JPH0115282B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業の利用分野 本発明は、カバン、衣類等の環状開口部に取付
けることができる環状スライドフアスナーの製造
方法に関する。

従来の技術 従来においては、カバン、衣類等の環状開口部
にスライドフアスナーを取付ける場合は、長尺の
スライドフアスナーを該環状開口部に縫着等の手
段により取付けるようにしており、継目のない無
端式の環状スライドフアスナーというものが製造
が難しいため存在していなかつた。

発明が解決しようとする問題点 従つて、このように継目のない無端式の環状ス
ライドフアスナーが存在していないため、従来に
おいて、環状開口部にスライドフアスナーを取付
ける場合には、長尺のスライドフアスナーが使用
されていた。これでは環状開口部の周囲に継目が
生じて見苦しいものであつた。

本発明は上記点に着目してなされたものであつ
て、周囲に継目のない無端式の環状スライドフア
スナーを容易に製造することができる環状スライ
ドフアスナーの製造方法を提供することを目的と
するものである。

問題点を解決するための手段 上記問題点は本発明によれば、(A)断面環状のフ
アスナーテープ素材を連続して製造する工程と、
(B)前記フアスナーテープ素材を長手方向に直交す
る方向に切断して、所定幅の環状のフアスナーテ
ープを製造する工程と、(C)前記環状のフアスナー
テープの環状縁部に沿つてフアスナーエレメント
を均一ピツチで取付けてスライドフアスナースト
リンガーを製造する工程と、(D)一対の前記スライ
ドフアスナーストリンガーにスライダーを組み入
れて環状スライドフアスナーに仕上げる工程と、
からなる環状スライドフアスナーの製造方法とす
ることにより解決される。

実施例 以下、本発明を図面に示す実施例に基づいて説
明する。

第１図は、本発明である製造方法によつて製造
された周囲に継目のない無端式の環状スライドフ
アスナー１を示している。

第２図は、前記環状スライドフアスナー１を製
造する工程のうち、最初の工程で得られる連続し
た断面環状のフアスナーテープ素材２を示してい
る。このフアスナーテープ素材２を製造する方法
は主として次の３つの方法がある。

第１の方法は、二重織織機、環状織機等によつ
て連続してチユーブ状の袋織を行なうという織成
方法である。

第２の方法は、円形編機等によつて連続してチ
ユーブ状の経編若しくは緯編で行なうという編成
方法である。

第３の方法は、合成樹脂を押出機によつて連続
してチユーブ状のフイルムを製造するという合成
樹脂押出方法である。

第３図は、第２図に示した連続した環状のフア
スナーテープ素材２を２点鎖線で示した切断線Ｃ
（長手方向に直交する方向）に沿つて切断して得
たフアスナーテープ素材片３を示している。この
場合、最終的なフアスナーテープの幅の２倍の長
さの幅を有するように切断する。

なお、第２図に示したフアスナーテープ素材２
が織成若しくは編成したものからなつている場
合、第３図に示すように切断する前に予め熱セツ
トした方が好ましい。これは、フアスナーエレメ
ントは全て均一のピツチ間隔を維持してフアスナ
ーテープに取付ける必要があり、従つて、周囲の
寸法は、これに取付けられるフアスナーエレメン
トピツチ間隔と、これに取付けられるフアスナー
エレメント数との積となるような関係でなければ
ならず、環状スライドフアスナー１の場合、その
周囲を所定の寸法にしておく必要があるからであ
る。

この熱セツトの方法としては、第４図に示した
ように周囲が所定寸法とした熱セツト用丸棒４を
第２図で示したフアスナーテープ素材２の内側に
挿通し［第４図イ］、そして第４図ロに示すよう
に適宜ヒータ５を設けて回転することによりフア
スナーテープ素材２の周囲をまんべんなく熱処理
する。フアスナーテープ素材２は所定寸法の周囲
を有するように熱セツトされる。次いで、熱セツ
ト用丸棒４よりフアスナーテープ素材２を抜出せ
ば、所定寸法の周囲を有したフアスナーテープ素
材２が得られる［第４図ハ］。

また熱セツト後においては、フアスナーテープ
素材２が熱セツト用丸棒４の周囲に密着されて抜
出しにくくなるので、図示しているように熱セツ
ト用丸棒４を複数の部材に分割し、その中央部材
６を長手方向に引き抜くようにすれば、周囲にあ
る複数の部材は簡単に取出し易くなるので好まし
い。

さらに、押出方式によつて得られる合成樹脂材
のチユーブ状フイルムは、最初から所定寸法に押
出せば良く、また熱セツトを必要とするものは、
熱収縮率を考慮して押出し、そして熱セツトを受
けるようにすれば良い。

なお、フアスナーテープ素材２を熱セツトする
場合、第２図で示す連続した管状のフアスナーテ
ープ素材２について熱セツトについて説明した
が、熱セツト前に第３図に示した単一のフアスナ
ーテープ素材片３に切断し、これを前述のように
熱セツトするようにしても良い。

また、フアスナーテープ素材２の織成または編
成時において、その周囲が所定寸法となるように
製造しておけば、フアスナーテープ素材２を熱セ
ツトする工程は必要としないものである。

