JPH0116094Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は写真フイルム用の精密パンチヤーに関
し、さらに詳しくは１個または複数の写真画像の
縁辺および画像の存在しない部分に対応する部分
が、写真フイルムの写真画像の存在しない部分の
明暗と逆の明暗である画線からなる位置表示画線
と吸引孔および吸引手段からなる固定手段を有す
る写真フイルム用精密パンチヤーに関するもので
ある。

従来写真フイルム、特にマイクロフイシユをリ
ーダーまたはリーダープリンターに装填して自動
検索するための位置決めの目的でマイクロフイシ
ユにパンチ穴を設けることが実施されており、マ
イクロフイシユにパンチ穴を設けるためのパンチ
ヤーが知られている。従来公知のマイクロフイシ
ユ用パンチヤーにおいてはマイクロフイシユを載
せるステージにマイクロ画像の位置を示す黒色ま
たは暗色の線からなる格子状のフレームガイドラ
インとマイクロフイシユの位置を規制するための
フイシユ外周位置規制ピンが複数個設けられた構
成であつた。このパンチヤーでマイクロフイシユ
にパンチ穴をあけるには、マイクロフイシユをパ
ンチヤーのステージに載せて、マイクロ画像のコ
マ間の空白部をフレームガイドラインにあわせ、
位置が定まつたらマイクロフイシユを片手でおさ
えながら他の片方の手でパンチヤーのパンチノブ
をひきさげてパンチ穴をあけるという操作順序で
あつた。ところがフレームガイドラインの寸法が
マイクロフイシユの縮小写真画像（フレームまた
はコマ）間寸法とが必ずしも一致せず、フレーム
間の幅（0.5mm）はパンチヤーのフレームガイド
ラインの線幅（約0.25mm）の約２倍あつて、位置
合せの精度が悪く、マイクロフイシユがカールし
ている場合にはパンチヤーのステージからマイク
ロフイシユがわずかに浮き上がるためにパララツ
クスが生じてそのために位置ずれが生じるおそれ
があり、またパンチするときにマイクロフイシユ
を誤つて動かして位置ずれが生ずるおそれがある
等の問題があつた。

マイクロフイシユの位置決めのためのパンチ穴
が不正確な場合、リーダーやリーダープリンター
で自動検索する際に拡大投影されたマイクロ画像
が投影スクリーン上で片よつたり、はなはだしい
ときには目的とする画像が欠けて隣接する画像の
一部が投影スクリーン上にあらわれるので、手動
の微動装置等で位置を細かく合わせ直す操作が必
要となり、視覚的に不快であるとともに操作の迅
速さを失わせるという重大な欠陥となる。

本考案は上述の諸問題点を解決するための写真
フイルム用精密パンチヤーを提供するものであ
る。

本考案は、 (1) 写真フイルム載置台、その上に設けられた写
真画像の縁辺または複数の写真画像の縁辺の間
隙を示す位置表示画線、写真フイルム固定手段
およびパンチ穴あけ手段を有する写真フイルム
用パンチヤーにおいて、 (a) 前記位置表示画線が前記の写真画像の存在
しない部分に対応する部分の画線からなり、
前記の画線は前記の写真画像の存在しない部
分の明暗と逆の明暗からなり、かつ (b) 前記固定手段が前記写真フイルム載置台に
設けられた１個以上の吸引孔および前記吸引
孔に気密に接続された吸引手段からなること
を特徴とする写真フイルム用パンチヤーなら
びに (2) 前記位置表示画線が写真画像形成工程により
形成された画像からなる(1)に記載の写真フイル
ム用パンチヤーである。

本考案の写真フイルム用パンチヤーにおいて、
写真フイルム載置台は金属、プラスチツク、木
材、ガラスなど容易に変形変質しない材料であれ
ば何でもよい。位置表示画線が写真フイルム載置
台の表面に設けられる関係上、写真フイルム載置
台はその表面が真平面であるか、または写真フイ
ルム載置台の上に位置表示画線を有する平板が設
けられる程度の真平面をなす。

位置表示画線は写真フイルム載置台の表面その
ものに設けられる場合と、写真フイルム載置台の
表面に位置表示画線が設けられた平板を固定して
設けられる場合があるが、いずれの場合にも位置
表示画線は長期の使用に際して傷がつきにくく磨
滅しにくいことが望ましく、金属、表面が硬化処
理されたプラスチツク、ガラス等の表面に設けら
れたものが好ましい。

