JPH0240560B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、ハブ自体に連結可能な複数のブレー
ドを関連の弾力性カツプリングによつて支持可能
なヘリコプタロータ用ハブに関する。

ヘリコプタロータには、支持すべきブレード数
と同数、一般には４つ、の側面を有する平面的に
見てほぼ正多角形の偏平なプレートによつて構成
されたハブを用いることが知られている。この偏
平プレートは一般に金属材料あるいは積層合成材
料の単一プレートで構成ており、その各コーナ部
の近傍には外側を周囲のアームまたはブリツジで
囲まれた貫通孔が形成されている。各ブレードに
は一般に取付ブラケツトが設けられ、この取付ブ
ラケツトは上記プレートの関連の貫通孔を貫通す
ると共に、可撓性のブロツクが介在した状態で関
連のブリツジによつて支持される。可撓性ブロツ
クは一般に円錐台形であり、その軸線がプレート
と同平面内にあつて且つロータの回転軸線の方を
向いた状態で配置される。

上述の説明から、ハブからブレードに伝達され
る力ならびにブレードによつてハブに加えられる
力が全て前記のアームまたはブリツジを通過する
ことは明らかであり、これらアームまたはブリツ
ジとハブの他の部分との結合点が確実にハブそれ
ぞれ自体の最高応力点となる。特に、ブリツジの
端部に生ずる力集中により、通常はそれらを受容
するために材料をかなり厚くすることが必要であ
る。

以上のような公知のハブの第一の欠点は、使用
材料が概略的に最大力集中点においてのみちよう
ど充足し、その他の点においては要求されるより
も間違いなく強すぎるということである。このこ
とは明らかに、同一出力装置に対する「搭載負荷
（ペイロード）」の減少を意味する。

上述した公知のハブのもう１つの欠点は、事実
上単一素材から成るハブ構造それ自体が、起り得
るクラツクの伝播を助長することである。

本発明の目的は、ハブに作用する力を所定の流
線に沿つて伝達して同一の強度に対する構造断面
積を、ひいては重量を最小限となし得るような、
更には起り得るクラツクが構造体全体に亘つて伝
播してそれを破壊させる危険を回避できるよう
な、そんな構造のハブを実現することにある。

この目的は本発明によつて次のようにして達成
される。つまり本発明は、ヘリコプタロータの回
転中心軸線を中心に均一に配置された複数の周囲
貫通孔を有し、関連のブレードを連結するための
弾性カツプリングを夫々の孔に収容できるように
した偏平プレートの形態のヘリコプタロータ用複
合ハブに関するものであり、その特徴とするとこ
ろはプレートが積層構造であり、この積層構造の
中心偏平層を構成する力分配要素と、この分配要
素の両側にそれぞれ複数個ずつ配置され且つ前記
回転軸線に直角な平面内において回転軸線から半
径方向外方に向つて延在する半径方向薄片要素
と、前記分配要素の両側にそれぞれ１つずつ配置
され且つ前記回転軸線に直角な平面内において前
記半径方向要素のうちの関連の要素の自由端と接
触して延在する環状薄片要素と、それぞれ前記回
転軸線と平行に延び且つ前記分配要素及び関連の
半径方向要素に接触している複数の軸線方向薄片
要素とを含んで構成されている。

なお、ここで力分配要素とは、複合材料からな
る部材に関連して広く用いられる用語であつて、
複合材料を構成する他の要素と協同する複合材料
中の一要素であり、例えば相互に直角をなして延
びるような２つの繊維組織を有し、力を他の協同
要素に分配することのできるものを意味する。

以下、本発明についてその一実施例に基づき図
面を参照して詳細に説明する。

第１図に示すヘリコプタロータのハブは、平面
的に見た場合に隅角部が斜めに殺された実質上正
方向の偏平なプレート１で構成されている。プレ
ート１にはそれの各隅角部の近傍において貫通孔
２が形成され、この貫通孔は関連のブレード（図
示せず）をプレート１それ自体に連結するための
弾性カツプリングを構成するそれ自体周知の可撓
性ブロツク（図示せず）を収容することが可能で
ある。

