JPH0136362B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本発明は走行機能性を高め並びに成形性の向上
を計り得るミツドソールに関する。

(ロ) 従来の技術 近年石塊道やコンクリート舗装路等を走行する
際足への衝撃を緩和するために、履物底はスポン
ジ底に変わり更には機能に応じて分厚いスポンジ
底を履用するようになつている。このような底に
おいて、本底は固体かまたは耐摩耗性のよいスポ
ンジ底でこの本底と胛被との間に一層または適数
層のクツシヨン性の良好なスポンジ層を入れてい
るのが普通であり、この層はミツドソールといわ
れている。このミツドソールはある程度の硬さを
必要とし相当な厚みがあり踏付部においてクツシ
ヨン層自体の反発力に抗しうる屈曲力が必要とす
る為に履用者の足には余分の負荷がかかり足の疲
労を覚え履用感を損つていた。またミツドソール
は異種異色の各層が層着されて、殊に軽量化を計
るために硬度の低いクツシヨン性の良好なスポン
ジ層が層着されている場合には、その層の外壁面
がそのまま露出しているため圧縮歪が大きく、加
えてその疲労が激しくクツシヨン性は短日のうち
に著しく減少して履用感を損ない、保形性が低い
ために横振れを助長して走行機能性を退歩させて
いた。

(ハ) 発明の目的 本発明はこのような現状に鑑みポリエステル系
ウレタンの外層発泡体と弾力性のある内層発泡体
を組合せることにより、ポリエステル系ウレタン
の外層発泡体が備えている破壊強度に優れている
性質と圧縮永久歪の少なさ及び回復力の良さと、
弾力性のある内層発泡体が備えているクツシヨン
性と軽量性の長所とを効果的に発揮させ、保形性
並びに成形性の良好な走行機能性に優れたミツド
ソールを提供することを目的とするものである。

(ニ) 発明の構成 本発明は本底と胛被の間に層着された少なくと
も二層の高分子発泡体層からなり、その高分子発
泡体層は略本底に倣う輪郭をしており、弾性のあ
る内層発泡体がポリエステル系ウレタンの外層発
泡体により被覆されており、上記内層発泡体は適
宜各部分毎に分割接合されその各部分に適する材
料及びその各部分に適する硬度であることからな
る。

(ホ) 作用 本発明のミツドソールは上記構成の如くポリエ
ステル系ウレタンの外層発泡体と弾力性のある内
層発泡体の夫々硬度を異にする材料を組合せて使
用することによつて、各部位間には滑らかな硬度
差がつけられる。外層発泡体の硬度はアスカー硬
度計Ｃタイプの数値（以下同じ）で示すと30〜80
度、内層発泡体の硬度は20〜60度の範囲であり、
また内層発泡体の平均比重は0.05〜0.30、外層発
泡体の平均比重は0.20〜0.60の範囲のものが使用
される。この範囲の部材から選択組み合わせて踏
付部および中央部等適宜部位の硬度が低くなるよ
うにして、軽量化をはかりうる。このミツドソー
ルは本底と胛被の間に層着されており、その下面
は本底の上面輪郭にまた上面は胛被の下面輪郭に
倣うように形成されている。内層発泡体として
は、ポリエチレン、エチレン・ビニルアセテート
共重合体（EVA）などのポリオレフイン系樹脂
やゴム及びこれらの混合物の発泡体などがある。
外層発泡体のポリエステル系ウレタン発泡体は、
4.4−ジフエニルメタンジイソシアネート、4.4′−
ジシクロヘキシルメタジイソシアネート等のジシ
ソシアネート、エチレングリコール、1.4−ヘキ
サンジオール等のグリコール、アジペート系ポリ
エチレンアジペート、ポリ（1.4−ブチレンアジ
ペート）、ポリ（1.6−ヘキサンアジペート等のポ
リエステルジオールを反応させて得られたウレタ
ン発泡体である。

