JP7862001B2 - 治療のための製品及び方法 - Google Patents
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Description
本発明は、治療に用いられ得る増大されたレベルの標的タンパク質又はポリペプチドを含む赤血球細胞、特に網状赤血球前駆体細胞においてタンパク質又はポリペプチドを発現し、分化を通して該タンパク質又はポリペプチドの高濃度を維持する赤血球細胞に関する。本発明は、製造方法、細胞産物、医薬組成物及び治療的使用に関する。
広範囲の疾病は、酵素の欠陥又は欠損等のタンパク質又はポリペプチドの欠陥又は欠損によって引き起こされ、そのような疾病の治療のための一アプローチは、タンパク質又はポリペプチド補充療法の使用である。例えば、酵素補充療法は、患者へ非欠陥酵素を投与して酵素の機能喪失又は発現喪失を補うことに関する。そのような投与は、欠陥又は欠損タンパク質及びポリペプチドの機能を回復するために用いるのみならず、対象に完全に新規の機能性を提供できる。例として、内因性又は外因性毒素を中和する(例えば特定の代謝物の蓄積の除去又は神経剤若しくは薬剤過剰投与を中和する)外因性酵素の使用等の、欠陥タンパク質又はポリペプチドに関連しない状態を治療する外因性タンパク質又はポリペプチドの使用を含む。
タンパク質又はポリペプチド投与における主な課題は、タンパク質又はポリペプチドをどのように輸送するか、及び免疫応答の損傷を引き起こすことなく良好な生物学的利用率をどのように保証するかということである。投与のための周知の一アプローチは、赤血球に封入されたタンパク質又はポリペプチドを利用することであり、それは、例えば低張性溶解により赤血球にタンパク質又はポリペプチドを挿入することにより調製され得る。赤血球ビヒクルの使用は、対象の免疫系及び身体の自然分解経路からの酵素の保護のレベルを提供する一方で、身体周囲のタンパク質又はポリペプチドの分散を可能とする。チミジンホスホリラーゼ(TP)の酵素は、さらなる説明のための一例として役立つ。ミトコンドリア神経性胃腸管系脳筋症(MNGIE)は、TPをコードするTYMP遺伝子における変異により引き起こされる常染色体劣性代謝障害である。赤血球は、正常にTPを発現しないが、低張性溶血及び等張性再封鎖は、自己の赤血球細胞におけるEscherichia coliを封入するために用いられ得る(Ihler, G.M. et al., Proc Natl Acad Sci U S A, 1973, 70(9), p. 2663-2666; Bourgeaux, V., et al., Drug Des Devel Ther, 2016, 10, p. 665-676)。これは、臨床において良好に用いられており、血漿のヌクレオシドレベルの低減によりMNGIEの臨床表現型の延長された停止を達成するといった概念実証を提供する(Bax, B.E., et al., Neurology, 2013, 81(14), p. 1269-71)。この方法は、ある程度まで行われるが、低張性溶血を用いた赤血球細胞内への封入の方法論は、通常、細胞膜の完全性及び赤血球細胞の寿命を妥協し、それは頻繁な移植を必要とすることを意味し、患者は細菌酵素に対する抗体も発生し得る(Levene, M., et al., Mol Ther Methods Clin Dev, 2018, 11, p. 1-8.)。
他のアプローチは、細胞内で必要な酵素を発現するための遺伝子工学の使用である。それは未だ核を有するが、成熟赤血球細胞は核を欠損し、従って、一酵素又は複数の酵素の発現ができず、それは、遺伝子工学及びタンパク質発現が細胞の寿命をより早くすることを意味する。このアプローチの利点は、細胞膜の完全性を維持すること、及び赤血球細胞の十分な寿命を提供することを含む。
本発明は、赤血球細胞の発生並びに網状赤血球及び/又は赤血球への成熟の間中で標的タンパク質又はポリペプチドを維持して、網状赤血球又は赤血球における標的タンパク質又はポリペプチドの増大された濃度を提供するための改良された方法に関する。従って、本発明の方法は、標的タンパク質又はポリペプチドが予め細胞成熟プロセスを通して維持されないであろう場合に、網状赤血球及び/又は赤血球における標的タンパク質又はポリペプチドを維持するために用いられ得る。同様に、標的タンパク質又はポリペプチドが網状赤血球及び/又は赤血球への成熟を通して維持され得る場合に、本発明の方法は、脱核された赤血球細胞(網状赤血球及び/又は赤血球)における標的タンパク質又はポリペプチドの保持の向上、並びにその後の豊富さの向上をし、例えば治療用量を低減できるようにするために、用いられ得る。
第1の態様において、本発明は、増大されたレベルの標的タンパク質又はポリペプチドを含む網状赤血球を製造する方法を提供し、該方法は、(a)標的タンパク質又はポリペプチドを発現できる赤血球前駆体を準備することと、(b)前記標的タンパク質又はポリペプチドを発現させることと、(c)前記赤血球前駆体を前記網状赤血球に成熟させることとを含み、前記赤血球前駆体を前記網状赤血球に成熟させる際に、前記標的タンパク質又はポリペプチドのユビキチン化が妨げられる又は防止されるように前記標的タンパク質又はポリペプチドが構成され及び/又は阻害される。そうして、標的タンパク質又はポリペプチドのユビキチン媒介分解が妨げられ又は防止される。