孔２はプレート１の回転中心軸線の周りに均一
に分散配置され、且つプレート上に中心本体３を
画定している。この中心本体には回転軸線と同軸
状の中心貫通孔４が形成され、この孔には駆動軸
（図示せず）を挿入可能である。孔２は更にプレ
ート１上に、中心本体３から半径方向外方へ延び
る４つの半径方向アーム５を、それぞれ隣接する
関連の１対の半径方向アーム５の端部間に延在し
て関連の孔２の外側を閉鎖するブリツジ７を４つ
含む外周フレーム６とを画定する。

第４図に示すように、プレート１は繊維強化樹
脂層によつて構成された中心偏平層を構成する力
分配要素８を含む。力分配要素８はプレート１と
ほぼ同一の平面形状を有し、そして孔２と一致し
且つ要素８の４つの半径方向アーム１０を画定す
る４つの貫通孔９が形成されている。半径方向ア
ーム１０の半径方向内方端は孔４の中心部を画定
する中心貫通孔１２が形成された中心本体１１に
よつて相互に連結され、そして半径アーム１０の
半径方向外方端はほぼ正方形の環状フレーム１３
によつて連結されている。フレーム１３からは４
つの耳具１４が外方へ突出し、各耳具には貫通孔
１５が形成されている。また、貫通孔１２の周囲
には１連の貫通孔１６が形成されている。

要素８を構成する樹脂内に埋め込まれた繊維
（図示せず）は、好ましくは、各軸線がフレーム
１３の１対の対向側辺にほぼ平行となつている２
つの直交軸線の方向を向いている。

このように中心平偏層は、前記した「力分配要
素」の機能を有し、本発明の力分配要素に該当す
るものである。

次に、２組の半径方向薄片要素あるいはスポー
クを要素８の両面に接触させて設けてある。図で
は上側の半径方向薄片要素あるいはスポークを符
号１７で示し、下側の半径方向薄片要素あるいは
スポークを符号１８で示してある。半径方向薄片
要素１７，１８の各々は、好ましくは１つの方向
が関連の半径方向薄片要素の軸線に平行であるよ
うな２つの直交方向に沿つて配置された繊維強化
樹脂の板（繊維は図示せず）によつて構成され、
各半径方向薄片要素の一端は曲面１９によつて規
定され、この曲面が他の半径方向薄片要素の曲面
１９と協同して円形孔２０（第３図）を画定す
る。孔２０は孔４の一部をなすもので、半径方向
薄片要素が半径方向外方へ延び出ている中心本体
の中心に位置する。各半径方向薄片要素１７，１
８には、要素８の対応貫通孔１６と整合する複数
の貫通孔２１が横断方向に並んで形成されてい
る。

第３図に図示の如く、要素８及び半径方向薄片
要素１７，１８の組立体はプレート１の予備組立
体２２をなし、これに上側環状薄片要素２３、下
側環状薄片要素２４及び４の軸線方向要素２５を
付加することにより、第２図に符号２６で示すよ
うなもう一段上の予備組立体が得られる。

環状薄片要素２３及び２４はそれぞれ、好まし
くは帯片自体の長手方向軸線に平行な単方向性の
繊維で強化された樹脂帯片によつて構成される。
環状要素２３及び２４はフレーム１３の両面に接
触して配置され、フレーム両面を少なくとも耳具
１４を含む外周領域において覆うことになる。環
状薄片要素２３及び２４は更にまた、、それぞれ
の内周面において半径方向薄片要素１７及び１８
の外側端と接触させて配置される。

軸線方向薄片要素２５はそれぞれ、好ましくは
プレート１の回転軸線に対し約45゜の角度をなす
２つの直交方向に沿つて方向付けられた繊維（図
示せず）で強化された樹脂テープをほぼＣ字形状
に折り曲げ成形したカラーによつて構成されてい
る。軸線方向要素２５はそれぞれ要素８の個々の
孔９に挿入され、そして要素８ならびに半径方向
薄片要素１７及び１８の孔９を取り囲む側縁に接
触して配置され、関連する孔２（第１図）の表面
のうち関連のブリツジ７（第１図）に対向する部
分を画定している。

