JPH0318805Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は温水ボイラーに関するもので、ボイ
ラーを製造、販売および使用する産業分野に属す
る。

（従来の技術） 従来、固形燃料（例えば石炭、石炭コークス、
オイルコークス）でも揮発成分の多い石炭、オイ
ルコークスに対しては、燃焼中の燃料層に吹込ん
だ一次空気がロストルを通過する下向燃焼構造
と、揮発成分の少ない石炭コークスに対して燃料
層に吹込んだ一次空気が上昇する上向燃焼構造の
二種類のボイラーが知られていた。

（考案により解決すべき問題点） 従来は上向燃焼構造と下向燃焼構造の二種類の
ボイラーを別々に製作していたので、使用する側
で固形燃料の種類が変る場合には、これに適した
構造にしなければならなかつた為に、生産管理上
又は使用中に改造等の不都合を生じた。

（問題点を解決する為の手段） この考案は遮断壁の操作で、上向燃焼構造又は
下向燃焼構造の何れの構造にも容易に変更可能な
回動式遮断壁を内蔵させたことにより、一つのボ
イラーで上向燃焼構造又は下向燃焼構造の兼用構
造となり、従来の問題点を解決したのである。

即ちこの考案は、一次燃焼室と熱交換室との間
に、縦仕切水套で挟まれた二次燃焼室が縦設さ
れ、前記二次燃焼室は上部で一次燃焼室と連通さ
せてあり、前記二次燃焼室の下部は灰溜室及び熱
交換室の下部と連通しており、前記二次燃焼室の
下部と熱交換室の下部を連通して、灰溜室と遮断
し、又は灰溜室と熱交換室の下部とを連通して、
二次燃焼室の下部を遮断する為の遮断壁を前記二
次燃焼室の下部へ移動可能に設置し、前記一次燃
焼室、二次燃焼室及び灰溜室には夫々空気吹出孔
を設けてなる固形燃料焚き温水ボイラーである。
また、遮断壁は耐熱性材料よりなり、一端に設け
た水平軸によつて垂直位置又は水平位置に回転可
能に架設されたものである。次に、熱交換室は、
左右煙室間を煙管群で連結し、該煙管群を水室内
に通過させて構成したものである。従つて使用者
の使用燃料の種類が判明して居る時は、ボイラー
の出荷時点で燃焼に適するように遮断壁を固定す
ればよく、又使用者が使用中に燃料の種類を変更
する時には、使用者自身で遮断壁を操作し、好適
の構造にすれば良く、ボイラー製造者が燃焼室の
構造を改造する必要が無くなつた。

（作用） この考案によれば、回動式の遮断壁を内蔵した
ことにより、一つのボイラーで上向燃焼構造と下
向燃焼構造の二種類の構造を併有することが可能
となつた。

（実施例） 次にこの考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。第１図において外壁に二重壁の水套３を設け
たボイラー本体１の内側を、上壁と下壁との夫々
に不連通の二重壁の縦仕切水套４と、下向二重壁
の縦仕切水套５により、第１図中左方より一次燃
焼室６、二次燃焼室７及び熱交換室８を形成し、
一次燃焼室６には外壁の水套３と縦仕切水套４と
の間に連通する複数の水冷ロストル９を並列に斜
設させる。該ロストル９の下部に灰溜室１０を形
成し、一次燃焼室６、二次燃焼室７及び灰溜室１
０の側壁には空気吹出孔１１，１２，１３を開口
させ、一次空気吹出孔１１、二次空気吹出孔１
２，１３とする。また第２図において縦仕切水套
４の下面のすぐ下の側壁には両端が開口する軸受
２１を固設し、他方の側壁には両端が開口する軸
受２２を固設した着脱自在の蓋２３を装着し、前
記蓋２３は可撓管２４（第４図）でボイラー１の
外壁と連通させる。また二次燃焼室７の下部に耐
熱性の遮断壁２５が開閉自在に対向してあり、こ
の耐熱性の遮断壁の一端には中空軸２６が貫通固
設され、中空軸２６は前記軸受２１，２２に回動
自在に支持してあり、前記中空軸２６の両端は流
体接手２７，２８と着脱自在に連結し、前記遮断
壁２５の内部は中空軸２６に複数の孔２９を穿設
し、前記流体接手２７，２８は夫々可動撓管３
０，３１と連通させ、冷却水が前記蓋２３と遮断
壁２５の夫々の内部を流動循環し、ボイラー１に
戻る構造としてある。

第１図において、熱交換室８は縦仕切水套５と
外壁３ａとの夫々に接して前部煙室１４、後部上
煙室１５及び後部下煙室１６を設け、煙管群１
７，１８を上段と下段に並列に斜設連通せしめ、
３パス方式を形成する。尚、煙管群１７，１８内
には夫々捩り板１９を挿入してある。前記後部上
煙室１５の上壁は煙道２０と連通し、更に誘引ブ
ロワー（図示しない）と煙突とを連通させていあ
る。３２は燃料投入口、３３は固形燃料、３４は
耐火性多孔盤、３５は給水膨張タンクで、水套３
と連通している。２は基台である。第３図におい
て、３５は遮断壁２５を回動させるハンドル、３
６は固定具である。尚、第１図は遮断壁２５が水
平状態にある場合を示しているが、第５図は遮断
壁２５が垂直状態にある場合を示しており、前者
（第１図）は下向燃焼構造のボイラーとして用い
た場合であり、後者（第５図）は上向燃焼構造の
ボイラーとして用いた場合である。