(ヘ) 実施例 以下に本発明の実施例を図面により説明する。

第１図は第１実施例のミツドソールで、ａは平
面図、ｂはその縦断面図、第４図は第１図の変形
したもので、ｇは平面図、ｈは縦断面図である。
第１図におけるミツドソールの内層発泡体１は、
本底の輪郭とほぼ相似形で前部の厚みは薄く後部
の厚みは分厚く形成されている。この内層発泡体
１の全表面を外層発泡体２で被覆し最適形状のミ
ツドソールを得る。この場合外層発泡体２は硬度
50度、平均比重0.3〜0.4のポリエステル系発泡ポ
リウレタンを用いる。内層発泡体１は平均比重
0.05〜0.2の発泡EVA板から裁断して組合せ接合
して後部の厚みを出したり、発泡EVA板を先部
５と踵部側とに２分割し更にその踵部側を上層部
６と下層部７との２層に分割裁断して組合せ接合
する。各部分の硬度を適宜組み合わせて用いる。
その硬度は例えば先部５で20度、踵部の上層部６
で35度、下層部７で45度とする。その外、踵部の
構造は、第４図に図示する如く、踵部の先部９の
外側に最も硬度の高い部材で馬蹄形部分８を構成
し、しかもこの馬蹄形部分の内胛側を外胛側より
も爪先側位置に突き出ているように構成する等、
種々の設計変更が可能である。これらの内層発泡
体１の構造は次の第２及び第３実施例にも応用で
きる。また、未発泡EVA組成物を所定形状に
夫々裁断し金型内でプレス加熱して発泡と同時に
一体成形しても得られる。この内層発泡体１を上
型と下型とを組み合わせて形成したミツドソール
に相応する凹部内に適宜手段にて略その中央に層
着しこの凹部内に外層発泡体２となる液状のポリ
ウレタン材料を射出して発泡硬化反応せしめ、内
層発泡体１を外層発泡体２にて被覆密着せしめた
高分子発泡体なるミツドソールを形成する。必要
に応じて内層発泡体１の輪郭を変えると、この輪
郭に沿つて外層発泡体２の輪郭幅は自由に変化さ
せうる。

第２図は本発明の第２実施例でｃは平面図、ｄ
はその縦断面図である。本実施例は第２図に図示
する如く内層発泡体１は、その先部５で硬度25
度、踵部の上層部６で35度、下層部７で45度、平
均比重0.06〜0.2の発泡EVAで、外層発泡体２は
硬度50度、平均比重0.3〜0.4のポリエステル系の
発泡ポリウレタンが用いられ、第１実施例とほぼ
同様に内層発泡体１は外層発泡体２によつてほぼ
全面が被覆され、踏付部を中心に前部上面の外層
発泡体２が取り除かれて、この除去部分を内層発
泡体１が満たすべく直接内層発泡体１が表面に出
るよう形成されている。

内層発泡体１の上記前上面のみ上型内面に接す
るように保持しておき、上型と下型とを組み合わ
せて形成される凹部に外層発泡体２となる液状ポ
リウレタン材料を射出して発泡硬化反応せしめ
て、高分子発泡体なるミツドソールを形成する。

第３図は本発明の第３実施例を示すものでｅは
平面図、ｆはその縦断面図である。本実施例は第
３図に図示する如く内層発泡体１には、その先部
５で硬度25度、踵部の先部９で35度、馬蹄形部分
８で45度、平均比重0.06〜0.2の発泡EVAが外層
発泡体２には硬度55度平均比重0.4〜0.5のポリエ
ステル系発泡ポリウレタンが用いられ、第１実施
例とほぼ同様に内層発泡体１が外層発泡体２によ
つて被覆形成される。本実施例では内層発泡体１
の踏付部の両側面、踵部の外胛側面に適数個の突
部３を設け、この突部３の外胛側端面は外層発泡
体２の輪郭端面に一致するよう形成されている。
また内層発泡体１の踵部の内胛側面から土踏まず
部にかけて中心に向かつて凹の彎曲部４を設け、
この彎曲部４に見合つて外層発泡体２の輪郭幅を
他の輪郭幅よりも大きくする。内層発泡体１の踏
付部の両側面および踵部の外胛側面に設けた適数
個の突部３を更に延長しておき、この突部３の延
長部分を上型と下型との型組によつて形成する凹
部に連通する保持孔に嵌着して保持し、外層発泡
体２となる液状のポリウレタン材料を射出して発
泡硬化反応せしめ、脱型後上記突部３の延長部分
を輪郭端面に沿つて切除し、内層発泡体１の突部
３端面が輪郭端面に現出した高分子発泡体層なる
ミツドソールを形成する。本実施例においても踏
付部を中心に突部３を含む前部上面並びに踵の突
部３上面の外層発泡体２が除されて、この除去部
分を内層発泡体１が満たすべく直接内層発泡体１
が表面に出るように形成しうる。この突部３の色
調は、内層発泡体１の色調に合わせてもよく、単
に突部３又はその外側端面のみ赤、青、黄等の色
に着色する。またこの突部３の外側端面形状はは
その機能に応じて円形、三角形、菱形等適宜形状
に形成する。

