JPH0333997B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、溶融金属（溶湯）の撹拌に用いら
れる電磁撹拌装置に関する。

この種の電磁撹拌装置としては、コイルと、こ
のコイルの周囲に設けられた耐火断熱材からなる
誘導氏を保温炉内の溶湯の上方に設置し、コイル
が発生する進行磁界によつて溶湯を撹拌するもの
が知られている。このタイプの電磁撹拌装置は、
溶湯と誘導子が直接、接触することがないので、
高温下における溶湯と耐火断熱材との化学反応を
考慮する必要がなく、装置の信頼性が高いという
利点が得られる反面、次の様な問題点がある。す
なわち、このタイプの電磁撹拌装置上においては
誘導子が高温の溶湯の上方に設置されると共に、
内部のコイルの発熱もあり、したがつて、コイル
を強制的に冷却する必要がある。そして、この冷
却を行うために通常、コイルを中空銅線によつて
構成し、銅線内に冷却水を通水する。

ところで、コイルの短絡によるアークによつて
銅線の一部が欠損した場合、あるいは工作上避け
難い銅コイル同志の接続箇所の破断もしくは亀裂
が発生した場合等においては、銅線内部の冷却水
が漏水し耐火断熱材内部を通過して溶湯に落下
し、爆発事故を発生させる危険性がある。

この発明は上記事情に鑑み、冷却水の漏水を検
出して冷却水の通水を自動的に停止する機能を有
する電磁撹拌装置を提供するもので、耐火断熱材
の層内であつてコイルの下方に設けられた導電体
と、前記コイルと前記導電体との間の絶縁抵抗を
検出する検出回路とを具備し、前記検出回路の検
出結果に基づいて冷却水の通水を制御することを
特徴とする。

以下、図面を参照しこの発明の一実施例につい
て説明する。

第１図はこの発明の一実施例の構成を示す正断
面図、第２図は同実施例の構成を示す側断面図で
ある。これらの図において、１は誘導子であり、
保温炉２内の溶湯３の上方に設置されている。ま
た、第２図は誘導子１の側断面である。これらの
図において４は継鉄であり、その下部には一定の
間隔を置いてスロツトが形成され、このスロツト
内に中空銅線からなるコイル５が配置されてい
る。６は、前記継鉄４およびコイル５を覆う耐火
断熱材（セラミツクモールド）である。７は耐火
断熱材６の層内にあつて、継鉄４の下方に水平に
位置し、コイル５と電気的に絶縁された導電体で
あり、コイル５によつて発生する磁界中に設置さ
れるので、渦電流の発生を防止するため、第３図
に示すようにステンレス製の薄板を柵状に打抜い
て形成されている。なお、この導電体７として、
導電性線群を使用してもよい。また、８は誘導子
１を支持する支承腕である。

次に、第４図はこの実施例による電磁撹拌装置
に設けられた検出回路の構成を示す回路図であ
る。この図において、９は電源スイツチ、１０は
変圧器、１１は整流回路、１２はメータリレー付
電流計、１２ａは同電流計１２に設けられたリレ
ー接点である。１３，１４は電流計１２のフルス
ケールおよび感度を調整するための抵抗、１５は
リアクトル、１６はコンデンサ、１７，１８は端
子であり、この端子１７，１８に各々誘導子１に
設けられた、コイル５および導電体７間が接続さ
れている。ここでリアクトル１５およびコンデン
サ１６はコイル５および導電体７に流れる適用周
波数の交流電流を吸収するためのフイルタであ
る。また、１９はリレー、１９ａは同リレー接
点、２０はコイル５内に通流する冷却水をオン／
オフする電磁弁、２１はブザーである。

次に、上記回路の動作を説明する。冷却水の漏
水が発生していない状態においては、コイル５と
導電体７との間に電流が流れず、リレー接点１２
ａがオフ状態にある。この結果、リレー１９は通
電されず、リレー接点１９ａがオフ状態にある。
したがつて、電磁弁２０のソレノイドは励磁され
ず、弁が開状態にある。次に、漏水が発生する
と、コイル５と導電体７との間の絶縁抵抗が低下
し、コイル５と導電体７との間に電流が流れ、そ
して、この電流値が電流計１２に予め設定されて
いる設定値以上になると、リレー接点１２ａがオ
ンする。そして、リレー接点１２ａがオンすると
リレー１９が作動して接点１９ａがオンとなる。
これにより、電磁弁２０のソレノイドが励磁さ
れ、弁が閉じて冷却水の通水を停止させると同時
に、ブザー２１が鳴動して係員に警報を発する。

なお、コイル５と導電体７との間の絶縁抵抗
は、漏水が発生していない正常状態では、1MΩ
以上であるが、漏水が発生すると、それが僅かな
量であつても1KΩ程度に低下し、さらに漏水量
が多くなると20Ω程度にまで低下することが確認
されている。したがつて、第４図に示す検出回路
を用いて、前記抵抗値の変化を容易に検出するこ
とができる 以上、説明したようにこの発明によれば、耐火
断熱材の層内であつてコイルの下方に設けられた
導電体と、前記コイルと前記導電体との間の絶縁
抵抗を検出する検出回路とを設け、前記検出回路
の検出結果に基づいて冷却水の通水を制御するよ
うにしたので、漏水が発生した場合にそれを検知
して冷却水の通水を停止させることができ、冷却
水が溶湯に落下し、爆発するという危険を回避す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この発明の一実施例による電磁撹拌
装置の誘導子の構成を示す正断面図、第２図は回
誘導子の側断面図、第３図は第２図における導電
体７の形状を示す平面図、第４図は同電磁撹拌装
置の検出回路の構成を示す回路図である。 ５……コイル、６……耐火断熱材、７……導電
体、１２……電流計、１２ａ……リレー、２０…
…電磁弁。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 冷却水が通水される中空銅線からなるコイル
   と、このコイルの周囲に設けられた耐火断熱材と
   からなり、保温炉内の溶湯の上方に設置される誘
   導子を有する電磁撹拌装置において、 前記耐火断熱材の層内であつて、前記コイルの
   下方に設けられた導電体と、 前記コイルと前記導電体との間の絶縁抵抗を検
   出する検出回路とを設け、 前記検出回路の検出結果に基づいて、前記冷却
   水の通水を制御することを特徴とする電磁撹拌装
   置。