JPH0325767Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は樹脂製人工歯等の歯科補綴物に関し、
特に局部床や全部床義歯に用いられる人工歯や、
冠あるいは架橋体（架工義歯）等の歯冠補綴物、
いわゆる人工歯等の歯科補綴物に関するものであ
る。

［従来の技術］ 従来の樹脂製人工歯はその咬合面が摩耗しやす
く咬合が不安定であるとともに、咬合が低位にな
る等の不都合を来たしたり、摂取した食物を噛み
切つたり、すりつぶす機能等、いわゆる咀嚼機能
が損なわれ、代替食物摂取機関として満足すべき
性能が得られなかつた。

このため人工歯および歯冠補綴物製造原料樹脂
の中に陶材などの小塊を混入させて耐摩耗性をも
たせたものが実開昭54−99397号公報で提案され
ている。また咬合面に金属を貼付ける等の技術が
考案されているが、期待される効果が得られてい
ない現状である。

前記従来公報のものにおいては咬合面の硬さ
や、耐摩耗をやや向上できるものの人工歯全体が
陶材などの小塊によつて補強されているため樹脂
の弾性による機能が損なわれ、結果的に咬合圧に
よる刺激に対する緩衝機能が欠除される。また人
工歯に埋入された小塊によつても咬合面の噛み切
る等の咀嚼機能には、いまだ不十分であつた。ま
た咬合面に金属を貼り付ける方法は、咬合調整を
行ない難い面があつた。

さらに、合成樹脂材製人工歯本体の成型時に、
その内部に人工歯の平面形状に略合せて人工歯よ
りやや小さい筒型に形成した陶材製埋設体を埋設
し、その周側縁部のＥ字形上面部を合成樹脂材製
人工歯本体の咬合面部に露出させ固着用溝を有す
る底部に合成樹脂材が融着固定する如く一体に成
型した人工歯が実公昭57−19132号公報で提案さ
れている。

［考案が解決しようとする課題］ 上記従来技術においては、陶材製埋設体は人工
歯の平面形状に略合せた筒型に成形されているの
で、臼歯にしか使用できないと共に人工歯の成型
時にしか埋設できないという制約がある上、人工
歯の成型時における陶材製埋設体の位置決めが困
難であると同時に成型加圧時に陶材製埋設体が壊
れやすいという製造上の難点があり、このため埋
設体上面部を咬合面部に正確に露出させることが
できない。また、人工歯の咬合面部には埋設体の
Ｅ字形上面部が線状に表われるため噛み切る機
能、すりつぶす機能が不十分であり、さらに陶材
製埋設体の占有面積が大きいため合成樹脂による
緩衝機能も低下するという問題があつた。

そこで本考案は製造が容易であるとともに、樹
脂製人工歯等の特徴である緩衝機能や、咬合調節
性や審美性を損う事なく、代替食物摂取機関とし
ての優れた咬合機能、咀嚼機能を果たし、併せて
咬合調整や、審美性を満足する人工歯等の歯科補
綴物を提供することを目的とする。

［課題を解決するための手段］ 本考案は樹脂製人工歯等の歯科補綴物にセラミ
ツク製棒材を、前記セラミツク製棒材の上端部が
樹脂製人工歯等の歯科補綴物の咬合面の高所に表
われるようにして、前記人工歯等の歯科補綴物の
軸方向に埋設して構成される。

［作用］ 本考案は樹脂製人工歯等の歯科補綴物にセラミ
ツク製棒材を軸方向に埋設するものであるためセ
ラミツク製棒材の位置決めが簡単であり、容易に
製造することができる。またセラミツク製棒材の
上端が歯科補綴物の咬合面の高所に点状に表出し
ているため噛み切る等の咀嚼機能を促進する。ま
たセラミツク製棒材の占有面積が小さいため樹脂
製人工歯等の歯科補綴物の特徴である弾性を損う
ことなく緩衝機能を促し、さらに、咬合調整の為
樹脂製人工歯等の歯科補綴物の咬合面を切除して
もセラミツク製棒材端が表われ同様な機能が得ら
れるので咬合調整が容易であるとともに審美性に
も優れた人工歯等の歯科補綴物の製品が得られ
る。さらに、セラミツク製棒材は前歯と臼歯とに
使用できるとともに、セラミツク製棒材はこれを
歯科補綴物の成型時に埋設したり、また成型後加
熱手段または超音波手段により埋設することがで
き製造が容易である上、人工歯等の所望箇所にセ
ラミツク製棒材を適切に埋設できる。

