JPH028650B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 作業環境中の大気塵埃は作業者に吸引され、呼
吸器障害を生ずる場合がある。従つてある種の環
境では大気塵埃の濃度を許容できると考えられる
レベルに制限するのが適当であり、ある種の産業
分野ではこれが法律的に要請されている。

このことは、換言すれば与えられた環境が許容
されるか否かを査定するために、空気を採取し危
険な塵埃粒子の濃度を測定する要請につながつて
いる。

塵埃の濃度が作業環境で遂次変化する環境では
作業者の携帯用採取具が必要であり、この様な個
人用装置は動力源と共に必然的に小形軽量でなけ
ればならない。この様な個人用装置に採用され広
く使用される技術は重量のわかつたフイルターを
通して一定の速度で空気を吸い取り、測定時間後
にフイルターの重量を測り、重量増加、空気流速
および使用時間から空気単位容積当りの大気塵埃
量を測定する。しかしながら、大きさおよび重量
制限の故に、この様な個人用重量測定採取装置は
小さい空気流速でのみ操作し得るので妥当な時間
を越えて集められた塵埃の重量は相応して小さく
なり、従つてもし適当に正確な結果を得ようとす
るときは厳密な重量測定が必要となる。従つてこ
れらの装置は専門家を必要とし採用に費用がかか
る。

また、重量測定による塵埃採取装置を、例えば
採鉱の場合のように、固定した場所で使用するた
めに動力源と共に比較的長い距離にわたつて移動
させなければならない場合、あるいは大型のこの
種の装置が作業を妨げる場合も、装置の大きさと
重さに関する問題が考慮されなければならない。

塵埃採取装置に対する別の要請は多くの場合、
呼吸による吸引の危険性のより正確な測定法を提
供するために装置が肺に達する大きさの塵埃粒子
のみを採取すべきであると云うことである。この
要請は一般に一または二種の形式の粒径選別機の
使用により達せられる。その様な形式の一はいわ
ゆる平行板エルトリエーターであり、その中では
採取装置に対する空気流をまず、より大きく、呼
吸によつて吸引されない大気塵埃の粒子がサンプ
ラーに達するよりもむしろその間に沈降するだけ
の時間を有するような長さおよび空間を有する、
平面に対して平行なプレートの間を通過させる。
他の粒径選別機はサイクロンを含むものであり、
その中で空気は回転し遠心力によつて呼吸により
吸引されない粒子を沈澱させる。

上記両形式の粒径選別機の大きさはそれらの空
気流速能力と共に増加し、その上塵埃の採取を必
要とする多くの場合に限界になり易い。平行プレ
ートエルトリエーターの別の不利益はプレートを
水平に維持すると云う固有の要請にあり、これは
エルトリエーターの個人用塵埃採取装置中への組
み込みを不適当にする。

本発明は、上述の装置の大きさと重さに起因す
る不利益を伴うことなく、大きな空気流速下にお
いても作動し得る塵埃捕集装置を提供することに
よつて前述の諸問題を解消するためになされたも
のである。

即ち、本発明は、 (i)空気の通路を形成するハウジング、(ii)該通路
内に設置され、該通路内で空気を吸引通過させる
電気送風機、(iii)該通路内に該通路を横断して設置
され、該通路を通過する空気によつて運ばれる吸
入性塵埃を捕集する主フイルターおよび(iv)該通路
内に該通路を横断して該主フイルターよりも上流
に設置され、該通路を通過する空気によつて運ば
れる非吸入性塵埃を捕集するプレフイルターを具
備し、 該プレフイルターがランダムな繊維状網状組織
から構成され、該繊維状網状組織が、塵埃の捕集
が主として慣性衝突によつておこなわれるような
所定範囲の速度で該通路内を流れる空気によつて
運ばれる非吸入性塵埃の大部分を捕集するような
大きさと分布を有する間〓を備えたことを特徴と
する塵埃捕集装置に関する。

本明細書において、「吸入性塵埃」とは、呼吸
時に肺へ吸入される塵埃を意味し、「非吸入性塵
埃」とは、呼吸時に肺へ吸入されない塵埃を意味
する。これに関連してフイルター中での粒子の捕
獲は沈降および慣性衝突（inertial impaction）
の両方によつて起り、後者はより高い空気流速に
おいて優勢であると理解されている。プレフイル
ターは不連続の繊維のマツトにより形成されても
よいが、多孔性の発泡プラスチツク材を含むのが
適しており、好ましくは一つの層から次の層に連
続的に孔径および分布が変化するような物質の隣
接層構造を含むものである。また、発泡体は好ま
しくはコンシステンシー用ポリエステルであり、
油で被覆されていてもよい。

