JPH0322358B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は船舶の推進および１次船首波を減殺
し、船舶を操舵し、また船舶の横揺れ姿勢を制御
するための水ジエツトの利用に関する。

米国特許第3977353号にジエツト・チユーブの
放出端が船尾にあつてジエツト・チユーブの入口
端と軸方向に整合している、船舶用水ジエツト
（噴流）推進系が開示されている。

米国特許第3601989号にジエツトが２段ポン
プ・インペラにより駆動されるボート用ジエツト
推進系が開示されている。水の取入口は船底と同
一平面にある。このことは水の取入口から水を吸
い上げるためには、ポンプ・インペラがその仕事
エネルギの約２分の１を浪費しなければならない
ことを示している。

本発明では水を船底からではなく船の左舷、右
舷の前方にある前向きの取入口から取入れるの
で、このようなエネルギの損失を伴わない。

米国特許第3155065号にスタビライザすなわち
横揺れ防止装置を含む、船舶用ジエツト推進系が
示されている。安定用の偏向水が船体の中に吸込
まれる。これに対して本発明では、船外の後方に
向く船側ジエツトの中で偏向板（デフレクタ）を
操作することにより横揺れ防止効果が得られる。
更に本発明では船に横揺れ防止、すなわち安定力
を与えるように、船側ジエツト用の水が船首下部
の取入口から船底の排出口に向けて末広がりの湾
曲通路の中を流れる。

米国特許第2636467号には船舶用水ジエツト推
進装置が開示されている。ジエツト流路は見るか
らに非効率な設計のシユラウド付き拡大型プロペ
ラを収容している。ジエツト流路に、プロペラの
後方に円錐形の収縮管部分が設けられている。こ
れ対して本発明では、回転型収容管シユラウドの
中に軸流型低損失インペラ羽根を取付けることに
より、収縮管とインペラとの両部分を組合せてあ
る。

全体として関連性のある他の米国特許には下記
のものがある。

4051801 3276415 4031844 3266733 3969891 3155071 3930367 3137265 3826218 3114239 3782320 3105353 3589325 3082732 3482402 2832305 3465705 2664700 3388684 1800408 3342032 1543026 本発明は船首の水面下取入口から吸込んだ水流
を加速して船側および船底の排出口から船尾に向
けて放出することにより効率的な船舶用ジエツト
推進・安定化装置を与える。水流を加速する時の
反力は推力ベアリングにより船体に伝えられ、船
の前進運動の運動エネルギに転換される。

すなわち、本発明によれば、船体と、船首の左
舷および右舷の船側にある前方を向く推進用の取
水口と、前記取入口に軸流状に連通している軸流
型のポンプ・インペラと、前記ポンプ・インペラ
を駆動する駆動装置と、前記ポンプ・インペラの
出口側に連通しているダクト状受承装置とを具備
し、前記ダクト状受承装置は前記船体の底部外側
に隣接して配置された後方に向く船底ジエツトノ
ズルで終結する縦方向に延在し下方に湾曲したダ
クトと、船体側面外側に隣接して配置された後方
に向く船側ジエツトノズルで終結する横方向外方
に湾曲したダクトとを含み、前記ポンプ・インペ
ラは前記出口側の直径が前記取入口に面する側の
直径よりも短くなつている、船舶用ジエツト推
進・安定化装置が与えられる。

本発明の実施例によれば、船の両側に推進ジエ
ツトの放出ダクト内に調整自在の偏向板が設けら
れ、これら偏向板を制御して調整するための装置
が設けられる。偏向板は船の横揺れ運動に対抗す
るための上方および下方の反力を与えるように制
御される。横揺れの大きさ（角度）および速さ
（角速度）の両方を感知する振子装置により横揺
れ防止制御が与えられる。横揺れ運動が始まつた
瞬間に横揺れ防止制御を開始して制御作用の最大
作動時間を与えるために、横揺れ速さの制御機能
を船側ジエツト偏向板の制御の主機能としてい
る。

