JPH0317199Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、流動層炉の底部に流動化空気を送る
多数の孔を設けた多孔板を取付け、その多孔板の
下部に均圧室を形成し、その多孔板の隣接する孔
の間に一方向に延びて両側部が上方に屈曲してい
る複数の第１のサンドトラツプを設け、その隣接
する第１のサンドトラツプの上方に屈曲している
側部をまたぐように下方に屈曲している両側部を
有する複数の第２のサンドトラツプを設けた流動
層炉の空気分散装置に関する。

［従来の技術］ 周知の如く、流動層炉においては、底部に取付
けられた空気分散装置を通して、流動化空気を上
方に噴出させ、砂等の流動熱媒体を浮遊させて流
動床を形成するようにしている。

かかる従来の流動層炉の一例を第１図を参照し
て説明すると、耐火物からなる炉本体７の下部に
は、流動化空気入口１を有する均圧室２が設けら
れている。この均圧室２の上面には、炉本体７の
底部を形成している空気分散装置８が取付けられ
ている。この空気分散装置８の上方には、流動熱
媒体４を浮遊流動させてなる流動層３が形成さ
れ、この流動層３の上方はフリーボード５となつ
ており、さらに炉本体７の上部には排ガス出口６
が形成されている。また、炉本体７の側壁には、
フリーボード５の領域に通じる被燃焼物の投入口
１１が形成されている。

そして、この従来の空気分散装置８は、第２図
に示すように、均圧室２の上面を被う多孔板１２
と、多孔板１２の上面に取付けられた第１および
第２のサンドトラツプ１３，１３′とからなつて
いる。この場合、下方の第１のサンドトラツプ１
３は全体的にチヤンネル状で一方向に延び、両側
部F₁，F₂が上方に屈曲され、多孔板１２の隣接
する孔１２ａの間にそれぞれ設けられており、ま
た上方の第２のサンドトラツプ１３′は、図示の
如く一方向に延びて断面山形に屈曲されていて下
方に拡がつている側部F₃，F₄を有し、下方の第
１のサンドトラツプ１３の隣接する側部F₁，F₂
を上方から被い、それらの間に通路１５を形成し
ている。

したがつて、流動化空気入口１より均圧室２内
に流入した流動化空気９は、多孔板１２の孔１２
ａを通り、さらに第１および第２のサンドトラツ
プ１３，１３′の間の通路１５を通つて上方に噴
出し、流動熱媒体４を浮遊流動させて流動層３を
形成する。なお、第１および第２のサンドトラツ
プ１３，１３′は、流動化空気を分散させると共
に、流動化空気の噴出を停止した際に、流動熱媒
体が均圧室２内に落下することを防止する役割を
している。そして、投入口１１より炉本体７内に
投入された被燃焼物は、流動層３において浮遊し
ながら流動熱媒体４と接触して燃焼し、燃焼排ガ
ス１０は、排ガス出口６より排出される。

しかしながら、上記のような従来の空気分散装
置においては、第２のサンドトラツプが高温の流
動層に露出し、直接接触しているため、流動熱媒
体による摩耗や燃焼ガスによる腐食作用を受け易
く、寿命が短いという欠点があつた。そして、サ
ンドトラツプと多孔板とからなる空気分散装置は
高価なものであるため、ユーザーの経済的負担は
大きかつた。

また、特公昭29−952号公報に記載されている
技術では空気通路の上方にコーン状の帽子体を設
けてあり、第２のサンドトラツプ１３′と同様に
帽子体が腐食作用を受ける。

さらに本出願人により特開昭56−18211号公報
には、多孔パイプから空気を噴出させ、そのパイ
プの上部に多数の孔を開けたカバープレートを設
けた技術が開示されている。しかしながら、かか
る公知の技術ではカバープレトから均一に空気を
噴出させ、かつ流動媒体がパイプ内に侵入するの
を防止するために、噴出速度を高速としなければ
ならず、そのためにカバープレートを落下した流
動媒体がパイプの外表面と衝突し、パイプ外表面
やカバープレート下面が摩耗するという欠点があ
る。

［課題を解決するための手段］ したがつて、本考案の目的は、空気分散装置の
摩耗や腐食を防止し、寿命を高めることのできる
流動層炉の空気分散装置を提供するにある。

［課題を解決する手段］ 本発明によれば、流動層炉の底部に流動化空気
を送る多数の孔を設けた多孔板を取付け、その多
孔板の下部に均圧室を形成し、その多孔板の隣接
する孔の間に一方向に延びて両側部が上方に屈曲
している複数の第１のサンドトラツプを設け、そ
の隣接する第１のサンドトラツプの上方に屈曲し
ている側部をまたぐように下方に屈曲している両
側部を有する複数の第２のサンドトラツプを設け
た流動層炉の空気分散装置において、第２のサン
ドトラツプの下方に屈曲している側部の上方に多
数の孔を有する板状のダミープレートを設け、そ
のダミープレートの上方に流動層が形成されてい
る。

［作用効果の説明］ したがつて、均圧室からの空気は多孔板の孔か
ら隣接する第１のサンドトラツプの間に流入し、
次いで、第１のサンドトラツプの側部と第２のサ
ンドトラツプの側部との間の通路を通つて、下方
に流れ、そして隣接する第２のサンドトラツプの
間を上方に流れてダミープレートの孔から上方に
噴出される。それ故に、空気はダミープレートの
孔から均一に噴出され、ダミープレートの孔から
落下する流動熱媒体は隣接する第２のサンドトラ
ツプと第１のサンドトラツプとで囲まれた空間内
に保持される。