本発明者らは、赤血球細胞の成熟及び脱核プロセスの際に、大量の特定タンパク質が非常に活性化したユビキチン化及びユビキチン媒介分解経路を介して除去されることを観察した。また、本発明者らは、このユビキチン化プロセスの破壊が、脱核プロセスを通して、また成熟網状赤血球及びその後の赤血球において、非常に高濃度の標的タンパク質又はポリペプチドが維持されることを引き起こすのに役立ち得ることを確認した。具体的に、本発明者らは、標的タンパク質又はポリペプチドを構成する及び/又は阻害することによって、(ユビキチンリガーゼを用いて干渉するよりも)標的タンパク質又はポリペプチドを干渉することにより、ユビキチン化を妨げる又は防止することを試みた。標的タンパク質又はポリペプチドに対する干渉の局在化により、本発明者らは、ユビキチン化酵素を阻害するのに関連する問題も克服できた。ユビキチン化は、赤血球細胞の成熟プロセスの本質的部分であり(Nguyen, A.T., et al., Science, 2017, 357(6350))、従って、MG132等の阻害剤を用いたユビキチン化の全体的な阻害は、網状赤血球におけるTPレベルを増強するのに望ましい解決法ではない。一般的なユビキチンリガーゼ阻害剤の存在下で、多くの非赤血球系タンパク質は、網状赤血球又は赤血球を発生の際に維持されるであろう。結果として、細胞機能の多くの性質が破壊され、それは寿命及び免疫系適合性等の細胞の重要な性質に不利な影響を与え得るであろう。特定の場合において、広いユビキチン化阻害は、完全な分化防止及び/又は細胞死を引き起こし得る。対して、本発明を用いた構成又は阻害は、ユビキチンリガーゼ酵素ではなく標的タンパク質又はポリペプチドに対して起こり、従って、非標的タンパク質又はポリペプチドに関するユビキチンリガーゼ酵素の機能は、実質的に損なわれない。
「標的タンパク質又はポリペプチド」により、通常我々は、標的タンパク質又は標的ポリペプチドのことを呼び、本発明の方法によって増大されたレベルが脱核された赤血球細胞(網状赤血球及び赤血球)において維持される。3つのシナリオは、標的タンパク質又はポリペプチドにおいて把握される:(1)標的タンパク質又はポリペプチドはユビキチン化サイトを含む;(2)標的タンパク質又はポリペプチドは源タンパク質又はポリペプチドの変異体であり、源タンパク質又はポリペプチドはユビキチン化サイトを含み、標的タンパク質又はポリペプチドはユビキチン化が妨げられる又は防止される源タンパク質において1つ以上の変異を含む;及び/又は(3)標的タンパク質又はポリペプチドはユビキチンサイトを有しない。シナリオ(1)において、ユビキチン化は、標的タンパク質又はポリペプチドのユビキチン化サイトの阻害の提供により妨げられ又は防止され得る。シナリオ(2)において、赤血球前駆体において発現されたタンパク質又はポリペプチドは、ユビキチン化に干渉する変異を有する。また、ユビキチン化の重要性の認識は、シナリオ(3)でも提供され、ユビキチン化サイトを有しない外因性タンパク質又はポリペプチドが発現のために選択される。
標的タンパク質又はポリペプチドの「増大されたレベル」により、通常我々は、ユビキチン化が妨げられ又は防止されていない網状赤血球(又はその後の赤血球)において増大された網状赤血球(又はその後の赤血球)における標的タンパク質又はポリペプチドのレベル(又は濃度)のことを呼ぶ。ユビキチン化サイトを有する(自然に発現された若しくは過剰発現された)内因性タンパク質若しくはポリペプチド、又は外因性タンパク質若しくはポリペプチドの場合、そのレベルは、ユビキチン化サイトが細胞成熟の際に阻害されていない場合よりも、ユビキチン化サイトが細胞成熟の際に阻害されている場合に、網状赤血球(又はその後の赤血球)においてより高い。源タンパク質又はポリペプチドにおいてユビキチン化が妨げられ又は防止された源タンパク質又はポリペプチドにおいて変異を含む外因性タンパク質又はポリペプチドの場合、そのレベルは源タンパク質又はポリペプチドの保持のレベルに対して増大されている。ユビキチン化サイトを有しない外因性タンパク質の場合、網状赤血球(及びその後の赤血球)におけるそのレベルは、ゼロよりも大きい。
「妨げられた」により、通常我々は、ユビキチン化が妨げられるように標的タンパク質又はポリペプチドが構成及び/又は阻害されることがない赤血球前駆体の成熟の場合と比較して、赤血球前駆体の成熟を通したユビキチン化及びその後のタンパク質又はポリペプチドの欠損のレベルが低いことを呼ぶ。言い換えると、ユビキチン化された各タンパク質又はポリペプチド分子の可能性が、期待されるユビキチン化のレベルと比較して低減されている。これは、例えば阻害剤の提供によって、及び/又はユビキチン化を妨げるための遺伝子改変を受けた赤血球前駆体の提供によってユビキチン化に干渉する方法により達成され得る。「防止された」により、通常我々は、ユビキチン化が可能でないことを呼ぶ。例えば、これは、ユビキチン化サイトの欠失により又はユビキチン化サイトを有しないタンパク質又はポリペプチドの準備によりなされ得る。例えば、標的タンパク質又はポリペプチドのユビキチン化は、(i)標的タンパク質又はポリペプチドがユビキチン化サイトを含む場合、網状赤血球への赤血球前駆体の成熟の際に標的タンパク質又はポリペプチドのユビキチン化サイトの阻害を提供する;(ii)標的タンパク質又はポリペプチドがユビキチン化サイトを含む源タンパク質又はポリペプチドの変異体の場合、源タンパク質又はポリペプチドにおいてユビキチン化が妨げられ又は防止される変異を含む標的タンパク質又はポリペプチドを発現できる赤血球前駆体を提供する;(iii)ユビキチン化サイトを有しない外因性タンパク質又はポリペプチドを発現できる赤血球前駆体を提供することによって妨げられ又は防止され得る。