以上の如く、まず実施例１におけるミツドソー
ルは、ほぼ底形に相似な発泡EVAからなる内層
発泡体１の全表面をポリエステル系発泡ポリウレ
タンからなる外層発泡体２によつて被覆接合する
ことによつて、発泡EVAの破壊強度がなくて、
僅かの外力によつて損傷するという欠点とポリエ
ステル系発泡ポリウレタンの特に低発泡ポリウレ
タンの場合に軽量化に乏しく踵部等肉厚部分でヒ
ケが生じる等の欠点とを解消し、発泡EVAが兼
備しているクツシヨン性の軽量性の長所とポリエ
ステル系発泡ポリウレタンが兼備している破壊強
度の強さと圧縮永久歪の少なさおよび回復力の良
さを効果的に発揮させることができた。外層発泡
体２の踏付部の厚みを薄くすれば、屈曲性を増し
履用者の足への屈曲抵抗を緩和することができ
る。また内層発泡体１の踵部の厚みを厚くしても
この内層発泡体１の硬度より高い外層発泡体２に
よつて被覆接合されているから、軽量でクツシヨ
ン性に富み横振れの少ない作用効果を発揮し、更
に踵部においては、内装発泡体１の分厚い踵部が
内包されてこの囲りを外層発泡体２の薄い層によ
つて被覆している構造であるから、ヒケを生じる
ことなく軽量性に着地時の衝撃を緩和吸収しうる
効果がある。更に又内層発泡体１は、先部５と、
踵部の上層部６（又は先部９）、踵部の下層部７
（又は馬蹄形部分８）とに分割接合され且つこれ
らの硬度は順次高くなるよう構成されており、こ
の内層発泡体１をこれよりも硬度の高い外層発泡
体２により被覆したものであるから、この上面に
おける硬度は輪郭部から中央に向かつて、又は踵
部の内胛側から外胛側へ更に先部へと低くなり硬
度の変化は滑らかに推移し、履用者の足に段差が
ある等の不快感を抱かしめることがなく履用感を
著しく向上せしめ、更には第４図に図示する如く
着地時における圧力の移動を踵部の外胛側から外
胛弓状彎曲を経て内胛側にスムーズに移動させる
とともに踵の内胛側への巻き込み過ぎ即ち過回内
を防止することができた。

第２実施例におけるミツドソールは第１実施例
における作用効果を踏まえて、踏付部上面に直接
内層発泡体１を露出した上面フリーの発泡EVA
が主に圧縮伸長することによつて、踏付部に作用
する屈伸力を吸収緩和し、履用者の足への屈伸抵
抗力を減らし疲労を激減しうる。

第３実施例におけるミツドソールは第１実施例
におけるミツドソールの走行機能性を更に高める
ことができる。ミツドソールの最も屈伸作用の激
しい踏付部とその両外側端において、上記の如く
ポリエステル系発泡ポリウレタンからなる外層発
泡体２よりも硬度が低い発泡EVAからなる内層
発泡体１の適数個の突部３によつて置換すること
により、踏付部が屈伸される際、この発泡EVM
の突部３が容易に圧縮伸長して屈伸作用力を緩和
吸収し履用者の足への屈伸抵抗力を減じ疲労を激
減することができる。また着地はほぼ踵中央から
始まり踏付の移動は外胛側に沿つて小趾球から拇
趾球の方へ進み着地が終了した後は主として拇趾
球の第２、３趾の足ゆびで地面を蹴つて前方へ進
むものであるから、上記の如く外層発泡体２の踵
部外胛側端部を外層発泡体２よりも硬度が低い内
層発泡体１の突部３と置換することにより、先ず
踵中央から着地が始まると踵部外胛側の突部３が
踏付圧によつて圧縮されるから、踏付の移動を踵
中央から踵の外胛側に沿つて移動させる道案内人
の働きをなし、更に外層発泡体２の踵内胛側から
土踏まずにかけての内胛側端部の輪郭幅を他の部
分の輪郭幅よりも広くすることによつて、踏付の
移動を確実によりクツシヨン性のある踵の外胛側
に沿つて先部へ移動させることができるから、踏
付の移動が反対に踵の内胛側に沿つて先方へ移る
際に生じる足首等の損傷を回避することができ
た。更に踏付部の両側端面および踵外胛側端面に
内層発泡体１の突部３は現出しており、この突部
３は所望色でかつ適宜形状に形成されているか
ら、強烈なアクセントとなり美観を向上せしめ良
き印象を与えることができる。

