JPH0240774Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、ふ化槽、より詳細には箱体本体内に
ふ化させる卵を載せ置くための上網棚を備えたふ
化槽に関する。

（従来の技術） 従来この種ふ化槽は、第２図乃至第４図に示す
ように構成されている。箱体本体１の上面には上
蓋２が載せ置かれ、この上蓋２の第１図中右端部
には給水口３が形成されている。この給水口３に
接して仕切り板５が固設されており、給水口３か
ら供給された水は、仕切り板５の第１図中右側部
分を下降し（矢印ａ）、箱体本体１と仕切り板５
の下端部との間を通つて、空間Ａ側へ流入するよ
うになつている。７はオーバーフロー用の堰であ
り、このオーバーフロー用堰７をオーバーフロー
した水は排水口から排出されるようになつてい
る。

空間Ａにはふ化させるための卵８を載せ置くた
めの上網１２及び漁礁１７を載せ置くための下網
１３が上下２段に配設されている。上網１２は上
網取付け用枠下部１０と上網取付け用枠上部１１
との間に挾持されており（第３図）、これら上網
取付け用枠下部１０と上網取付け用枠上部１１と
の固定はビス止めあるいは接着により行なわれて
いる（図示せず）。上網１２を挾持した上網取付
け用枠下部１０が支持片９の上面に支持されてお
り、支持片９は箱体本体１の側壁２０あるいは仕
切り板５の所定箇所に複数個、例えば６個程度固
定されている。

下網１３は下網取付け用枠１５に取付けられて
おり（第４図）、下網取付け用枠１５は断面形状
がＬ字形をしており、この底辺部の上面に下網１
３の周縁部が配置され、この周縁部を上方から押
え片１６が押え付けており、下網取付け用枠１５
と押え片１６との固定は接着あるいはビス止めに
より行なわれている（図示せず）。下網取付け用
枠１５の下面が支持片１４により支持されてお
り、支持片１４は上記した支持片９と同様に箱体
本体１の側壁２０あるいは仕切り板５の所定箇所
に複数個、例えば６個程度固定されている。下網
取付け用枠１５と側壁２０あるいは仕切り板５と
の間には下網取付け用枠１５の箱体本体１側から
の離脱が容易になるように隙間１８が形成されて
おり、この隙間１８の上部にはこの隙間１８にふ
化した稚魚が頭を突つ込んで死んでしまうのを防
止するためのゴムパツキン１９が配設されてい
る。下網１３の上面にはふ化した稚魚のための漁
礁１７が数層に載せ置かれており、最初上網１２
上に載せ置かれた卵８（第２図）からふ化した稚
魚は上網１２から下網１３側へと落下し、ここで
稚魚が成長する。

また、本件出願人は実願昭61−151029号（出願
日昭和61年９月30日）のふ化槽をも開発してい
る。

（従来技術の問題点） ところがふ化した稚魚は暗いところに入込む習
性を持つており、第２図の場合では、隙間１８に
頭を突つ込んで死ぬことが多い。これを防止する
ため隙間１８の上部にはゴムパツキン１９が配設
されているのであるが、箱体本体１に水が供給さ
れると水圧で側壁２０あるいは仕切り板５は外側
へ押し広げられ（矢印ｂ）、歪み、変形が発生し
やすい。

また、ふ化した後の稚魚を取出す場合に、下網
１３を移動させて稚魚を一部分に集めて、捕集し
やすくすることができない。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、箱形本体内にふ化させる卵を載せ置
くための網棚を備えたふ化槽において、箱形本体
を外枠と内枠との２重構造で構成し、内枠を上部
網棚と下部網棚の側板で形成し、下部網棚を外枠
に着脱自在に載せ置き、下部網棚の側板を外枠の
上部に迄達するように伸ばし、下部網棚の側板の
途中に上部網棚を載せ置く段部を形成し、上部網
棚の側壁と下部網棚の段部より下方の側壁を略同
一面上に形成したことを特徴とするふ化槽であ
る。

（作用） 箱形本体が２重構造であるので、内枠の内部と
外部との間の圧力差がなく、歪み、変形が無い。

下部網棚の側壁が上部にまで延びているので、
下部網棚全体を傾斜させて、ふ化した稚魚を集め
て捕集しやすくする。

両網棚の側壁が略同一面をなすので、内部の清
水の流れがよい。

（実施例） 本考案を採用したふ化槽を示す第１図におい
て、第２図〜第４図と同一符号を付した部分は同
一あるいは相当部分を示す。

第１図中で、ふ化槽３０は左右に２個並列され
ている。各ふ化槽３０には給水管３１、放流パイ
プ３２、オーバーフローパイプ３３（第５図、第
６図）が設けられており、ふ化槽３０の上面は蓋
３４で覆われている。なお、ふ化槽３０の主要部
は全てアルミ製である。

第５図の−断面を示す第７図で、上網１
２、下網１３に着脱自在に設けられている。箱形
本体１の外枠３５あるいは仕切り板５と内枠３６
との間には室３７が隔てられており、この室３７
の内部に清水が充満している。したがつて、箱形
本体１は内方に内枠３６を備えた２重構造になつ
ている。

第６図の−断面を示す第８図で、外枠３５
との下部には段付状の段部４０が形成されてお
り、この段部４０に下網１３更に上網１２を載せ
て着脱自在に保持している。左右のふ化槽３０が
接続される部分で段部４０はチヤンネル状の接続
板４１で形成されており、接続板４１の上面には
区画板４２が溶接されている。区画板４２の上端
部には溝形板４２ａが溶接され、この溝形板４２
ａに左右の蓋３４を係合している。

