JPH023837Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は水処理用の充填材、特には嫌気性水処
理用として好適な充填材に関する。

（従来の技術） 従来、嫌気性排水処理等の水処理装置に用いら
れる充填材としては、軽量であり、耐触性にすぐ
れ、かつ成形が容易である合成樹脂製のものが用
いられている。

この水処理用の充填材は、一般に、目詰まりが
ない、強度が大きい、ガス抜きが容易にできる、
汚泥（微生物）を多量に保持できる、水の偏流が
ない等の作用を有することが要求される。従来の
充填材の多くは小形状の汚泥保持部を有するもの
であるために上記各作用のうち、目詰まり、強
度、ガス抜き等については特に問題はないものの
汚泥を多量に安定して保持せしめることが難かし
いという問題がある。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案は上述の如き問題点に鑑み、比較的簡単
な形状でありながら汚泥を多量に安定して保持出
来、しかも所要の分水流が得られ、水の偏流が起
きないようにし、充填材としての前記所要の各作
用が十分になされるようにした水処理装置用充填
材を提供することを目的とする。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本考案は合成樹脂
板の板面に頂面が平坦な凸状部及び／又は凹状部
を複数個配列形成するに際し、上記各凸状部及
び／又は凹状部は、適宜の幅を有すると共に一定
の高さで水の流れる方向に対して、一部が折曲し
たり、曲面をなしたりしていても、全体として略
直角方向に長く延びた長形状として形成されてい
る一方、水の流れる方向に沿つて所定間隔で縦列
に配設されていると共に、隣接する縦列の凸状部
及び／又は凹状部とは横方向に対しては相互にず
れてたとえば千鳥足状となるような位置に配設さ
れ、さらに上記各縦列相互間には該縦列に沿つて
連通した凸条乃至は凹状の、好ましくは上記凸状
部乃至は凹状部と同一高さのリブを形成したもの
である。

（作用） 斬くして、上記充填材によれば、使用に際して
各充填材の凸状部乃至は凹状部の突出した頂面が
充填材の板面平坦部と当接するようにして複数枚
接着固定し、該複合板に対してリブに沿つた方向
に処理水を流せば、流水と略直角方向に長く凸状
部及び／又は凹状部が存在するので、水は適宜分
流されると共に各部での滞留時間が長くなる。ま
た汚泥を多量に保持できる状態となり、さらにリ
ブによつて充填材の補強効果を有することは勿論
のこと、各部の水の流れは一方側のみに偏ること
なく略均一の状態で流れることが出来る。さらに
又充填材間には連続した間隙が存在するので、ガ
ス抜きも容易に行われうるものである。

（実施例） 以下、図示した実施例によつて本考案をさらに
詳述するが、第１図は本考案に係る充填材の一例
の部分正面図、第２図は第１図のＡ矢視図であ
る。第１，２図において、１は充填材であり、熱
可塑性合成樹脂の薄板２から成つており、該薄板
２の一面には複数個の凸状部３が、それぞれ一定
の幅ａ及び高さｂを有し、所定の長さの略三分割
した両側部３ａ，３ｂが相互に平行にややずれて
突出形成され、さらにそれらを結ぶ中間部３ｃが
傾斜した状態で連続し、頂面３ｄが平坦面をなし
て突出形成されている。該凸状部３は相互に一定
の間隔をもつて多数個が縦列に配設されていると
共に、それぞれの両側部３ａ，３ｂ、即ち凸状部
３の全体が該縦列に対して略直角方向をなすよう
に配列形成されている。さらに該凸状部３の縦列
が複数列配設されている。又隣接する該縦列の凸
状部３の相互間は、横方向においてずれた位置、
即ち千鳥足状となるように配設されている。又該
凸状部３の各縦列相互間には、適宜間隔を置いて
高さｂと同一の高さで適宜幅を有した突条のリブ
４が、縦列方向と平行に連通して配設形成されて
いる。

斯くして、上記充填材１をたとえば各縦列の凸
状部３の半ピツチ分だけ交互にずらせ、第２図に
一点鎖線で示すように重ねる。これによつて各充
填材１はその凸状部３の平坦な頂面３ｄが、第１
図に一点鎖線で示すように各上方の充填材１の平
坦部に当接する。この状態で該頂面３ｄに接着剤
を塗布して相互に順次所要枚数接着接合すれば、
充填材ブロツクが形成される。従つて該ブロツク
に対し、第１図矢印Ａ方向、即ち各凸状部３の長
手方向に対して直角方向から処理用の水を流せ
ば、水は各凸状部３に当つて分流ししかも一部の
傾斜した中間部３ｃ等で複雑に流れを変えなが
ら、順次後続する凸状部３方向に流れ、同様な経
過をくり返しながら、各凸状部３間では渦流等も
生じて一時滞留する現象を呈する等により、付着
性に劣る嫌気性の微生物を多く保持することが可
能となる。この際、水の流れは凸状部３によつて
渦流等により複雑に変化するが、該凸状部３の各
縦列間にはリブ４が存在するので、総じて水の流
れは該縦列に沿つて流れ、偏流となることがなく
全体として均一な水流とすることができる。又該
リブ４は縦長でしかも幅方向断面が台形状をなす
ように形成してあるので、凸状部３の下方に滞つ
たガスは凸状部３の側方乃至リブの側方に沿つて
容易にガス抜きが行われうる。さらに、凸状部３
の形状及び配列が極めて簡単なので、目詰りが生
じるということはない。従つて、本考案の充填材
によれば、水処理用の充填材として要求される前
記した各作用、特性は、十分に満足せしめること
ができる。