次に上記実施例の作用について説明する。先ず
第１図の下向燃焼構造について述べると、石炭又
はオイルコークスの如き揮発成分の多い固形燃料
を使用する場合は下向燃焼構造が適するので、ハ
ンドル３６（第３図）を水平状態に保持すること
により、耐熱性の遮断壁２５は水平位置となり、
縦仕切水套４，５により形成する二次燃焼室７の
下部を閉鎖状態にする。

燃料投入口３２よりロストル９の上に投入され
た燃料３３を木片などを用いて着火させると共
に、誘引ブロワー（図示してない）を作動させて
排煙を行いつつ、燃料３３の着火範囲を拡大して
ゆき、頃を見計つて燃焼ブロワー（図示してな
い）を作動させ、燃料３３の側面より一時空気を
吹込んで燃焼を盛んにする。この場合に燃焼ガス
は矢示３７のようにロストル９の間〓を通つて灰
溜室１０に入り、二次空気孔１３よりの吸気によ
り完全燃焼し、耐火性多孔盤３４に達する。燃焼
ガスが前記多孔盤３４を通過すると時間の経過と
共に、多孔盤３４が赤熱状態となり、未燃の微粉
はここで完全に燃焼する。前記多孔盤３４を通過
した燃焼ガスは矢示３８のように熱交換室８の下
部に至り、更に後部下部煙室１６を経て水管群１
８を通過するが、この時捩り板１９にて旋回運動
を生じるので通過時間が捩り板のないものに比べ
て長く掛り、熱交換作用が向上する。前記水管群
１８を通過した燃焼ガスは、矢示３９のように前
部煙室１４に入り、更に捩り板１９を内蔵する水
管群１７を通過して矢示４０のように後部上煙室
１５に至り、煙道２０を経て誘引ブロワー（図示
してない）及び煙突内を通過して大気中に放出さ
れる。尚、二次燃焼室７に溜つた燃焼ガスは、縦
仕切水套５の下面と遮断壁２５の接面にガスの逃
し間〓を設けてあるので、多孔盤３４を経て熱交
換室８に誘引され、前記二次燃焼室７に滞留する
ことはない。

次に第５図について上向燃焼構造について述べ
る。石炭コークスを使用する場合は、上向燃焼構
造が適する。従つてハンドル３５（第３図）を垂
直状態にすることにより、耐熱性遮断壁２５は縦
仕切水套４と一直線状になり、灰溜室１０と熱交
換室８の下部とを遮断状態に形成する。この状態
において燃焼ブロワー（図示してない）及び誘引
ブロワー（図示してない）が作動していれば、燃
焼室６内の燃焼ガスは、灰溜室１０の二次空気吹
出孔１３より吹出した空気がロストル９の間〓を
通過して燃焼を盛んならしめつつ上昇し、二次燃
焼室内７に入り二次空気で完全燃焼しつつ下降
し、耐火性多孔盤３４を経て熱交換室８の下部に
入り、爾後は前述と同じ経路を通過して矢示３
８，３９，４０に示す流れを生じて大気中に放出
される。

尚、この考案の実施例では耐熱性の遮断壁を水
冷式としたが、耐熱キヤスタブルを使用した遮断
壁とすることもできる。

（考案の効果） 即ちこの考案によれば、燃焼室と熱交換室の境
界部に回動式の耐熱性遮断壁を設け、燃焼ガスの
流動方向を変えたので、上向燃焼構造又は下向燃
焼構造の切替えが得られる兼用構造を形成したこ
とになり、二種類のボイラーを必要としない。又
使用者が性質の異なる燃料を用いることになつて
も、使用者自身でボイラーの構造を変えることが
できるので、製造者が改造の為手を下す必要が無
くなり、その益することろ大である。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案のボイラーを下向燃焼構造と
した場合断面図、第２図は同じく第１図のＡ−Ａ
断面図、第３図は同じく第２図のＢ−Ｂ矢視図、
第４図は同じく第２図のＣ−Ｃ矢視図、第５図は
同じくボイラーを上向燃焼構造とした場合の断面
図である。 １……ボイラー本体、３……外壁水套、４……
縦仕切水套、５……下向縦仕切水套、６……一次
燃焼室、７……二次燃焼室、８……熱交換室、９
……水冷ロストル、１０……灰溜室、１１……一
次空気吹出孔、１２，１３……二次空気吹出孔、
１４……前部煙室、１５……後部上煙室、１６…
…後部下煙室、１７，１８……煙管群、２５……
耐熱性の遮断壁、２６……中空軸、３４……耐火
性多孔盤。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 一次燃焼室と熱交換室との間に、縦仕切水套
   で挟まれた二次燃焼室が縦設され、前記二次燃
   焼室は上部で一次燃焼室と連通させてあり、前
   記二次燃焼室の下部は灰溜室及び熱交換室の下
   部と連通しており、前記二次燃焼室の下部と熱
   交換室と熱交換室の下部を連通して、灰溜室と
   遮断し、又は灰溜室と熱交換室の下部とを連通
   して、二次燃焼室の下部を遮断する為の遮断壁
   を前記二次燃焼室の下部へ移動可能に設置し、
   前記一次燃焼室、二次燃焼室及び灰溜室には
   夫々空気吹出孔を設けてなる固形燃料焚き温水
   ボイラー。 ２ 遮断壁は耐熱性材料よりなり、一端に設けた
   水平軸によつて垂直位置又は水平位置に回転可
   能に架設された実用新案登録請求の範囲第１項
   記載の固形燃料焚き温水ボイラー。 ３ 熱交換室は、左右煙室間を煙管群で連結し、
   該煙管群を水室内に通過させて構成した実用新
   案登録請求の範囲第１項記載の固形燃料焚き温
   水ボイラー。