JPH032285Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は医療用の各種器具を洗浄及び滅菌処理
するための洗浄装置に関し、特に中小医院向の小
型洗浄装置に関する。

〔従来技術〕

使用済の医療器具の洗浄及び滅菌装置は大病院
向の大型の洗浄装置や、高温・高圧蒸気を用いた
オートレクレープと呼ばれる滅菌装置が提供され
ている。これらは処理量も多く、大形高価であ
り、中小医院には不向である。

現在多くの中小医院では昔ながらの手洗い、煮
沸消毒により簡便に処理されているのが実情であ
る。しかしながらこのような処理方法は人件費が
かかること、まとめ洗いがされるので不衛生状態
で放置されやすいこと、煮沸消毒では滅菌が不充
分であり、完全滅菌には長時間を要すること等の
問題点がある。中小医院では医師・歯科医師の数
も少なく、従つて看者数も少ないところから小型
の装置で設置場所を選ばず、低価格の洗浄装置が
望まれていた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

本考案は上記中小医院等に於ける従来処理方法
の問題点を解決したもので、洗浄及び滅菌を同一
容器内でシーケンシヤルに実行することにより小
型・低価格の洗浄装置を提供することを目的とす
る。本考案の他の目的は、医療器具に応じて洗浄
装置内での格納が容易かつ洗浄効率のよい洗浄装
置を提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

このような目的を達成する本考案は、ラツク内
に収容された医療機器に対し、高圧ジエツト噴流
による洗浄工程と、純水によるすすぎ工程と、高
温高圧蒸気による滅菌工程と、温風による乾燥工
程の４工程を同一容器内でシーケンシヤルに実行
する医療用洗浄装置において、次の構成としたも
のである。

即ち、前記ラツクは、ピンセツト、鉗子等の大
物を固定格納する金具を有する大物入れと、ヤス
リ等の小物を保持する保持具を有する小物入れと
に仕切られていると共に、この側面と底面は洗浄
水や蒸気等が自由に通過可能な網状であることを
特徴としている。

〔作 用〕

本考案の各構成要素はつぎの作用をする。ラツ
クに収容された医療器具は、まず洗浄工程で線材
のジエツト噴流で洗われ、すすぎ工程で純水です
すがれた後、滅菌工程及び乾燥工程で滅菌・乾燥
される。これら４工程は同一容器内においてシー
ケンシヤルに実行される。

医療器具は大物か小物かによつて、ラツク内の
大物入れ若しくは小物入れに金具若しくは保持具
で固定されている。側面と底面を網状にしている
ので、洗浄や滅菌が確実に行える。このラツクは
前述した容器内に設置される。

〔実施例〕

以下図面により本考案の一実施例を説明する。
第１図は医療器具の洗浄、滅菌、乾燥、収納のサ
イクルの流れを示すブロツク線図であり、クリー
ンペンチ等の収納場所１内より取出された器具は
治療工程２で使用され洗浄、滅菌処理の対象とな
る。３は前準備工程でラツク内への器具の収納、
ブラシ等によるやすり類の目づまり除去を行な
う。

点線のブロツク４の洗浄工程、５のすすぎ工
程、６の滅菌工程、７の乾燥工程の４工程は、本
考案の対象部分であり、同一容器内においてシー
ケンシヤルに実行される。洗浄工程４において４
０１は予備洗浄、４０２は洗剤投入、４０３は本
洗浄の各処理を示し、高圧ジエツト噴流により洗
浄される。すすぎ工程５において５０１は５０２
よりの純水の噴射注入によるすすぎ処理を示す。
滅菌工程６において６０１は６０２よりの高温、
高圧蒸気による滅菌処理を示す。乾燥工程７にお
いて７０１は７０２よりの温風による乾燥工程を
示し、この工程が終了したものが収納場所１に移
動収納される。

第２図は本考案装置の概略構成を示す正面図で
あり、８は本考案装置が収容される容器で、上面
の蓋部８０１、円筒二重缶体８０３を主体とする
上部室８０２、下部室８０４よりなり、円筒二重
缶体８０３内には取出し可能なラツク９が収納さ
れている。下部室８０４内には図示されていない
が洗剤タンク、純水タンク、蒸気供給装置、温風
供給装置、ポンプ、真空装置、排水装置、シーケ
ンス制御手段等が収納されている。１０，１１は
給水、排水管を示す。１２は蓋部の裏面に取付け
られた洗浄水、すすぎ水の噴射機構、１３は上部
室８０２の底部に設けた同様な洗浄水、すすぎ水
の噴射機構である。

第３図はラツク９の構成を示す斜視図であり、
大物入れ９０１と小物入れ９０２に仕切られてい
る。１５はピンセツト、鉗子等の大物、１６はこ
れらをラツク内に固定収納する金具、１７はヤス
リ等の小物入、１８は小物を保持する保持具であ
る。ラツク９の側面、底面は９０３で示すごとく
網状に構成され、洗浄水、蒸気等が自由に通過可
能となつている。好ましくは、洗浄される医療器
具を点で支持するような保持機構を大物入れ９０
１と小物入れ９０２に設けると、より衛生的にな
る。

第４図は本考案装置の正面の一部を切欠いて示
した容器の斜視図であり、蓋部８０１を開き、ラ
ツク９を上部室８０３の円筒二重缶８０２内に格
納した状態を示す。８０５はラツク挿入、取出し
用の穴、８０６は前準備工程においてヤスリ等の
目づまり除去を行うための挿入穴で、上部室８０
３内に取付けられた一対の回転ブラシ１４により
挿入されたヤスリ等の目づまりを除去する。