赤血球前駆体は、標的タンパク質又はポリペプチドを好適に発現できる。これによって、我々は、赤血球前駆体が標的タンパク質又はポリペプチドを発現する遺伝子材料を含むことを意図する。そのため、標的タンパク質又はポリペプチドは、脱核後の細胞に挿入される必要が無く、低張性溶解等の技術が避けられ得る。
赤血球細胞(例えば赤血球前駆体、網状赤血球及び/又は赤血球)は、1つ以上の型の標的タンパク質又は標的ポリペプチドを含み得る。そのような実施形態において、複数のタンパク質成分が、例えば一連の反応を触媒するために一連の酵素を準備するために用いられ得る。
タンパク質又はポリペプチドが1つ以上のユビキチン化サイトを有する場合、少なくとも1つはユビキチン化が妨げられ又は防止されている。好ましい実施形態において、全てのユビキチン化サイトは、ユビキチン化が妨げられ又は防止されている。
阻害剤が用いられる場合、それは網状赤血球及び/又は赤血球への赤血球前駆体の成熟の際に提供される。これにより、我々は、阻害剤が分化及び成熟プロセスの少なくとも一部、典型的には少なくとも成熟プロセスの後期部分の際に提供されることを意図する。例えば、阻害剤は、分化段階の末期の際に加えられるだけであってもよい。阻害剤は、脱核の際、好ましくは脱核の全期間において存在することが好ましい。そのため、阻害剤は、脱核を開始するのに用いられる培養培地等に脱核の直前に、又は脱核の直前の分化系統における段階の際に添加され得る。一例において、阻害剤は、多染性赤芽球段階で加えられる。言い換えると、阻害剤は、赤血球成熟プロセス全体を通して必ずしも存在しなければならないわけではない。例えば、阻害剤は、成熟プロセスの後期にのみ加えられてもよく、それは、阻害剤がより早く加えると細胞増殖又は生存において有害な影響を示す場合に特に有益である。
標的タンパク質又はポリペプチドは、ユビキチン化サイトを含む源タンパク質又はポリペプチドの変異体であってもよく、その変異体は、源タンパク質又はポリペプチドにおいてユビキチン化が妨げられ又は防止される源タンパク質又はポリペプチドにおける変異を有する。その変異は、単一のアミノ酸又は複数のアミノ酸に生じ得る。その変異は、点変異、挿入又は欠失を含み得る。変異は、連続若しくは非連続のアミノ酸、又はアミノ酸のひと続きにおいて生じ得る。一実施形態において、変異は、ユビキチン化サイトにユビキチンを送達することに対してユビキチンリガーゼを立体的に防止し得る。代替的に、変異は、例えばユビキチン化サイトを認識することについてユビキチンリガーゼを阻害することによって、ユビキチナーゼがもはやユビキチン化サイトにユビキチンを結合できなくするように、ユビキチン化サイトの構成を破壊し得る。この変異は、ユビキチン化サイト内にあってもよく、特にユビキチン化されるアミノ酸であってもよく、又はユビキチン化サイトがそれでもなお破壊されるタンパク質又はポリペプチドの他の部分であってもよい。また、これは、ユビキチン化サイトの部分、特にユビキチン化されるアミノ酸の欠失、又はユビキチン化サイト全体のコンセンサス配列の欠失を含み得る。いずれにしても、アミノ酸配列の改変は、タンパク質又はポリペプチドの必要な活性を破壊するのに必要となる。
特定のタンパク質又はポリペプチドにおいて、タンパク質又はポリペプチドがユビキチン化され得る前に、1つ以上の翻訳後修飾が必要である。例えば、アセチル化、メチル化、リン酸化、グリコシル化及び/又は脂質付加は、ユビキチン化が起こる前に必要となり得る。これらの場合において、ユビキチン化が妨げられ又は防止される変異は、翻訳後修飾を妨げる又は防止する変異となり得る。例えば、グルタミンシンターゼは、ユビキチン化の前にアセチル化を必要とする。従って、アセチル化及び/又はユビキチン化サイトの破壊は、ユビキチン化を中断するために用いられ得る。グルタミンシンターゼのアセチル化サイトを除去するための一技術は、例えばN末端から少なくとも5、10、15又は20アミノ酸、及びN末端から30以下、40以下、50以下又は60以下のアミノ酸を除去することによってN末端を除去することである。赤血球細胞の成熟を残存させるタンパク質又はポリペプチドの量が補償するのに十分であれば、タンパク質又はポリペプチドの活性の抑制が許容され得る可能性がある。
通常、赤血球細胞は、網状赤血球段階に提供され、網状赤血球段階で保管されるであろうことが想定されている。網状赤血球は、対象に投与されるためにも用いられ、対象の身体で赤血球細胞に成熟可能であり、これは赤血球細胞の十分な寿命を利用可能とすることを保証する。身体に注射されると、網状赤血球は約1~2日で赤血球に成熟し、その時点から赤血球はその十分な寿命を有することとなる。しかし、細胞は、対象への投与前に赤血球に十分に成熟されていてもよい。
そのため、一実施形態において、本発明の第1の態様の方法は、赤血球への網状赤血球の成熟のステップをさらに含む。赤血球への網状赤血球の成熟は、細胞が網状赤血球から両凹の赤血球に変わるように、タンパク質(及び更なる材料)を除去するさらなる段階を含む。成熟のこのさらなるステップを通して標的タンパク質又はポリペプチドのユビキチン化の妨げ又は妨害を続ける(又は始める)ことから、改善されたタンパク質又はポリペプチドの保持が期待される。
本発明の第2の態様は、標的タンパク質又はポリペプチドを含む赤血球を生成する方法を提供し、その方法は、本発明の第1の態様のステップ(a)~(c)を含み、特に網状赤血球の赤血球への成熟である赤血球細胞の生成のさらなるステップ(d)を含み、ここで、赤血球への成熟の際に、ユビキチン化が妨げられ又は防止され、好ましくは本発明の第1の態様の(i)~(iii)のいずれかにより妨げられ又は防止されるように、標的タンパク質又はポリペプチドが構成され及び/又は阻害される。
