JPH0156505B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔利用分野〕 本発明は電気ターミナル、更に詳細には航空機
の点火システムに使用されるような高電圧絶縁ケ
ーブル用の電気ターミナルに関する。

〔従来技術〕

航空機の点火システムに用いられるケーブル用
のターミナルは極めて苛酷な動作条件下に置かれ
る。もし、相互接続される接点間の電気接触が十
分に行われないと、使用電圧が非常に高いため接
点の焼損や劣化を招くことになる。さらに、航空
機のような装置が動作する環境では、大気圧が低
いため、フラツシユオーバないし回路短絡が生じ
やすい。その上、端子は高温にさらされるから、
フラツシユオーバを防ぐために使用しているシー
ルの劣化も早まる。

このようなターミナルと、これを受けるレセプ
タクルとは、製造業者が異つても互換性を確保す
るための規格が設けられている。高圧航空機点火
システム用レセプタクルの１つにARP670―4Fと
いうものがある。このレセプタクルでは、電気接
点を収容した絶縁体スリーブが外面にねじ山のあ
る金属スリーブ内に収容されている。このレセプ
タルは、ARP670―4Mターミナルと組み合わさ
れるように設計されている。この規格のターミナ
ルの電気接点は、（レセプタクルの絶縁体スリー
ブの空所に収容される寸法の）細長い円筒状絶縁
手段の端部を越えて延びている。ターミナルの一
部をなしているフエルールの肩部により保持され
ている内側にねじ山のついた結合ナツトは、レセ
プタクルの金属スリーブとねじ係合して、ターミ
ナルとレセプタクルとをしつかりと結合する。

レセプタクルと電気ターミナルの相互結合部分
の寸法や公差については規格が定められている
が、シールの内部配置や、レセプタクルの電気接
点に対してターミナルの電気接点を押圧する手段
については何らの規格も定められていない。第４
図には、米国特許2913969号の第１図に開示され
てるものとほぼ同じターミナルが示されている。
第４図において、ターミナル６１の一部をなして
いて下端で電気接点６３を保持する絶縁体スリー
ブ６５には弾性材のグロメツト６７が摺動自在に
設けられ、図示のレセプタクル９１に結合された
状態ではこのグロメツト６７は、外側の螺旋のば
ね６９によつてレセプタクル９１の絶縁体スリー
ブ９３の上端面へと押圧され、同時に絶縁体スリ
ーブ６５の方へその半径方向へ向かう力も受け
る。今一つの内側の螺旋のばね７１により弾性材
のブツシング７３、円筒状の絶縁部材６５を介し
てターミナルの電気接点６３がレセプタクル９１
の電気接点９５へしつかりと押付けられる。ター
ミナルの電気接点６３は絶縁性の外被７５で電気
絶縁され保護されたケーブルの電気導体７７に電
気接続され、また、電気ターミナルの絶縁体スリ
ーブ６５とケーブルとの間には弾性を持つシール
兼絶縁部材７９が設けられている。２つの弾性ば
ね６９，７１を用いることによつて、グロメツト
６７と電気接点６３は、部品の製作誤差に拘ら
ず、所定の接触圧で相手方に押付けられる。

上述の電気ターミナルは約15年間にわたつて使
用されてきたが、改良の余地は残されていた。例
えば、グロメツト６７と内側のばね７１との間で
の相対移動が不良となる可能性があり、そうなる
とレセプタクル内での絶縁体スリーブ６５の可動
性が失われ、電気接点６３，９５の間に空隙が生
じ接点焼損を招くことになる。このような相対移
動不良により、また電気ターミナルをレセプタク
ルへ組合わせるために要する力が増大する。さら
に、外側のばね６９とグロメツト６７との間での
相対移動の不良が生じると、絶縁体スリーブ６５
上でのグロメツト６７の自在な摺動が阻害される
結果、グロメツトと絶縁体スリーブ９３の自由端
との間の正しい接触圧が得られず、高い高度での
フラツシユオーバの発生確率が増大する。さらに
他の問題点として、グロメツト６７およびブツシ
ング７３が高温で劣化することがあげられる。劣
化すると、ブツシング７３はケーブルの絶縁性の
外被７５に付着し易くなり、グロメツト６７は絶
縁体スリーブ９３か金属スリーブ９７に付着し易
くなる。付着したグロメツト等は、電気ターミナ
ルをレセプタクルから抜取ると、裂けたり、レセ
プタクルに残留することになり、交換や修繕が必
要になる。

