JPH0140792Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は操作を軽く確実に行なえるようになし
た自転車の変速装置に関するものである。

従来の技術とその問題点 従来自転車の変速装置としてはクランクギヤと
フリーホイールハブに設けられた複数段のスプロ
ケツトホイール間にエンドレス状のチエンを張架
し、このチエンを横移動させて任意歯数のスプロ
ケツトホイールに掛け変速して動力を伝達するよ
うになしている。このハブ上に並列配置されたス
プロケツトホイール間のチエンの移動はガイド・
テンシヨン用のアイドラーを手元操作にてワイヤ
ーを介して引きチエンを横移動せしめている。し
かしこのアイドラーは二箇一対となつており、チ
エンにかかる荷重に応じてアイドラー取付枠は複
雑なリンク機構を介して揺動し、常にチエンに所
要張力を与えてたるみが生じないようにしてい
る。このためワイヤーにて直接アイドラ取付枠を
移動させるには複雑なリング機構を動かす必要が
あるため大きな引張力を要し、ワイヤー止部がし
ばしば破損する。またアイドラ取付枠はそのリン
ク機構の一部を支点として自転車フレームに枢着
され、この支点を中心にして揺動するため各アイ
ドラーを常にチエン運行軌跡上に位置することが
むつかしく、チエン軌跡とアイドラーとが少しの
位置ずれを生じ、チエンやスプロケツトホイー
ル、アイドラーの摩耗により変速時や走行負荷時
チエンが外れることがしばしば生じる。

問題点を解決するための手段 本考案はこれに鑑みてチエンを規制し、常にた
るみを除くようになしたアイドラーを有するアイ
ドラー取付枠にラツク軸を突設し、このラツク軸
をピニオンを内蔵した変速器筐に出没自在に貫通
せしめ、ピニオン軸の器筐外端にワイヤー取付具
を設け、これにワイヤー端を係止させることによ
りピニオンを介してラツク軸を出没させ、二つの
アイドラーを平行を保ちつつ横移行させ、チエン
を歯数の異なるスプロケツトホイール間の乗り移
りを確実にしかも軽い操作にて行なわんとするも
のである。

考案の構成 次に本考案を図面に基づいて説明すると、図に
於て１は後変速装置の全体で、これは自転車フレ
ームの一部例えばチエンステー等に固定する器筐
２と、この器筐２内に収納され、ワイヤーの引張
操作にて回動するピニオン３に噛合され器筐に対
して進出自在となしたラツク４と、このラツクの
先端に固定され、二つのアイドラ５を回動自在に
支持したるアイドラ取付枠６とより成るものであ
る。器筐２は合成樹脂、アルミ合金その他の金属
にて形成され、内部に所要歯数のピニオン３が収
納され、このピニオン３の軸を器筐に設けた軸受
にて支持せしめると共にこのピニオン軸の一端を
器筐外へ突出せしめるようにし、この軸端にワイ
ヤー係止具７を設ける。またピニオン軸長手方向
は器筐２の縦方向にそうようにすると共にこのピ
ニオン軸と直交方向にして器筐を横方向に貫通す
るように棒状のラツク４を配設する。このラツク
４は棒状の本体外周にリング状歯４ａをピニオン
と噛合するよう定ピツチで刻設されたもので、器
筐に円滑に回転及び摺動するように支持される。
またこの棒状ラツク４の一端にはアイドラ取付枠
６をかしめ式・ビス止式・溶着式等いずれかの方
法で固定するが、この取付枠６は図示のようにラ
ツクを交わるように配設するのが望ましい。そし
てこのアイドラ取付枠６に所要の間隔を離して二
つのアイドラー５，５を回動自在に設ける。この
二個一対のアイドラ５，５はチエンの運行軌跡上
に配置される。またワイヤーＷのレバー操作によ
る引帳量のみではピニオンの回転角度が予め定め
られた角度範囲以下の場合、ワイヤー係止具を固
定したピニオンとラツクとの間に増速用のギヤー
を介在せしめてラツクと噛合するようにすればラ
ツクは所要の進退量を得ることができる。

作 用 上述の如く構成される変速装置は自転フレーム
の後部車輪近傍に設けられ、ハンドルあるいは運
転者の操作しやすい位置に設けられた変速レバー
と、ワイヤー係止具間にワイヤーＷが張架され
る。そして変速する場合、操作レバーを引くとワ
イヤー係止具は復元用ばねに抗して揺動し、これ
によりピニオンが回動する。ピニオンにラツクが
噛合されているためレバー操作量に応じてピニオ
ンを介しラツクが摺動しチエンを多段並列された
スプロケツトホイール間を乗り移らせて変速する
ものである。またペダルのトルクをチエンを介し
て後輪に伝える時、無負荷の時によつてチエンの
引張力が変化する。このチエンの引張力変化に追
随する二つのアイドラは棒状ラツクを軸として取
付枠が揺動するがこの時でも外周にリング状に歯
を刻設しているのでピニオンと外れることがな
い。

考案の効果 本考案による時はアイドラ取付枠を棒状ラツク
に固定し、このラツクを軸として揺動式となつて
いるためチエン張力の自動調整時に於てもラツク
とピニオンは外れることがなく変速が確実であ
り、また変速レバーによる変速操作が軽く、正確
に行なえると共に常にチエンの乗り移り方向に対
して二つのアイドラが追随するためチエンの外れ
を未然に防止でき、しかも複雑なリンク機構がな
いため外観的にも美しいものとなる等の利点を有
する。

【図面の簡単な説明】

第１図は正面図、第２図は平面図、第３図は断
面図、第４図は異りたる実施例図である。 １は後変速装置の全体、２は器筐、３はピニオ
ン、４はラツク、５はアイドラ、６はアイドラ取
付枠、７はワイヤー係止具、Ｗはワイヤーであ
る。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 自転車フレームに固定される変速装置の器筐内
   に変速レバーの操作にて回動するピニオンを設
   け、器筐を横方向に摺動・回動自在にして貫通支
   持される棒状ラツクと上記ピニオンと噛合せしめ
   ると共にこのラツク端に二つのアイドラを設けた
   アイドラ取付枠を一体に設けてなる自転車の変速
   装置。