位置表示画線は印刷、彫刻、写真画像形成方法
などの公知の方法により設けることができるが、
好ましくは写真画像形成工程により位置表示画線
の画像を形成し、それをもう一度写真画像として
再生するか、またはその画像どおりに彫刻する方
法で形成された画像である。

位置表示画線を写真画像形成工程により設ける
方法のうちで特に好ましい方法は「写真工業誌」
35巻（16号）89−92ページ（1977年）に記載され
ているアルフオト（表面を陽極酸化したアルミニ
ウム板を支持体とした銀塩写真画像）の画像形成
方法および特開昭52−20821明細書等に開示され
ているレーザ記録材料を用いる画像形成方法であ
る。

位置表示画線は複数の画像が存在する写真フイ
ルムの画像が存在しない部分、すなわちフレーム
とフレームの間の部分に対応する部分とフレーム
の存在しない周辺部が、写真フイルムの写真画像
の存在しない部分の明暗と逆の明暗からなる画線
からなる。すなわち位置表示画線は写真フイルム
がネガ画像の場合のごとく写真画像が存在しない
部分が暗色（明度が10に近い側の値、明度が低
い）の場合には白色、黄色、淡クリーム色等の明
度が高い明るい（明色の）画線で構成し、逆に写
真フイルムがポジ画像の場合のごとく画像が存在
しない部分が明色（明度が高く明るいかまたは透
明にぬけている）の場合には、黒色、濃紺色、濃
青色等の明度が低い暗い（暗色の）画線で構成す
る。

位置表示画線は公知の種々の方法により形成す
ることができるが、なかでも写真画像形成工程に
より容易にかつ正確に形成することができる。位
置表示画線は複数の画像を有する写真フイルムを
撮影するカメラと同じカメラを用いてベタ撮影し
て作る方法とマイクロフイシユや長尺のマイクロ
フイルムの場合には画像の配列の規格に従つて位
置表示画線の原図を作成して適当に縮小して位置
表示画線とする方法とがある。

本考案のパンチヤーにおいては写真フイルム固
定手段として前述の写真フイルム載置台に設けら
れた１個以上の吸引孔および前記吸引孔に接続さ
れた吸引手段が設けられている。固定手段はパン
チ操作時に誤つて写真フイルムを動かさないため
とカールのある写真フイルムにおいても位置表示
画像と画像コマ間とのパララツクスの発生を防ぐ
目的で設けられるものである。従来公知のパンチ
ヤーにおける固定手段はフイシユ外周にそつて設
けられた１個以上の位置規制ピンであつたため
に、正確に位置規制ピンで囲まれる範囲に合致す
る寸法の写真フイルムの場合にのみ位置が正しく
規制されるが、写真フイルムの寸法が小さい場合
には位置規制ピンで囲まれる範囲内で写真フイル
ムがずれる可能性があり、逆に写真フイルムの寸
法が大きい場合には位置規制ピンで囲まれる範囲
に写真フイルムを納めることはできなかつた。し
かるに本考案のパンチヤーにおける吸引孔と吸引
手段からなる写真フイルムの固定手段においては
写真フイルムの寸法の多少の大少には関わりな
く、常に複数の画像の配列に対して正確な相対位
置関係を有するパンチ孔をあけることができる著
しい作用効果を有するものである。

写真フイルム載置台に設けられる吸引孔は位置
表示画線を有する表面に開口部を有するもので、
その開口部は位置表示画線の存在しない部分に設
けられるのが原則であるが、開口部の形状によつ
ては位置表示画線の一部にかかつてもさしつかえ
ない場合がある。吸引孔は１個または２個でもよ
く、また小さい孔を多数配列してもよい。吸引孔
は位置表示画像の存在しない部分に通じている開
口に気密に接続された固定式または可動性の管を
通じて吸引手段に接続されている。吸引孔および
吸引手段は公知の写真製版用カメラやマイクロフ
イルム撮影カメラの写真フイルム面の平面保持の
目的で用いられている真空吸着装置または平面吸
着装置をそのまま、または簡略化して本考案のパ
ンチヤーに用いることができる。吸引孔および吸
引手段は、例えば北原誠、小川昭三、山谷喜一共
著「やさしいオフセツト製版教室」（東京、日本
印刷新聞社、1974年（昭和49年）６月発行）49−
50ページ、大日本インキ化学工業(株)印刷製版研究
所著「ダイレクトスクリーニング」（東京、印刷
出版研究所、1976年（昭和51年）４月発行）15−
34ページの写真、概念図および説明の記載に従つ
て実施することができる。本考案のパンチヤーに
おいては、写真フイルムの吸着は写真フイルムを
手で動かすことができる程度の弱い吸着力でもさ
しつかえないので、吸引装置は簡易なものでもよ
く、アスピレータ（例、水流ポンプ）を用いるこ
とができる。

