JPH0244194Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ａ 考案の目的 （産業上の利用分野） この考案に係る生物試料包埋用紫外線照射装置
は、病院、研究所等に於いて患者の患部等から切
除した生物試料を電子顕微鏡により観察するため
に包埋処理する場合に使用する。

（従来の技術） 生物試料を電子顕微鏡により観察する場合、こ
の生物試料を薄切しなければならない。軟らかい
生物試料はそのままでは顕微鏡観察可能な程薄く
切断できないため、従来はこの生物試料をエポキ
シ樹脂により包埋し、このエポキシ樹脂ごと生物
試料を薄切していた。

ところが、エポキシ樹脂を熱重合させて硬化さ
せるためには、35〜60℃に加温した状態で２昼夜
程放置しなければならず、生物試料に悪影響が生
じるのが避けられなかつた。

このため、紫外線を照射することにより低温下
でも硬化する紫外線硬化樹脂を使用して生物組織
を包埋処理することが考えられている。この紫外
線硬化樹脂を使用すると、生物組織を変質させる
心配のない−30℃程度の低温で包埋処理が可能と
なる。

（考案が解決しようとする問題点） ところが、紫外線硬化樹脂を用いて包埋処理を
行なう場合、樹脂の外周からまんべんなく紫外線
を照射しなければならない。又、効果的な紫外線
照射を行なえる放電管式の紫外線灯は、−10℃以
下の低温では放電せずに紫外線照射を行なえなく
なる。このため、従来は生物試料の変質を防止し
つつ有効な紫外線照射を行なうことができなかつ
た。

本考案の生物試料包埋用紫外線照射装置は、上
述のような不都合を解消するものである。

ｂ 考案の構成 （問題を解決するための手段） 本考案の生物試料包埋用紫外線照射装置は、第
１図に示すように冷凍庫１に内蔵され使用され
る。

互いに間隔を置いて平行に設けた第一、第二の
２枚の波形反射板２，２の下側には第三の波形反
射板３を設け、この第三の波形反射板３の上面に
試料及び紫外線硬化樹脂を封入したカプセル４を
支持したスタンド５を載置するようにしている。
ステンレス等の反射し易い金属線材により造られ
たスタンド５には、第２図に示すような係止環６
を多数設けている。この係止環６の内径は、カプ
セル４の小径側半部を挿通できるが大径側半部を
挿通できない大きさとして、各係止環６の内側に
カプセル４を１個ずつ支持できるようにしてい
る。

一方、第一、第二の２枚の波形反射板２，２の
上側には、中央にガラス窓７を有する天板８を設
けている。この天板８は、波形反射板２，２の間
にカプセルを支持したスタンド５を挿入できるよ
うに、例えば一端を波形反射板２の上端部に枢着
している。

天板８の上面には、中央のガラス窓７を覆うよ
うにしてケース９を設けており、このケース９内
に紫外線灯１０，１０を配設している。この紫外
線灯１０，１０の上側には、各紫外線灯１０，１
０が発生する紫外線をガラス窓７に向けて反射す
る反射板１１を設け、この反射板１１の外面と上
記ケース９の内面との間には加温用ヒータ１２を
設けている。

又、天板８の中央のガラス窓７の下側には中央
が高く両側が低くなるように傾斜した山形の反射
板１３を設け、紫外線灯１０，１０から照射さ
れ、ガラス窓７を透過した紫外線を両側に位置す
る第一、第二の反射板２，２に向けて反射するよ
うにしている。

第一、第二、第三の３枚の反射板２，３と天板
８とにより四周を囲まれる空間１４の両端は、冷
凍庫１内に開口しており、この空間１４内に冷気
が流通自在としている。

（作用） 上述のように構成される本考案の生物試料包埋
用紫外線照射装置を使用して、生物試料を包埋処
理する場合、紫外線透過性材料により造られたカ
プセル４内に、生物試料を投入するとともに紫外
線硬化樹脂を充填し、このカプセル４をスタンド
５に支持した状態で上記空間１４の下面を仕切る
第三の反射板３の上面に載せる。この作業は、天
板８を一端の枢軸１５を中心として上方に回動さ
せることで容易に行なえる。

カプセル４を支持したスタンド５を反射板３の
上面に載置したならば、加温用ヒータ１２と紫外
線灯１０，１０とに通電し、ケース９内を紫外線
灯１０，１０を点灯可能な温度（−10℃以上）に
まで昇温させた状態で各紫外線灯１０，１０に点
灯する。

各紫外線灯１０，１０から照射される紫外線
は、ガラス窓７を透過し、山形の反射板１３で反
射されて第一、第二の波形反射板２，２に送られ
る。紫外線はこの波形反射板２，２によつて複雑
に反射され、一部は更に第三の波形反射板３で反
射して、カプセル４を四周から均一に照射する。
この結果、カプセル４に充填された紫外線硬化樹
脂が均一に硬化する。

内部の樹脂が硬化したカプセル４は、スタンド
５から取り外し、生物試料を包埋した樹脂をカプ
セル４ごと薄切して顕微鏡標本とする。

（応用例） なお、第１図に示した構造では、第一〜三の波
形反射板２，３を、１枚の波板を折り曲げること
により一体に形成しているが、第３図に示すよう
に各波形反射板２，３を独立した板とし、第三の
反射板３は第一、第二の反射板２，２の内側面に
固定した支持部１６，１６に両端を載置するよう
にしても良い。支持部１６，１６を複数組設け、
第三の波形反射板３の装着位置を変えられるよう
にすれば、カプセル４を上から照射する紫外線の
強さと下から照射する紫外線の強さとの比を調節
できる。

ｃ 考案の効果 本考案の生物試料包埋用紫外線照射装置は以上
に述べた通り構成され作用するが、生物試料を変
質させるおそれのない低温条件下で生物試料を包
埋する紫外線硬化樹脂に十分量の紫外線を均一に
照射することができ、高品位の顕微鏡標本を安定
して製作できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の生物試料包埋用紫外線照射装
置の略縦断面図、第２図はカプセルを支持するス
タンドの部分斜視図、第３図は波形反射板の別例
を示す略縦断面図である。 １：冷凍庫、２，３：波形反射板、４：カプセ
ル、５：スタンド、６：係止環、７：ガラス窓、
８：天板、９：ケース、１０：紫外線灯、１１：
反射板、１２：加温用ヒータ、１３：反射板、１
４：空間、１５：枢軸、１６：支持部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 冷凍庫内に間隔を置いて設けた互いに平行な第
   一、第二の波形反射板の下側に第三の波形反射板
   を、上側に中央にガラス窓を有する天板をそれぞ
   れ設け、ガラス窓の上側を覆つて設けたケース内
   に紫外線灯と、紫外線をガラス窓に向けて反射す
   る反射板と、加温用ヒータとを設け、ガラス窓の
   下側には上記紫外線灯からの紫外線を互いに平行
   な第一、第二の波形反射板に向けて反射する山形
   の反射板を設けて成る生物試料包埋用紫外線照射
   装置。