〔発明の概要〕

本発明の目的は簡単で、確実な高電圧絶縁ケー
ブル用電気ターミナルを提供することである。

本発明の他の目的は、長寿命で、しかも従来の
電気ターミナルより安価で製造できる電気ターミ
ナルを提供することである。

本発明の他の目的は、電気ターミナルにおいて
挿入力の低減をはかりかつ高い高度におけるシー
ル欠陥、及び接点焼損が生じるのを阻止すること
である。

さらに、本発明の他の目的は、従来の電気ター
ミナルにおけるグロメツトとばね等との相対移動
不良をなくすことである。

本発明によれば、高電圧絶縁ケーブル用電気タ
ーミナルは、絶縁ケーブルの端部を包囲しかつこ
れに沿つて延びる細長い円筒状絶縁手段（好まし
くは、硬貨の絶縁体スリーブと、それに内設され
た弾性の電気絶縁性のブツシングとから成る。）
を有する。絶縁ケーブルの導電性の端部に取着さ
れた電気接点は、前記円筒状絶縁手段の自由端
に、それから突出して保持される。絶縁ケーブル
により貫通されかつ前記円筒状絶縁手段の外周へ
も摺動できる短筒状のフエルールは、それから
（絶縁ケーブルの端部から離れた方の端部近くに
おいて）半径方向へ延びるフランジにより絶縁ケ
ーブルから抜けないように保持される。単一の偏
倚部材（好ましくは、螺旋圧縮ばね）により、前
記円筒状絶縁手段にフエルールのフランジから遠
ざかる向きの軸方向力が与えられる。弾性を持つ
電気絶縁材のグロメツトが、前記円筒状絶縁手段
の外周面に摺動自在に係合するとともに、前記フ
エルールに係合している。内面にねじを切られた
結合ナツトは、電気ターミナルをレセプタクルに
固定するため、フエルールの肩部への係合部を有
する。レセプタクルは、外面にねじを切られた金
属スリーブ、それに収容された絶縁体スリーブ、
その絶縁体スリーブに収容された電気接点を有す
る。レセプタクルの絶縁体スリーブの中に電気タ
ーミナルの前記円筒状絶縁手段を挿入し、レセプ
タクルの金属スリーブに電気ターミナルの結合ナ
ツトをねじあわせると、電気ターミナルの電気接
点とレセプタクルの電気接点との接続が完了す
る。と同時に、フエルールにより、弾性を持つ電
気絶縁材のグロメツトがレセプタクルの絶縁体ス
リーブの端部に押し付けられ、高い高度でも十分
なシールを与える。

好ましくは、電気ターミナルの円筒状の絶縁手
段は弾性の電気絶縁性のブツシングと硬質の絶縁
体スリーブとから成る。ブツシングは絶縁ケーブ
ルの端部からそれに沿つて延び、絶縁ケーブルの
端部から離れた方のブツシングの端部は半径外方
に向いたフランジとなつている。硬質の絶縁体ス
リーブはブツシングをフランジと接触するところ
まで覆つている。ワシツヤが単一の偏倚部材、た
とえば螺旋圧縮ばねとブツシングのフランジとの
間に位置している。グロメツトは、硬質の絶縁体
スリーブの外面に摺動自在に係合している。好ま
しくは、グロメツトは、それの環状の内向きビー
ドにより絶縁体スリーブと係合し、かつ環状の肩
部によりフエルールと係合する。単一偏倚部材た
とえばばねは電気ターミナルの電気接点とレセプ
タクルの電気接点との間に適当な力が加わるよう
にするもので、一方グロメツトの弾性は高い高度
においても十分なシールを与える。

本発明は、第４図に示す従来例の一方のばね６
９とそのばねを保持する部材とを除去することに
より、それらとグロメツトとの相対移動不良をな
くし、もつて挿入力の増大を防止し、かつ高い高
度におけるシール欠陥、接点焼損が生ずるのを少
くすることができるものである。内向きの環状ビ
ードにより、電気ターミナルの絶縁体スリーブと
係合するグロメツトを使用し、又グロメツトとブ
ツシングの材料としてフツ素系エラストマ材料を
使用することにより、苛酷な動作条件下でのこれ
らの部品の劣化速度を減じ、かつ従来のものよ
り、簡単に又ほとんど損傷なしに取りはずすこと
ができる。上記の一方のばねとそのばねを保持す
る部材とをなすことにより、フエルールの大きさ
を減じることができ、全体的に製造コストを低く
することができる。