そして第１および第２のサンドトラツプは一方
向に延びる形状であるから、第１および第２のサ
ンドトラツプの側部間の間隙からスリツトと同様
に層状の空気が噴出されることになるから、前記
の空間内において落下した流動熱媒体が撹拌され
て第１および第２のサンドトラツプを摩耗させる
ことがない。

さらに第１および第２のサンドトラツプは、ダ
ミープレートによつて流動熱媒体から隔離され、
流動熱媒体や燃焼ガスによる摩耗や腐食作用を直
接受けないので、寿命を飛躍的に延ばすことがで
きる。また、ダミープレートは、摩耗や腐食作用
を直接受けることになるが、多孔板という単純な
形状であるから、その製作や取付けは比較的容易
なため、ダミープレートだけを定期的に交換すれ
ばよく、その作業も容易である。

［実施例］ 以下本考案の実施例を第３図および第４図を参
照して説明する。なお、図中、第１図および第２
図と実質的に同一部分には同符号を付し、その説
明を省略する。

第３図に示すように、本考案による空気分散装
置は、前述した従来の装置と同様に、多孔板１２
と第１および第２のサンドトラツプ１３，１３′
とを備えている。そして、本考案においては、上
方の第２のサンドトラツプ１３′の上面に多数の
孔１４ａを有する板状のダミープレート１４が取
付けられている。この実施例の場合、ダミープレ
ート１４は、平板状の金属板からなり、孔１４ａ
は機械的打抜きによつて形成されている。

上記の構成において、流動化空気は、図中矢印
で示す如く、均圧室２より多孔板１２の孔１２ａ
を通つて分散されて流出し、隣接する第１のサン
ドトラツプ１３の間にはいり、さらに第１および
第２のサンドトラツプ１３，１３′の側部F₂とF₃
およびF₁とF₄との間の通路１５と、ダミープレ
ート１４の孔１４ａとを通つて、上方に噴出す
る。そして図示しない流動熱媒体を浮遊流動さ
せ、流動層を形成する。このように、流動熱媒体
は、ダミープレート１４の上方で流動するので、
第１および第２のサンドトラツプ１３，１３′が
流動熱媒体の激しい撹拌、巻込みに直接さらされ
ることはない。また、ダミープレート１４と、第
１および第２のサンドトラツプ１３，１３′の間
には、流動化空気が充満しているので、第１およ
び第２のサンドトラツプ１３，１３′が高温の燃
焼ガスに直接接触することもない。したがつて、
第１および第２のサンドトラツプ１３，１３′は
摩耗や腐食を受けにくく、寿命を延ばすことがで
きる。また、ダミープレート１４は、流動熱媒体
や燃焼ガスに直接接触することになるが、前述し
たように平板状の金属板を機械的に打ち抜いたも
のであるから、その製作は容易であり、安価のも
のである。したがつて、ダミープレート１４だけ
を定期的に交換すればよく、これによつてユーザ
ーの経済的負担は非常に少くなる。

また、第４図に示す本考案の他の実施例では、
第１および第２のサンドトラツプ１３，１３′と
ダミープレート１４との間に砂利等の非流動化不
活性物１６が充填されている。したがつて、この
実施例では、多孔板１２の孔１２ａより流出した
流動化空気が第１および第２のサンドトラツプ１
３，１３′の間の通路１５を通り、さらに砂利等
の不活性物１６の間隙を通つて、ダミープレート
１４の孔１４ａより上方に噴出することになる。
この実施例によれば、砂利等の不活性物１６によ
り流動化空気がより分離し易くなると共に、流動
熱媒体がダミープレート１４の孔１４ａより落下
するのを防止し、第１および第２のサンドトラツ
プ１３，１３′を摩耗や腐食からより完全に保護
することができる。

なお、空気の噴出速度は第１および第２のサン
ドトラツプの側部間の通路１５の巾を適宜に設定
すればよい。

［考案の効果］ 以上の通り、本考案によれば、多孔板と第１お
よび第２のサンドトラツプとダミープレートとの
組合せによつて下記のすぐれた効果を奏するもの
である。

(1) ダミープレートによつて第１および第２のサ
ンドトラツプならびに多孔板が高温の流動熱媒
体や燃焼ガスに接触せず、熱による腐食を防止
できる。

(2) ダミープレートの孔から落下した流動熱媒体
が第１および第２のサンドトラツプの側部の間
から層状に流れる空気によつて撹拌されること
なく、したがつて、第１および第２のサンドト
ラツプは流動熱媒体との衝突による摩耗がな
い。

(3) ダミープレートは単純な形状のため摩耗して
も製作、交換が容易である。

【図面の簡単な説明】

第１図は流動層炉の一般的構造を示す断面図、
第２図は従来の空気分散装置の要部拡大斜視図、
第３図は本考案の実施例を示す要部拡大斜視図、
第４図は本考案の他の実施例を示す要部拡大斜視
図である。 １２……多孔板、１３……第１のサンドトラツ
プ、１３′……第２のサンドトラツプ、１４……
ダミープレート、１４ａ……孔、１５……通路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 流動層炉の底部に流動化空気を送る多数の孔を
   設けた多孔板を取付け、その多孔板の下部に均圧
   室を形成し、その多孔板の隣接する孔の間に一方
   向に延びて両側部が上方に屈曲している複数の第
   １のサンドトラツプを設け、その隣接する第１の
   サンドトラツプの上方に屈曲している側部をまた
   ぐように下方に屈曲している両側部を有する複数
   の第２のサンドトラツプを設けた流動層炉の空気
   分散装置において、第２のサンドトラツプの下方
   に屈曲している側部の上方に多数の孔を有する板
   状のダミープレートを設け、そのダミープレート
   の上方に流動層が形成されていることを特徴とす
   る流動層炉の空気分散装置。