JPH0320700Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜技術分野＞ 本考案は、熱媒管を用いた太陽熱集熱器に関
し、特に熱媒管の凝縮部と循環液との熱交換部の
構造に関するものである。

＜従来技術＞ 従来、熱媒管（ヒートパイプ）を用いた太陽熱
集熱器において、熱交換性を良くするために熱媒
管の凝縮部を循環液中に挿入し、直接循環液と熱
交換させたものが提案されている。これは、第１
図の如く、下部ヘツダ管１と上部ヘツダ管２に設
けられた流通孔３，４によつて連通している通液
管５に、熱媒管６の凝縮部６ａを挿入し、オーリ
ング等にてシールする構造であつた。この方式は
確かに熱交換部の熱抵抗が小さく、かつシール構
造が簡単であるが、他方蓄熱槽（図示せず）から
送られてくる循環液は入口７から上部ヘツダ管１
内に入り、通液管５の本数だけ分岐し、それぞれ
の通液管５を流れながら熱媒管６の凝縮部６ａの
外表面と接触し、それぞれ上部ヘツダ管２に流れ
込み、出口８より流出し蓄熱槽に戻る。従つて
各々の熱媒管の凝縮部６ａの外表面を流れる循環
液の流量ｑは、 ｑ＝Ｑ／ｎ（Ｑ：総流量、ｎ：通液管本数） となり、ｎが大きいと流量が小さくなり、熱伝導
率も小さく、充分な熱交換率が得られなくなる。
また隣接する集熱器のヘツダ管１，２を接続する
とき、下部ヘツダ管と上部ヘツダ管を夫々接続す
るため、位置決め精度が必要となり、かつ接続用
継手も二本づつ必要で工事性も良くなかつた。

＜目的＞ 本考案は、上記に鑑み、ヘツダ管の入口から出
口へ流れる循環液の流量を減少させずに熱交換性
能を向上し得、かつ工事性に優れた太陽熱集熱器
の提供を目的としている。

＜実施例＞ 以下、本考案の一実施例を第２図ないし第４図
に基いて説明すると、これは、太陽熱を吸収する
集熱フイン１０に、熱媒が封入されて並設された
複数の熱媒管１１の蒸発部１２が伝熱的に接続さ
れ、該各熱媒管１１の端部の凝縮部１３に筒状の
通液管１４が外嵌され、該通液管１４の両端部が
各熱媒管１１の凝縮部１３同志をそれぞれ連通接
続する上部ヘツダ管１７及び下部ヘツダ管１８に
流通孔１５ａ，１５ｂ，１５ｃ，１６ａ，１６
ｂ，１６ｃを介して連通接続され、該下部ヘツダ
管１８の両端が閉鎖され、上部ヘツダ管１７に流
体の流れを妨げるための流量制御手段１９が設け
られている。

前記集熱フイン１０及び熱媒管１１の蒸発部１
２は真空の透明ガラス管２０内に配置されてい
る。一方熱媒管１１の凝縮部１３は筒状通液管１
４内の管内壁と小さい間隙２１を保ちながら貫通
され、通液管１４の両端に設けられたオーリング
溝２２内のオーリング２３にて循環液が通液管１
４外に漏れないようにシールされている。さらに
この通液管１４の上端上側の流通孔１５ａ，１５
ｂ，１５ｃによつて上部ヘツダ管１７、及び通液
管１４の下端下部の流通孔１６ａ，１６ｂ，１６
ｃによつて上部ヘツダ管１７に略平行な下部ヘツ
ダ管１８と連通されている。また本実施例では、
第２図の如く基台２４に四本の熱媒管１１が設置
され、また下部ヘツダ管１８の両端は管材の絞り
加工等によつて閉鎖され、上部ヘツダ管１７の一
端に入口１７ａ、他端に出口１７ｂが設けられて
いる。一方上部ヘツダ管１７の隣合う通液管１４
の中間部の下側は管材の一部をプレスすることに
より略半球状に陥没されて、該陥没部のヘツダ管
１７内の上部に極く微かな管内空間の断面Ｃ字形
の気泡抜き用オリフイス１９ａが形成されて流量
制御手段１９とされている。そしてこのオリフイ
ス１９ａは基台２４を水平又は垂直に設置しても
常にその一部が上部ヘツダ管１７の最上部に位置
するよう通液管１４の管中心方向と45゜の方向を
頂点に略半球状に狭くなつている。

上記構成において、熱媒管１１内の熱媒は蒸発
部１２で太陽熱を吸収して蒸発して上部の凝縮部
１３に移動してここで循環液と熱交換して放熱
し、液状となつて蒸発部１２へ下降する。そして
矢印の如く上部ヘツダ管１７の入口１７ａより送
られた循環液（不凍液）はオリフイス１９ａにて
流れが阻止されるため、大部分は流通孔１５ａを
通りオリフイス１９ａより入口１７ａ側に位置す
る通液管１４内に流れ込み、熱媒管１１の凝縮部
１３の表面に沿つて速く流れ、極めて小さい熱抵
抗にて受熱した後流通孔１６ａを通り下部ヘツダ
管１８に入いる。さらに下部ヘツダ管１８に入つ
た循環液は流通孔１６ｂ，１６ｃを通つてオリフ
イス１９ａより出口１７ｂ側に位置する通液管１
４及び流通孔１５ｂ，１５ｃを経て再び上部ヘツ
ダ管１７に返り、出口１７ｂより出て隣接する集
熱器の上部ヘツダ管入口１７ａ又は蓄熱槽へと送
られる。またこの循環経路中に発生した気泡も上
部ヘツダ管１７及びオリフイス１９ａの微少空間
を経て溜まる所なく蓄熱槽又は空気抜弁（図示せ
ず）に送られる。このように、下部ヘツダ管１８
の両端を閉鎖することにより、上部ヘツダ管入口
１７ａより入つた循環液は単一の同じく上部ヘツ
ダ管出口１７ｂより全て流出するので接続する集
熱器台数を増やしても各集熱器当たりの循環液量
は減少せず、隣接する集熱器との配管において
も、上部ヘツダ管１７のみの接続で済み工事性も
容易となる。