第２図に図示するように、第１図のプレート１
は、第２図の予備組立体２６に上側カバー２７及
び下側カバー２９を付加して得られる。上側カバ
ー２７には半カラー２８が設けられ、この半カラ
ーは孔２内に軸線方向へ挿入されて関連の半径方
向薄片要素すなわちカラー２５と接触する。また
下側カバー２９にも半カラー３０が設けられ、こ
の半カラーも孔２内に軸線方向へ挿入されて関連
のカラー２５に接触し、半カラー２８と共にカラ
ー２５を覆う。予備組立体２６には更に４つの側
方カバー３１及び４つのＵ字形金属ブラケツト３
２が付加される。側方カバー３１はそれぞれ、耳
具１４ならびにフレーム１３のそれに近接し且つ
環状要素２３及び２４からはみ出す部分を覆う。
またブラケツト３２はその凹面側が外を向き且つ
環状薄片要素２３及び２４にまたがつた状態で配
置され、それぞれが各々の孔２と対応して各々の
ブリツジ７（図示せず）を画定する。

カバー２７及び２９はそれぞれ半径方向薄片要
素１７及び１８によつて形成される組立体とほぼ
同じ平面形状を有し、それぞれ孔２０と同軸状の
中心孔３３を具えている。孔３３はそれぞれ孔４
（第１図）の両端部分を構成しており、またその
周りには半径方向薄片要素１７及び１８の個々の
孔２１と同軸状をなす一連の孔３４が形成されて
いる。

カバー２７及び２８は好ましくは樹脂接着織物
から作られ、その厚さはプレート１を構成する他
の層の厚さに比べてかなり小さくされる。

側方カバー３１は上側半カバー３５と下側半カ
バー３６とから構成され、これらの半カバーはそ
れぞれ関連の環状薄片要素２３の一部を覆い、し
かもフレーム１３と接触するように配置されたフ
ランジ３７を具えている。フランジ３７はそれぞ
れ孔１５と同軸状の孔３９を具えた耳具３８を有
し、この孔３９は孔１５及び他のフランジ３７の
孔３９と共に金属カツプ４０によつて連結され
る。カツプ４０は、プレート１とこれに連結すべ
き各ブレード（図示せず）との間に介在させられ
るシヨツクアブソーバ（図示せず）にプレート１
を持続するためのボール継手（図示せず）のボー
ル（図示せず）用の座をなすものである。

２つの円形取付プレート４１及び４２をカバー
２７及び２９に接触させて設けてある。取付プレ
ートはそれぞれ孔４（第１図）と同軸状の軸線方
向孔４３を有し、その周りに孔２１と同軸状の一
連の孔４４を形成してある。

取付プレート４１の孔４４はそれぞれ取付プレ
ート４２の対応する孔４４に金属ブツシユ４５
（第１図）によつて接続される。ブツシユ４５は、
カバー２７に形成された第１孔３４、半径方向薄
片要素に形成された第１孔２１、孔１６、半径方
向薄片要素１８に形成された第２孔２１、カバー
に形成された第２孔３４を通つて延びる。

プレート１を構成する樹脂製要素全部を重合成
形し、プレートを単一体構造とすることができる
ことは云うまでもない。

プレート１の観察から次のことが言える。すな
わち、プレートの構成要素は全て所与の型の力に
対し最適な抵抗を示すように設計され、また上記
構成要素は組立体としてプレート１に作用する力
を全て吸収することができ、これによりプレート
の各点において危険な力集中が生ずる可能性が解
消される。

特にプレート１に通常作用するものとして抵抗
偶力、駆動偶力、揚力及び遠心力がある。こられ
のモーメント及び力、少なくともブラケツト３２
によつて環状薄片要素２３及び２４に直接作用さ
せられる遠心力は、力分配要素である中心偏平層
に伝達される。上記の力の第１の部分、特にプレ
ート１の平面内で作用する駆動偶力及び抵抗偶力
に基づく力は、回転軸線に平行な剪断によつて生
ずるモーメントに基づく力ならびに揚力が基づく
力と共に半径方向薄片要素１７及び１８で吸収さ
れる。