本考案のパンチヤーにはパンチ穴あけ手段が設
けられる。パンチ穴あけ手段は公知のパンチ穴あ
け手段を用いることができる。パンチ穴の数は１
個または２個で十分であるが、写真フイルムのサ
イズが大きい場合や長尺フイルムの場合には３個
以上設けることもできる。パンチ穴のかわりに写
真フイルムの縁辺にノツチ（切り欠き）を設けて
もパンチ穴と同じ機能（リーダー、リーダープリ
ンター、焼付機等でパンチ穴またはノツチに鉤手
段を嵌入させてフレームを順次動かす）をはたす
ことができ、この場合ノツチの数はパンチ穴の場
合と同様である。ただし、くりかえし多数回使う
場合にノツチよりもパンチ穴のほうが機械的強度
が強く好ましい。

以下、本考案の一実施例の図面を用いてさらに
本考案を詳細・具体的に説明する。

第１図はパンチ穴を有する複数の縮小画像（マ
イクロ画像）を有する写真フイルムの一具体例と
してのマイクロフイシユである。マイクロフイシ
ユ１０にはマイクロ画像１１が（この例では縦に
５フレーム、横に12フレーム）一定のマイクロ画
像間隙（フレーム間隙）１２で配列されている。
マイクロフイシユのマイクロ画像の存在しない余
白にパンチ穴１３が２個設けられている。

第２図は従来公知の写真フイルムパンチヤーの
一具体例でマイクロフイシユ用のパンチヤーであ
る。マイクロフイシユ用パンチヤー２０にはマイ
クロフイシユ載置台（ステージ）２１が設けら
れ、その表面にフレーム間隙の約半分の幅の位置
表示画線（フレームガイドライン）２２が設けら
れている。ステージには位置規正ピン２３がマイ
クロフイシユの頂点の近傍の辺の端部を規正する
ために設けられている。ステージの一方にはパン
チ穴あけ機構２４およびパンチノブ２５が設けら
れている。

従来公知のパンチヤーでは位置規制ピンでマイ
クロフイシユの辺をおしあてて位置を規正し、フ
レームガイドラインがフレーム間のほぼ中央にく
るようにマイクロフイシユを手で微動調節し、つ
いでマイクロフイシユを片手でおさえながらパン
チノブを押しさげてパンチ穴をあけるという一連
の操作によりパンチ穴をあけていた。

第３図は本考案の写真フイルムパンチヤーの一
具体例で、マイクロフイシユ用パンチヤーであ
る。マイクロフイシユ用パンチヤー３０にはマイ
クロフイシユ載置台（ステージ）３１が設けら
れ、その表面にフレーム間隙と同じ幅の位置表示
画線（フレームガイドライン）３２が設けられて
いる。ステージには位置規正ピン３３を設けるこ
とができるが、位置規正ピンは必須ではない。ス
テージの一方にはパンチ穴あけ機構３４およびパ
ンチノブ３５が設けられている。ステージ上のフ
レームガイドラインの存在する部分にはフレーム
ガイドラインに重ならない場所に吸引孔３６が設
けられ、吸引孔には気密にホース３７が接続さ
れ、ホースは図示していない吸引機構（真空ポン
プまたはアスピレータ）に気密に接続されてい
る。この図に示したパンチヤーでは吸引孔は２個
であるが、吸引孔の穴のサイズを小さくして第４
図に示したステージの図のように多数配列してマ
イクロフイシユに対する吸引力を全体に均等に近
づけることもできる。

第４図は本考案の写真フイルムパンチヤーの他
の一具体例でマイクロフイシユ用パンチヤーであ
る。位置規正ピンがなく、吸引孔３６が小さいサ
イズの孔が多数設けられているほかは第３図に示
したパンチヤーと同じである。

第３図または第４図に示したパンチヤーを用い
る場合の操作は次のとおりである。吸引機構（真
空ポンプまたはアスピレータ）を作動させつつ、
マイクロフイシユを、位置規正ピンが設けられて
いる場合には位置規正ピンにフイシユの辺を軽く
おしあてながら、位置規正ピンがない場合にはフ
イシユをフレームガイドラインにおよそあわせ
て、ステージの上にのせる。ステージの上に載せ
られたマイクロフイシユは吸引機構により吸引孔
を通して吸引されてステージの表面におしつけら
れて固定しているので、手でマイクロフイシユを
ステージの表面をすべらせて微動調節してフレー
ム間隙とフレームガイドラインを一致させる、す
なわち透明で光学濃度が小さい明るいフレーム間
隙がフレームガイドラインによつて、明るい部分
がなくなり全体が暗色になるようにし、そこでフ
イシユから手をはなせばフイシユは正しい位置に
固定されるので、パンチノブをおしさげてパンチ
穴をあける。

