JPH0326273Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はターボチヤージヤを備えたエンジンの
潤滑システムにおけるターボチヤージヤの潤滑油
戻し装置に関する。

（従来技術及びその問題点） この種潤滑システムは、エンジン本体の潤滑油
貯溜部（オイルパン、クランクケース）の潤滑油
を、オイルポンプによつてターボチヤージヤの軸
受部に強制供給し、軸受部潤滑後の潤滑油をその
自重を利用しオイル戻しパイプを経て前記潤滑油
貯溜部に戻すように構成されているのが一般であ
る。

ところで自動車用エンジン、特にキヤブオーバ
型車用エンジンにおいては、エンジン搭載上、エ
ンジン本体を傾斜して配置しなければならない場
合がある。この場合にはターボチヤージヤの軸受
部下方に設けたオイル戻し口と前記潤滑油貯溜部
の油面との間の落差（第１図にＨで示している。）
を十分に大きくとれないのが実状である。従つ
て、前記オイル戻し口から前記潤滑油貯溜部への
潤滑油のスムースな流れが損なわれ易い。

特に第４図に示すように、ターボチヤージヤの
軸受部の下方に、側面にオイル戻し口ａを有する
有底孔ｂを形成し、前記オイル戻し口ａに挿着さ
れるオイル戻しパイプｃを通じて前記軸受部の潤
滑油をその自重を利用して前記潤滑油貯溜部に戻
すように構成したものにおいては、潤滑油の戻し
をスムースに行うことは極めて困難になる。

第４図に示す従来例では、有底孔ｂの底面に落
下した潤滑油がその反動で盛り上がり、オイル戻
しパイプｃを閉塞するような状態で流れるので、
前述のように前記落差が小さい場合には、潤滑油
の流れがスムースでなくなるという問題がある。
この結果、前記軸受部に潤滑油が充満し易く、排
気タービン側に潤滑油が漏れて白煙が発生するな
どの不具合が生ずる。

かかる不具合を解消するためには、例えば実開
昭59−68135号公報に示されるように、オーバー
フロー通路などを付設することが考えられるが、
この場合には構造が複雑になつてコストアツプを
招くという問題がある。

（考案の目的） 本考案は上記問題点を解消することを目的とす
る。

（考案の構成） 本考案は上記目的を達成するため、ターボチヤ
ージヤの軸受部の下方に、側面にオイル戻し口を
有する有底孔を形成し、前記オイル戻し口に挿着
されるオイル戻しパイプを通じて前記軸受部の潤
滑油をその自重を利用してエンジン本体の潤滑油
貯溜部に戻すように構成したターボチヤージヤの
潤滑油戻し装置において、前記オイル戻しパイプ
の挿着端部に先端側が上方に屈曲する樋形状のガ
イド部を前記オイル戻しパイプと一体に突設し、
このガイド部が前記有底孔内に突入するように構
成したことを特徴とする。

（実施例） 以下本考案を第１図乃至第３図に示す実施例に
基き具体的に説明する。

第１図において、１は傾斜状態に配したエンジ
ン本体で、そのオイルパンを潤滑油貯溜部２とし
ている。前記オイルパン２の潤滑油はオイルポン
プ３によつて吸い上げられ、ターボチヤージヤ供
給管４を経てターボチヤージヤ５の軸受部６に強
制供給される。

軸受部６の下方にはドリルによつて有底孔７が
形成されている。又この有底孔７の側面にはオイ
ル戻し口８が形成されている。

９は一端（挿着端部）１０が前記オイル戻し口
８に挿着され、他端が前記オイルパン２に接続す
るオイル戻しパイプである。このオイル戻しパイ
プ９の挿着端部１０には、第２図及び第３図に示
すように、先端側が上方に屈曲する樋形状のガイ
ド部１１が突設されている。（１２は屈曲用切欠
である。）。そして第２図に示すように、オイル戻
しパイプ９を前記オイル戻し口８に挿着したと
き、前記ガイド部１１が有底孔７内に突入し、軸
受部６から落下してくる潤滑油を矢印方向に導き
オイル戻しパイプ９に流入する潤滑油に初速度を
与えるように構成している。

前記軸受部６から排出される潤滑油は、その自
重によつて、有底孔７、オイル戻し口８及びオイ
ル戻しパイプ９を経てオイルパン２に戻る。

前記戻し口８とオイルパン２の潤滑油油面との
落差Ｈは、第１図に示すように、エンジン本体１
が傾斜して配されている関係上、大きくとれない
が、前記ガイド部１１によつて軸受部６から排出
される潤滑油をオイル戻しパイプ９に円滑に導く
ことができ（第２図参照）、しかも潤滑油に初速
度を与えるので、潤滑油のオイルパン２への戻し
をスムースに行うことができる。

本考案は上記実施例に示す外、種々の態様に構
成することができる。例えばガイド部１１の形状
は上記実施例に示すものに限定されず、その周辺
形状を半楕円形として、周辺が有底孔７の内周面
に略全長に亘つて接触するように構成することな
どが可能である。

（考案の効果） 本考案は上記構成を有するので次のような効果
を奏することができる。

オイル戻しパイプの挿着端部に突設したガイ
ド部の働きによつて、軸受部から排出される潤
滑油をオイル戻しパイプにスムース且つ初速度
を与えて導くことができるので、ターボチヤー
ジヤの潤滑油戻し口と潤滑油貯溜部の油面との
間の落差が小さい場合でも、潤滑油の戻しをス
ムースに行わせることができる。この結果、従
来例における白煙の発生などの問題を解消する
ことができる。

従来の潤滑油戻し装置と比較しても、オイル
戻しパイプの挿着部にガイド部を前記オイル戻
しパイプと一体に突設したという点にしか構造
上の相違点がないので、構造が簡単で低コスト
で製造できるという効果がある。

で述べた効果を得るために、前記有底孔の
底面の形状を傾斜面に形成することが考えられ
るが、かかる形状の有底孔を形成する加工は複
雑で、コストアツプを招くことを考慮すると、
上述のように本考案はコスト面で極めて有利で
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例のシステムを示す概略
図、第２図はその要部の縦断面図、第３図はその
オイル戻しパイプの挿着端部を示す斜視図、第４
図は従来例の要部の縦断面図である。 １……エンジン本体、２……潤滑油貯溜部、５
……ターボチヤージヤ、６……軸受部、７……有
底孔、８……オイル戻し口、９……オイル戻しパ
イプ、１０……挿着端部、１１……ガイド部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ターボチヤージヤの軸受部の下方に、側面にオ
   イル戻し口を有する有底孔を形成し、前記オイル
   戻し口に挿着されるオイル戻しパイプを通じて前
   記軸受け部の潤滑油をその自重を利用してエンジ
   ン本体の潤滑油貯溜部に戻すように構成したター
   ボチヤージヤの潤滑油戻し装置において、前記オ
   イル戻しパイプの挿着端部に先端側が上方に屈曲
   する樋形状のガイド部を前記オイル戻しパイプと
   一体に突設し、このガイド部が前記有底孔内に突
   入するように構成したことを特徴とするターボチ
   ヤージヤの潤滑油戻し装置。