JPH0138524Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、電極の表面に固定化酵素や固定化微
生物を被覆し、酸素、炭酸ガス、尿素、グルコー
ス等の生体中に含まれる成分の検知をするための
電極構造の改良に関する。

近年、生物のもつ反応特異性と電気化学デバイ
スを組み合わせた生物電気化学センサーの開発が
行なわれ、特に医療分野に於て、その基質特異
性、微量反応性等に優れている点から、臨床検査
手法の変革を可能にするものとして注目されてい
る。

既に、アンペロメトリー、ポテンシオメトリー
の両電極反応を基本とする酵素電極による生体成
分定量法、さらには微生物電極による微量成分定
量法の提案がなされている。

しかしながら、従来提案されている酵素固定化
法あるいは微生物固定化法では、被固定化物の継
続的溶出、失活、立体構造の変化、比活性が低
い、基質透過性が困難等々の欠点があり、固定化
方法によつては分子量の制限によつて固定化でき
ないものもあり、その発展が停滞している。

又、一方従来の生物電気化学センサーは、電極
表面に予め別に形成した酵素あるいは微生物の固
定化膜を被覆するものであり、その取り扱い及び
センサーの微小化に大きな妨げとなり、これも生
物電気化学センサーの発展を阻害していた。

本考案者等は、これらの点に鑑み酵素、微生物
を自由に選択でき、かつ電極表面を固定化酵素膜
等で直接被覆する方法について検討し、いくつか
の提案を行なつた（特開昭57−127841号公報、特
開昭57−128839号公報）。

本考案は、それらの改良に関するものであり、
本考案の電極を用いることにより電極先端に被覆
された固定化酵素膜又は固定化微生物膜の脱落が
防止される結果、直接生体中に用いることが可能
になる。又、基質と酵素又は微生物との接触を制
御することにより、広範な基質濃度に対し安定し
た測定が可能になることを見出し、本考案に到達
したものである。

即ち本考案は、外周部が絶縁材で被覆され、先
端が被覆されていない金属電極の先端をチユーブ
状隔膜を用いて、該金属電極の先端が該チユーブ
状隔膜の先端より内側になるように該チユーブ状
隔膜内に挿入し、チユーブ状隔膜と金属電極先端
とで形成される空隙の全部又は一部を固定化され
た酵素又は微生物により充填した生体成分検知用
電極である。

以下本考案を図面を用いて詳述する。

第１図は本考案による生体成分検知用電極の縦
断面図の一例であり、金属電極１をチユーブ状隔
膜３内に挿入し、該チユーブ状隔膜の先端を電極
の先端より超過せしめ、該電極１と該隔膜３とで
形成される空隙に固定化酵素又は固定化微生物４
が充填されている。即ち、固定化酵素又は固定化
微生物４をチユーブ状隔膜３により保護し、該隔
膜３と電極１及び固定化酵素又は固定化微生物４
とを一体化することにより固定化酵素又は固定化
微生物４の電極１からの脱落を防止し、かつ外部
からの酵素又は微生物への攻撃を遮断させること
ができる。

チユーブ状隔膜３は金属電極１の絶縁材２との
間隙６を介して金属電極１と一体化しているが、
チユーブ状隔膜３と絶縁材２との密着度が低い場
合は、通常の樹脂により間隙６を埋めることが出
来る。

本考案に用いるチユーブ状隔膜は、ポリジメチ
ルシロキサン、ポリエチレン、ポリプロピレン等
のポリオレフイン、セルロースアセテート、ポリ
アクリロニトリル、ポリスルホン等任意の高分子
材料を用いて形成することが出来る。その内径は
金属電極本体（(1)＋(2)）の外径にほぼ等しいもの
が好ましい。

一方第１図に於て外部溶液中の基質が拡散し、
酵素等を含む層４へ到達するためには、チユーブ
状隔膜の先端からと共にその周壁部からも拡散す
る方が、電極の応答速度の面から好ましい。

本考案者等は、チユーブ状隔膜としてその周壁
部に微小空孔を有する中空繊維を用いると応答速
度の早い、安定した測定値が得られる電極が得ら
れることを見いだした。周壁部に含まれる微小空
孔の大きさは全血試料の基質濃度を体外又は体内
で測定する場合、平均孔径20Å以上0.7μm以下の
場合、赤血球、血小板等の血球成分により、酵素
等の固定層４が汚染されることがないので好まし
い。即ち、孔径が20Åより小さいと基質成分の膜
透過が阻害され好ましくなく、0.7μmより大きい
と血球成分が微小空孔を通過したり、空孔を閉塞
し電極の寿命が極端に短かくなる。

このような特定範囲の孔径を有する中空繊維
は、上述の高分子を溶融紡糸や湿式紡糸すること
により比較的に容易に作ることが出来る。

本考案に用いられる固定化された酵素や微生物
は公知の手段で調整することが出来る。特に電極
先端とチユーブ状膜の空隙に充填容易な方法が選
ばれる。これらの方法としては、酵素や微生物を
氷塊で包囲したものを高分子溶液中へ分散し、こ
の分散液を上記空隙へ流しこみ、高分子の非溶剤
へ浸漬して固定化する方法やアクリルアミド等の
水溶性モノマーや半重合物中に酵素等を分散させ
空隙へ流し込み、適当な手段で後重合架橋させる
方法等酵素や微生物の種類によつて固定化により
失活しない最適の方法がとられる。

第２図、第３図は本考案電極の別の形態のもの
であり、電極本体の先端あるいは、チユーブ状膜
の先端を選択透過性を有する膜５，７で被覆した
ものである。この選択透過性膜は微小空孔を有し
ていてもいなくても良い。このような被覆によ
り、固定化酵素や微生物がより安定に保存される
と共に検知物質の金属表面への透過制御を可能
し、広範囲の基質濃度の測定が安定して可能とな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図、第３図は本考案電極の先端感
応部の断面図である。 １……金属電極、２……絶縁体、３……チユー
ブ状隔膜、４……固定化された酵素、微生物、
５，７……選択透過性膜、６……空隙又は接着用
樹脂。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 外周部が絶縁材で被覆され、先端が被覆され
   ていない金属電極の先端をチユーブ状隔膜を用
   いて該金属電極の先端が該チユーブ状隔膜の先
   端より内側になるように該チユーブ状隔膜内に
   挿入し、チユーブ状隔膜と金属電極先端とで形
   成される空隙の全部又は一部を固定化された酵
   素又は微生物により充填することを特徴とした
   生体成分検知用電極。 ２ チユーブ状隔膜として、周壁部に平均孔径20
   Å以上0.7μm以下の微小空孔を有する中空繊維
   を用いることを特徴とする実用新案登録請求の
   範囲第１項記載の生体成分検知用電極。