JPH0148326B2 - - Google Patents
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- JPH0148326B2 JPH0148326B2 JP58205092A JP20509283A JPH0148326B2 JP H0148326 B2 JPH0148326 B2 JP H0148326B2 JP 58205092 A JP58205092 A JP 58205092A JP 20509283 A JP20509283 A JP 20509283A JP H0148326 B2 JPH0148326 B2 JP H0148326B2
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Landscapes
- Powder Metallurgy (AREA)
- Sliding-Contact Bearings (AREA)
Description
(産業上の利用分野)
本発明は、焼結含油軸受の製造方法に関する。
(従来技術)
焼結含油軸受は、多孔性の焼結材料に体積比で
大体15〜30%の油を含浸させた軸受であり、その
特徴は、この油が摺動面全体から一様にしみ出し
て、いわゆる自己潤滑を生じ、無給油で軸受とし
て長時間運転できることである。焼結含油軸受の
用途は、ますます広く多様になつてきているが、
反面、質的は要求も厳しくなつてきている。 焼結含油軸受は、材質の点で、主に銅系と鉄系
とに分類される。銅系軸受は、鉄系軸受と比較す
ると、加工性がよく、また、シヤフトとのなじみ
や摩擦係数などの軸受性能がすぐれているが、反
面、高荷重領域での耐摩耗性において劣る。後者
の原因は、銅系焼結材の硬さや機械的強さが鉄系
焼結材に較べて劣ることや、摺動面の材料の塑性
変形により、油孔となる摺動面での空孔がふさが
れ、油の供給を妨げることにある。したがつて、
銅系軸受は、以上の特徴と生かして、家庭電器製
品などの比較的軽負荷の機器に多く使われてい
る。 最近、機器の小型化への要求が強いが、軸受を
小型化するには、より高荷重に耐える材料が必要
となる。また、焼結含油軸受を使用した製品が、
世界各地に輸出され、従来よりも厳しい環境でも
使用されるようになり、このため、長時間連続運
転や極端な高温での使用などの過酷な使用条件に
耐える材料が必要となる。 高荷重に耐える軸受性としては、鉄系材料や、
強化合金元素や固体潤滑剤を添加した焼結体材料
が使われているが、反面、これらは、加工性やシ
ヤフトとのなじみなどが悪く、必ずしも良い結果
が得られないことがある。 (発明の目的) 本発明の目的は、従来の銅系焼結含油軸受の有
する加工性およびシヤフトとのなじみの良さをそ
のまま保持した上で、耐摩耗性を改善した焼結含
油軸受の製造方法を提供することである。 (発明の構成) 本発明にかかる焼結含油軸受の製造方法は、含
油軸受用の銅系焼結合金元素粉末と鉄粉末を調整
混合し成形した後、焼結し、次いで、該焼結体を
酸化性雰囲気中で300〜600℃の範囲内で加熱し、
銅系焼結体中に酸化鉄を分散して生成させること
を特徴とする。第1図は本発明に係る製造方法の
工程図である。 ここで、銅系焼結含油軸受の銅以外の成分元素
とその量とは、。例えば、日本では、JIS BI581
SBKI種および2種に規格化されている。また、
諸外国でもそれぞれ独自に規格化している。本発
明においては、これらの銅を主体とする銅系焼結
合金元素の粉末の他に、鉄粉末を加える。この添
加された鉄は、焼結体中の銅系素地中に分散して
いるが、上記の加熱において、強制的に酸化され
る。 この加熱の温度は、300〜600℃の範囲内が好ま
しい。低温では、反応は遅いし、他方、高温で
は、焼結温度に近すぎる。 たとえば、酸化性雰囲気として実施例のように
水蒸気雰囲気(鉄の酸化により生じる水素(還元
性雰囲気)も含む)を用いると、公知のように約
570℃(雰囲気組成に依存するが)以下でFe3O4
が安定になるが、温度が余りに低いと酸化反応に
時間がかかり、300℃が限界になる。一方、焼結
温度(700〜850℃)に近いと、酸化時に新たな焼
結が進行し、寸法変化などを生じる。また、約
570℃以上でFeOが生成するが、冷却時に分解し
て生成したFe3O4は多孔性により乏しく焼結含油
軸受として約570℃以下で生成したFe3O4に比べ