プレフイルターは、大概の目的にとつてそうで
あろうが、いわゆるヨハネスブルグカーブ
（Joha−nnesburg curve）に近い透過関数（ｐ−
enetration function）を有していてもよい（ヨ
ハネスブルグカーブは1959年のヨハネスブルグに
おける肺塵症の会議で推奨された透過関数を云
い、1960年、オレンスタインにより、会報に報告
された）。

主フイルターは袋状が適しており、送風機はア
クシアル型が好ましいが、いずれでもよい。

もちろん、提案される装置は固定位置採取用に
採用してもよいが、移動式の個人用に特に便利で
ある。後者の場合、装置は英国特許第1426432号
明細書または第1495020号明細書記載のヘルメツ
ト（その中ではユーザーに呼吸空気を供給するよ
うにバツグフイルターと送風機とが既に提供され
ている）中に効果的に組み込むことができる。

本発明をより十分に理解し、より容易に有効な
らしめるために、具体例および添附図面を引用し
て本発明を詳述する。

第１図はヨハネスブルグカーブおよび関連する
本発明およびサイクロンエルトリエーターのそれ
ぞれの透過特性をグラフ的に示したものである。

第２図は本発明による塵埃捕集装置の一態様を
模式的に示したものである。

第３図は同様に別の形態の装置を示したもので
ある。

第１図中、実線はヨハネスブルグカーブであ
り、単位密度球（unit density sphere）が該球
の直径の関数として理想的な平行プレートエルト
リエーターを通る透過量を示し、透過量と直径は
それぞれ縦軸Ｐと横軸Ｄで表わされる。いかなる
粒子に対する関数の透過値も、その粒子と同じ沈
降速度（settling velocity）を有する単位密度球
に対するそれに等しい。

第１図中のＸ印によつて表わされた関連の透過
特性は本発明のプレフイルターに対するものであ
る。このプレフイルターは多孔性のポリエステ
ル・フオームのフイルターを有し、このフイルタ
ーは孔径約0.3mm、単位ｍ当りの孔数（ppm）
3200および厚さ７mmであつた。第１図の結果は直
径２から11μｍの間の蔗糖の一回噴霧エアロゾル
を20cm／秒の速度でフイルターに適用することに
よつて得られた。このエアロゾルを振動式オリフ
イス型エアロゾル発生器（vibrating orifice
aerosol generator）によつて製造し、少量の放
射性源で電子的に中和し、随意の粒子計測器で検
出した。

まず大粒子は多分接触時に接着しないため有効
には捕えられなかつた。しかしながらこれは低沸
点の油とアルコールの混合物中にフオームを浸漬
し、アルコールを溜去し、フオームの繊維上に油
の薄い被膜を残すことによつて集められた。多孔
性フオーム材料は不連続繊維のフイルターよりも
この様な被膜をより容易に保持するように見え
る。これは多数の球状膨張により物質の最初のバ
ルク内に形成される多孔性フオームの孔が一般に
凹状に曲つた側面を有する三角形状の断面の繊維
を生成し、この凹部は円形または他の完全に凸状
の断面を有する不連続繊維よりも多量の（油を）
維持できると云う事実によると思われる。

第１図中の点によつて表わされる関連の移動特
性はサイクロン粒径選別機に対するものであり
（マクワイヤーら、シユタウブ（Staub）、第33
巻、第95頁（1973年）参照）、比較のためにこれ
を示す。

第１図から明らかなごとく、ここに提案された
プレフイルターは、ヨハネスブルグカーブに非常
に近い透過特性を提供し、これは現存する別の粒
径選別機に匹敵する。

第１図との関連でフオーム・フイルターは実際
には本発明の開発過程の初期に試験されたもので
ある。この開発は一つの層から次の層への連続的
に変化する特性を備えたフオーム材の隣接層を含
むフイルターの使用に発展した。これらの多層フ
イルターはより改良された結果を与える。

