解させたのち一定時間静置して汚泥を沈降分離さ
せ、上澄水を処理水として槽外に排出する方法で
ある。この方法において上澄水を抜き取るための
集水装置としては水中に設けた固定排水管や水面
の上下動に追随して常に水面付近から集水するフ
ロート式のものが用いられているが、固定式のも
のは汚泥界面付近から集水するために汚泥を巻上
げ易く、また汚泥の膨化等により汚泥界面が排水
管設置高さよりも上昇した場合には排水ができな
くなる欠点がある。一方フロート式集水装置とし
ては、実公昭59−23065号公報に示されるように
フロートにより支持される集水管と槽底等に固設
された排水管との間をフレキシブルな蛇腹等によ
り接続したものや、実開昭59−106505号公報に示
されるようにフロートにより支持される集水槽の
内部に水中ポンプを設けたものや、実開昭59−
93796号公報に示されるようにフロートにより支
持される集水管を先端に備えた排水管をエアシリ
ンダ等の駆動装置により垂直面内で回転駆動させ
るもの等が知られている。しかし蛇腹等を用いた
ものは曝気中に生ずる水流により亀裂を生じ易く
耐久性に問題があり、また水位の下降時にたるみ
が生じて円滑に追随できない問題がある。またポ
ンプ式のものはポンプの吐出量と集水量とのバラ
ンスが取りにくく場合によつては全く排水しなく
なることがあり、更に排水管を回転駆動させる方
式のものは設備費や動力費が高くなるうえ水位が
低下すると排水管が横方向に移動するので広い設
置面積が必要とされる問題がある。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案は集水管を挟んで長手方向に平行に配置
した上記のような従来の問題点を解決して、耐久
性及び水位への追随に優れ、設置面積が小さくて
済みしかも駆動力を必要とせず集水量を制御し易
いフロート式集水装置を目的として完成されたも
のである。

（問題点を解決するための手段） 本考案はフロートにより水面下に吊下げられた
集水管の両端部に、中央部が第１の回転継手によ
り連結されてく字状に屈曲できる左右一対の排水
管の上端部をそれぞれ第２の回転継手を介して接
続し、また各排水管の下端部を第３の回転継手を
介して水槽の底部又は側壁部に固定された固定排
水管に接続するとともに、水槽内の上下の２箇所
に排水管の第１の回転継手を挟んだ上下の部分に
接してその最大回転角度を規制するためのストツ
パーを突設したしたことを特徴とするものであ
る。

（実施例） 次に本考案を図示の実施例について詳細に説明
すると、１は反応槽、沈澱槽等の水槽、２はその
液面に位置する２本の円筒状のフロート、３はこ
れらのフロート２の端部の接続板４に両端を支持
され、水面下に吊下げられた多孔式の集水管であ
る。フロート２は集水管３を挟んで長手方向に該
集水管３と平行になるよう配置されており、また
接続板４は水流を阻止することがないよう、水面
上に持上げられた位置にある。５は中央部が第１
の回転継手６により連結されてく字状に屈曲でき
る左右一対の排水管であり、これらの排水管５の
上端部はそれぞれ第２の回転継手７を介して上記
集水管３の両端部に垂直面内で回転自在に接続さ
れ、また各排水管５の下端部は第３の回転継手８
を介して固定排水管９に回動自在に接続されてい
る。固定排水管９は図示のように水槽１の底部又
は側壁部に適当なサポート１０により固定された
ものである。左右一対の排水管５は捩られること
なく平行関係を維持できるように補強パイプ１１
により中間部分が接続されており、またその最大
回動角度を規制するために槽内の上下２箇所にス
トツパ１２，１３が突設されている。ストツパ１
２は排水管５の第１の回転継手６よりも上方部分
に接触し、またストツパ１３は排水管５の第１の
回転継手６よりも下方部分に接触して排水管５が
常にく字状を維持するようにそれぞれの最大回転
角度を規制している。

（作用） このように構成されたものは、フロート２によ
り水面下に吊下げられた集水管３に水面付近の上
澄液が流入し、集水管３の両端部に連結された排
水管５を通じて処理水として外部へ取出されるこ
とは従来のフロート式集水装置と同様である。し
かし本考案においては中央部が第１の回転継手６
により連結されてく字状に屈曲できる排水管５を
使用し、その上下両端部を第２と第３の回転継手
７，８を介して集水管３と固定排水管９とに接続
したものであるので、水面の上昇下降に追随して
排水管５を屈曲させつつフロート２は円滑に上下
動し、このために動力を必要とせず、また上下動
はガイドに沿つて行われるものではないので途中
でひつかかり等のトラブルを生ずることもない。

また第１図からも明らかなように、く字形に屈
曲できる排水管５を使用したこと、及び水槽１内
の上下の２箇所に排水管５の最大回転角度を規制
するためのストツパ１２，１３を突設して排水管
５が常にく字形を維持するようにしたことによ
り、水面の上下動に伴なうフロート２の横方向へ
の移動距離はごくわずかなものとなり、従来の１
本の排水管を使用したものに比較して設置面積を
小さくすることができ、しかも集水管３を挟んで
長手方向には平行な２本のフロート２を配置する
とともに、集水管３の両端部に左右一対の排水管
５を接続したので、水流の強い場所に設置しても
集水管３が捩られることもなく、蛇腹やフレキシ
ブルホース等を使用していないので耐久性にも優
れたものである。

（考案の効果） 本考案は以上の説明からも明らかなように、構
造簡単にして耐久性、水位への追随性に優れ、ま
た排水管の最大回転角度規制用のストツパーの作
用とも相俟つて設置面積を小さくすることがで
き、また駆動力を必要としない等の利点を有する
ものであるから、特に回分式活性汚泥法における
反応槽から上澄水を抜き取る集水装置として好適
なものである。しかし本考案の装置はこれ以外に
も各種の水槽から上澄水を抜き取る用途に広く利
用できるものであることは言うまでもない。よつ
て本考案は従来のフロート式集水装置の問題点を
解決したものとしてその実用的価値は極めて大で
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す一部切欠正面
図、第２図はその一部切欠側面図である。 １：水槽、２：フロート、３：集水管、５：排
水管、６：第１の回転継手、７：第２の回転継
手、８：第３の回転継手、９：固定排水管。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 集水管３を挟んで長手方向に平行に配置したフ
   ロート２により水面下に吊下げられた集水管３の
   両端部に、中央部が第１の回転継手６により連結
   されてく字状に屈曲できる左右一対の排水管５の
   上端部をそれぞれ第２の回転継手７を介して接続
   し、また各排水管５の下端部を第３の回転継手８
   を介して水槽１の底部又は側壁部に固定された固
   定排水管９に接続するとともに、水槽１内の上下
   の２箇所に排水管５の第１の回転継手６を挟んだ
   上下の部分に接してその最大回転角度を規制する
   ためのストツパー１２，１３を突設したことを特
   徴とするフロート式集水装置。