好ましくない。そこで反応温度は600℃以下が好
ましい。 こうして生成した酸化鉄、たとえば、Fe3O4
は、硬く、かつ、多孔性に富むので上記のように
銅系焼結含油軸受材の素地の中に分散させると、
軸受の摩耗を防ぐとともに、微細な孔からの油の
供給により、良好な潤滑状態をも期待できる。 なお、黒鉛・二硫化モリブデンなどの固体潤滑
剤を添加すると、摩耗係数は低下し、軸受として
の性能は、さらに高められる。 ところで、鉄系軸受において、水蒸気処理によ
る表面処理によりFe3O4を生成させることは、鉄
系軸受の潤滑性を改善するために試みられてい
る。この場合、潤滑面に一様にFe3O4が生成し、
このため、日詰まりを生じやすく、焼き付けを生
じやすい。 (実施例) 4重量%の200メツシユの噴霧鉛粉と、6重量
%の250メツシユの噴霧錫粉と、残部の100メツシ
ユの電解銅粉とからなる銅系焼結含油軸受材の粉
末混合物に、その重量の10〜40%に相当する100
メツシユの還元鉄粉を添加し混合する。この混合
物を、従来と同じ方法で、圧粉成形し、700〜850
℃で焼結することにより、外径14mm、内径6mm、
長さ10mmの軸受形の試料を作成した。引き続き、
該焼結体を500℃の水蒸気雰囲気中で加熱し、強
制的に酸化させる。サイジングにより寸法調整し
た後、作動油5号を真空含浸する。該含油焼結体
を、軸受試験用試料とする。 軸受試験として、SUS420J2焼入れシヤフトを
相手材にして、荷重20Kg/cm2、周速3m/min
で、1000時間の連続運転を行つた。比較のため、
鉄粉を添加しない試料についても、軸受試験を行
つた。 表は軸受試験後の軸受内径の摩耗量を示す。こ
の結果より明らかなように、酸化鉄を含まない従
来の軸受に比べて、摩耗量は著しく少なく、すな
わち、耐摩耗性は著しく改善された。
大体15〜30%の油を含浸させた軸受であり、その
特徴は、この油が摺動面全体から一様にしみ出し
て、いわゆる自己潤滑を生じ、無給油で軸受とし
て長時間運転できることである。焼結含油軸受の
用途は、ますます広く多様になつてきているが、
反面、質的は要求も厳しくなつてきている。 焼結含油軸受は、材質の点で、主に銅系と鉄系
とに分類される。銅系軸受は、鉄系軸受と比較す
ると、加工性がよく、また、シヤフトとのなじみ
や摩擦係数などの軸受性能がすぐれているが、反
面、高荷重領域での耐摩耗性において劣る。後者
の原因は、銅系焼結材の硬さや機械的強さが鉄系
焼結材に較べて劣ることや、摺動面の材料の塑性
変形により、油孔となる摺動面での空孔がふさが
れ、油の供給を妨げることにある。したがつて、
銅系軸受は、以上の特徴と生かして、家庭電器製
品などの比較的軽負荷の機器に多く使われてい
る。 最近、機器の小型化への要求が強いが、軸受を
小型化するには、より高荷重に耐える材料が必要
となる。また、焼結含油軸受を使用した製品が、
世界各地に輸出され、従来よりも厳しい環境でも
使用されるようになり、このため、長時間連続運
転や極端な高温での使用などの過酷な使用条件に
耐える材料が必要となる。 高荷重に耐える軸受性としては、鉄系材料や、
強化合金元素や固体潤滑剤を添加した焼結体材料
が使われているが、反面、これらは、加工性やシ
ヤフトとのなじみなどが悪く、必ずしも良い結果
が得られないことがある。 (発明の目的) 本発明の目的は、従来の銅系焼結含油軸受の有
する加工性およびシヤフトとのなじみの良さをそ
のまま保持した上で、耐摩耗性を改善した焼結含
油軸受の製造方法を提供することである。 (発明の構成) 本発明にかかる焼結含油軸受の製造方法は、含
油軸受用の銅系焼結合金元素粉末と鉄粉末を調整
混合し成形した後、焼結し、次いで、該焼結体を
酸化性雰囲気中で300〜600℃の範囲内で加熱し、
銅系焼結体中に酸化鉄を分散して生成させること
を特徴とする。第1図は本発明に係る製造方法の
工程図である。 ここで、銅系焼結含油軸受の銅以外の成分元素
とその量とは、。例えば、日本では、JIS BI581
SBKI種および2種に規格化されている。また、
諸外国でもそれぞれ独自に規格化している。本発
明においては、これらの銅を主体とする銅系焼結
合金元素の粉末の他に、鉄粉末を加える。この添
加された鉄は、焼結体中の銅系素地中に分散して
いるが、上記の加熱において、強制的に酸化され
る。 この加熱の温度は、300〜600℃の範囲内が好ま
しい。低温では、反応は遅いし、他方、高温で
