【発明の詳細な説明】[Detailed description of the invention]
［発明の目的Ｊ
（産業上の利用分野）
本発明は、スキー用の潤滑剤に関するものである。更に
詳しくは１本発明はスキーの滑走面に■布延伸し、滑降
性の改善を目的としたパラフィンワックスとフッ化黒鉛
から成るスキー用潤滑剤に関するものである。
（従来の技術）
従来より、スキーの滑走面に塗布することにより滑降性
を向上させる潤滑剤が知られている。例えば、この種の
潤滑剤としては、脂肪族炭化水素等のパラフィンワック
ス、ポリフルオロアルカン等が市販されている。これら
は、予め加熱溶融され、スキーの滑走面にアイロン等の
熱源によって均一に塗布延伸するようにして使用される
ものである。
周知のように、スキー用のアルペン競技では１００分の
１秒を競うため、これらスキーの滑走面に塗布する潤滑
剤の使用は、滑降時間を短縮させるために必要不可欠の
ものである。
しかしながら、従来よりスキー用潤滑剤として使用され
ている前記したバラフィンワックスは滑走中に汚れの付
着や酸化反応により性能低下をきたし、高速滑降を持続
させるのに問題がある。これらの問題を改善するために
、ポリフルオロアルカンで構成されたフッ素系のスキワ
ックスが提案されているが（特開昭６０−５８４９６号
公報）、潤滑特性などが十分であるとはいえない。特に
スキーソール面に塗布されて形成された潤滑面の硬度が
不足しているという点である。即ち、硬い雪質（アイス
バーン）、硬い雪の結晶に対して潤滑面が十分な硬度を
有しないため、短時間のうちに潤滑面が破壊、剥離して
しまい所望の潤滑特性を発揮することができない。
（発明が解決しようとする課題）
本発明は、前記した従来のスキー用潤滑剤の欠点に鑑み
なされたものである。本発明考らは、パラフィンワック
ス系のスキー用潤滑剤の改良について鋭意、検討した。
その結果、フッ化黒鉛を共存させたときフッ化黒鉛は潤
滑面に強固に保持されて硬度の改善をもたらし、パラフ
ィンワックスの耐熱性、潤滑特性をも大幅に向上させる
ことを見い出し本発明を完成するに至った。[Objective of the Invention J (Field of Industrial Application) The present invention relates to a ski lubricant. More specifically, the present invention relates to a ski lubricant consisting of paraffin wax and fluorinated graphite which is stretched onto the running surface of a ski and is intended to improve downhill performance. (Prior Art) Lubricants that improve downhill performance by being applied to the running surface of skis have been known. For example, as this type of lubricant, paraffin wax such as aliphatic hydrocarbon, polyfluoroalkane, etc. are commercially available. These materials are heated and melted in advance, and used by uniformly applying and stretching the sliding surface of the ski using a heat source such as an iron. As is well known, in alpine ski competitions, skiers compete for 1/100th of a second, so the use of lubricants applied to the running surfaces of these skis is essential to shorten the downhill time. However, the above-mentioned paraffin wax, which has been conventionally used as a ski lubricant, deteriorates in performance due to dirt adhesion and oxidation reactions during skiing, and has problems in sustaining high-speed downhill skiing. In order to improve these problems, a fluorine-based skiwax composed of polyfluoroalkanes has been proposed (Japanese Patent Application Laid-open No. 60-58496), but it cannot be said to have sufficient lubricating properties. In particular, the hardness of the lubricating surface formed by coating on the ski sole surface is insufficient. In other words, because the lubricating surface does not have sufficient hardness against hard snow (ice burn) and hard snow crystals, the lubricating surface breaks down and peels off in a short period of time, causing the desired lubricating properties to be exerted. I can't. (Problems to be Solved by the Invention) The present invention was made in view of the drawbacks of the conventional ski lubricants described above. The inventors of the present invention have intensively studied ways to improve paraffin wax-based ski lubricants. As a result, it was discovered that when fluorinated graphite coexists with the fluorinated graphite, it is firmly held on the lubricated surface, resulting in improved hardness, and the heat resistance and lubrication properties of paraffin wax are also significantly improved.The present invention was thus completed. I ended up doing it.