例えば、この様な多層フイルターの一つは上述
のごとき多孔性フオームの以下のごとく異なつた
特性を有する５つの連続層を有している：即ち各
層はそれぞれ400ppmの12mm（厚）、800ppmの12
mm、1200ppmの９mm、1800ppmの６mm、および
3200ppmの４mmであつた。このフイルターは面積
1250mm²で収集特性が10％変化する前、即ち、フイ
ルターを透過する塵埃の積分重量が、クリーンフ
イルターに比べて10％少なくなる前に、与えられ
た塵埃の1.5ｇｍを集めることができた。これを、
同じ初期性能を与える厚さの単層フオーム・フイ
ルターの性能と比較すると、後者はその収集特性
が10％低下するまでに約0.25ｇｍの塵埃しか収集
しなかつた。第２図の装置は空気通路を形成する
一般に筒状のハウジング１０を含み、該ハウジン
グはその両端でスカート状に外側に広がつた狭い
中間部分１１を有し、これは直径の拡大した端部
１２および１３となる。ハウジング部分１１はそ
の内部に電池で動くアクシアル型送風機（axial
fan）を備え、電池はハウジングで形成された隔
室または送風機に対して導電接続部を有する分離
室中に入つている。上記の形態を有するプレフイ
ルター１５はハウジング部分１２の開放端部に位
置しており、グリル１６で保持されている。この
開放端部は保護カバー１７をその上部または周囲
に空間を設けて取り外し可能に有しており、該保
護カバーは矢印で示すような空気流入路を形成す
る。残りのハウジング部１３は引き伸ばされてお
り保護カバーとしてその最上部に吊されたバツグ
フイルター１８をとり囲み、送風機によつて吸引
された空気を受け入れる。部分１３はバツグフイ
ルターの挿入および除去を容易にするため適当に
取り外し可能にしてある。

この装置は図示するごとく部分１３の低い開放
端で地面または他の障害物から離して一般に立て
て使用するよう意図されている。これは固定位置
で適当な方法で行なつてもよい。さらにこの装置
は作業者の首および腰を通した皮ひもにより作業
者の前に吊してもよい。

送風機は好適にはアクシアル型であり、これは
他の型式、例えば遠心送風機より、より簡単であ
る。

第３図は塵埃捕集装置の他の形式を模式的に示
しており、この場合、特にヘルメツトに組み込ん
だ個人用を意図している。実際上、このヘルメツ
トは前述の特許と一致し、それ以上の詳細な記載
を要しない。但し、本発明はヘルメツト中に、プ
レフイルター２０、電池で動くアクシアル型送風
機２１およびバツグフイルター２２を供給し、こ
れらが背後からヘルメツトを通して続く通路中お
よびヘルメツトの外部シエル２３および内部シエ
ルまたはハーネス（harness）２４間に位置して
おり、過空気はまびさしの後で大気中に前方に
かつ下の方に流れ使用者の呼吸のために役立つ。

引例は主な呼吸により吸引可能な粒子フイルタ
ー用のバツグ形状の使用に対してなされている
が、別の形式はフレアーやプリーツおよび他の構
造で使用してもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図はヨハネスブルグカーブおよび開連する
本発明およびサイクロンエルトリエーターのそれ
ぞれの透過特性のグラフ、第２図は本発明による
塵埃捕集装置の一態様の模式図および第３図は本
発明採取装置の別の態様の模式図を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ (i)空気の通路を形成するハウジング、(ii)該通
   路内に設置され、該通路内で空気を吸引通過させ
   る電気送風機、(iii)該通路内に該通路を横断して設
   置され、該通路を通過する空気によつて運ばれる
   吸入性塵埃を捕集する主フイルターおよび(iv)該通
   路内に該通路を横断して該主フイルターよりも上
   流に設置され、該通路を通過する空気によつて運
   ばれる非吸入性塵埃を捕集するプレフイルターを
   具備し、 該プレフイルターがランダムな繊維状網状組織
   から構成され、該繊維状網状組織が、塵埃の捕集
   が主として慣性衝突によつておこなわれるような
   所定範囲の速度で該通路内を流れる空気によつて
   運ばれる非吸入性塵埃の大部分を捕集するような
   大きさと分布を有する間〓を備えたことを特徴と
   する塵埃捕集装置。 ２ 該網状組織が多孔性の発泡プラスチツクから
   形成された第１項記載の装置。 ３ 該網状組織が、連続的に変化する孔径と孔分
   布を有する多孔性発泡プラスチツクの積層から形
   成された第２項記載の装置。 ４ 該プラスチツクがポリエステルである第２項
   または第３項記載の装置。 ５ 該プラスチツクが油被覆層を有する第２項か
   ら第４項いずれかに記載の装置。 ６ ヨハネスブルグカーブに近似した透過関数を
   有する第１項から第５項いずれかに記載の装置。 ７ ハウジングがヘルメツト形態を有する第１項
   から第６項いずれかに記載の装置。 ８ 主フイルターが送風機の下流に設置された袋
   状フイルターであり、プレフイルターが送風機の
   上流に設置された第７項記載の装置。