JPH0317959B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は段ボールの強化法に関する。さらに詳
しくは変性ポリイソシアネートの水分散組成物の
塗布による段ボールの強化法に関する。 従来より段ボールを強化する方法に関しては段
ボールにワツクス、合成樹脂などを溶剤に希釈し
て塗布する方法が知られていた。 しかしながら、これらの方法は溶剤蒸発による
作業環境の悪化、また溶剤回収工程が必要になる
などの欠点があつた。 これらの欠点を改良する方法として、特開昭55
−6557号公報には有機ポリイソシアネートの単量
体あるいは二量体、三量体のオリゴマーを、また
特開昭57−95397号公報には分子内に少なくとも
２個以上の活性水素を有する化合物で変性した有
機ポリイソシアネート組成物を段ボールに塗布し
て硬化させる方法が記載されている。 これらの方法は上記のような従来の欠点をある
程度解決でき、かなりの成果が得られた。 しかしながらこれらの方法ではイソシアネート
オリゴマーまたは変性物が段ボール原紙の内部に
滲透し難く、原紙の表面付近に層を形成するため
原紙の強度その他の性質が不均質となり易く、こ
れを使用して製造した強化段ボールの寸法精度に
悪影響を及ぼした。また原紙の表面に多量のイソ
シアネート硬化物が存在すると、段ボール組立の
際、糊付が困難になることも問題であつた。さら
にこれらの方法では塗布時の粘度が高いため、塗
布は専らロールコーターを使用せねばならず、付
着量の調節も困難であつた。またスプレー塗布が
できないことも欠点であつた。 本発明者らは、以上の欠点を改良すべく種々検
討した結果、本発明に到達した。 すなわち本発明は次の通りである。 有機ポリイソシアネートと、単官能アルコール
にエチレンオキサイド又はエチレンオキサイド及
びプロピレンオキサイドを付加重合したポリオキ
シアルキレンモノオールとを反応せしめて得た変
性ポリイソシアネートを水に分散させた組成物を
塗布することを特徴とする段ボール強化法。 本発明において使用する組成物を製造する際、
変性ポリイソシアネートと水との重合混合比は
１：99〜75：25が好ましく、とくに好適な混合比
は15：85〜60：40である。 変性ポリイソシアネートの量がこの混合範囲よ
り多いと、水に分散した組成物が不安定となり、
また段ボール組立の際の糊付不良、できた段ボー
ルの寸法精度不良等の問題点を生ずるほか、スプ
レー塗布が困難になる。またこの混合範囲より低
い場合には原紙が多量の水を吸収するため、段ボ
ールの成形性が悪化し、甚しい場合には段ボール
が破壊する。 本発明に用いられる有機ポリイソシアネート
は、トリレンジイソシアネート（TDI）、ジフエ
ニルメタンジイソシアネート（MDI）、ナフタレ
ンジイソシアネート（NDI）、ヘキサメチレンジ
イソシアネート（HDI）、パラフエニレンジイソ
シアネート、リジンジイソシアネート（LDI）な
どのジイソシアネート、粗製トリレンジイソシア
ネート、粗製ジフエニルメタンジイソシアネート
〔ポリメチレンポリフエニルポリイソシアネート〕
等の上記脂肪族、芳香族、ポリイソシアネートの
粗製物、カルボジイミド変性MDI、TDIのトリ
メチロールプロパン付加物、水変性のビウレツト
構造HDI変性物の如き上記脂肪族、芳香族、脂
環族ポリイソシアネートの変性物等であり、これ
らは２種以上混合しても用いられる。 特に好ましくは粗製ジフエニルメタンジイソシ
アネートであり、本発明方法の強化段ボールの加
工において優れた性能を発揮する。 本発明で使用するポリオキシアルキレンモノオ
ールは単官能アルコールを開始剤としてこれに塩
基性触媒の存在下でエチレンオキサイド（以下、
EOともかく）又はエチレンオキサイドおよびプ
ロピレンオキサイド（以下POともかく）をEO／
PO＝100／０−40／60の重量比で加えて付加させ
る公知の方法で製造される。エチレンオキサイド
とプロピレンオキサイドの付加順序、又はこれら
付加形式（ランダムまたはブロツク）はいずれで
もよい。エチレンオキサイドの量がこの範囲以下
では変性ポリイソシアネートを紙へ塗布する際滲
透性が低下するため十分な効果を発揮できない。
単官能アルコールの具体例としては、メチルアル
コール、エチルアルコール、プロピルアルコー
ル、ブチルアルコール、アミルアルコール、ブチ
ルカルビノール、ネオペンチルアルコール、ジエ
チルカルビノール、エチレングリコール・モノエ
チルエーテル、ジエチレングリコール、モノメチ
ルエーテル、プロピレングリコール、モノブチル
エーテルなどの飽和単官能アルコール、及びアリ
ルアルコール、クロチルアルコール、メチルビニ
ルカルビノール、アリル・カルビノール、メチル
プロペニルカルビノールなどの不飽和アルコール
である。 ポリオキシアルキレンモノオールのヒドロキシ
ル価の好ましい範囲は25−400である。 本発明において有機ポリイソシアネートとポリ
オキシアルキレンモノオールとの配合比はポリイ
ソシアネート化合物100重量部（以下、部は重量
部を示す）に対し0.5〜10部が好ましく、とくに