本発明の軸流型推進ポンプは装置内の力学的損
失の最少状態で水流を生じる。ポンプ・インペラ
は、回転式収縮管シユラウドの外周に結合された
リング状スプロケツトに係合する、リンク（連接
棒）とローラとから成る駆動チエーンにより回転
駆動される収縮管シユラウドの中に取付けられた
低損失インペラ羽根により構成される。ラビリン
ス型水封シールがポンプの入口端および出口端に
取付けられ、ポンプ・シユラウドの入口端と出口
端とに取付けられたシーリング・ストリツプ（水
封帯板）と組合せになつている。以下に添付図面
を参照しつつ、実施例を用いて本発明の詳細を記
載する。

(1) ジエツト推進系の方法および装置 船１０に濾過網で蔽われた１対の推進用水の
取入口１２，１４が設けられ、これらがダクト
１６，１８に連通している。これらのダクト１
６，１８は入口部分２０、インペラ・ハウジン
グ２２、すなわちシユラウド、上方水ダクト２
４、および下方水ダクト２６を含んでいる。ダ
クト２４は外方かつ後方へ彎曲して、インペ
ラ・ハウジング２２と外方の船側ジエツト・ノ
ズル２８とを連通させる。ダクト２６は下方か
つ後方へ彎曲して、インペラ・ハウジング２２
と内方の船底ジエツトノズル３７とを連通させ
る。

インペラ・ハウジング２２は、構造支持部材
３４に取付けられた減摩スラスト軸受装置３２
と構造支持部材３８に取付けられた減摩整合軸
受装置３６とにより回転自在に取付けられ、水
の流路に関して上流側から下流側に向けて直径
が短くなつた、つまり直径が収縮した形状のシ
ユラウドを含んでいる。

羽根４２を有するインペラ４０（第６Ａ図お
よび第６Ｂ図）は回転自在のハウジングすなわ
ちシユラウド２２に固定されている。これらの
インペラが装置内水流の力学的損失を最小限に
する軸流推進ポンプを構成する。

インペラ４０を駆動する装置は、たとえば、
ガスタービン原動機４４、同原動機に駆動され
る減速歯車装置４６、減速歯車装置４６によつ
て駆動される駆動スプロケツト４８、スプロケ
ツト４８とインペラ・シユラウド２２上に形成
されているかまたはそれに取付られたスプロケ
ツト５２とを連結する駆動チエーン５０等を含
む。

船底ジエツトノズル３０には、船の操舵する
ために操舵装置５３によつて垂直軸回りに合同
して枢動し得る複数の船首操舵要素５４が設け
られる。

船側ジエツトノズル２８には船の横揺れ防止
安定のための、後述する装置の制御の下で、水
平軸回りに枢動し得るように取付けられた偏向
板要素56が設けられる。

船の速度を制約する１次船首波を減殺するた
めに、船の最高負荷速度に近い流速にて水を船
首において吸入するようにジエツト駆動系が働
く。推進ポンプ、すなわちインペラは水流を加
速して推進力を生ずる。排出ダクト２４，２６
はインペラ後方で、推進ポンプの前向き反作用
を減殺するような反力をダクト壁に与えること
なく水の流速を下げるように機能する形状をと
つている。船側および船底の推進ジエツト全体
の設計断面積は、船の所要航行速度に近い平均
出口ジエツト流速を与えるようにしてある。こ
れにより、船が横切る水に対して噴出流の残留
水力エネルギが実質的にゼロになり、その結
果、推進のための損失は最小に流体力学効率は
最大になることが確実となる。

ジエツト推進中の船の横揺れにより、推進用
水は軸流ポンプから外方かつ後方へと推進ジエ
ツトノズルに向けて流れる時、遠心力を与えら
れる。この付加された遠心力はポンプが押出し
た水の運動エネルギを増して、船体に伝わる推
進力に寄与する。これは航路の波のエネルギの
一部を有効に利用するための斬新な方法である
と思われる。