好ましい実施形態において、網状赤血球及び/又は赤血球を生成する方法は、インビトロの方法である。
標的タンパク質は内因性タンパク質を含んでもよく、及び/又は標的ポリペプチドは内因性ポリペプチドを含んでもよい。ここで、通常我々は、人為的に過剰発現されていない内因性タンパク質又はポリペプチドを意図する。言い換えると、これは赤血球前駆体の成熟前に内因性の濃度であるタンパク質又はポリペプチドを意図する。本発明は、タンパク質又はポリペプチドのユビキチン化を妨げる又は防止することにより網状赤血球又は赤血球におけるそのような内因性タンパク質又はポリペプチドのレベルを増大でき、通常、そのタンパク質又はポリペプチドはユビキチン化サイトを有し、ユビキチン化を妨げる又は防止することは阻害剤を用いて達成される。
標的タンパク質は、過剰発現された内因性タンパク質若しくは外因性タンパク質を含んでもよく、及び/又は標的ポリペプチドは、過剰発現された内因性ポリペプチド若しくは外因性ポリペプチドを含んでもよい。
「過剰発現された」により、通常我々は、細胞の成熟及び/又は脱核前において、赤血球前駆体においてより高い濃度に人為的に増大された内因性タンパク質又はポリペプチドを意図する。過剰発現技術は本技術分野において周知であり、遺伝子のさらなるコピーの挿入、及び/又は適切な転写制御因子の提供若しくは発現を含む。例えば、適切な一技術は、(タンパク質が細胞自身のDNAにより又は加えられたDNAによりコードされ得る場合)例えば発現のレベルを増大するためのCRISPRエンハンサー及び特定のガイドを使用することにより、タンパク質の発現を増大するための転写因子又は他のエンハンサーを使用することである。適切な遺伝子操作技術は、本技術分野において周知であり、CRISPR-Cas9ベースの編集、及びレンチウィルスベクターの遺伝子挿入等の技術の使用を含む。
通常、遺伝子挿入は、脱核前に分化段階のうちの一段階で行われるであろう。例えば、図7は、細胞の分化系統の概要を示し、造血幹細胞及びBEL-A前赤芽球のそれぞれから開始し、(レンチウィルスベクターの遺伝子挿入のために用いられる等の)ウイルスベクターが加えられる場合のインビトロでの段階を例示する。特に、CD34+細胞の場合において、後のステップで、すなわち分化直前までにウイルスを加えることが可能である。より早くウイルスを加えることの利点は、必要なウイルス及び試薬を少なくできることである。
「外因性」により、通常我々は、赤血球前駆体において自然に発現されないタンパク質又はポリペプチドを意図する。これは、内因性タンパク質に対して1つ以上のアミノ酸変異を含むタンパク質又はポリペプチドを含む。これは、例えば、赤血球前駆体が欠陥タンパク質又はポリペプチドを発現し、外因性酵素が機能的タンパク質又はポリペプチドである治療をカバーする。また、外因性は、他の細胞若しくは種からのアイソフォーム、又はハイブリッドタンパク質、キメラタンパク質融合タンパク質若しくはde novoタンパク質若しくはポリペプチド配列等の非自然起源のタンパク質若しくはポリペプチドをカバーする。上記の通り、外因性タンパク質又はポリペプチドの発現に用いられ得る遺伝子操作技術は、本技術分野において周知である。
赤血球前駆体は自家である。例えば、赤血球前駆体は、対象から取り出されることが可能であり、通常、標的タンパク質又はポリペプチドを発現するように操作され、最終的に対象に戻される。好ましくは、赤血球前駆体は同種異系であるが、血液型が適合する適切な対象に適用されるであろう。
阻害剤は、標的タンパク質又はポリペプチドの自然基質又は天然物であり得る。これは、ユビキチン化サイトがタンパク質又はポリペプチドの活性サイト内にある場合に適用される。これは、活性サイトを占めて分解を防止することにより、タンパク質又はポリペプチドの分解を防止するためのメカニズムである。時折これは、基質がユビキチン化サイトへのアクセス可能性を抑制するため、「基質マスキング」と呼ばれ、それは適切な自然基質又は天然物の増大されたレベルを供給することにより、細胞成熟プロセスを通して分解を防止するのに利用され得る。通常、この場合におけるタンパク質又はポリペプチドは酵素であり得る。
同様に、阻害剤は、標的タンパク質又はポリペプチドの自然基質又は天然物の可逆的阻害剤であってもよい。そのような可逆的阻害剤は、自然基質又は天然物の誘導体及び類似体(すなわち化学的模倣物)を含み、通常タンパク質又はポリペプチドによって置き換わられないであろう。
赤血球前駆体は特に限定されないが、網状赤血球への及びその後の赤血球への成熟が可能な細胞のいずれかであってもよい。「赤血球前駆体」の用語は、成熟/分化経路に沿って分化段階での細胞を意図するために用いられ得る。通常「赤血球前駆体」の用語は、細胞核を有する細胞、すなわち脱核が開始する前の細胞を意図する。赤血球前駆体は、幹細胞、造血幹細胞、誘導された多能性幹細胞、赤血球不死化細胞株又は赤芽球細胞であってもよい。好ましくは、赤血球前駆体は、CD34+細胞、CD34-細胞又はBEL-A細胞である。
「脱核された赤血球細胞」により、通常我々は、脱核を受けた赤血球前駆体に由来する細胞を意図する。そのような細胞の典型的な例は、網状赤血球又は赤血球を含む。脱核された赤血球細胞は、赤血球細胞表面において赤血球バンド3(アニオン交換輸送体1(AE1);溶質キャリアファミリー4メンバー1;SLC4A1)タンパク質を表示する。本発明に係る脱核された赤血球細胞の生成において、脱核された赤血球細胞は、操作されたさらなるタンパク質(例えばヘモグロビン又は血液型タンパク質)を有し得るが、脱核された赤血球細胞は、赤血球バンド3/AE1の存在により、及び核を有しないことにより等で識別され得る。例えば、本発明の網状赤血球又は赤血球は、操作されたヘモグロビン又は血液型タンパク質等のタンパク質を有してもよいが、赤血球バンド3/AE1の存在により、及び核を有しないことにより等で識別され得る。そのような細胞は、赤血球スペクトリンベースの細胞骨格の存在によりさらに識別され得る。