また、上部ヘツダ管１７の隣合う通液管１４の
中間部の下側を流体の流れを妨げるよう陥没させ
ることにより、上部ヘツダ管１７の入口１７ａよ
り送られた循環液はオリフイス１９ａにて流れが
阻止されるため、大部分は流通孔１５ａを通りオ
リフイス１９ａより入口１７ａ側に位置する通液
管１４内に流れ込み、熱媒管１１の凝縮部１３の
表面に沿つて流れた後流通孔１６ａを通り下部ヘ
ツダ管１８に入り、下部ヘツダ管１８に入つた循
環液は流通孔１６ｂ，１６ｃを通つてオリフイス
１９ａより出口１７ｂ側に位置する通液管１４及
び流通孔１５ｂ，１５ｃを経て再び上部ヘツダ管
１７に返り出口１７ｂより出るので、大きい熱交
換性能を保つことができる。

さらに、上部ヘツダ管１７内の陥没部の上部に
極く微かな気泡抜き用のオリフイス１９ａを形成
することにより、循環経路中に発生した気泡も上
部ヘツダ管１７及びオリフイス１９ａの微少空間
を経て溜まる所なく蓄熱槽又は空気抜弁に送られ
るので、循環液の流入圧力を大きくすることなく
循環液を効率良く循環させることができ、循環液
送水用のポンプも小能力の小型で安価なもので済
む。一方隣接する集熱器との配管においても、上
部ヘツダ管１７のみの接続で済み工事性も容易と
なる。

なお上記構造において、各通液管１４内の循環
液の量は少ないので熱容量は小さく、従つて太陽
熱集熱器としての熱応答性は速く、しかも高温と
なる熱媒管１１の凝縮部１３は循環液内に浸つて
いるため、放熱ロスが少ないことや、シール部の
構造が極めて簡単でしかも円筒形の熱媒管１１の
凝縮部１３は、径方向の回転及び挿入、挿出が自
在であり、集熱器設置後に集熱フインの角度を適
当な方向に変化させられることや、集熱器を現地
にて組立て、及び交換することが可能でかつ信頼
性が高いといつた長所を有することは言うまでも
ない。

＜効果＞ 以上の説明から明らかな通り、本考案による
と、集熱フインに、複数の熱媒管の蒸発部が伝熱
的に接続され、各熱媒管の端部の凝縮部に通液管
が外嵌され、通液管の両端部が各熱媒管の凝縮部
同志をそれぞれ連通接続する上部ヘツダ管及び下
部ヘツダ管に流通孔を介して連通接続された太陽
熱集熱器において、下部ヘツダ管の両端を閉鎖す
ることにより、上部ヘツダ管入口より入つた循環
液は単一の同じく上部ヘツダ管出口より全て流出
するので接続する集熱器台数を増やしても各集熱
器当たりの循環液量は減少せず、隣接する集熱器
との配管においても、上部ヘツダ管のみの接続で
済み工事性も容易となる。

また、上部ヘツダ管の隣合う通液管の中間部の
下側をに流体の流れを妨げるよう陥没させること
により、上部ヘツダ管の入口より送られた循環液
はオリフイスにて流れが阻止されるため、大部分
は流通孔を通りオリフイスより入口側に位置する
通液管内に流れ込み、熱媒管の凝縮部の表面に沿
つて流れた後流通孔を通り下部ヘツダ管に入り、
下部ヘツダ管に入つた循環液は流通孔を通つてオ
リフイスより出口側に位置する通液管及び流通孔
を経て再び上部ヘツダ管に返り出口より出るの
で、大きい熱交換性能を保つことができる。

さらに、上部ヘツダ管内の陥没部の上部に極く
微かな気泡抜き用のオリフイスを形成することに
より、循環経路中に発生した気泡も上部ヘツダ管
及びオリフイスの微少空間を経て溜まる所なく蓄
熱槽又は空気抜弁に送られるので、循環液の流入
圧力を大きくすることなく循環液を効率良く循環
させることができ、循環液送水用のポンプも小能
力の小型で安価なもので済むといつた優れた効果
がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の太陽熱集熱器の斜視図、第２図
は本考案の一実施例を示す太陽熱集熱器の斜視
図、第３図は同要部斜視図、第４図は第３図のＡ
−Ａ断面図である。 １０：集熱フイン、１１：熱媒管、１２：蒸発
部、１３：凝縮部、１４：通液管、１５ａ，１５
ｂ，１５ｃ，１６ａ，１６ｂ，１６ｃ：流通孔、
１７：上部ヘツダ管、１８：下部ヘツダ管、１
９：流量制御手段、１９ａ：オリフイス。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 太陽熱を吸収する集熱フインに、熱媒が封入さ
   れて並設された複数の熱媒管の蒸発部が伝熱的に
   接続され、該各熱媒管の端部の凝縮部に筒状の通
   液管が外嵌され、該通液管の両端部が各熱媒管の
   凝縮部同志をそれぞれ連通接続する上部ヘツダ管
   及び下部ヘツダ管に流通孔を介して連通接続さ
   れ、該下部ヘツダ管の両端が閉鎖され、上部ヘツ
   ダ管の隣合う通液管の中間部の下側が流体の流れ
   を妨げるよう陥没され該陥没部のヘツダ管内の上
   部に極く微かな気泡抜き用のオリフイスが形成さ
   れたことを特徴とする太陽熱集熱器。