［実施例］ 以下、本考案の実施例を添付図面を参照して説
明する。

第１図および第２図において、１はポリサルホ
ン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、
エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の高分子樹脂から
なる臼歯を示す樹脂製人工歯であり、この樹脂製
人工歯１の四方にはセラミツク製棒材２がそれぞ
れ前記人工歯の軸方向に埋設されている。この場
合セラミツク製棒材２の上端面２Ａは樹脂製人工
歯１の咬合面１Ａの高所に表出している。またセ
ラミツク製棒材２を樹脂製人工歯１に埋設するに
は人工歯１の成型時にセラミツク製棒材２を埋設
してもよくあるいは成型後加熱手段または超音波
手段により埋設してもよく、その埋設を行う工程
は適宜選定できる。また成型加圧時においてもセ
ラミツク製棒材２が壊れることがなく安定した製
造が可能である。

このように構成された樹脂製人工歯１は、セラ
ミツク製棒材２の上端面２Ａが咬合面１Ａの高所
に点状に表出しているため、咬合面１Ａの耐摩耗
性が良好であるとともに、その表出した上端面２
Ａがスパイクのようになり食物を良好に噛み切る
ことができる。またセラミツク製棒材２の占有面
積が小さいため樹脂の弾性による緩衝機能が得ら
れ、咬合圧による刺激に対する緩衝が良好であ
る。さらにセラミツク製棒材２は樹脂製人工歯１
と同色または透明色であるため咬合面１Ａに表出
した端面２Ａが迷彩され審美性に優れている。ま
た咬合調整が可能であるため局部床から総義歯
床、冠、架橋体等の歯冠補綴物まで広く適用でき
る。さらに、床材料と同一の素材、もしくは、床
材料と親和性のよい素材からなる上記機能を備え
た人工歯を選ぶことができる為、床との接合力に
優れ、なおかつ機能向上が望める。

さらに咬合調整の為樹脂製人工歯１の咬合面１
Ａを切削した場合においても咬合面１Ａには切削
されたセラミツク製棒材２の上端面２Ａが表出す
るため、上述した耐摩耗性、緩衝機能および噛み
切り機能が同様に得られる。また棒材２は人体と
馴染みの良いセラミツクを用い色も天然歯と同等
で審美性に優れ金属製材料にみられるような腐食
による異害性や審美性を損うことがない。

第３図は他の実施例を示しており、前歯を示す
樹脂製人工歯１にはセラミツク製棒材２がやや傾
斜して前記人工歯の軸方向に埋設されている。ま
たセラミツク製棒材２は下端が先細状に形成され
ている。そして、この実施例においても上記実施
例と同様に、咬合面１Ａの耐摩耗性、噛み切り機
能、緩衝機能、咬合調整並びに審美性に優れてい
る。

なお本考案は上記実施例に限定されるものでは
なく本考案の要旨の範囲内において種々の変形実
施が可能である。例えば樹脂製人工歯１等の歯科
補綴物の樹脂の種類は適宜選定すればよく複合材
料を用いてもよい。またセラミツク製棒材２の材
質はアルミナセラミツク等を適宜選定すればよく
例えばセラミツク材料に骨又は歯の細粒等を加え
て焼成したもの等を使用してもよい。またセラミ
ツク製棒材２の数、断面形状、寸法等は適宜選定
すればよい。また上記実施例では人工歯を例にし
て説明したが冠または架橋体等の歯冠補綴物に巾
広く適用できる。

［考案の効果］ 本考案は樹脂製人工歯等の歯科補綴物にセラミ
ツク製棒材を、前記セラミツク製棒材の上端部が
樹脂製人工歯等の歯科補綴物の咬合面の高所に表
われるようにして、前記人工歯等の歯科補綴物の
軸方向に埋設してなり、前記及び臼歯に使用で
き、食物を噛み切つたり、すりつぶす機能を著し
く向上させ、また歯科補綴物の製造時又は製造後
にセラミツク製棒材を埋設でき製造が容易である
とともに、樹脂製人工歯等の特徴である緩衝機能
や、咬合調節性や審美性を損う事なく、代替食物
摂取機関としての優れた咬合機能、咀嚼機能を果
たし、併せて咬合調整や、審美性を満足する人工
歯等の歯科補綴物を提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本考案の一実施例を示
し、第１図は斜視図、第２図は一部切欠斜視図、
第３図は他の実施例を示す斜視図である。 １……樹脂製人工歯、１Ａ……咬合面、２……
セラミツク製棒材、２Ａ……上端面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 樹脂製人工歯等の歯科補綴物にセラミツク製棒
   材を、前記セラミツク製棒材の上端部が樹脂製人
   工歯等の歯科補綴物の咬合面の高所に表われるよ
   うにして、前記人工歯等の歯科補綴物の軸方向に
   埋設してなることを特徴とする人工歯等の歯科補
   綴物。