JPH025796B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、可燃物、特に使用済みの高分子化合
物、油脂類、木材片、等の可燃物の部分燃焼、連
続乾留装置に関する。さらに詳しくは、本発明
は、多品種少量ずつ、又は混合されてしまつた使
用済みの可燃物（以下可燃物と記す）から前処理
を必要することなく、有害成分の発生を防止しな
がら連続的に可燃性ガス及び、又は油分として高
効率で回収する可燃物の部分燃焼、連続乾留装置
に関する。

従来の技術 可燃物の乾留装置は、回分式、連続式いずれも
各種各様のものが提案されているが、いずれも一
長一短があり広く普及するには至つていない。

一部ロータリーキルン式炉を用いて多品種の物
を処理している例もあるが、これは乾燥又は焼却
を目的とした炉である。また、補助燃料を用い、
水分の多い泥状のものを乾燥、焼却する固定炉床
傾斜多段炉も多数使用されている。

本願の発明者は、先に高分子物質を多量に含む
固形廃棄物の部分酸化による可燃性ガスを回収す
る廃棄物処理炉を特許第1376826号に開示した。

発明が解決しようとする問題点 前記従来の乾留装置は種々のものが提案されて
いるが、いずれも広く普及するに至つていない最
大の理由は、夾雑物の混入を許さなかつたり、被
処理物の粉砕を要するなど前処理を必要とするた
めである。

ロータリーキルン式の炉は乾燥又は焼却を目的
とした炉であつて、着火用又は乾留用熱エネルギ
ーは外部からの供給を要するものであり、その乾
留効率は著しく低い。

また、前記の固定炉床傾斜多段炉は焼却が主目
的であつて、燃焼室を広くしているため熱集中度
が低く、乾留用に使用した場合、その効率が著し
く低い。

これら従来の装置の欠点を解消するため、前記
特許第1376826号において、本願の発明者は、廃
棄物の分別、粉砕等の前処理を必要とせず、かつ
その処理によつて可燃性の分解ガスを回収し得る
廃棄物処理炉を提案したが、回収効率および酸化
室と分解室との接続部近傍における可燃物の円滑
な流下の点において不十分であつた。

問題点を解決するための手段 本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、
可燃物の分別、粉砕等の前処理を必要とせず、可
燃物に含まれる有害な成分による環境汚染を与え
ることなく、高効率で可燃性ガス及び、又は油分
を回収することができる可燃物の部分燃焼、連続
乾留装置を提供することを目的とする。

本発明による、可燃物の一部を燃焼させ、発生
する燃焼熱により可燃物の大部分を乾留して可燃
性のガス及び、又は油分を回収する可燃物の部分
燃焼、連続乾留装置は、複数段の固定階段状傾斜
炉床、正面炉壁、側面炉壁及び天井からなり、天
井の高さ／水平方向幅との比が0.3〜0.7である約
600℃以上の高温乾留室と；固定階段状傾斜炉床
の直上部に接続し、高温乾留室に対して鉛直に延
在する約600℃以下の低温乾留室と；高温乾留室
の最下段の傾斜炉床に接続した水封式灰出し装置
と；低温乾留室の上部に設けた可燃物の供給装置
並びにガス取出口からなる。

第２の実施態様における本発明は、最下段の傾
斜炉床を除く、傾斜炉床、各段の立上り部及び側
面炉壁に、炉床面に向けて多数の空気供給孔を設
け、各傾斜毎、又は複数の段をまとめて、又は段
の左右を設けて、空気供給量及び、又は空気供給
圧力を連続的に制御することができることを特徴
とする可燃物の部分燃焼、連続乾留装置である。

第３の実施態様における本発明は、階段状傾斜
炉床の傾斜度は各段毎に水平面に対し10〜70度と
し、必要の段には炉床面を清掃することができる
清掃用具を設けることを特徴とする可燃物の部分
燃焼、連続乾留装置である。

第４の実施態様における本発明は、低温乾留室
と高温乾留室との接続部の横断面積が高温乾留室
の横断面積の50〜80％であることを特徴とする可
燃物の部分燃焼、連続乾留装置である。

作 用 多段傾斜炉床面に向けて多数の空気供給孔を設
け、供給空気の量及び圧力を各段毎、左右に分け
て連続的に制御し、ガス燃焼に消費されることを
防ぎながら空気を少量ずつ供給し、被乾留物の燃
焼部分は完全燃焼させ、最高の燃焼熱を発生させ
てその他の部分を乾留し、生成するコークス分を
傾斜炉床の最下部で完全燃焼させるようにしたた
め、高効率で可燃性ガス及び又は油分を回収する
ことができる。