第３図および第４図の説明では主としてネガ画
像のマイクロフイシユ、すなわちフレーム間隙が
透明にぬけているマイクロフイシユにあわせた暗
色の（明度が10に近い）フレームガイドラインの
場合を示してあるが、主としてポジ画像のマイク
ロフイシユ、すなわちフレーム間隙が暗色の（光
学濃度値が大きい）マイクロフイシユに対しては
明色の（明度が20に近い）フレームガイドライン
とすることによりフレーム間隙とフレームガイド
ラインとを一致させる操作をフレームの周辺に明
るい部分がなくなり全体が暗色になるように微動
調整することにより実施できる。またパンチ穴は
円形のものを示してあるが、パンチ穴は他の形で
もよく、またパンチ穴の数も１個でもよいし、３
個以上でもよいことはいうまでもない。さらにパ
ンチ穴でなく、マイクロフイシユの縁辺にノツチ
（切り欠き）を設けるようなパンチヤーであつて
もよいことはいうまでもない。

本考案のパンチヤーをマイクロフイシユ用パン
チヤーの実施例で詳細に説明したが、ロールフイ
ルム状のマイクロフイルムや一般の写真フイルム
やシートフイルム用のパンチヤーとして用いる場
合、単に位置表示画線（フレームガイドライン）
の寸法と個数を変更するだけでよいことは明らか
である。

本考案の写真フイルムパンチヤーは、写真画
像（フレーム）間隙と位置表示画線（フレームガ
イドライン）がネガとポジ、またはポジとネガの
よに明暗が逆になるようにし、かつフレーム間隙
とフレームガイドラインの線幅を同じにしてあ
り、また全フレームで位置あわせするので、写真
フイルムの位置決め（レジストレーシヨン）が容
易で正確な位置にあわせやすく、吸引により写
真フイルムの位置を固定するのでパララツクスに
より視差がなく、パンチ操作時に写真フイルム
の位置ズレが起りにくいのでパンチ穴の位置精度
が高く、ジアゾデユープフイルムのごとくデユ
ープ作成時に全フレームの位置がズレている場合
でも正しい位置を決め正しい位置にパンチ穴をあ
けることができ、簡単な構成で安価な装置であ
るという効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はパンチ穴を有するマイクロフイシユの
一具体例の平面図である。第２図は従来公知のマ
イクロフイシユ用パンチヤーの一具体例の斜視図
である。第３図および第４図は本考案の写真フイ
ルム用パンチヤーの具体例としてのマイクロフイ
シユ用パンチヤーの具体例の斜視図である。 図面において番号は次の事項を表わす。１０…
…マイクロフイシユ、１１……マイクロ画像、１
２……マイクロ画像間隙（フレーム間隙）、１３
……パンチ穴、２０……マイクロフイシユ用パン
チヤー、２１……マイクロフイシユ載置台（ステ
ージ）、２２……位置表示画線（フレームガイド
ライン）、２３……位置規正ピン、２４……パン
チ穴あけ機構、２５……パンチノブ、３０……マ
イクロフイシユ用パンチヤー、３１……マイクロ
フイシユ載置台（ステージ）、３２……位置表示
画線（フレームガイドライン）、３３……位置規
正ピン、３４……パンチ穴あけ機構、３５……パ
ンチノブ、３６……吸引孔、３７……ホース。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 写真フイルム載置台、その上に設けられた写
   真画像の縁辺または複数の写真画像の縁辺の間
   隙を示す位置表示画線、写真フイルム固定手段
   およびパンチ穴あけ手段を有する写真フイルム
   用パンチヤーにおいて、 (a) 前記位置表示画線が前記の写真画像の存在
   しない部分に対応する部分の画線からなり、
   前記の画線は前記の写真画像の存在しない部
   分の明暗と逆の明暗からなり、かつ (b) 前記固定手段が前記写真フイルム載置台に
   設けられた１個以上の吸引孔および前記吸引
   孔に気密に接続された吸引手段からなること
   を特徴とする写真フイルム用パンチヤー。 (2) 前記位置表示画線が写真画像形成工程により
   形成された画像からなる実用新案登録請求の範
   囲１に記載の写真フイルム用パンチヤー。