好ましくは、標的タンパク質又はポリペプチドは治療的タンパク質又はポリペプチドである。好ましくは、標的タンパク質又はポリペプチドは酵素である。特定の実施形態において、標的タンパク質は、チミジンホスホリラーゼ、グルタミンシンターゼ、ヘキソキナーゼ、グルコキナーゼ、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、カタラーゼ、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、アデノシンデアミラーゼ、アスパラギナーゼ、ウリカーゼ、細菌のL-フェニルアラニンアンモニアリアーゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、アルギニンデイミナーゼ又はアルギナーゼである。好ましくは、標的タンパク質は、チミジンホスホリラーゼ、グルタミンシンターゼ、ヘキソキナーゼ、グルコキナーゼ、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、カタラーゼ、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、アデノシンデアミナーゼ、アスパラギナーゼ、ウリカーゼ又は細菌のL-フェニルアラニンアンモニアリアーゼである。より好ましくは、標的タンパク質はチミジンホスホリラーゼである。
一実施例としてチミジンホスホリラーゼ(TP)を用いて、最初の実験は、MG132を用いたユビキチン化の阻害が分化の際に分解からTPを保護することを示した(実施例3を参照)。これは、ユビキチン化の阻害がTPの分解を防止するために十分に用いられ得ることを示す。この特定の例において、ユビキチン化サイトの変異は、所望の酵素活性に不利な影響を及ぼす。従って、ユビキチン化サイトの編集において、所望のタンパク質活性における影響を考慮すべきである。例えば、酵素活性サイトは、ユビキチン化サイトを除去すること又はTPのユビキチン化を妨害する他の手段が用いられ得る一方で、活性を維持するように操作され得る。例えば、本発明者らは、TPのユビキチン化サイトが活性サイトの一部であることを同定し、従って、その基質のチミジンは、ユビキチン化サイトを実際に塞ぎ得る。これに基づいて、本発明者らは、培地に添加されたチミジンによる(非成熟)ユビキチン化サイトの妨害が網状赤血球における約2倍濃度の活性TPを引き起こすことを証明した(実施例5を参照)。さらなる詳細は、(本願の優先日後に公開された)Meinders et al., Molecular Therapy - Methods & Clinical Development, volume 17, page 822-830, June 12, 2020にて見ることができ、その内容の全体は、本明細書に参照として組み込まれる。チミジンホスホリラーゼのユビキチン化サイトは、チミジン、デオキシウリジン、チミン、ウリジン、2-デオキシリボース1-リン酸、又はそれらの誘導体若しくは類似体により阻害され得る。好ましくは、チミジンホスホリラーゼのユビキチン化サイトは、チミジンにより阻害される。
また、この概念実証は、上記のようなタンパク質配列の適切な操作等の他の手段によるユビキチン化サイトの破壊が同一の結果を引き起こし得ることの証拠を提供する。例えば、配列分析は、活性サイト内に無いユビキチン化サイトを有することを提示する。これは、基質マスキング技術がグルタミンシンターゼのユビキチン化を妨げるのに適するであろうことを意味する。しかし、活性サイトに対するユビキチン化サイトの離れた位置は、変異が活性に影響すること無いユビキチン化を妨害し得ることを意味し、そのような改変が赤血球前駆体の分化及び脱核を通して保持され得る酵素を提供し、さらに脱核された赤血球細胞におけるレベルを増大することを意味する。
このように、基質マスキング技術及び変異技術は、ユビキチン化サイトが標的タンパク質又はポリペプチド内に位置する場合に依存して選択され得る代替案を提供する。
標的タンパク質がユビキチン化サイトを有しない外因性タンパク質又はポリペプチドの場合、一実施形態において、それは、非真核生物のタンパク質、好ましくは細菌のタンパク質又はポリペプチドである。そのような細菌等の非真核生物起源のタンパク質及びポリペプチドは、それらの野生型において、通常はユビキチン化サイトを有しない。標的タンパク質又はポリペプチドが細菌によるものである場合、これは、野生型細菌アミノ酸配列を含む。本技術分野において周知であるように、ヒト細胞において細菌タンパク質を発現する場合、細菌発現系における特定のアミノ酸をコードする特定のコドンは、それら特定のアミノ酸の発現のために同等のヒトコドンに変換すべきである。これは、周知の分子生物学的原理を用いて容易に行われる。また、細菌アミノ酸配列への変換は、ヒト発現系での発現を最適化すること等の特定の影響をもたらすために有益となり得る。細菌アミノ酸配列が改変されている場合、その配列は、特にユビキチン化サイトを再導入することなく意図する機能を生成すべきである。