第３図は本考案の充填材の異なる他の実施例の
部分正面図、第４図は第３図のＢ矢視図である。
第３，４図の場合は、第１図実施例の場合の凸状
部の突出方向が、その縦列方向において薄板に対
し交互に逆となるようにしたものである。他の構
成は第１図実施例の場合と同一なので、各部の説
明は省略する。この場合、第３図に示す如く充填
材３１の薄板３２に形成された凸状部３３Ａの縦
列においては、その一個置きに一点鎖線の斜線で
示すように凸状部３３Ａと同一形状の凹状部３３
Ｂが裏面側に突出形成されている。各凸状部３３
Ａ、凹状部３３Ｂの頂面３３Ad，３３Bdは、共
に平滑面となつている。又リブ３４は凸状部３３
Ａと同一方向に突出されている。

従つてこの場合には、上記充填材３１を重合し
てブロツク化するに際して、重合する上下の充填
材３１，３１を凸、凹状部３３Ａ，３３Ｂの縦列
方向に１ピツチ分だけ相互にずらせて重合すれ
ば、一方の各凹状部３３Ｂの頂面３３Bdは他方
の各凸状部３３Ａの頂面３３Adと相互に当接す
るので、該各頂面３３Ad，３３Bdを接着剤によ
り接合一体化すれば、第４図の如く重合されてブ
ロツクを形成することができる。この場合にも前
記実施例の場合と同様に作用し、たとえば接合さ
れた各凸凹状部３３Ａ，３３Ｂ部分によつて水は
複雑に分流しかつ渦流が生じ、前記の場合と同様
に微生物を多く保持せしめることができる。なお
この場合、リブ３４の相互間の間隙は大きくな
り、リブ３４をまたいで、多量の偏流にならない
程度の水の混流を生じ、充填材の接触が多くな
る。

第５図は、上述各実施例の凸状部乃至は凹状部
のそれぞれ異なる他の実施例の拡大正面図であ
り、第５図Ａの５１は長形の三角形からなる凸
（凹）状部、同Ｂの５２は矩形、同Ｃの５３は楕
円形、同Ｄの５４は菱形、同Ｅの５５は部分円
形、同Ｆの５６は鉤形、同Ｇの５７はクランク形
からそれぞれなる凸（凹）状部であり、いずれ
も、長形状となり、汚泥保持能を有するものであ
る。前記各実施例の凸、凹状部３，３３Ａ，３３
Ｂに代えて、これらの形状のものとしても前記の
各場合と同様の作用をなさしめることができる。
第５図Ｈはさらに異なる他の実施例の縦断面図で
あるが、この場合には、第５図Ｂの矩形状の凸
（凹）状部５２と同様の凸状部５８に対して、そ
の頂面５８ｄの平坦部に長手方向と直角に、即ち
水流方向と一致するように、連通した溝５８ｅを
複数本設けたものである。これによれば、水中に
含まれるメタンガス等の気泡を抜くことがより確
実に容易に行われうる。上記各実施例における凸
（凹｝状部の接着面となる頂部にも、同様に水流
方向に連通した溝を複数本設けておくとより好ま
しい。

尚、本考案は上述各実施例に限定されることな
く、凸、凹状部の形状、配列順序も他のものであ
つてもよい。また補強効果を目的としたリブの形
も直線状のほか曲線状或は稲妻型等の折曲状等と
してもよく、平坦面には適宜の細かい凹凸模様を
形成しておいてもよい等、本考案はその要旨内で
種々変形可能なのは勿論である。

（考案の効果） 以上の如く、本考案の充填材によれば、凹凸状
部の形状、配列等が簡単であり、水処理用の充填
材として目詰りがなく、ガス抜きも確実に容易に
行われうる。又、十分な強度も有しており、しか
も微生物を多く保持せしめることができる。さら
にリブの存在により強度向上効果は勿論のこと、
水の偏流が防止できる等の特徴がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る充填材の一例の部分正面
図、第２図は第１図のＡ矢視図、第３図は本考案
の充填材の異なる他の実施例の部分正面図、第４
図は第３図のＢ矢視図、第５図Ａ〜Ｇはそれぞれ
第１図及び第３図の凹、凸状部の異なる他の例の
正面図、第５図Ｈは同様の凸状部のさらに異なる
他の例の縦断面図である。 １，３１……充填材、２，３２……熱可塑性合
成樹脂の薄板、３，３３Ａ，５１〜５８……凸状
部、４，３４……リブ、３３Ｂ……凹状部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 合成樹脂板の板面に頂面が平坦な凸状部及び／
   又は凹状部を複数個配列形成してなる水処理装置
   用充填材において、上記各凸状部及び／又は凹状
   部は適宜の幅を有すると共に一定の高さで水の流
   れる方向に対して略直角方向に長く延びた長形状
   に形成されている一方、水の流れる方向に沿つて
   所定間隔で縦列に配設されていると共に隣接する
   縦列の凸状部及び／又は凹状部とは横方向におい
   て相互にずれた位置となるように配設され、さら
   に該各縦列相互間には該縦列に沿つて連通したリ
   ブが形成されていることを特徴とする水処理装置
   用充填材。