低温乾留室と高温乾留室との接続部の断面積を
小さくし、高温乾留室の天井を低くしてガス溜め
部が形成されるようにしたため、発生した熱を高
温乾留室で最大限利用することができる。

可燃物の選別又は前処理を要しないため、作業
性が著しく改善される。

可燃物に含まれる窒素分は、低温乾留室で乾留
して酸化物の生成を防ぎ、硫黄、塩素等の酸性元
素は、低温乾留室で被乾留物中のアルカリ分と可
能な限り反応させ、ガス中えの混入分は塩の形と
すべく、可燃性ガスの取出温度を400℃以下に制
御するため、有害ガスの発生は、極少に防止され
る。

可燃物は低温乾留室において、大部分その相互
保持効果及び高温乾留室から上昇してくる熱ガス
流によつて保持されるが、低温乾留作用を受けな
がら一部は液状となり、一部は固形状のまま、不
燃物と共に高温乾留室に移動する。

高温乾留室においては、その容積の1/4以上は
強還元性ガス雰囲気に制御され、主として最下段
の炉床において、生成コークスの燃焼によつて発
生する燃焼熱によつて600℃以上に維持されるた
め、高温乾留が行なわれる。この際、液状物は傾
斜炉床面を流れながら、下部から吹き上げる熱風
と炉床及び側壁から供給される少量の空気によつ
て、一部燃焼しながら、蛇行して乾留される。ガ
ラス、金属片、等の不燃物は水封式灰出し装置に
落下する。

実施例 以下、本発明を図面を参照して詳細に説明す
る。

第１図は、本発明による可燃物の部分燃焼、連
続乾留装置の縦断面図であり、本発明の一実施態
様を示す。

高温乾留室１は、複数段の階段状傾斜炉１、正
面炉壁２、側面炉壁３、および炉天井４からな
る。最下段を除く傾斜炉床１の各段の立上り部お
よび側面炉壁３の下部には、炉床面に向けて（炉
床面に対して下向き傾斜が望ましい）燃焼用空気
Ａを噴出せしめるべく多数の空気供給孔５が設け
られ、正面炉壁２には、起動および助燃用バーナ
６が設けられる。

低温乾留室は、最上段の炉床の直上に高温乾
留室に接続して設けられ、高温乾留室との接続
部の断面積は低温乾留室の断面積の50〜80％に
絞り込まれており、上部に乾留ガス取出口７が設
けられている。水封式灰出し装置は、高温乾留
室に接続して、最下段の炉床１の下部に設けら
れる。可燃物投入装置は、低温乾留室の直上
に接続して設けられる。処理の対象となる可燃物
は、特に粗大な不燃物を除き、可燃物投入装置
より低温乾留室に投入される。可燃物投入装置
としては、通常のダブル・ダンパー式の投入装
置、等が使用される。清掃用具は、図示のよう
に必要な段に炉床面にほぼ平行に設けられる。

低温乾留室に投入された使用済みの可燃物Ｂ
の大部分は、その相互保持効果および高温乾留室
から上昇してくる熱ガスＣにより、高温乾留室
と低温乾留室の接続部において保持される
が、低温乾留作用を受けながら一部は液状とな
り、一部は固形状のまま、不燃物と共に高温乾留
室に移動する。この間に、被乾留物Ｂは高温乾留
室から上昇してくる炭酸ガスを含む高温ガスＣ
と接触することによつて熱分解し、乾留留分、水
素および一酸化炭素を含む可燃物乾留ガスＤを生
成し、乾留ガス取出口７より回収される。また、
化学結合力の弱い窒素は、殆んど窒素分子となつ
て遊離し、酸性ガスは乾留物と充分に接触して安
定な塩となる。

高温乾留室における未分解被乾留物Ｂは、高
温乾留室の容積の1/4以上は強還元性ガス雰囲気
に制御され、主として最下段の炉床において、生
成コークスの燃焼によつて発生する燃焼熱によつ
て600℃以上の温度に維持されるため、高温乾留
されることになる。この際、液状物は傾斜炉床面
を流れながら、下部から吹き上げる熱風と炉床お
よび側壁から炉床面に向けて供給される少量の空
気によつて、一部燃焼（酸化）しながら蛇行して
乾留される。固形物は、高温と低温のガスの交互
作用により、表層が剥離され、燃焼と乾留を続け
ながら傾斜炉床を順次下方へ流下し、最下段の炉
床に至るまでに完全に乾留および酸化される。剥
離された表層は、供給空気流や高温ガス流によつ
て、瞬時に乾留又は燃焼される。

