JPH0210315B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ａ 産業上の利用分野 本発明は石油や天然ガスを採取する産業に使用
される直径の大きいケーシング・パイプであつ
て、１条または数条のねじ山を管長１インチ当り
のねじ山の数に応じて円錐状管端部に備え、ソケ
ツトまたは継手を用いて接続することにより長い
管を作るケーシング・パイプに関する。

ｂ 従来の技術 たとえば、米国石油協会（API）の規格のよう
なケーシング・パイプに関係のある規格によれ
ば、ねじ山の数と円錐外筒部の勾配は全寸法範囲
にわたつて同一であることが規定されている。

ｃ 発明が解決しようとする課題 このような規定があることは、用意しておくべ
き切削工具の数を減らすことができる点では確か
に有利であるが、ケーシング・パイプを利用する
面からは非常に不利である。なぜなら、ねじの寸
法が最小直径、すなわち、API規格の場合、４
１／２″に相当した114mmと、これに対応した肉厚に
合わせて設定されているからである。

従来技術による時、パイプの直径が約300から
400mmまでの範囲にあつてはねじ寸法が相対的に
小さいので、パイプのかさ（mass）とは釣合の
とれないような正確さで繊細な取り扱い、とく
に、ねじ締めを必要とすることがボーリング・タ
ワーでの実務経験から明らかにされている。

たとえば、直径が500mm、ねじのピツチがねじ
の長さ約25.4mm（1″）当り５山、ねじ山の円錐部
の勾配が１：12のパイプ同士は的確にねじ継ぎす
ることができないのみならず、このねじ継手は所
要の負荷支持能力をもつことができず、しかもパ
イプが無損傷のままでないことが明らかにされて
いる。

本発明の目的は、ケーシング・パイプに適合し
たねじ継手を作るとともに、海上での厳しい作業
条件と自然環境条件の下でもねじのピツチ合わせ
を容易に行なうことができ、しかも完全な接続強
度を保持することができるようねじ継手を寸法ぎ
めすることにある。

ｄ 課題を解決するための手段 上記の課題は、本発明によれば特許請求の範囲
第１項に記載されている構成措置により解決され
た。すなわち石油や天然ガスを採取する産業に使
用される直径の大きいケーシング・パイプであつ
て、１条または数条のねじ山を管長１インチ当り
のねじ山の数に応じて円錐状管端部に備え、ソケ
ツトまたは継手を用いて接続することにより長い
管を作るケーシング・パイプにおいて、パイプの
外径が400mmより大きく、肉厚が約32mmまで、約
25.4mm（1″）当りのねじ山の数が２から3.5山まで
あり、円錐状管端の勾配が１：6.5から１：８ま
でであることを特徴とするケーシング・パイプに
よつて解決された。本発明の有利な実施態様は特
許請求の範囲第２項より第４項までに記載されて
いる通りである。

本発明は本質は、数値が特定された特徴項の組
合せにあり、これにより従来一般に行われている
ケーシング・パイプ製造の際の原則（例えばピツ
チが常に同じであることあるいはねじの円錐勾配
が常に同じであること）によるケーシング・パイ
プの性能を凌駕するものを得ることができる。

ｅ 作用 パイプの外径について設定されている寸法は
400mmより大きく、肉厚はそれに適応して決めら
れる。パイプがソケツトまたは継手とねじ接続す
ることができるようにするため、肉厚は相対的に
小さく寸法ぎめしなければならない。これによつ
て、パイプ同士をねじ継ぎするため、パイプ端を
据え込み（アツプセツト）加工したりあるいは厚
肉部をあらかじめ用意しておかないですますこと
ができるとともに、高い強度値に調質された状態
の平滑端部を有するパイプを差込むことができ
る。

上述の前提条件の下で、ねじ継ぎ端用肩部を設
けることなくねじ寸法をパイプの一重の肉厚の範
囲内で調整することができ、これにより本発明の
目的を効果的に達成することができる。約25.4mm
（1″）のねじ長さ当りのねじ山数を２から3.5山ま
でとすることによりねじ山を深く作ることが可能
となり、これにより従来のような細目のねじと比
べ機械的な着脱強度を改善することができ、しか
も、ねじ継ぎ作業を正確かつ容易に行なうことが
できる。ケーシング・パイプに一般に用いられて
いる鋸歯状のねじと台形ねじについても同様に上
述の特徴を生かすことができる。