上記の力の第２の部分、特に回転軸線に平行な
方向を向いている剪断力は、軸線方向薄片要素２
５によつて吸収され、半カラー２８及び３０を経
てカバー２７及び２９に伝えられる。

カバー２７及び２９は、比較的もろいものであ
るから、プレート１の他の構成要素よりも前に破
壊し、起り得るプレート１の劣化状態を視認可能
とする破壊指示手段の役目をする。

最後に、前述の如く、上述した力のうちの遠心
力による部分は、環状薄片要素２３及び２４を構
成する単方向性テープによつて直接吸収される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明によるハブの斜視図、第２図は
第１図のハブの分解斜視図、第３図は第１図のハ
ブの第２図に示した第１予備組立体の分解斜視
図、第４図は第１図のハブの第３図に示した第２
予備組立体の分解斜視図である。 １…プレート、２…貫通孔、３…中心本体、４
…中心貫通孔、５…半径方向アーム、６…外周フ
レーム、７…ブリツジ、８…力分配要素、１７，
１８…半径方向薄片要素（スポーク）、２３，２
４…環状薄片要素、２５…軸線方向薄片要素、２
７，２９…カバー、２８，３０…半カラー、３１
…側方カバー、３２…ブラケツト、３５，３６…
半カバー、４０…カツプ、４１，４２…取付プレ
ート、４５…ブツシユ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ヘリコプタロータの回転中心軸線を中心に均
   一に配置された複数の周囲孔２を有し、関連のブ
   レードを連結するための弾性カツプリングを夫々
   の孔２に収容できるようにした偏平プレート１の
   形態のヘリコプタロータ用複合ハブにおいて、前
   記プレート１は積層構造であり、前記プレート１
   の中心偏平層を構成する力分配要素８と、該力分
   配要素８の両側にそれぞれ複数個ずつ配置され且
   つ前記回転軸線に直角な平面内において回転軸線
   から半径方向外方へ向つて延在する半径方向薄片
   要素１７，１８と、前記力分配要素８の両側にそ
   れぞれ配置され且つ前記回転軸線に直角な平面内
   において前記半径方向要素１７，１８のうちの関
   連する複数個の要素の自由端と接触して延在する
   環状薄片要素２３，２４と、それぞれ前記回転軸
   線と平行に延び且つ前記力分配要素８及び関連の
   半径方向要素１７，１８に接触している複数の軸
   線方向方向薄片要素２５とを含み、該各軸線方向
   薄片要素２５は、凹面側が外側を向くように配置
   されたほぼＣ字形のカラーによつて構成され、各
   カラーが前記孔２の表面の一部を画定するように
   構成されていることを特徴とするヘリコプタロー
   タ用複合ハブ。 ２ 特許請求の範囲第１項に記載のハブにおい
   て、前記力分配要素８は前記プレート１とほぼ同
   じ平面形状を有することを特徴とするハブ。 ３ 特許請求の範囲第１項に記載のハブにおい
   て、前記各複数の半径方向要素１７，１８は、前
   記回転軸線とほぼ同軸状の中心本体と、該中心本
   体から関連の環状要素２３，２４の内周面に向つ
   て半径方向に延びる複数のスポークとを画定する
   ことを特徴とするハブ。 ４ 特許請求の範囲第１項に記載のハブにおい
   て、前記力分配要素８はそれぞれボール継手用の
   座４０を具えた複数の半径方向突起１４を有する
   ことを特徴とするハブ。 ５ 特許請求の範囲第１項に記載のハブにおい
   て、前記軸線方向薄片要素２５に連結された破壊
   指示手段２７，２９を備えていることを特徴とす
   るハブ。 ６ 特許請求の範囲第５項に記載のハブにおい
   て、前記破壊指示手段は、前記力分配要素８の両
   側に前記半径方向要素１７，１８の外側において
   配置され且つ互に対面する２つの半カバー２７，
   ２９を含み、各半カバー２７，２９はかなり薄い
   織物によつて構成され、関連の半径方向要素１
   ７，１８と接触させて配置され、そしてそれぞれ
   関連の軸線方向要素２５の凹状側面の一部と接触
   して延在する複数の側方壁部分２８，３０を含む
   ことを特徴とするハブ。