【発明の構成】[Structure of the invention]
（課題を解決するための手段）
本発明を概説すれば１本発明は、
ｆｉｔ パラフィンワックス、及び、
（ｊ ｉｌフッ化黒鉛、
からなることを特徴とする、優れた硬度の潤滑面を形成
することができるとともに、優れた滑降性能を発現する
スキー用潤滑剤に関するものである。
以下、本発明の構成を詳しく説明する。
本発明のスキー用潤滑剤は、前記したようにパラフィン
ワックスｌｉ）成分とフッ化黒鉛１ｉ ｉ）成分からな
るものである。以下、各成分ついて詳しく説明する。
ｆｉｌ パラフィンワックス成分について。
本発明のスキー用潤滑剤は、前記したポリフルオロアル
キル基を含有するフッ素系化合物（ｉｌ成分のほかに、
パラフィンワックス（ｉｉｌ成分を必須の構成成分とし
て含むものである。
この種のパラフィンワックスは、その基本骨格が一般式
Ｃ１Ｈ２１１＋ １で示されるものであり、一般にｎが
４〜３６の分子の混合物である。パラフィンワックスの
分子量分布のピークをみると、ｎ＝１４〜１８を最大ピ
ーク（単一のピーク）として正規分布をなしているもの
、あるいはｎ＝１６．２５．３０などに複数のピークを
有するものなどがあり、固体潤滑としての機能を有する
ものである。なお、これらの中にｎが１３以下で雪ｍ
（ｏ’ｃ〜−５℃）で液状を呈するものが含まれ、これ
らも水に対する非ぬれ性が優れ、液体潤滑の機能を有す
る０本発明においては前記したパラフィンワックスをい
ずれも使用することができる。
（ｉｉｌフフ化黒化成鉛成分いて。
本発明のスキー用潤滑剤は、前記したポリフルオロアル
キル基を含有するフッ素系化合物（ｉｌ成分のほかに、
フッ化黒鉛（ｉｉ）成分を必須の構成成分として含むも
のである。
この種のフッ化黒鉛は、その基本骨格が一般式ＣＦＩＩ
（ｘは、 ０．５〜１．０を示す、）で示される硬
度の高い粉体である。これは、一般に固体潤滑剤として
使用されており、その粒径は０．５ｕｍ〜６０μｍであ
る。本発明のスキー用潤滑剤としては、ＩＯａｍ以下の
粒径のものが好ましい、フッ化黒鉛は固体でありながら
、表面エネルギーが低く水に対する非ぬれ性が高いため
、この意味からも本発明においてスキー用潤滑剤の重要
な構成成分とされる。
本発明のスキー用潤滑剤において、前記パラフィンワッ
クス（ｉｌ成分とフッ化黒鉛（ｉｉ）成分の使用割合は
、効果及び経済性の点から（ｉｔが５０〜９５重量％、
ｔｉｉｌが５〜５０重量％が好ましいが、これに限定さ
れない。
本発明のスキー用潤滑剤において、パラフィンワックス
成分の単独使用時の欠点が解消されて優れた潤滑特性を
発現する理由は、次のように考えることができる。
スキーソール面への潤滑剤の吸着、典型的には高密度ポ
リエチレン、特にその非結晶部領域への吸着は、同種骨
格をもつパラフィンワックスが先行的に強く吸着する。
次いで、このパラフィンワックスの吸着面に１表面エネ
ルギーの小さいフッ化黒鉛が強固に保持されることにな
る。スキー用潤滑剤の潤滑特性を改善するには、水に対
する非ぬれ性を向上させればよいが、パラフィンワック
スより非ぬれ性に優れたフッ化黒鉛により、この特性が
増長されることになる。また、潤滑面の硬度はフッ化黒
鉛により大きく改遷されることはいうまでもないことで
ある。なお、本発明において、前記したようにパラフィ
ンワックス成分の中には雪温下で液状を呈し、液体潤滑
の機能を有するものが含まれるので、これらの成分はフ
ッ化黒鉛の内部潤滑として作用し、潤滑面からのフッ化
黒鉛の離脱を困難なものとし、安定した潤滑特性が得ら
れることになる。
本発明のスキー用潤滑剤は、前記したようにパラフィン
ワックスとフッ化黒鉛を必須の構成成分とするものであ
るが、公知慣用の添加剤を配合することができることは
いうまでもないことである。この種の添加剤は、例えば
潤滑特性及び硬度調整剤として、ポリエチレン、ポリテ
トラフルオロエチレン、アルミナ、シリカのような有機
、・無機の超微粒子、チタン酸カリウム、炭化ケイ素の
ような超微細短繊維、グラファイト、タルク、マイカの
ような板状物質などがある。このほか、染料や顔料のよ
うな着色剤、シリコン系化合物のような潤滑効果剤、界
面活性剤、酸化防止剤などの添加剤がある。
本発明のスキー用潤滑剤は、その形態が固体であろうと
液体であろうと任意の形態をとりつるものである。
例えば、固体の場合、本発明のスキー用潤滑剤において
、その融点はスキーソール面を熱劣化させないという観
点から １００℃以下であることが好ましいが、これに
限定されず使用時に固体であればよい。そして、これら
は加熱湾融し、スキーの滑走面にアイロン等の熱源によ
って均一に引きのばすようにして使用すればよい。
また、本発明のスキー用潤滑剤をアセトン、アルコール
、水等などに溶解または分散させた液体の場合、スプレ
ー等でスキー滑走面に塗布して使用すればよい。なお、
固体の場合も、紙、！ｓ物、編物や不織布に含浸させて
からソール面に塗布して使用しても差し支えないことは
いうまでもないことである。
（実施例）
以下、本発明を実施例により重に詳しく説明するが、本
発明はこれら実施例により何ら制限を受けるものではな
い。
実施例１〜３／比較例１〜４
＋１１スキー用潤滑剤
第１表に使用したスキー用潤滑剤の種類を示す。なお、
使用したパラフィンワックスは、ＴｏＫｏ社製のもので
、またフッ化黒鉛は旭硝子社製、粒径０．２μｍのもの
であった。