(2) 安定系 船の安定度は船側推進ジエツト２８の中に偏
向板５６を用いることにより大幅に高められ
る。偏向板５６をその水平枢動軸の回りに枢動
させるための連接機構６０を介して油圧圧作動
筒、すなわちポジシヨナ５８によつて偏向板５
６が位置決めされて、航行中の船の横揺れに対
抗する上向きまたは下向きの反力を生ずる。右
舷への横揺れに自動的に対抗するために、右舷
偏向板を押下げて左舷への逆向きモーメントを
生ずるとともに左舷偏向板は左舷へのモーメン
トを増加するように押上げられる。左舷への横
揺れに対しては船側ジエツト偏向板５６の逆操
作により同様に対抗する。

船の横揺れ、すなわち船の浮力の長手方向軸
線の回りの船の運動により、ジエツト推進ダク
ト部と同ダクト内の水とは船の浮力の長手方向
軸線の回りに同様に回転することになる。それ
によりダクト部の中の大量の推進用水に与えら
れた遠心力は、水の流体力学エネルギーを増大
させるが、これは船側ジエツト偏向板の配置に
より増大する。この付加的な流体力学エネルギ
は推進ポンプにかかる吐出側の背圧を減じて、
ジエツトのエネルギを増すか、またはポンプの
エネルギー負荷を軽減する。

ポジシヨナ５８は油圧ライン６２，６４を介
して操作され、油圧ラインはチエンジオーバ弁
６６に制御され、さらに同弁は以下に記載され
る制御系に制御される。

制御系装置の感知要素は隔壁の永久的構造部
材７２（第８Ａ図）に取付けられたピン７０に
枢動自在に取付られた振子６８であり、ピン７
０は船の前後方向中心線に平行に配置されてい
る。この振子と船との間の枢動関係により、船
の横揺れ作用が始まつた時に振子は静止を保つ
ことができる。

円弧状の較正用分度器７４が支持装置７６に
より永久的隔壁部材に固定され、分度器７４は
上方振子部材８０に固定された横揺れ扇車７８
の目盛と正確に整合している。横揺れ扇車７８
は切欠き８２を有し、切欠きの上方円弧表面に
歯車の歯が切られており、歯はスピンドル８６
に取付けられた横揺れ速さ歯車８４と係合して
おり、スピンドル８６は隔壁７２により回転自
在に支持されて横揺れ速さトランスジユーサ８
８を作動する。トランスジユーサ８８は、振子
装置により感知された横揺れ速さに比例する出
力空気圧をライン９０に送るために通気された
回転羽根型空気ポンプを含むことができる。右
舷への横揺れによりトランスジユーサ・ブロワ
ー（空気ポンプ）の一つは駆動され、左舷への
横揺れによりもう一つのトランスジユーサ・ブ
ロワーが駆動されるように、横揺れ扇車７８の
相対運動により、ラチエツト機構（図示せず）
を介して横揺れ速さトランスジユーサ８８が駆
動される。すなわち、制御作用の中で、トラン
スジユーサの圧力は横揺れの方向と横揺れ速さ
との双方を反映する。

横揺れ扇車７８にはカム・フオロワ装置９４
と協動する偏心カム９２が設けられ、該装置は
横揺れトランスジユーサ９６の角度に対して制
御関係にある。トランスジユーサ９６は常時船
のロール角度に比例している制御空気をライン
９８に送るように反応する。

ライン９０の中の制御圧は左舷−右舷セレク
タ１００を操作するように機能する。ライン９
０の横揺れ速さと方向に関する圧力とライン９
８の横揺れ角度の圧力はインテグレータ装置１
０２の中で加算されてライン１０４の中で合計
出力圧力を送り、この圧力がチエンジオーバ弁
６６およびライン６２，６４を介して、偏向板
ポジシヨナ装置５８の操作角度を制御する。

ポジシヨナ５８の各々は「上げ」圧力ライン
６２と「下げ」圧力ライン６４とを有し、２つ
のポジシヨナ５８は逆方向に働くように交差接
続されている。すなわち、左舷ポジシヨナが
「上げ」位置にある時、右舷ポジシヨナは「下
げ」位置にある。チエンジオーバ弁６６はポジ
シヨナ５８のための切換え制御装置として働
く。