本発明者らは、細菌ウリカーゼ(ヒト発現系における発現に最適化されたコドン)が、脱核された赤血球細胞への脱核プロセスを通して実に高レベルに維持されたことを確認した。従って、本発明者らは、ユビキチン化サイトが自然に欠損しているタンパク質及びポリペプチドのプールが、本発明の方法に特に適合するタンパク質及びポリペプチドを同定するために標的化され得ることを確認した。特に、本発明者らは、細菌タンパク質が、本発明の方法で用いられ得るタンパク質及びポリペプチドの実現可能なプールを提供し、治療に用いるための高レベルのタンパク質又はポリペプチドを含む脱核された赤血球細胞を提供することを確認した。
一実施形態において、標的タンパク質はチミジンホスホリラーゼである。チミジンホスホリラーゼが標的タンパク質として選択される場合、好ましくはチミジンホスホリラーゼのユビキチン化サイトは、チミジン、デオキシウリジン、チミン、ウリジン、2-デオキシリボース1-リン酸又はそれらの誘導体若しくは類似体により阻害される。好ましくは、チミジンホスホリラーゼのユビキチン化サイトは、チミジンにより阻害される。代替的アプローチは、酵素活性又はチミジンホスホリラーゼの細菌型の発現を防止することなくユビキチン化サイトを妨害するための入念なタンパク質操作を含むことができ、それは同一の酵素反応を触媒する一方で細菌酵素がユビキチン化サイトを欠損する事実を利用する。標的タンパク質がチミジンホスホリラーゼである場合、脱核された赤血球細胞(網状赤血球及び/又は赤血球)は、好ましくはミトコンドリア神経性胃腸管系脳筋症の処置に用いられる。
一実施形態において、標的タンパク質はグルタミンシンターゼである。我々は、ヒトグルタミンシンターゼがレンチウィルスを用いて過剰発現され、ユビキチン化阻害剤のMG132の適用が網状赤血球におけるグルタミン合成レベルを増大できることを示した(実施例6、図8)。従って、ユビキチナーゼよりもむしろグルタミンシンターゼを標的とする本発明の戦略は、健康な脱核された細胞におけるグルタミンシンターゼの改善された発現及び維持を生成することが期待される。上記のように、配列分析は、グルタミンシンターゼのユビキチン化サイトが活性サイト内に無いことを提示する。従って、源タンパク質又はポリペプチドに対してユビキチン化を妨げる又は防止する変異を含むグルタミンシンターゼの発現は、脱核された赤血球細胞への成熟を通してグルタミンシンターゼの維持を改善するのに適するはずである。グルタミンシンターゼは、ユビキチン化される前にアセチル化が必要となり得る(Van Nguyen et al., Molecular Cell (2016) 61 (6):809-820)。そのため、アセチル化及び/又はユビキチン化サイトの妨害は、ユビキチン化を妨げるためのさらなる技術として用いられ得る。グルタミンシンターゼのアセチル化サイトを除去するための一技術は、例えばN末端から少なくとも5、10、15又は20アミノ酸を除去する、及びN末端から30、40、50又は60アミノ酸以下を除去することによりN末端を除去することである。代替的に、グルタミンシンターゼの細菌型はユビキチン化サイトを自然に含まないものが過剰発現され得る、又はそのようなサイトを含まないように操作され得る。標的タンパク質がグルタミンシンターゼである場合、脱核された赤血球細胞(網状赤血球及び/又は赤血球)は、高アンモニア血症の処置に用いるのに好ましい。
一実施形態において、標的タンパク質はグルコキナーゼ等のヘキソキナーゼである。グルコキナーゼは、肝臓及び膵臓酵素であり、それはグルコースにおける高いKmを有する。グルコキナーゼは、3つの他のヘキソキナーゼに対するヘキソキナーゼアイソザイム及び類似体である。グルコキナーゼがユビキチン化により制御されることは周知である(例えばHofmeister-Brix et al., Biochem J (2013) 456 (2): 173-184を参照)。従って、グルコキナーゼは、ユビキチン化の妨害又は防止のための変異により脱核を通して維持の改善に特に適合する。代替的に、ヘキソキナーゼ又はグルコキナーゼの細菌型は、ユビキチン化サイトを自然に含まないものが過剰発現され得る、又はそのようなサイトを含まないように操作され得る。標的タンパク質がヘキソキナーゼ又はグルコキナーゼである場合、脱核された赤血球細胞(網状赤血球及び/又は赤血球)は、高血糖症の処置に用いるのに好ましい。
一実施形態において、標的タンパク質はフェニルアラニンヒドロキシラーゼである。組換えフェニルアラニンヒドロキシラーゼがユビキチン化されていることは周知である(例えばDoskeland and Flatmark, Biochem J. 1996 Nov 1; 319(Pt 3): 941-945を参照)。特に、組換えタンパク質は、特定の溶解素における細胞溶解物によりユビキチン化された。異常折り畳みタンパク質は、ユビキチン化及び分解が増大された。これは、フェニルアラニンヒドロキシラーゼが、ユビキチン化を妨げる又は防止するための変異により脱核を通して維持の改善に適合する証拠となる。代替的に、フェニルアラニンヒドロキシラーゼの細菌型は、ユビキチン化サイトを自然に含まないものが過剰発現され得る、又はそのようなサイトを含まないように操作され得る。標的タンパク質がフェニルアラニンヒドロキシラーゼである場合、脱核された赤血球細胞(網状赤血球及び/又は赤血球)は、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ酵素欠損症の処置に用いるのに好ましい。
一実施形態において、標的タンパク質はアルコールデヒドロゲナーゼである。アルコールデヒドロゲナーゼはユビキチン化されていることは周知である(例えばMezey et al., Biochem Biophys Res Commun, Volume 285, Issue 3, 20 July 2001, Pages 644-648を参照)。従って、アルコールデヒドロゲナーゼは、ユビキチン化を妨げる又は防止するための変異により脱核を通して維持の改善に適合される。代替的に、他のアルコールデヒドロゲナーゼアイソフォーム又はアルコールデヒドロゲナーゼの細菌型は、ユビキチン化サイトを自然に含まないものが過剰発現され得る、又はそのようなサイトを含まないように操作され得る。標的タンパク質がアルコールデヒドロゲナーゼである場合、脱核された赤血球細胞(網状赤血球及び/又は赤血球)は、アルコール毒性の処置/解毒に用いるのに好ましい。
一実施形態において、標的タンパク質はカタラーゼである。カタラーゼの分解は、チロシンのリン酸化により引き起こされるユビキチン化により制御されることが周知である(例えばCao et al, Biochemistry, 2003 Sep 9, 42(35),10348-53を参照)。従って、カタラーゼは、ユビキチン化を妨げる又は防止するための変異により脱核を通して維持の改善に適合される。代替的に、カタラーゼの細菌型は、ユビキチン化サイトを自然に含まないものが過剰発現され得る、又はそのようなサイトを含まないように操作され得る。標的タンパク質がカタラーゼである場合、脱核された赤血球細胞(網状赤血球及び/又は赤血球)は、カタラーゼ欠損症の処置及び/又は活性酸素種による細胞傷害を防止するために用いるのに好ましい。
一実施形態において、標的タンパク質はグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PD)である。ヒトのポドサイトにおけるG6PDのユビキチン化及び分解の証拠がある(例えばWang et al., The FASEB Journal, 2019, 33:5, 6296-6310を参照)。従って、G6PDは、ユビキチン化を妨げる又は防止するための変異により脱核を通して維持の改善に適合される。代替的に、G6PDの細菌型は、ユビキチン化サイトを自然に含まないものが過剰発現され得る、又はそのようなサイトを含まないように操作され得る。標的タンパク質がG6PDである場合、脱核された赤血球細胞(網状赤血球及び/又は赤血球)は、G6PD欠損症の処置に用いるのに好ましい。
一実施形態において、標的タンパク質はアデノシンデアミナーゼである。上記のように、配列分析は、アデノシンデアミナーゼのユビキチン化サイトが活性サイト内に無いことを提示する。我々は、アデノシンデアミナーゼが網状赤血球への脱核を通して維持されることを示した(図9)。従って、源タンパク質又はポリペプチドに対してユビキチン化を妨げる又は防止する変異を含むアデノシンデアミナーゼの発現は、脱核を通してアデノシンデアミナーゼの維持を改善すること、及び脱核された赤血球細胞におけるアデノシンデアミナーゼの濃度の増大を引き起こすことが期待される。代替的に、アデノシンデアミナーゼの細菌型は、ユビキチン化サイトを自然に含まないものが過剰発現され得る、又はそのようなサイトを含まないように操作され得る。標的タンパク質がアデノシンデアミナーゼである場合、脱核された赤血球細胞(網状赤血球及び/又は赤血球)は、アデノシンデアミナーゼ欠損症の処置に用いるのに好ましい。
一実施形態において、標的タンパク質はアスパラギナーゼ又はL-アスパラギナーゼである。配列分析は、L-アスパラギナーゼのユビキチン化サイトが存在し、それが活性サイト内に無いことを提示する。我々は、L-アスパラギナーゼが網状赤血球への脱核を通して維持されることを示した(図10)。従って、源タンパク質又はポリペプチドに対してユビキチン化を妨げる又は防止する変異を含むL-アスパラギナーゼの発現は、脱核を通してL-アスパラギナーゼの維持を改善すること、及び脱核された赤血球細胞におけるL-アスパラギナーゼの濃度の増大を引き起こすことが期待される。代替的に、L-アスパラギナーゼの細菌型は、ユビキチン化サイトを自然に含まないものが過剰発現され得る、又はそのようなサイトを含まないように操作され得る。標的タンパク質がL-アスパラギナーゼである場合、脱核された赤血球細胞(網状赤血球及び/又は赤血球)は、急性リンパ芽球性白血病の処置に用いるのに好ましい。
一実施形態において、標的タンパク質はウリカーゼであり、好ましくは細菌ウリカーゼである。ウリカーゼのヒト型は非機能的であることが周知である。従って、好ましくは、ウリカーゼは、検出可能なユビキチン化サイトを有さない細菌ウリカーゼであり、又は酵素活性を再活性化する若しくはユビキチン化を除去するために加えられた変異を含むヒトウリカーゼであってもよく、又はユビキチン化サイトが除去された他の種から得たウリカーゼであってもよい。我々は、細菌ウリカーゼ(ヒトでの発現のためにコドン最適化された)が赤血球前駆体細胞で良好に発現し、網状赤血球への脱核を通して良好に維持されることを確証した(図11)。標的タンパク質がウリカーゼである場合、脱核された赤血球細胞(網状赤血球及び/又は赤血球)は、高尿酸血症の処置に用いるのに好ましい。
一実施形態において、標的タンパク質L-フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)である。細菌PALは、治療に用いるのに周知であり(Sarkissian et al, PNAS March 2, 1999 96 (5) 2339-2344を参照)、ユビキチン化サイトを自然に有しない。標的タンパク質がPALである場合、脱核された赤血球細胞(網状赤血球及び/又は赤血球)は、フェニルケトン尿症/フェニルアラニンヒドロキシラーゼ酵素欠損症の処置に用いるのに好ましい。