は、焼結温度に近すぎる。 たとえば、酸化性雰囲気として実施例のように
水蒸気雰囲気(鉄の酸化により生じる水素(還元
性雰囲気)も含む)を用いると、公知のように約
570℃(雰囲気組成に依存するが)以下でFe3O4
が安定になるが、温度が余りに低いと酸化反応に
時間がかかり、300℃が限界になる。一方、焼結
温度(700〜850℃)に近いと、酸化時に新たな焼
結が進行し、寸法変化などを生じる。また、約
570℃以上でFeOが生成するが、冷却時に分解し
て生成したFe3O4は多孔性により乏しく焼結含油
軸受として約570℃以下で生成したFe3O4に比べ
好ましくない。そこで反応温度は600℃以下が好
ましい。 こうして生成した酸化鉄、たとえば、Fe3O4
は、硬く、かつ、多孔性に富むので上記のように
銅系焼結含油軸受材の素地の中に分散させると、
軸受の摩耗を防ぐとともに、微細な孔からの油の
供給により、良好な潤滑状態をも期待できる。 なお、黒鉛・二硫化モリブデンなどの固体潤滑
剤を添加すると、摩耗係数は低下し、軸受として
の性能は、さらに高められる。 ところで、鉄系軸受において、水蒸気処理によ
る表面処理によりFe3O4を生成させることは、鉄
系軸受の潤滑性を改善するために試みられてい
る。この場合、潤滑面に一様にFe3O4が生成し、
このため、日詰まりを生じやすく、焼き付けを生
じやすい。 (実施例) 4重量%の200メツシユの噴霧鉛粉と、6重量
%の250メツシユの噴霧錫粉と、残部の100メツシ
ユの電解銅粉とからなる銅系焼結含油軸受材の粉
末混合物に、その重量の10〜40%に相当する100
メツシユの還元鉄粉を添加し混合する。この混合
物を、従来と同じ方法で、圧粉成形し、700〜850
℃で焼結することにより、外径14mm、内径6mm、
長さ10mmの軸受形の試料を作成した。引き続き、
該焼結体を500℃の水蒸気雰囲気中で加熱し、強
制的に酸化させる。サイジングにより寸法調整し
た後、作動油5号を真空含浸する。該含油焼結体
を、軸受試験用試料とする。 軸受試験として、SUS420J2焼入れシヤフトを
相手材にして、荷重20Kg/cm2、周速3m/min
で、1000時間の連続運転を行つた。比較のため、
鉄粉を添加しない試料についても、軸受試験を行
つた。 表は軸受試験後の軸受内径の摩耗量を示す。こ
の結果より明らかなように、酸化鉄を含まない従
来の軸受に比べて、摩耗量は著しく少なく、すな
わち、耐摩耗性は著しく改善された。
【表】
上記の軸受試験後の軸受摺動面を走査型電子顕
微鏡で観察するとともに、X線マイクロアナライ
ザで分折した。第2図は、上記の鉄添加量が20重
量%である試料の摺動面を示す500倍の写真であ
る。ここで左下部の白線は50μmを示す。第3図
は第2図の写真と同じ面の同じ倍率での鉄の分布
を示す特性X線写真である。 第3図の白点が集中している部分は、摺動面で
分散して露出している酸化鉄を示し、一方、残り
の部分は、銅系素地である。(なお、銅系素地中
の白点は、測定器の背景雑音のため生じたもので
ある。)第2図と第3図とからわかるように、連
続運転後の摺動面には、硬い酸化鉄が分散して露
出していて、軸受材の摩耗を防ぎ、かつ、油をに
じみ出す空穴は、つぶれずに残り、給油孔として
の働きを保持しつづけている。また、銅系素地は
滑らかに摩耗しているが、他方、酸化鉄は、多孔
性を有していて、このため、酸化鉄の中からも油
がしみ出し、給油の効果をさらに高くしている。 (発明の効果) 本発明によれば、酸化性雰囲気下で300〜600℃
の範囲内で加熱して焼結体中に酸化鉄(多孔性に
富むFe3O4など)を分散させることができ、全体
としては相手材とのなじみ性に優れ、しかも耐摩
耗性に優れた焼結含油軸受が得られる。 また、本発明によれば、製造方法をさほど複雑
化することなしに、耐摩耗性に優れた焼結含油軸
受を製造することができる。
微鏡で観察するとともに、X線マイクロアナライ
ザで分折した。第2図は、上記の鉄添加量が20重
量%である試料の摺動面を示す500倍の写真であ
る。ここで左下部の白線は50μmを示す。第3図
は第2図の写真と同じ面の同じ倍率での鉄の分布
を示す特性X線写真である。 第3図の白点が集中している部分は、摺動面で
分散して露出している酸化鉄を示し、一方、残り
の部分は、銅系素地である。(なお、銅系素地中
の白点は、測定器の背景雑音のため生じたもので
ある。)第2図と第3図とからわかるように、連
