JPH0131061B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は回転運動を直線運動に変換するための
静圧ネジに用いられる雌ネジの静圧ポケツトの加
工方法に関するものである。

従来ネジ機構には通常の雄ネジと雌ネジの機械
的噛み合いによるものや、その間に鋼球を介した
ボールネジ、そして油圧力を媒介とした静圧ネジ
等が実用化され、あるいは提案されてきた。しか
しながら機械的噛み合いによるものは摩耗により
精度を維持することが困難であり、ボールネジに
しても雌ネジと雄ネジ間で、互いを支持する鋼球
は実際上数個でしかなく、雄ネジの動きとともに
その支持点が微妙に変化し、特に鏡面を加工する
切削機等においては送りマークとして切削面にあ
らわれてしまう。

一方、静圧ネジはこれらの問題を解決する理想
的手段とされながら、ネジスラスト方向の剛性を
向上させる為に形成すべき静圧ポケツト加工が、
ネジ軸長手方向、それと直角方向、回転方向とい
う３次元の動きを制御できる機械での加工とな
り、しかもあらかじめ形成されているネジ面に沿
つて加工するため、前加工のネジ面にならつて動
かなくてはいけないなどの条件がある為非常に複
雑な加工となり作業時間もかかり、その結果高価
なものとなつて普及を妨げていた。

本発明は上記の問題を解決するため、あらかじ
め雌ネジのピツチに合せて放電電極を作ること
で、容易にしかも自在なポケツト形状を形成する
ことを可能にしたものである。以下本発明の具体
的各実施例について図面に沿つて説明する。第１
図から第３図は本発明による実施例を示し、第１
図は静圧雌ネジの斜視図であり、１は雌ネジ本
体、２は雄ネジとの係合面、３は静圧ポケツト、
４は油圧管路、５ａは油の排出をスムーズにする
ための排出孔、６，７は静圧ポケツト３に油を分
配するための油溝、８は雌ネジをブラケツトに固
定するためのネジ孔である。第２図は第１図のＡ
−Ａ断面図を示し、第３図はネジ係合面の要部拡
大断面図で、９は雄ネジである。

図には記載していないが、外部に設けられた油
圧源から第２図の二点鎖線で示すブラケツト１２
に供給された油は、ブラケツト１２内の管路を通
つて油溝６，７に供給され、さらに油圧管路４の
一部に設けられた絞り４ａによつて絞られて静圧
ポケツト３に至つて雄ネジを静圧支持し、雄ネジ
との係合面２から排出孔５ａを通つて外部の油タ
ンクに放出される。

この時、外部油圧源で与えられた油圧力は油圧
管路４の一部に設けられた絞り４ａによる絞り効
果と、係合面２の雄ネジとのスキマの狭い部分で
の絞り効果によつて一定の請圧支承力を形成す
る。この時この静圧支承力は、静圧ポケツト３を
主とする係合面２の静圧受圧面積と係合面２の狭
いスキマの部分のスキマ量によつてその大きさが
決定される。そして通常この静圧支承力は静圧ポ
ケツト３の部分では油圧管路４直下の圧力が均一
に広がつているとして計算されるが、従来技術で
はこの計算結果と実験結果の誤差が大きいので、
その理由を従来の第４図と対比し第５図乃至第６
図に従つて説明する。

第４図は、従来の静圧ネジに用いられる雌ネジ
の静圧ポケツト部の部分拡大斜視図で、第５図は
本発明による静圧ポケツト部の部分拡大斜視図を
示す。これらを比較すると従来の静圧ポケツト構
造はその加工に際してネジ面という限られた加工
スペースのために、静圧ポケツト３３の両端３３
b′で切り上りが生じざるを得ず、ポケツト深さｔ
にも限界があるため、静圧ポケツト周囲に比して
十分なポケツト深さｔが得られず、静圧ポケツト
内で早くも圧力が降下して、計算値より低い静圧
支承力しか得られなかつた。第６図は本発明に用
いる静圧ポケツト加工用の電極を示す斜視図であ
る。そこで本発明ではあらかじめネジ係合面、油
圧管路を機械加工で形成した後、第６図に示すよ
うな静圧ポケツトに対応する突起１０を有する放
電加工用電極を用いて、これを適当な位置迄雌ネ
ジにねじ込み電極を上下に移動させながら放電加
工を行い、下側のネジ係合面２に静圧ポケツト３
を加工した。従つて、第４図に示すように静圧ポ
ケツト周囲の係合面２に比して十分なボケツト深
さｔが静圧ポケツト３の端部３ａ，３ｂにおいて
も形成することができるので、静圧ポケツト内部
での圧力降下を避けることが出来る。さらに、こ
の放電加工法による静圧ポケツトを形成したため
係合面にバリやエリを生じさせることがないのも
大きな利点であり、又この放電電極を用いれば、
雌ネジの静圧ポケツト３を加工するための放電加
工面となる突起１０が必要な個数だけ容易な機械
加工によつて製作でき、しかも油圧管路４及び絞
り４ａを放電加工前に加工することによつて二次
放電を起すことなく短時間で静圧ポケツト３を形
成することが出来る。

第７図は本発明による他の実施例を示す静圧雌
ネジの斜視図で排出孔５ａの代わりに排出溝５ｂ
をネジ軸長手方向に形成したものであり、第８図
は、第７図の変形例を示し単一静圧ポケツトの斜
視図で第６図の電極を変形することで容易に実施
出来る。

なお、本発明による各実施例においてはブラケ
ツト１２によつて２個の雌ネジを両側からはさみ
込んでいるため、ネジ面の片側に係合面を形成
し、反対側は逃げているが、ネジ面の両側を係合
面としても良い。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は本発明による実施例を示
し、第１図は静圧ネジに用いられる雌ネジの斜視
図、第２図は第１図のＡ−Ａ断面図、第３図はネ
ジ係合部の要部拡大断面図、第４図は従来の静圧
ネジのポケツト部の拡大斜視図、第５図は本発明
による静圧ネジのポケツト部の拡大斜視図、第６
図は本発明による静圧ネジに用いられる雌ネジの
ポケツト部を形成するための電極構造を示す斜視
図、第７図及び第８図は本発明による他の実施例
を示す斜視図である。 １……雌ネジ、２……係合部、３……静圧ポケ
ツト、４……油圧管路、５ａ……排出孔、５ｂ…
…排出溝、９……雄ネジ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 回転運動を直線運動に変換するための静圧ネ
   ジに用いられる、雄ネジとの係合面に設けられた
   静圧ポケツトと、この静圧ポケツトに圧力流体を
   吐出する絞りと、この絞りに連通し圧力流体を供
   給する油圧管路とを有する雌ネジの製造方法にお
   いて、前記静圧ポケツトは、電極を前記雄ネジと
   の係合面に対し前後進させて放電加工することに
   より形成され、且つ前記電極は前記雌ネジに螺合
   し、前記静圧ポケツトに対応する凸部を有するこ
   とを特徴とする静圧ネジに用いられる雌ネジの製
   造方法。