(ト) 発明の効果 本発明のミツドソールは本底と胛被の間に装着
された少なくとも二層の高分子発泡体層からなり
この高分子発泡体層はほぼ本底に倣う輪郭をして
おり、弾力性のある内層発泡体がこの内層発泡体
よりも高い硬度のポリエステル系ウレタンの外層
発泡体により被覆されており、上記内層発泡体は
適宜各部分毎に分割接合されその各部分に適する
材料及びその各部分に適する硬度であるものであ
るから、内層発泡体がもつクツシヨン性と軽量性
に優れている長所と、外層発泡体が備えもつ破壊
強度に優れている性質と圧縮永久歪の少なさ及び
回復力の良さとが両々相俟つて相乗効果が発揮さ
れ、屈曲部および踵部の外側の輪郭幅または内層
発泡体の各部分層の厚みを変化させることで、所
定の構造に調整できるので、屈伸性、クツシヨン
性、走行安定性、着地衝撃緩和、内転防止などの
走行機能を高めこれらの最適効果を発揮すること
ができる。

また本発明のミツドソールは、その内層発泡体
をその各部分毎に分割接合し、各部分に適する材
料および硬度としたものでもあるから、各部分に
おける最適な硬度並びに材料を適宜選択して外層
発泡体を含む各部位間に更に滑らかな硬度差をつ
けることができ、また異なる材料の持味を生かし
て履用感に優れクツシヨン性及び走行機能性の向
上を計ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の第１実施例でａは平面図、ｂ
はその縦断面図、第２図は第２実施例でｃは平面
図、ｄは縦断面図、第３図は第３実施例でｅは平
面図、ｆは側面図、第４図は第１図の変形したも
ので、ｇは平面図、ｈはその縦断面図である。 １……内層発泡体、２……外層発泡体、３……
突部、４……彎曲部、５……先部、６……上層
部、７……下層部、８……馬蹄形部分、９……踵
部の先部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 本低と胛被の間に装着された少なくとも二層
   の高分子発泡体層からなり、その高分子発泡体層
   は略本低に倣う輪郭をしており、弾力性のある内
   層発泡体がポリエステル系ウレタンの外層発泡体
   により被覆されており、上記内層発泡体は先部と
   部分集合体なる踵部とからなり且つ該先部が踵部
   より低硬度であるよう構成されていることを特徴
   とするミツドソール。 ２ 内層発泡体の硬度がアスカー硬度計Ｃタイプ
   で20〜60度、外層発泡体の硬度が同Ｃタイプで30
   〜80度であり、外層発泡体の硬度が内層発泡体の
   硬度よりも高いように組合せられており、内層発
   泡体の硬度が先部、踵部の下層部または踵部の先
   部、踵部の上層部または馬蹄形部へと順次高い関
   係にある特許請求の範囲１記載のミツドソール。 ３ 外層発泡体の踏付相当部の上面を切欠き踏付
   部のみ二層の高分子発泡体層である特許請求の範
   囲第１項及び第２項記載のミツドソール。 ４ 外層発泡体の踏付相当部の両側面及び／又は
   踵部の外胛側面に切欠部を設け、この切欠部は内
   層発泡体にて充填した高分子発泡体層からなる特
   許請求の範囲第１項及び第２項記載のミツドソー
   ル。 ５ 外層発泡体の踵部内側から踏まず部にかけて
   の輪郭幅を大にして内層発泡体とを組合せた高分
   子発泡体層を有する特許請求の範囲第１項及び第
   ２項記載のミツドソール。