安定化システムは船の横揺れの方向の変化に
瞬間的に反応して、偏向板ポジシヨナ５８が制
御圧に応答するやいなや推進ジエツトに作用し
て横揺れに対抗する。このため、修正機能の最
大限の持続時間が得られる。横揺れ速さ制御圧
力の他に、横揺れ角度も油圧作動筒５８に制御
圧を与えて、さらに制御効果を高める。

下方振子部分１０６は船の前後方向の縦揺れ
運動に応答して枢動軸ピン１０８の回りに自由
に揺動するから、上記の振子の制御機能が妨げ
られることはない。。

(3) 燃焼生成物の噴射 第１０Ａ図および第１０Ｂ図は船体外側の海
洋生物の生長を止める方法を示す。船上のター
ビン４４および他の動力装置からの燃焼生成物
はポンプ１１０により加圧されて、船側ジエツ
トおよび船底ジエツトの出口に近い位置にある
穴明きヘツダー１１２，１１４を通して噴射さ
れ、船体表面の近くに酸を含んだ海水流を与え
る。ジエツト放出水に混ざつたガスはまた水に
容積圧縮性を与えて、キヤビテーシヨンによる
船体の振動を減じる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例を具えた船の側面図、
第２図は前記船の上面図、第３図は本発明のジエ
ツト推進装置を実質的に平面図の向きで示す半略
式配置図、第４図は本発明のジエツト推進装置を
実質的に側面図の向きで示す半略式図、第５図は
ポンプ・インペラ駆動装置および軸受装置の部分
的に直径切断面を示す、拡大詳細図、第６Ａ図は
本発明のジエツト推進装置のポンプ・インペラの
前面図、第６Ｂ図はインペラの側面図、第７図は
主として第３図の線７−７にそう断面の推進装置
の半略式後面図、第８Ａ図は横揺れ防止装置の制
御要素を、実質的に側面図の向きで示す半略式
図、第８Ｂ図は第８Ａ図の制御要素の前面図、第
９図は横揺れ防止装置および同装置により制御さ
れる安定化装置を合せて示す略式図、第１０Ａ図
は燃焼生成物を水ジエツト中に噴射する装置を側
面図の向きで示す半略式図、第１０Ｂ図は第１０
Ａ図に示す装置を上面図の向きで示す半略式図。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 船体と、船首の左舷および右舷の船側にある
   前方を向く推進用の取水口と、前記取入口に軸流
   状に連通している軸流型のポンプ・インペラと、
   前記ポンプ・インペラを駆動する駆動装置と、前
   記ポンプ・インペラの出口側に連通しているダク
   ト状受承装置とを具備し、前記ダクト状受承装置
   は前記船体の底部外側に隣接して配置された後方
   に向く船底ジエツトノズルで終結する縦方向に延
   在し下方に湾曲したダクトと、船体側面外側に隣
   接して配置された後方に向く船側ジエツトノズル
   で終結する横方向外方に湾曲したダクトとを含
   み、前記ポンプ・インペラは前記出口側の直径が
   前記取入口に面する側の直径よりも短くなつてい
   る、船舶用ジエツト推進・安定化装置。 ２ 前記船底ジエツトノズルはこれに枢動自在に
   取付けられた方向操舵装置を有し、前記方向操舵
   装置はこれを選択的に位置決めするための制御装
   置を有する特許請求の範囲第１項に記載の船舶用
   ジエツト推進・安定化装置。 ３ 前記ポンプ・インペラの駆動装置は、燃焼生
   成物を発生し、前記駆動装置からの前記燃焼生成
   物を集めて加圧する加圧装置が設けられ、加圧さ
   れた前記燃焼生成物を受承して前記船底および船
   側ジエツトノズルの放出路に吐出する装置を有す
   る、特許請求の範囲第１項に記載の船舶用ジエツ
   ト推進・安定化装置。