〔実施例〕

以下、図面に基いて本発明の実施例について説
明する。

第１図及び第２図は、外被に覆われた高電圧ケ
ーブル３の端部用ターミナル１を示している。ケ
ーブル３は、タングステン電気接点のような電気
接点５を端部に取着された導電体４を有してい
る。細長い円筒状絶縁手段は、弾性を持つ電気絶
縁性のブツシング７と、硬貨の絶縁体スリーブ１
１とから成る。弾性を持つ電気絶縁性のブツシン
グ７は、絶縁ケーブル３の端部からその軸方向に
ケーブルに沿つて延びている。ブツシング７は、
絶縁ケーブル３の端部から離れた方の端部に半径
内方に延びたフランジ９を有する。セラミツクの
ような硬質の絶縁体スリーブ１１は、その端部か
らあけられた座ぐり孔１３を有し、その孔にブツ
シング７がそのフランジ９にぶつかるまで挿入さ
れる。電気接点５は、硬貨の絶縁体スリーブ１１
の自由端にＣ形保持リングのような保持手段１５
により固定される。この保持手段１５は電気接点
５に設けた環状溝（図示せず）と係合している。
ブツシング７は、絶縁体スリーブ１１とケーブル
外被との間の空隙をなくしてフラツシユオーバを
妨げる働きがある。さらに、ブツシング７は、ケ
ーブル外被に対して一定の圧力をかける圧縮シー
ルをも形成し、フラツシユオーバに対してさらに
保護するものである。

フエルール１７は、絶縁ケーブル３に沿つて少
なくともブツシング７と絶縁体スリーブ１１上を
部分的に摺動自在である。フエルール１７は、絶
縁ケーブル３の端部から離れた方のフエルールの
端部にフランジ１９を有し、それにより絶縁ケー
ブル３に保持される。すなわち、フランジ１９
は、絶縁ケーブル３の外径より大きく、ブツシン
グのフランジ９や絶縁体スリーブ１１より小さい
直径の開口２１を形成している。偏倚部材２３、
たとえば絶縁ケーブル３を取り巻く螺旋圧縮ばね
は、フエルール１７のフランジ１９やワツシヤ２
５を押圧し、さらにブツシング７のフランジ９を
も押圧する。ワツシヤ２５は螺旋ばねのような偏
倚部材２３の圧力を受け、そ圧力をブツシング７
に広く分布させて伝達する。

環状絶縁体、たとえば弾性を持つ電気絶縁性の
グロメツト２７は、硬質の絶縁体スリーブ１１の
外面に摺動自在に係合している。好ましくは、グ
ロメツト２７は環状の内向きビード２９により絶
縁体スリーブ１１と係合し、それによりグロメツ
ト２７は絶縁体スリーブ１１に沿つて移動でき
る。グロメツト２７の他端は、（環状の溝３３に
よつて形成された）環状肩部３１によりフエルー
ル１７と結合している。この肩部３１は、フエル
ール１７の環状の肩部３５と結合する。グロメツ
ト２７のフエルール１７へのこの結合は、電気タ
ーミナルがレセプタクルと結合していない時フエ
ルールを保持する働きがあり、又結合中にはグロ
メツト２７を正しい位置に置きかつ結合していな
い時にはグロメツトを電気ターミナルに保持する
ことを確実にする。ターミナル１は、フエルール
１７の環状肩部４１と結合する半径内方に向いた
フランジ３９を有する結合ナツト３７をさらに有
している。結合ナツト３７の内面のねじ４３は、
レセプタクルの外面のねじと係合する。グロメツ
ト２７とブツシング７は、高い動作温度に耐え得
る弾性を持つ電気絶縁材料からできている。な
お、フツ素系エラストマはこの材料として適して
いる。

第３図は、ターミナル１がレセプタクル４５と
結合している状態を示している。レセプタクル４
５は、先端にタングステン接点のような電気接点
４７を有しており、この電気接点４７はレセプタ
クルの硬質の絶縁体スリーブ４９内に位置し、さ
らにこれらは外面にねじのついた金属スリーブ５
１内に収容されている。ターミナル１の絶縁体ス
リーブ１１は、電気接点５が電気接点４７に到達
するまで、レセプタクルの硬質の絶縁体スリーブ
４９の開口に挿入される。結合ナツト３７をレセ
プタクルの金属スリーブ５１とねじ係合させる
と、グロメツト２７はフエルール１７とレセプタ
クルの絶縁体スリーブ４９間で圧縮され、シール
結合をもたらす。同時に、偏倚部材２３、たとえ
ば螺旋ばねが圧縮され、電気接点５，４７の相互
間にあらかじめ選択した接触圧を及ぼすものであ
る。螺旋ばねの力のほとんどは電気接点５にかか
るので、良好な電気接続をもたらし、かつ接点の
劣化を速めてしまう接点間の空隙をなくすもので
ある。図示構造では、大き挿入力の必要を招来し
たり、高い高度におけるシール欠陥や接点焼損を
招くことになる、グロメツトとばねとの衝突がな
い。グロメツト２７とブツシング７の配置や材料
により、これら部品の劣化速度を低減し、かつ結
合していない時グロメツトがはずれてしまうのを
妨げることができる。