第５図は、第３図に示したフアスナーテープ素
材片３の幅員の中央である３点鎖線で示した折曲
げ線Ｐに沿つて折曲げられた環状のフアスナーテ
ープ７を示しており、折曲げの基部には、第６図
で示すように適宜太さの芯材８が挿入されてい
る。

このように第５図及び第６図に示すフアスナー
テープ７は、フアスナーテープ素材片３を２等分
に折曲げたものであるが、第１２図に示すように
テープ縁部（少なくともスライダー摺動区域を含
む）のみを重合するように折曲げても良い。

なお、第２図で示すフアスナーテープ素材２が
織成または編成のものであつて、このものから第
３図で示す単一のフアスナーテープ素材片３に切
断した場合、切断部であるテープ端部においてほ
つれが生じるので、第６図及び第１２図に示した
ように折曲げておけばほつれの問題は解消される
こととなる。

また、第２図に示したフアスナーテープ素材２
が合成繊維からなり、このものから単一のフアス
ナーテープ素材片３に切断する場合に、超音波、
電熱方式等によつて切断した時、切断端部におけ
る糸同士が溶着して切断端のほつれが起らないか
ら何もフアスナーテープ素材片３を折曲げる必要
がなく、第１３図に示すように単に一片にしたフ
アスナーテープ７とすることができる。

なお、合成樹脂押出方法によつて製造されるフ
イルムからなるフアスナーテープ素材片３の場合
は、折曲げても良く又は一片のフアスナーテープ
７としても良いものである。

第７図及び第８図は、第５図及び第６図におい
て示されたフアスナーテープ７の環状縁部に沿つ
てフアスナーエレメント９，９を均一ピツチに取
付けてスライドフアスナーストリンガー１０とし
たものである。なお、フアスナーエレメント９，
９は、第８図に示されるように個々のフアスナー
エレメントからなる金属製または合成樹脂製のも
のでも良いし、第１３図に示したようにコイル状
またはジグザグ状の連続フアスナーエレメントで
も良い。

第９図は、本発明の製造方法によつて得られる
スライドフアスナー１に使用するスライダー１１
を示しており、第９図イはスライダー１１を上下
分割して示した斜視図であり、第９図ロは上下分
割したスライダー１１を連結したものを示してい
る。

第７図に示すようにフアスナーテープ７の縁部
には全てフアスナーエレメント９，９が取付けて
あるため、通常のスライダーを一対のスライドフ
アスナーストリンガー１０に組み込ませることは
できず、従つて、第９図に示すように予めスライ
ダー１１を上下に分割しておく必要がある。

前記スライダー１１を一対のスライドフアスナ
ーストリンガー１０に組み込まれるには、先ず、
第７図に示したスライドフアスナーストリンガー
１０を一対に対向させ（フアスナーエレメント同
士が向い合うようにする）、そして、フアスナー
エレメント９，９同士を噛合させ、次いで周囲の
適宜位置において数個のフアスナーエレメント
９，９の噛合を解離し、ここに第９図イで示す上
下に分割されたスライダー１１をスライドフアス
ナーストリンガー１０の上下夫々にあてがいなが
らスライダー１１を組立てて、一対のスライドフ
アスナーストリンガー１０にスライダー１１を組
み込ませるようにする。

このスライダー１１の組立ては、第９図イに示
しているように引手１２を有するスライダー上片
１３及びスライダー下片１４のそれぞれにおける
連結くさび部材１５（フアスナーエレメントの案
内部材となるもの）同士を接合するだけで組立て
ることができ、特に図示の如く連結くさび部材１
５に段部１６を設けておけば、スライダー上下片
１３，１４の接合の位置決めが容易となると共
に、連結くさび部材１５に挿入ピン１７と該挿入
ピン１７が挿入する挿入孔１８とを設けるように
すれば、スライダー上下片１３，１４の接合がよ
り強固となるので好ましい。そして最終的にはス
ライダー１１が合成樹脂材で形成してある場合
は、超音波ないし高周波によつてスライダー上下
片１３，１４の接合を完全なものとする。なお、
スライダー１１が金属製の場合には半田付けによ
つてスライダー上下片１３，１４を接合固定する
ようにしてもよい。

さらに、第１０図に示すように連結くさび部材
１５側の一端にヒンジ手段１９を設けることによ
つて、スライダー上下片１３，１４を連結するよ
うにしても良い。この場合、第１０図ロに示すよ
うに連結くさび部材１５内にねじ挿通孔２０を設
けて、ねじ２１でスライダー上下片１３，１４を
固定するようにすればよい。

第１１図は、第９図に示した上下分割のスライ
ダー１１を利用して完成したスライドフアスナー
１の横断面であり、このようにして第１図で示す
ような環状スライドフアスナー１が製造される。

上述の実施例におけるスライダーは上下分割の
ものとしたが、このような上下分割のものでなく
ても、スライダー全体を弾力性のある合成樹脂材
で通常のスライダーと殆ど変らないで製造したも
のでも良く、この場合のスライダーはその上下片
間の間隔をスライダー自体の弾力性に抗して強制
的に拡張しながら一対のスライドフアスナースト
リンガーに組み入れることができる。