続運転後の摺動面には、硬い酸化鉄が分散して露
出していて、軸受材の摩耗を防ぎ、かつ、油をに
じみ出す空穴は、つぶれずに残り、給油孔として
の働きを保持しつづけている。また、銅系素地は
滑らかに摩耗しているが、他方、酸化鉄は、多孔
性を有していて、このため、酸化鉄の中からも油
がしみ出し、給油の効果をさらに高くしている。 (発明の効果) 本発明によれば、酸化性雰囲気下で300〜600℃
の範囲内で加熱して焼結体中に酸化鉄(多孔性に
富むFe3O4など)を分散させることができ、全体
としては相手材とのなじみ性に優れ、しかも耐摩
耗性に優れた焼結含油軸受が得られる。 また、本発明によれば、製造方法をさほど複雑
化することなしに、耐摩耗性に優れた焼結含油軸
受を製造することができる。
第1図は本発明の工程図である。第2図は、本
発明品の軸受摺動面の顕微鏡写真である。第3図
は、第2図と同じ面での鉄の分布を示す特性X線
写真である。
発明品の軸受摺動面の顕微鏡写真である。第3図
は、第2図と同じ面での鉄の分布を示す特性X線
写真である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 含油軸受用の銅系焼結合金元素粉末と鉄粉末
を調整混合して成形した後、焼結し、次いで、該
焼結体を酸化性雰囲気の中で300〜600℃の範囲内
で加熱して銅系焼結体中に酸化鉄を分散して生成
させることを特徴とする耐摩耗性に優れた焼結含
油軸受の製造方法。 2 上記酸化鉄が主として多孔性のFe3O4である
ことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の耐
摩耗性に優れた焼結油軸受の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20509283A JPS6096702A (ja) | 1983-10-31 | 1983-10-31 | 焼結含油軸受の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20509283A JPS6096702A (ja) | 1983-10-31 | 1983-10-31 | 焼結含油軸受の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6096702A JPS6096702A (ja) | 1985-05-30 |
JPH0148326B2 true JPH0148326B2 (ja) | 1989-10-18 |
Family
ID=16501292
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20509283A Granted JPS6096702A (ja) | 1983-10-31 | 1983-10-31 | 焼結含油軸受の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS6096702A (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2723189B2 (ja) * | 1988-04-18 | 1998-03-09 | 三菱マテリアル株式会社 | 銅系焼結品及びその製造方法 |
JP4886545B2 (ja) * | 2007-02-22 | 2012-02-29 | 日立粉末冶金株式会社 | 焼結含油軸受およびその製造方法 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS50140309A (ja) * | 1974-04-30 | 1975-11-11 |
-
1983
- 1983-10-31 JP JP20509283A patent/JPS6096702A/ja active Granted
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS50140309A (ja) * | 1974-04-30 | 1975-11-11 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6096702A (ja) | 1985-05-30 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |