JPH0211784A - 鋼伸線材の表面清浄処理方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は鋼線を伸線加工した後、メツキや化成処理等の
何等かの表面処理層を設けようとする際の前処理として
の鋼伸線材の表面清浄処理方法に関するものである。

［従来の技術］ 鋼線材は普通、熱間圧延法によって径約４〜１０ｍｍ程
度まで細くされる。更に細い線径まで加工する場合は、
冷間伸線加工によってより細い線にするのが一般的であ
る。細く伸線加工した線をそのまま使用に供する場合も
あるが、鋼線の耐食性、耐熱性や表面の美感等を向上さ
せるためにめっき層や化成処理層を設けて使用に供する
ことが多い。

伸線加工時には伸線潤滑剤が必要で、一般的に線表面に
燐酸塩処理皮膜を形成させた後、金属石鹸を含有する石
灰水溶液に浸漬する処理皮膜を付けるか、単に金属石鹸
を含む石灰水溶液による処理皮膜を被覆し、水性エマル
ジョン液または油性の潤滑剤を塗布しながら伸線加工を
するものである。

乾式潤滑剤の基本成分は金属石鹸と無機物質を主成分と
するものであり、湿式潤滑剤は鉱物、植物、動物、合成
油をベースとしたものである。

従って、伸線加工後の線表面には石鹸分や油分が多量に
付着しており、めっきや化成処理等の表面処理を施す場
合は当然、線表面からこれら物質を完全に除去しなくて
はならない。

もし、これらの伸線潤滑剤成分が処理表面に残存してお
れば、処理皮膜形成を妨害したり、それらの上に処理皮
膜が形成されても、形成皮膜の密着性を低下させたり、
加熱された時に処理皮膜下で有機物質がガス化して処理
皮膜を浮き上がらせることがある。また、経時後に皮膜
の欠点となって現れてくることもある。

従来、伸線加工鋼線にめっきや化成処理を実施する時の
前処理としては、溶剤脱脂、アルカリ脱脂、酸洗等の処
理工程を経て行なうのが一般的である。

（鉄鋼研究所発行の線材製品読本、槙書店発行の金属清
浄技術） ［発明が解決しようとする課題］ 普通、鋼表面に化成処理やめつき等の処理を施す場合、
鋼板のように表面層が平滑であれば上記の表面清浄技術
で満足のいく化成処理やめっきが行なえるが、鋼線の表
面層は鋼板とは異なり、製造方法の特性上、第１図と第
２図に示すようなしわ状の微細な亀裂が線の全周にわた
って発生するものである。この微細な亀裂は線径を０．
３ｍｍまでに伸線加工しても残存している。この亀裂内
部に伸線加工時の潤滑剤が入り込んでいる。

当然、めっきや化成処理前には、微細な亀裂内の潤滑剤
を除去しなければならない。しかし、従来の溶剤脱脂、
アルカリ脱脂、酸洗といった前処理方法では効率よく除
去出来ず、完全に除去するには長い処理時間を要し、処
理効率が劣るという問題点があった。

［課題を解決するための手段］ そこで本発明者は、短時間に効率よくしわ状亀裂内に入
り込んだ潤滑剤を完全に除去し得る前処理方法を種々検
討した結果、示差熱天秤を用い伸線加工後の線を調査し
たところ潤滑剤の有機成分の大部分は酸化性雰囲気中で
約３００℃程度に加熱処理することによりその殆どが分
解、燃焼、揮発して除去出来ることを発見した。本発明
は、この事をもとにし、従来の脱脂工程を設けずに、鋼
線表面に付着している潤滑剤の石鹸分と有機分を酸化性
雰囲気の中で３００℃以上に加熱処理し、分解、燃焼、
揮発させた後に酸性水溶液中で加熱時に生成した酸化膜
と前記潤滑剤の加熱残渣および潤滑剤成分の無機物を溶
解除去する方法で短時間に鋼線表面を完全に清浄に処理
しようとするものである。

先ず、本発明に用いる鋼線は径が約０．２ｍｍ〜２゜０
ｍｍの伸線加工をした表面処理用鋼線である。

伸線加工をした鋼線の表面には当然、潤滑剤が強固に付
着しており、それらの成分は乾式伸線の場合はステアリ
ン酸、オレイン酸、パルミチン酸等の脂肪酸とＣａ、　
Ｚｎ、　Ｌｉ等の金属石鹸類が主成分で極圧剤、防錆剤
、はっ水剤、粘結剤、着色剤等から成るが、その５０〜
８０％は金属石鹸類で無機物が２０〜５０％で、その他
の添加剤は数％である。

また、湿式、油性伸線用潤滑剤では、ナタネ油、ヤシ油
、パーム油、牛脂、ラード等の植、動物油、タービン油
、スピンドル油、マシン油等の鉱物油、ポリスチレン等
の合成油と油性向上剤が主成分であり、そのほとんどが
有機物で構成されている。

以上のような潤滑剤成分が伸線加工時に強圧加により鋼
線表面に付着するもので、容易に除去しにくいものであ
る。特に、表面のしわ状亀裂内部まで完全に従来の脱脂
、酸洗処理工程で除去するのに長時間を要していた。脱
脂工程で短時間内に有機物成分を除去しにくく、それら
の微量が鋼線表面に残っていても次の酸洗工程で潤滑剤
の無機成分との接触が妨げられ、反応速度が抑制される
ために効果的に酸洗が行なわれないことが多い。

細い鋼線表面を短時間に効率よく洗浄することは、生産
性を向上させる上で極めて重要である。

それには短時間内にしわ状亀裂内部の潤滑剤を完全に除
去し、次の酸洗工程で酸と無機物が速やかに接触反応す
るようにするのがポイントである。

潤滑剤の有機分を効果的に除去する手段を種々検討した
結果、酸化性雰囲気中で加熱処理する方法が最も効果が
あり、はとんどの潤滑剤中の有機成分が約３００℃以上
の温度で分解、燃焼、揮発することが判った。有機物質
の主成分である金属石鹸、例えば、ステアリン酸Ｃａで
も約３００℃で燃焼し、その燃焼分解時間は数秒間で十
分である。

鋼線を加熱処理する方法は、出来るだけ短時間に鋼線温
度を急上昇させる必要があるので、高周波加熱、直接通
電加熱、高温マツフル加熱、ガス燃焼却熱方法等を採用
することが出来る。これらの方法で加熱処理する場合、
処理時間は数秒間で十分である。加熱処理中には、当然
、鋼表面も酸化され、酸化膜層が生成する。鋼の酸化速
度は、７００°Ｃから急速に速くなるので、鋼の酸化膜
層を極力抑制するために加熱温度は６５０℃以下にすべ
きである。また、潤滑剤中の有機物の熱分開成生物が鋼
表面に残渣として付着しているので、これらを除去する
ため、加熱処理後に酸洗処理工程が不可欠である。

酸洗処理は、硫酸、燐酸、塩酸、硝酸等から成る濃度１
０％前後の強酸水溶液で行なう。

処理は浸漬、スプレー法でもよいが、好ましくは表面で
のガス生成による攪拌作用、金属の溶解作用を付加でき
るので電解酸洗法が効果的である。

［実施例］ 次に、実施例をもってより具体的に本発明を説明する。

素材として、熱間圧延で製造した普通軟鋼線５ｍｍ径を
２．５ｍｍ径まで伸線加工し、焼なまし熱処理をして後
、線表面のスケールを酸洗処理で除去し、金属石鹸を含
む石灰液に浸漬処理を行なって乾燥後、伸線加工時に脂
肪酸エステルを主成分とする潤滑剤を用いて径０．６ｍ
ｍまで伸線した鋼線を供試材とした。