結合状態にある場合、電気ターミナルの絶縁体
スリーブ１１とレセプタクルの絶縁体スリーブ４
９は、高電位にある電気接点５，４７と、アース
電位であるレセプタクルの金属スリーブ５１、結
合ナツト３７、フエルール１７との間の絶縁障壁
を形成する。環状絶縁体、たとえばグロメツト２
７は、結合状態においては高い高度においても緊
密なシールをもたらし、よつて高電位とアース間
でのフラツシユオーバを減少させる。結合状態に
おけるフエルール１７は、グロメツト２７とレセ
プタクルとの接触圧を直接に与え、螺旋ばね２
３、ワツシヤ２５、ブツシング７、絶縁体スリー
ブ１１を介して接点の接触圧を維持する。

本発明を実施例について説明したが、本発明は
この実施例に限定されるものではなく、本発明の
思想に基ずいて変形し得ることは当業者には明ら
かであろう。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による電気ターミナルの縦断面
図、第２図は第１図の電気ターミナルの端面図、
第３図は第１図の電気ターミナルがレセプタクル
と結合している状態の縦断面図、第４図は従来の
電気ターミナルを説明する縦断面図である。 ３……絶縁ケーブル、５，４７……電気接点、
７……ブツシング、１１……絶縁体スリーブ、１
７……フエルール、２７……グロメツト、２３…
…偏倚部材、３７……結合ナツト、４９……絶縁
体スリーブ、５１……金属スリーブ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 高電圧絶縁ケーブル用電気ターミナルであつ
   て、絶縁ケーブルの端部を包囲しかつこれに沿つ
   て延びる細長い円筒状絶縁手段と、絶縁ケーブル
   の導電体の端部に取着された電気接点と、前記円
   筒状絶縁手段の自由端に前記電気接点を保持する
   保持手段と、絶縁ケーブルにより貫通されかつ前
   記円筒上絶縁手段の外周へも摺動できる短筒状の
   フエルールにして、絶縁ケーブルの端部から離れ
   た方の端部近くに半径内方へ延びるフランジを有
   し、そのフランジにより絶縁ケーブルの外径より
   大きいが前記円筒状絶縁手段の外径より小さい開
   口が形成され、その開口により絶縁ケーブルから
   抜けないようになつている短筒状のフエルール
   と、前記円筒状絶縁手段の外周面に摺動自在に係
   合している環状絶縁体と、フエルール内の偏倚手
   段と、フエルールの肩部への係合部を有してい
   て、当該電気ターミナルをそれに組合わされるレ
   セプタクルに固定するための結合ナツトとを備え
   た電気ターミナルにおいて： 前記偏倚手段が、前記フエルール１７の前記フ
   ランジ１９と、絶縁ケーブル３の端部から離れた
   方の、前記円筒状絶縁手段の端部との間に配され
   て、前記円筒状絶縁手段に前記フランジから遠ざ
   かる向きの軸方向力を及ぼす単一の偏倚部材２３
   から成り； 前記環状絶縁体が、前記円筒状絶縁手段の外周
   面に摺動自在に係合するとともに、前記フエルー
   ル１７に係合している、弾性を持つ電気絶縁材の
   グロメツト２７から成つている ことを特徴とする高電圧絶縁ケーブル用電気ター
   ミナル。 ２ 特許請求の範囲第１項記載の電気ターミナル
   において、円筒状絶縁手段は、硬貨の絶縁体スリ
   ーブ１１と、この絶縁体スリーブ１１内に位置す
   る弾性の電気絶縁性の細長いブツシング７とから
   なつており、このブツシング７は絶縁ケーブル３
   の端部から離れた方の端部に半径外方に向いたフ
   ランジ９を有し、このフランジ９は前記絶縁体ス
   リーブ１１の端部に押圧されていることを特徴と
   する高電圧絶縁ケーブル用電気ターミナル。 ３ 特許請求の範囲第２項記載の電気ターミナル
   において、単一の偏倚部材２３は絶縁ケーブル３
   を取り巻く単一の螺旋圧縮ばねであることを特徴
   とする高電圧絶縁ケーブル用電気ターミナル。 ４ 特許請求の範囲第３項記載の電気ターミナル
   において、螺旋圧縮ばねには、ブツシング７に面
   する位置にワツシヤ２５が設けられていることを
   特徴とする高電圧絶縁ケーブル用電気ターミナ
   ル。 ５ 特許請求の範囲第１項記載の電気ターミナル
   において、グロメツト２７は、その環状の内向き
   ビード２９により円筒状絶縁手段と摺動自在に係
   合していることを特徴とする高電圧絶縁ケーブル
   用電気ターミナル。 ６ 特許請求の範囲第５項記載の電気ターミナル
   において、内向きビード２９は、絶縁ケーブル３
   の端部に近い方の、グロメツト２７の端部に設け
   られ、かつグロメツト２７は、それの他の端部の
   近くでかつ絶縁ケーブル３の端部に向いたフエル
   ール１７の端部の近くで、環状肩部３１，３５を
   介してフエルール１７と係合することを特徴とす
   る高電圧絶縁ケーブル用電気ターミナル。