低温乾留室と高温乾留室との接続部近傍に
おいて、固形物の下方への流下が停止した場合に
は、清掃用具を作動して流下運動を強制する。

例 １ 本発明による可燃物の部分燃焼、連続乾留装置
を使用して、使用済みのプラスチツクを処理した
場合、次のような効果が得られた。

回収部分 比率（％） 油 分 40.0 ガス分 38.5 放熱ロス分 13.5 残渣分 8.0 計 100 回収熱量： 78.5％ 例１において使用した乾留装置の高温乾留室の
寸法は下表の如くである。表に示したＸは高温乾
留室の炉床に平行な方向に測定した高温乾留室の
長さ、そしてＹはＸに垂直な方向に測定した高温
乾留室の高さを表わす。

表：高温乾留室の寸法 Ｘ（mm） Ｙ（mm） 800 800〜1200 1200 800〜1200 1600 800〜1200 1800 1200〜1800 高温乾留室の温度は廃棄物の種類、炉の寸法、
等によつて左右されるが、本実施例における場合
の高温乾留室の温度は、Ｙ方向上部で1000〜
1300℃、低温乾留室に近いＹ方向上部で600〜
800℃、水封式灰出装置に近い部分で800〜900
℃であつた。低温乾留室の温度は600℃以下であ
つて、高温乾留室に隣接する部分は600℃に近い
が、上部に行くに従つて温度は下がり100℃〜300
℃であつた。

発明の効果 本発明の可燃物の部分燃焼、連続乾留装置によ
り、多品種少量ずつ、又は混合されてしまつた使
用済みの可燃物を、前処理を必要とせず、有害成
分を発生を極少に制御し、連続的に可燃性ガス及
び、又は油分として高効率で回収することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明による部分燃焼、連続乾留装
置の縦断面図である。 ：高温乾留室、：低温乾留室、：水封式
灰出し装置、：可燃物の供給装置、：炉床清
掃用具、：掃除シリンダ、Ａ：燃焼用空気、
Ｂ：被乾留物、B′：未分解被乾留物、Ｃ：高温
ガス、Ｄ：可燃性乾留ガス、Ｅ：不燃物、１：傾
斜炉床、２：正面炉壁、３：側面炉壁、４：天
井、５：空気供給孔、６：起動及び助燃バーナ、
７：乾留ガス取出口。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 可燃物の一部を燃焼させ、発生する燃焼熱に
   より可燃物の大部分を乾留して可燃性のガス及び
   又は油分を回収する可燃物の部分燃焼、連続乾留
   装置において、 複数段の固定階段状傾斜炉床、正面炉壁、側面
   炉壁及び天井からなり、天井の高さ／水平方向幅
   の比が0.3〜0.7である約600℃以上の高温乾留
   室； 前記階段状傾斜炉床の直上部に接続し、前記高
   温乾留室に対して鉛直に延在する約600℃以下の
   低温乾留室； 前記高温乾留室の最下段の傾斜炉床に接続した
   水封式灰出し装置；および 前記低温乾留室の上部に設けた可燃物の供給装
   置並びにガス取出口からなることを特徴とする可
   燃物の部分燃焼、連続乾留装置。 ２ 前記最下段を除く傾斜炉床各段の立上り部及
   び側面炉壁に、炉床面に向けて多数の空気供給孔
   を設け、各傾斜段毎、又は複数の段をまとめて、
   又は段の左右を別けて、空気供給量及び、又は供
   給空気圧力を連続的に制御しうる構成を特徴とす
   る特許請求の範囲第１項に記載の可燃物の部分燃
   焼、連続乾留装置。 ３ 前記階段状傾斜炉床の傾斜度は各段毎に水平
   面に対し10〜70度とし、必要の段には炉床面を清
   掃することができる清掃用具を設けることを特徴
   とする特許請求の範囲第１項に記載の可燃物の部
   分燃焼、連続乾留装置。 ４ 前記低温乾留室と高温乾留室との接続部の横
   断面積が高温乾留室の横断面積の50〜80％である
   ことを特徴とする特許請求の範囲第１項に記載の
   可燃物の部分燃焼、連続乾留装置。