本発明に係る別の構成態様によれば、ねじの設
けられている円錐状管端部の勾配の比が１：6.5
から１：８までの範囲に変更されている。これに
よりねじ継ぎ作業を正確かつ容易に行なうことが
できる。この特徴は勾配を１：6.5寄りに設定す
ることにより高めることができるが、この比の選
択を変えない場合は肉厚を厚くすることが必要で
ある。

したがつて、勾配を１：7.5付近の狭い範囲に
選択することが有利である。

ｆ 実施例 以下、本発明に係る鋸歯状ねじ山を用いたねじ
接続の実施例を概念的に図解した添付図面を参照
しながらさらに詳細に説明する。

本発明に係る外径508mmのケーシング・パイプ
１は全長にわたつて肉厚が16.1mmであり、両端に
外ねじ２がねじ切りされている。第１図は、外ね
じ２をねじ切りしたケーシング・パイプ１の端部
を拡大断面図で示したものである。外ねじ２は
１：7.5の勾配を有する円錐状管端部に作られて
いる。すなわち、第２図に詳しく示されているよ
うに、ねじ腹面３の直径はパイプの長さ方向に見
て長さが7.5mmごとに１mmの割合で大きくなるか、
または小さくなるように設計されている。たとえ
ば、ねじ部の長さが120mmの場合、パイプの肉厚
はパイプ端でねじ山のない部分の厚さの丁度半分
まで薄くなつている。ねじのピツチは約25.4mm
（1″）につき３山の割合にねじ切りされている。

第２図は、鋸歯状ねじ山の形状と寸法割合とを
図解したものである。ピツチが8.467mm、パイプ
径が508mmという比率は、明らかに長さがたとえ
ば18ｍであるパイプ材のねじ切りされる位置の軸
からの安定なたわみが300mmを上回ることを考慮
に入れている。一般の規格に従つたねじの場合、
許容たわみは上記の値の約1/4程度であり、この
程度のたわみは目で見ただけでは確認することが
困難な程である。

第１図ではパイプ１上にソケツト４がねじ込ま
れている。製造業者が指定するねじ締めモーメン
トを与えて、円錐ねじの抵抗に抗するだけでしつ
かりしたねじ締めを行なうことができる。パイプ
１はソケツト４の中に設けられたカラーに当接す
るか、あるいは反対側からソケツト４の中にねじ
込まれたパイプ５の端に当接することになる。こ
の種のパイプ１と５を何本もソケツト４により接
続することによつて地表面から底まで数百メート
ルに及ぶボーリング穴をライニングするパイプが
形成される。このパイプのうち、深いところに達
している１本または数本のパイプ材はボーリング
をさらに進めるためあるいはボーリング作業に伴
う搬出の働きをする。

ｇ 効果 円錐状管端部の勾配に関するAPI規格の１：12
から、この管径領域において１：８から１：6.5、
好ましくは１：7.5から１：7.25に変更し、歯数
を１インチ当り５山からこの管径領域においては
インチ当り3.5〜２山とすることにより、管接続
作業が容易になり、また接続強度も向上する。な
おこれらの数値は作業現場における現実の経験に
よつて得られたものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はソケツトを用いてねじ継ぎされた２本
のパイプの隣接端部を長さ方向に切断した部分断
面図、第２図はねじ山部の拡大断面図である。 １，５……ケーシング・パイプ、２……外ね
じ、３……ねじ腹面、４……ソケツト。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 石油や天然ガスを採取する産業に使用される
   直径の大きいケーシング・パイプであつて、１条
   または数条のねじ山を管長１インチ当りのねじ山
   の数に応じて円錐状管端部に備え、ソケツトまた
   は継手を用いて接続することにより長い管を作る
   ケーシング・パイプにおいて、パイプの外径が
   400mmより大きく、肉厚が約32mmまで、約25.4mm
   （1″）当りのねじ山の数が２から3.5山まであり、
   円錐状管端の勾配が１：6.5から１：８までであ
   ることを特徴とするケーシング・パイプ。 ２ 前記円錐状管端部の勾配が１：7.25から１：
   7.75までであることを特徴とする特許請求の範囲
   第１項記載のケーシング・パイプ。 ３ ねじの形状が鋸歯状ねじまたは台形ねじであ
   ることを特徴とする特許請求の範囲第１項または
   第２項記載のケーシング・パイプ。 ４ パイプの端部に肉厚の大きい部分を有さない
   ことを特徴とする特許請求の範囲第１項より第３
   項までのいずれか１項記載のケーシング・パイ
   プ。