第８図の要部を示す第９図で、下網１３は下部
側板４５のフランジ部４６と枠４７の間にリベツ
ト４８でステンレス製の金網４４を挾み付けて、
枠４７を外枠３５の段部４０に載せ置いている。
下部側板４５の上下方向中間部には段部５２が形
成されており、この段部５２に上網１２を着脱自
在に載せ置いている。上網１２の樹脂製トリカル
ネツト４３は上部側板４９のフランジ部５０と枠
５１の間にリベツト４８で挾み付けられており、
枠５１を段部５２に載せ置いている。

また下部側板４５の上部には傾斜面５３が形成
されており、この傾斜面５３に上部側板４９の傾
斜部５４を係合して、上部側板４９の側壁５５と
下部側板４５の側壁５６が略同一面をなすように
形成されている。下部側板４５は更に傾斜面５３
から外枠３５に沿つて箱形本体１の上端部にまで
延びており、蓋３４で密封されている。

したがつて、下部側板４５と上部側板４９で内
枠３６が形成されており、外枠３５と内枠３６の
間の室３７に清水が充満している。

次に作用を説明する。以上の実施例では、上網
１２のトリカルネツト４３上に卵を所定の高さ
（例えば10cm程度）を載せ、上網１２の下方から
上方へ向かう清水を流して、卵をふ化させ、ふ化
した稚魚をトリカルネツト４３上から下へ落とし
て下網１３上の漁礁１７（第８図）で育成する。

ふ化槽内に供給された清水は、略同一面をなす
側壁５６，５５に沿つて下方から上方へ流れるの
で、ふ化槽内の清水の流れがよくなる。

第９図に示すように、上網１２を挟み付けてい
る上部側板４９の傾斜部５４は傾斜面５３に全周
にわたつて密着しているので、上部側板４９と傾
斜面５３の間にはふ化した稚魚が入り込むような
〓間がまつたく発生せず、稚魚がこの〓間に頭を
突つ込んで死んでしまうことを防止する。

また、上網１２上の卵がふ化した後には、抜け
殻等がトリカルネツト４３上に残るが、ふ化後に
上網１２全体を下部側板４５から取出して清掃す
る。

更に、育成後に稚魚をふ化槽から取出す場合
に、下網１３の下部側板４５が外枠３５の上縁ま
で延びており、下網１３全体を傾けても内部の稚
魚は、下網１３内から逃げずに一部分に集まるの
で、広いふ化槽内の稚魚を捕集網で追い回す従来
の場合と比較して、稚魚の捕集作業が容易であ
る。

ふ化槽内に清水が流れている状態では、内枠３
６および外枠３５に水圧がかかるが、内枠３６と
外枠３５は２重構造になつており、室３７内にも
清水が流れ込んでいるので、室３７と内枠３６の
内方とが等水圧になり、内枠３６が水圧が歪んだ
り、変形したりする恐れがない。

（考案の効果） 以上説明したように本考案によるふ化槽は、箱
形本体１を外枠３５と内枠３６との２重構造で構
成し、内枠３６を上網１２と下網１３の側板４
５，４９で形成し、下網１３を外枠３５に着脱自
在に載せ置き、下網１３の側壁４５を外枠３５の
上部に迄達するように伸ばし、下網１３の側板４
５の途中に上網１２を載せ置く段部５２を形成
し、上網１２の側壁５５と下網１３の段部５２よ
り下方の側壁５６を略同一面上に形成したので、
次の効果を奏する。

箱形本体１が内枠３６と外枠３５あるいは仕切
り板５との２重構造になつているので、室３７と
内枠３６の内方とは等水圧になり、内枠３６に歪
みや変形が発生せず、内枠３６の強度が向上す
る。

上網１２、下網１３が個別に着脱自在であるの
で、上網１２上の抜け殻等の不要物の清掃が容易
で、かつ稚魚をふ化槽から取出す場合には、下網
１３全体を傾けて稚魚を一部分に集めることがで
き、稚魚の捕集作業を容易にできる。

ふ化槽内に供給された清水を、略同一面をなす
側壁５６，５５に沿つて下方から上方へ流すこと
ができるので、ふ化槽内の清水の流れがよくな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を採用したふ化槽の平面図、第
２図、第３図、第４図はそれぞれ従来例の構造略
図、第５図は第１図の矢視図、第６図は第１図
の矢視図、第７図は第５図の−断面図、第
８図は第６図の−断面図、第９図は第８図の
要部拡大図である。１２……上網、１３……下
網、３０……ふ化槽、３５……外枠、３６……内
枠、３７……室、４５……下部側板、４９……上
部側板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 箱形本体内にふ化させる卵を載せ置くための網
   棚を備えたふ化槽において、箱形本体を外枠と内
   枠との２重構造で構成し、内枠を上部網棚と下部
   網棚の側板で形成し、下部網棚を外枠に着脱自在
   に載せ置き、下部網棚の側板を外枠の上部に迄達
   するように伸ばし、下部網棚の側板の途中に上部
   網棚を載せ置く段部を形成し、上部網棚の側壁と
   下部網棚の段部より下方の側壁を略同一面上に形
   成したことを特徴とするふ化槽。