さらに、第１４図ないし第１６図に示すような
環状スライドフアスナー１の製造方法も可能であ
る。すなわち、先ず、第５図に示すような環状の
フアスナーテープ７の環状縁部の内、所定長さの
縁部分２２を除いて、他の縁部分に第１４図に示
すようにフアスナーエレメント９，９を取付け、
このようにフアスナーエレメント９，９を取付け
たスライドフアスナーストリンガー１０，１０を
一対にして相対向させてフアスナーエレメント
９，９を噛合させた後、第１５図に示すように上
下分割していない通常のスライダー１１をフアス
ナーテープ７のフアスナーエレメント９，９を取
付けていない縁部分２２から組み入れるようにす
る。次いで第１６図に示すようにフアスナーエレ
メント９，９を取付けていない縁部分２２にフア
スナーエレメント９，９を取付けて環状スライド
フアスナー１に仕上げることもできる。

このようにして得られた第１図に示した環状ス
ライドフアスナー１は、第１７図及び第１８図に
示すようにカバン、ハンドバツク等の開口部に取
付けるようにすれば、スライダー１１をいかなる
位置にも置くことができ使用者にとつて便利なも
のとすることができる。

また、第１９図に示すような防寒用おくるみ等
の衣類にも環状スライドフアスナー１を利用する
ことができ、スライダー１１ａを後方迄摺動して
かぶり２３を二点鎖線で示したようにおろして使
用する。なお、一対のスライダーを全て下方にお
ろせば幼児を取出したり着せたりすることができ
る。また、この図示の例では袋状にしたものを示
しているが、両側に腕部を設けるようにしてもよ
い。

更に、第１図において示したスライドフアスナ
ー１には、スライダー１１を２個使用して互いに
向き合つて対向するようにしているが、第２０図
に示すようにスライダー１１を１個として、適宜
位置に両スライドフアスナーストリンガー１０を
固定連結する下止部材２４を取付けるようにして
もよい。

発明の効果 以上のように本発明の製造方法であると、周囲
に継目のない環状スライドフアスナーが得られる
から、フアスナーテープの周囲が一様となり外観
上好ましいと共に、特にこのままでカバンやハン
ドバツク等を構成する一部となり、非常に取扱い
が便利なスライドフアスナーとすることができ
る。

また、断面環状のフアスナーテープ素材を連続
して製造し、次いでこのものから単一のフアスナ
ーテープ素材片に切断した後、フアスナーエレメ
ントを取付けて、そしてスライダーを組み込まれ
るだけで環状スライドフアスナーが得られるの
で、その製造は極めて容易となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明に係る製造方法によつて得ら
れる環状スライドフアスナーの斜視図、第２図
は、フアスナーテープ素材の斜視図、第３図は、
第２図で示したフアスナーテープ素材を切断して
得られたフアスナーテープ素材片の斜視図、第４
図は、フアスナーテープ素材を熱セツトする方法
を示した斜視図、第５図は、第３図のフアスナー
テープ素材片の中央から折曲げて得られたフアス
ナーテープの斜視図、第６図は、第５図の−
線拡大断面図、第７図は、第５図のフアスナーテ
ープにフアスナーエレメントを取付けて得られた
スライドフアスナーストリンガーの斜視図、第８
図は、第７図の−線拡大断面図、第９図は、
上下に分割されたスライダーの図、第１０図は、
スライダーの他の実施例を示す図、第１１図は、
スライダーをスライドフアスナーストリンガーに
組み入れた状態を示す断面図、第１２図は、フア
スナーテープ素材片の少なくともスライダー摺動
区域を有するテープ縁部のみを重合するように折
曲げた状態の例を示す断面図、第１３図は、フア
スナーテープを一片とした状態の例を示す断面
図、第１４図ないし第１６図は、他の製造方法を
示すスライドフアスナーストリンガーの斜視図、
第１７図及び第１８図は、環状スライドフアスナ
ーをカバンやハンドバツク等に適用した例を示す
斜視図、第１９図は、防寒用おくるみ等の衣類に
環状スライドフアスナーを適用した例を示す斜視
図、第２０図は、下止部材を設けた環状スライド
フアスナーの斜視図である。 １：環状スライドフアスナー、２：フアスナー
テープ素材、７：フアスナーテープ、９：フアス
ナーエレメント、１０：スライドフアスナースト
リンガー、１１：スライダー。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ (A) 断面環状のフアスナーテープ素材２を連
   続して製造する工程と、 (B) 前記フアスナーテープ素材２をその長手方向
   に直交する方向に切断して、所定幅の環状のフ
   アスナーテープ７を製造する工程と、 (C) 前記環状のフアスナーテープ７の環状縁部に
   沿つてフアスナーエレメント９，９を均一ピツ
   チで取付けてスライドフアスナーストリンガー
   １０を製造する工程と、 (D) 一対の前記スライドフアスナーストリンガー
   １０にスライダー１１を組み入れて環状スライ
   ドフアスナーに仕上げる工程と、 からなる環状スライドフアスナーの製造方法。