次に本考案装置の機能と動作を第５図のブロツ
ク線図、第６図のタイムチヤートにより説明す
る。洗浄と滅菌空間はラツク９を収納した円筒二
重缶８０２であり、蓋部及び上部室底部の噴射機
構１２及び１３よりの高圧ジエツト噴流１５，１
６を空間内に導入する機能を有する。１７は洗浄
水供給装置で、60℃〜70℃に昇温したお湯を供給
する機構と噴射機構１２，１３へ洗浄水を高圧送
水するポンプと、洗剤を湯に供給する機構とより
なる。１８はすすぎ水供給装置で、純水タンクと
純水を噴射機構１２，１３へ高圧送水するポンプ
よりなる。１９は滅菌用の高温高圧蒸気２０の噴
射機構で、130℃で２気圧の蒸気を８０２内に一
定時間（約30秒）供給する機能を有する。２１は
蒸気発生装置でボイラ手段、蒸気供給用制御弁と
よりなる。２２は真空装置であり、滅菌用蒸気の
供給に先立つて空間８０２内の空気２３を引き抜
く機能を有する。２４は排水装置で、滅菌用蒸気
の供給に先立つて空間８０２内の洗浄、すすぎ水
２５を排水させるためのポンプ機能を有する。２
６は乾燥用の温風２７を空間８０２内に供給する
温風噴射機構、２８はヒータ及びポンプよりなる
温風供給装置である。２９は上記各装置１７，１
８，２１，２２，２４，２８の動作のタイミング
と動作時間を含めた装置全体の管理を行なうシー
ケンス制御装置、３０はこのシーケンス制御装置
に動作タイミング、動作時間等を設定する設定装
置である。

第６図は動作のシーケンスを示し、Ａは時刻t₁
で一定時間発生するスタート信号、Ｂはt₁に同期
してt₃までの一定時間発生する予備洗浄信号で、
この期間に洗浄水が噴射機構１２，１３を介して
洗浄水供給装置１７より空間８０２内に供給され
る。Ｃはt₁より一定時間遅れてt₂よりt₄までの期
間に発生する本洗浄信号で、この期間内は洗浄水
中に洗剤が供給される。Ｄはt₄のタイミングに同
期してt₅までの一定期間発生するすすぎ信号で、
この期間に噴射機構１２，１３を介してすすぎ水
供給装置１８より空間８０２内に純水が供給され
る。Ｅはt₅のタイミングに同期してt₆までの一定
時間発生する真空、排水信号で、真空装置２２、
排水装置２４を駆動し空間８０２内より湿つた空
気、残水を排出させる。Ｆは滅菌用蒸気信号で、
t₆のタイミングに同期して蒸気供給装置２１より
蒸気噴射機構１９を介して高温高圧蒸気空間８０
２内に供給される。この蒸気の圧力が２気圧、温
度が130℃になつたタイミングt₇より一定時間通
常は30秒間接続させてt₈のタイミングまで供給す
る。２気圧、130℃は大腸菌が完全に死滅する気
圧、温度として一般のオートクレーブで標準化さ
れている数値である。Ｇはt₈のタイミングより一
定時間t₉までの期間に発生する乾燥用温風信号
で、温風供給装置２８より温風噴射機構２６を介
して空間８０２に温風を供給してラツク内の器具
を完全に乾燥させる。Ｈはt₉のタイミングよりt₁₀
まで発生する終了信号で、この信号により一連の
シーケンスは終了し、適当な手段（ブザー，ラン
プ）により洗浄、滅菌処理の終了が報知される。

〔効 果〕

以上説明したように、本考案によれば次のよう
な実用上の効果がある。

同一容器内において、ラツク内の医療器具に
対して洗浄、滅菌、乾燥の各工程をシーケンシ
ヤルに実行でき、装置全体をコンパクトにまと
めることができるので、スペース的に中小医院
にも洗浄装置を導入することが可能になる。

本考案装置は高温高圧蒸気による滅菌工程を
含んでおり、従来の大形のオートクレープと同
一機能を有するので、煮沸消毒と比較して短時
間で完全な滅菌処理ができる。しかも洗浄も同
時に行うので、従来の処理方式に比較して人件
費も極めて安くでき、また医療従事者の作業負
荷が軽減される。

医療器具はラツク内に設けた大物入れや小物
入れに収容された状態で洗浄・滅菌されるの
で、洗浄装置内での医療器具の格納が容易にな
り、かつ洗浄効率が良好になると共に、器具放
置による不衛生の問題も解決される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案装置の処理工程を示すブロツク
線図、第２図は本考案装置の概略構成を示す正面
図、第３図は医療器具を収納するラツクの斜視
図、第４図は本考案装置の一部を切欠いて示した
斜視図、第５図は本考案装置の機能を説明するブ
ロツク線図、第６図は動作を説明するタイムチヤ
ートである。 ４……洗浄工程、５……すすぎ工程、６……滅
菌工程、７……乾燥工程、８……容器、８０２…
…円筒二重缶、９……ラツク、１２，１３……洗
浄液及びすすぎ液噴射機構、１９……蒸気噴射機
構、２６……温風噴射機構、２９……シーケンス
制御装置。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ラツク内に収容された医療機器に対し、高圧ジ
   エツト噴流による洗浄工程と、純水によるすすぎ
   工程と、高温高圧蒸気による滅菌工程と、温風に
   よる乾燥工程の４工程を同一容器内でシーケンシ
   ヤルに実行する医療用洗浄装置において、 前記ラツクは、ピンセツト、鉗子等の大物を固
   定格納する金具を有する大物入れと、ヤスリ等の
   小物を保持する保持具を有する小物入れとに仕切
   られていると共に、この側面と底面は洗浄水や蒸
   気等が自由に通過可能な網状であることを特徴と
   する医療用洗浄装置。