（２）スキー用潤滑剤の塗布条件
ワクシングとして第１表に記載のスキー用潤滑剤を加熱
溶融し、これをスキー滑走面に塗布し、アイロンで均一
に延展した。
次に、塗布したスキーを１０℃、８時間冷却後、プラス
チック製のスフラッパーでスキー用潤滑剤の塗布面が平
滑になるように削り取り、更にナイロン製のブラシでス
キー滑走面をならした。
（３） スキー用潤滑剤の性能評価
上記のようにして塗布したスキーを実際に滑走し、性能
評価を行なった。
滑走条件は次の通りである。
・天気・・・・・ ・・・・・云り
・１温・・・・・・・・・・・−５℃
・雪質・・・・・・・・・・・アイスバーン・テストコ
ース・・・・直線 ２００ｍ平均斜度 ２３度
・滑走者・・・・・・・・・２名
スキー用潤滑剤の性能評価を、初速と平均速度について
５回の滑走の平均値を採用して行なった。
結果を第１表にあわせて示す。
（以下余白）
［発明の効果］
本発明のスキー用潤滑剤は、従来のパラフィンワックス
系のスキー用潤滑剤にない滑走特性なａし初速、平均速
度が優れ、その結果１００分の１秒を競うアルペン競技
に於て好ましい結果が得られる。
また、潤滑面は硬度特性に優れており、硬い雪質に対し
ても安定した潤滑特性を発揮することができる。更に、
１温が低温であるスタート地点（アルペン競技）から比
較的暖かなゴール地、【−に至るコースにおいて優れた
潤滑特性を持続させることができる。(Means for Solving the Problems) To summarize the present invention, the present invention is characterized in that it forms a lubricating surface with excellent hardness, characterized by comprising paraffin wax and graphite fluoride. The present invention relates to a ski lubricant that can provide excellent downhill performance.The structure of the present invention will be explained in detail below.The ski lubricant of the present invention contains the paraffin wax (li) component as described above. and fluorinated graphite 1i i) component. Each component will be explained in detail below. fil About paraffin wax ingredients. The ski lubricant of the present invention contains a fluorine-based compound containing the above-mentioned polyfluoroalkyl group (in addition to the il component,
Paraffin wax (contains the II component as an essential component. This type of paraffin wax has a basic skeleton represented by the general formula C1H211+1, and is generally a mixture of molecules where n is 4 to 36.Paraffin Looking at the peaks of the molecular weight distribution of wax, there are those that form a normal distribution with the maximum peak (single peak) at n = 14 to 18, or those that have multiple peaks at n = 16, 25, 30, etc. It has the function of solid lubricant.In addition, among these, when n is 13 or less, snow m
These paraffin waxes have a liquid state at (o'c to -5°C), have excellent non-wetting properties with water, and have a liquid lubrication function.In the present invention, any of the above-mentioned paraffin waxes can be used. can. The ski lubricant of the present invention contains a fluorine-based compound containing the above-mentioned polyfluoroalkyl group (in addition to the il component).