（Ａ）以上の素材を６０℃の苛性ソーダ５０ｇ／　Ｑ、
三燐酸ソーダ２０ｇ／　ｆｌを主成分とするアルカリ脱
脂溶液中で２０秒間３Ａ／ｄｍ”陰極電解処理を行なっ
た後、水洗し、４０℃の５０ｇ／　Ｑ塩酸酸洗処理槽に
導入し、３秒間２Ａ／ｄｍ２陰極電解処理を行い水洗処
理をした。引続き、５０℃の硫酸ニッケル３５０ｇ／　
Ｑ、塩化ニッケル４５ｇ／Ｑ、はう酸４０ｇ／Ｑから成
るニッケルめっき液中で電流密度５Ａ／ｄｍ２の条件で
めっきし、厚み約２．５ミクロンのニッケルめっき層を
得た。

（Ｂ）（Ａ）と同じ素材を用い、直接通電加熱方法によ
り約０．８秒間で線表面温度を約３５０℃まで大気中で
加熱した後、直ちに（Ａ）と同じ条件の酸洗処理槽中で
同様の酸洗処理を行い、（Ａ）と同じ条件でニッケルめ
っきを施した。

（Ｃ）（Ａ）と同じ素材を用い、プロパンガス・バーナ
ー加熱装置内で約１秒間加熱して、線表面温度を約５０
０℃まで酸化性雰囲気中で加熱し、引続き（Ａ）と同じ
条件の酸洗処理槽中で同様の酸洗処理を行い、（Ａ）と
同じ条件でニッケルめっきを施した。

（Ｄ）（Ａ）と同じ素材を用い、雰囲気温度８００°Ｃ
の電気加熱マツフル炉（大気中）で約１．３秒間加熱し
て線表面温度約４５０℃まで加熱した後、引続き水素雰
囲気炉で焼なまし処理を行い、冷却後直ちに、（Ａ）と
同じ条件の酸洗処理槽中で同様の酸洗処理を行い、（Ａ
）と同じ条件でニッケルめっきを施した。

以上の従来例の（Ａ）と本発明例（Ｂ　）、　（Ｃ）、
　（Ｄ　）で製造したニッケルめっき線のめっき層を塩
水噴霧試験方法（ＪＩＳ　Ｚ　２３７１）で評価した結
果、従来例（Ａ）のめっき線はめっき層にピンホールが
多く存在し、塩水噴霧２４時間後、その部分から点状の
赤錆が発生した。一方、本発明例の（Ｂ）、（Ｃ）。

（Ｄ）のめっき線は全く腐食が認められず、めっき表面
状況は良好であった。この結果からも本発明方法を適用
することにより、伸線線材の表面を短時間に効率よく清
浄に処理できることを示すものである。

［発明の効果］ 以上説明したように、伸線加工した鋼線表面には微細な
しわ状亀裂があり、その内部までも伸線加工時に使用す
る潤滑剤が入り込み特に有機成分が除去されにくく、従
来の表面清浄処理方法では短時間に完全に除去すること
は困難であった。

本発明方法によれば、極めて短時間に効率よく伸線加工
線の表面を清浄にすることが出来るので、その産業的効
果は極めて顕著である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、径０．６ｍｍまで伸線加工した普通軟鋼線の
表面を電子顕微鏡で倍率１０００倍に拡大した図 第２図は、径０　、６ｍｍまで伸線加工した普通軟鋼線
の表面部の断面を電子顕微鏡で１５００倍に拡大した図
、 である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 伸線加工した線材をめっき又は化成処理する前に酸化性
   雰囲気中で３００〜６５０℃に加熱し、伸線潤滑剤の有
   機成分を分解、燃焼、揮発せしめた後に酸性水溶液中で
   鋼表面に生成した酸化物層および前記潤滑剤の加熱残渣
   と無機物を溶解除去処理することを特徴とする鋼伸線材
   の表面清浄処理方法