好ましくは１〜５部の範囲である。 ポリオキシアルキレンモノオールが0.5未満で
は変性ポリイソシアネートの水への分散性が不良
となる。また10部を越えると変性ポリイソシアネ
ートの水へ分散した組成物の可使時間が短くなる
ため作業が困難となる。 本発明において、有機ポリイソシアネートとポ
リオキシアルキレンモノオールとを反応させるに
は70〜80℃で１〜２時間加熱する。その際必要に
より触媒としてオクチル酸錫、オクチル酸鉛、ジ
ブチル錫ジラウレートなどを添加することもでき
る。得られた変性イソシアネート組成物は粘度80
−600cps／25℃、イソシアネート含有量20−35重
量％（以下、％は重量％を示す）の液体である。 本発明の変性イソシアネート組成物を段ボール
に塗布するに際し、シリコン含有界面活性剤、顔
料、充填剤並びにアジピン酸、サルチル酸などの
有機酸類、オクチル酸鉛、ジブチル錫ジラウレー
トなどの有機酸金属塩類、トリエチレンジアミン
等の第三級アミン類等の公知のウレタン用硬化促
進剤を添加して使用することもできる。 本発明に使用する変性ポリイソシアネートは粘
度が80〜600cps／25℃となるため、これをそのま
ま塗布する場合にはロールコーターを必要とし、
塗布量も20ｇ／m²以上となりこれ以下にすること
は困難である。 これに対し、本発明の方法により変性ポリイソ
シアネートを水に分散させた組成物は、粘度を
10cps／25℃以下にすることができる。従つてロ
ール塗布のほか、スプレー塗布をすることもで
き、また塗布量を１ｇ／m²以下にまで低下するこ
とが可能となる。 本発明を適用するには変性ポリイソシアネート
と水とを所定の重量比で予じめ混合した後、原紙
に塗布する。また連続的に作業を行うには、例え
ば変性ポリイソシアネートと水とをそれぞれ別の
計量ポンプと送液ホースを通して連続混合機へ送
入し、両成分の流量を所定の重量比に調節する。
混合機より吐出した分水散組成物を混合機の吐出
口よりロールコーターに注加し、ロールにより連
続的に原紙に塗布を行う。またスプレー塗布を行
う場合には、例えば両送液ホースの末端をスプレ
ーガンに結合し、両液を送入する。ガンより噴出
する水分散組成物を原紙に吹付ける。 以上述べた方法により変性ポリイソシアネート
を原紙に塗布した場合には、容易に20ｇ／m²以下
の塗布量、例えば0.5〜19ｇ／m²の塗布量とする
ことができる。 変性ポリイソシアネートを塗布した原紙は80〜
120℃で0.5〜５分加熱した後、放冷すれば、数日
後に最高の強度に達する。得られた強化原紙は強
度が増加し、糊付がよい。またこれを使用した段
ボールは寸法精度が向上する。さらに本方法で強
化した段ボールは故紙として極めて容易に回収で
きる。原紙の強度は、JIS Ｐ−8126によるリング
クラツシユ圧縮強度及びJIS Ｐ−8112によるミユ
ーレン破壊強度により測定する。 以下に実施例を挙げて本発明を具体的に述べ
る。 実施例 １ 触媒として水酸化カリウム4.45部を使用し、ジ
エチレングリコール・モノメチルエーテル219部
にエチレンオキサイド1052部およびプロピレンオ
キサイド211.4部を付加重合し、ヒドロキシル価
67のポリオキシアルキレンモノオールを得た。 このモノオール2.5部を粗−MDI（三井日曹ウレ
タン社製、MDI−CR200）100部と混合し、窒素
気流中で80℃、２時間加熱後、冷却してイソシア
ネート含有量29％、粘度215cps／25℃の変性ポリ
イソシアネートを得た。この変性ポリイソシアネ
ート１部を水５部とよく混合し水中に分散させた
組成物を、ワグナー社製ハンドガンＷ−240型を
使用し、ライナー紙上にスプレーした。 組成物の付着したライナー紙を100℃の熱風乾
燥器中で１分間加熱後、放冷し強化原紙を得た。
この強化原紙は糊付がよく、この原紙を使用して
作つた強化段ボールは寸法精度が優れていた。 またこの強化原紙について変性ポリイソシアネ
ート付着量、リングラツシユ圧縮強度及びミユー
レン破裂強度を測定した結果は第１表のようにな
つた。すなわち変性ポリイソシアネートの付着量
1.6〜10.5ｇ／m²が得られ、処理品は未処理品に
比べ優れた強度を示した。

【表】 実施例 ２ 実施例１で得た変性ポリイソシアネートを水中
に分散させた組成物を、メイヤバーにより中芯紙
に塗布し、以後実施例と同様に処理して強化原紙
を得た。この強化原紙は糊付がよく、この原紙を
使用して作つた強化段ボールは寸法精度が優れて
いた。 また第２表に示すごとく、この強化原紙は変性
ポリイソシアネート付着量が6.29ｇ／m²となり、
未処理原紙に比べ強度が優れていた。

【表】

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 有機ポリイソシアネートと、単官能アルコー
   ルにエチレンオキサイド又はエチレンオキサイド
   及びプロピレンオキサイドを付加重合したポリオ
   キシアルキレンモノオールとを反応せしめて得た
   変性ポリイソシアネートを水に分散させた組成物
   を塗布することを特徴とする段ボール強化法。