It contains a fluorinated graphite (ii) component as an essential component. This type of fluorinated graphite has a basic skeleton of the general formula CFII
(x represents 0.5 to 1.0) is a powder with high hardness. It is commonly used as a solid lubricant, and its particle size is between 0.5 um and 60 μm. The ski lubricant of the present invention preferably has a particle size of IOam or less.Although fluorinated graphite is a solid, it has low surface energy and high water non-wetting properties. It is considered to be an important component of lubricants for industrial use. In the ski lubricant of the present invention, the proportions of the paraffin wax (IL component and fluorinated graphite (II) component) are determined from the viewpoint of effectiveness and economy (IT is 50 to 95% by weight,
The content of tiil is preferably 5 to 50% by weight, but is not limited thereto. The reason why the ski lubricant of the present invention exhibits excellent lubricating properties by eliminating the disadvantages of using the paraffin wax component alone can be considered as follows. When lubricant is adsorbed onto the surface of the ski sole, typically high-density polyethylene, and particularly into its amorphous region, paraffin wax having a homogeneous skeleton strongly adsorbs first. Next, fluorinated graphite having a small surface energy is firmly held on the adsorption surface of this paraffin wax. In order to improve the lubrication properties of a ski lubricant, it is sufficient to improve its non-wetting properties against water, and this property is enhanced by graphite fluoride, which has better non-wetting properties than paraffin wax. Moreover, it goes without saying that the hardness of the lubricated surface is greatly changed by fluorinated graphite. In the present invention, as mentioned above, some paraffin wax components are liquid at snow temperatures and have a liquid lubrication function, so these components act as internal lubrication for the fluorinated graphite. This makes it difficult for fluorinated graphite to separate from the lubricated surface, resulting in stable lubricating properties. As mentioned above, the ski lubricant of the present invention contains paraffin wax and fluorinated graphite as essential components, but it goes without saying that known and commonly used additives can be added. . Additives of this type include, for example, as lubricating property and hardness modifiers, organic and inorganic ultrafine particles such as polyethylene, polytetrafluoroethylene, alumina, and silica, ultrafine short fibers such as potassium titanate, and silicon carbide. , graphite, talc, and platy materials such as mica. In addition, there are additives such as coloring agents such as dyes and pigments, lubricating agents such as silicone compounds, surfactants, and antioxidants. The ski lubricant of the present invention can take any form, whether solid or liquid. For example, in the case of a solid, the ski lubricant of the present invention preferably has a melting point of 100°C or less from the viewpoint of not thermally deteriorating the ski sole surface, but is not limited to this and may be solid as long as it is solid when used. . Then, these can be used by heating and melting them and spreading them uniformly on the running surface of skis using a heat source such as an iron. Further, in the case of a liquid in which the ski lubricant of the present invention is dissolved or dispersed in acetone, alcohol, water, etc., it may be used by applying it to the ski running surface by spraying or the like. In addition,
Paper, even if solid! Needless to say, it may be used by impregnating fabrics, knitted fabrics, or nonwoven fabrics and then applying it to the sole surface. (Examples) Hereinafter, the present invention will be explained in more detail with reference to Examples, but the present invention is not limited in any way by these Examples. Examples 1 to 3/Comparative Examples 1 to 4 +11 Ski Lubricant Table 1 shows the types of ski lubricants used. In addition,
The paraffin wax used was manufactured by ToKo Co., Ltd., and the fluorinated graphite was manufactured by Asahi Glass Co., Ltd. and had a particle size of 0.2 μm. (2) Application conditions for ski lubricant As waxing, the ski lubricant listed in Table 1 was heated and melted, applied to the ski running surface, and spread uniformly with an iron. Next, the coated ski was cooled at 10° C. for 8 hours, and then the ski lubricant coated surface was scraped off with a plastic flapper so that it was smooth, and the ski sliding surface was smoothed with a nylon brush. (3) Performance evaluation of ski lubricant The skis coated as described above were actually skied, and the performance was evaluated. The skiing conditions were as follows.・Weather・・・・・・・・・・・・・・・・1 temperature・・・・・・・・・・・・−5℃ ・Snow quality・・・・・・・・・・Ice burn test course・・・・・・Straight line 200m average slope 23 degrees ・Slider ・・・・・・・・・2 people The performance evaluation of ski lubricant was performed using the average value of 5 skis for initial speed and average speed. I did it. The results are also shown in Table 1. (Left below) [Effects of the Invention] The ski lubricant of the present invention has excellent initial speed and average speed without any sliding properties that are not found in conventional paraffin wax-based ski lubricants. Favorable results can be obtained in competitive alpine competitions. In addition, the lubricating surface has excellent hardness characteristics, and can exhibit stable lubrication characteristics even on hard snow. Furthermore,
Excellent lubrication properties can be maintained on the course from the low temperature start point (alpine competition) to the relatively warm finish point [-].