一実施形態において、アミノトランスフェラーゼ及びグルタミン酸デヒドロゲナーゼの両方は、赤血球前駆体で発現され、脱核された赤血球細胞を通して維持される。この実施形態において、標的タンパク質は、アラニンアミノトランスフェラーゼ又はグルタミン酸デヒドロゲナーゼであってもよい。この実施形態において、一方のタンパク質が本発明の方法の対象となり、他方がユビキチン化に影響することなく脱核を通して保持される。好ましい実施形態において、標的タンパク質は、アラニンアミノトランスフェラーゼであり、さらなる標的タンパク質は、グルタミン酸デヒドロゲナーゼである。これにより、我々は、両方のタンパク質が赤血球前駆体で発現され、両方のタンパク質が本発明の方法の対象となって脱核された赤血球細胞を通して維持を改善する。アラニンアミノトランスフェラーゼについて、本発明者らは、ユビキチンのコンセンサス配列におけるサイトスキャンを行い、両方のヒトアイソフォームにおけるユビキチンサイトを同定した。従って、源タンパク質又はポリペプチドに対してユビキチン化を妨げる又は防止する変異を含むアラニンアミノトランスフェラーゼの発現は、脱核を通してアラニンアミノトランスフェラーゼの維持を改善すること、及び脱核された赤血球細胞におけるアラニンアミノトランスフェラーゼの濃度の増大を引き起こすことが期待される。代替的に、アラニンアミノトランスフェラーゼの細菌型は、ユビキチン化サイトを自然に含まないものが過剰発現され得る、又はそのようなサイトを含まないように操作され得る。グルタミン酸デヒドロゲナーゼについて、本発明者らは、ユビキチンのコンセンサス配列におけるサイトスキャンを行い、2つのアイソフォームのうちの1つにおけるユビキチンサイトを同定した。従って、源タンパク質又はポリペプチドに対してユビキチン化を妨げる又は防止する変異を含むグルタミン酸デヒドロゲナーゼの発現は、脱核を通してグルタミン酸デヒドロゲナーゼの維持を改善すること、及び脱核された赤血球細胞におけるグルタミン酸デヒドロゲナーゼの濃度の増大を引き起こすことが期待される。代替的に、グルタミン酸デヒドロゲナーゼの細菌型は、ユビキチン化サイトを自然に含まないものが過剰発現され得る、又はそのようなサイトを含まないように操作され得る。標的タンパク質がアラニンアミノトランスフェラーゼであり及び/又はさらなる標的タンパク質がグルタミン酸デヒドロゲナーゼである場合、脱核された赤血球細胞(網状赤血球及び/又は赤血球)は、高アンモニア血症の処置に用いるのに好ましい。
一実施形態において、標的タンパク質はアルギニンデイミナーゼである。本発明者らは、ユビキチンのコンセンサス配列におけるサイトスキャンを行い、6つのアイソフォームのうちの3つにおけるユビキチンサイトを同定した。従って、源タンパク質又はポリペプチドに対してユビキチン化を妨げる又は防止する変異を含むユビキチンタグ化可能アルギニンデイミナーゼの発現は、脱核を通してアルギニンデイミナーゼの維持を改善すること、及び脱核された赤血球細胞におけるアルギニンデイミナーゼの濃度の増大を引き起こすことが期待される。代替的に、アルギニンデイミナーゼのユビキチンサイトを欠損するアイソフォーム又は細菌型は、ユビキチン化サイトを自然に含まないものが過剰発現され得る、又はそのようなサイトを含まないように操作され得る。標的タンパク質がアルギニンデイミナーゼである場合、脱核された赤血球細胞(網状赤血球及び/又は赤血球)は、癌の処置に用いるのに好ましい。
一実施形態において、標的タンパク質はアルギナーゼである。本発明者らは、ユビキチンのコンセンサス配列におけるサイトスキャンを行い、1つのアイソフォームにおけるユビキチンサイトを同定した。従って、源タンパク質又はポリペプチドに対してユビキチン化を妨げる又は防止する変異を含むユビキチンタグ化可能アルギナーゼの発現は、脱核を通してアルギナーゼの維持を改善すること、及び脱核された赤血球細胞におけるアルギナーゼの濃度の増大を引き起こすことが期待される。代替的に、アルギナーゼのユビキチンサイトを欠損するアイソフォーム又は細菌型は、ユビキチン化サイトを自然に含まないものが過剰発現され得る、又はそのようなサイトを含まないように操作され得る。標的タンパク質がアルギナーゼである場合、脱核された赤血球細胞(網状赤血球及び/又は赤血球)は、高アルギニン血症の処置に用いるのに好ましい。
一実施形態において、網状赤血球又は赤血球は、単離された網状赤血球又は単離された赤血球である。「単離された」により、通常我々は、対象又は患者の身体から単離された網状赤血球又は赤血球を意図する。言い換えると、網状赤血球又は赤血球はインビトロで生成される。そのため、単離された網状赤血球又は単離された赤血球は、単離された網状赤血球細胞群又は単離された赤血球細胞群であってもよく、他の細胞又は生物学的材料、特に細胞成熟を促進する及び/又は細胞の保管を容易にするのに必要な生物学的材料及び化学的因子の存在下にあってもよい。
第3の態様において、本発明は、標的タンパク質又はポリペプチドを含む赤血球細胞を提供し、(i)標的タンパク質又はポリペプチドはユビキチン化サイトを含み、赤血球細胞は標的タンパク質又はポリペプチドのユビキチン化サイトの阻害剤をさらに含み;及び/又は(ii)標的タンパク質又はポリペプチドはユビキチンサイトを含む源タンパク質又はポリペプチドの変異体であり、標的タンパク質又はポリペプチドは源タンパク質又はポリペプチドに対してユビキチン化を妨げる又は防止する変異を含み;及び/又は(iii)標的タンパク質又はポリペプチドはユビキチン化サイトを有しない外因性タンパク質又はポリペプチドを含む。
「赤血球細胞」により、通常我々は、赤血球前駆体、網状赤血球前駆体、網状赤血球又は赤血球を意図し、好ましくは網状赤血球又は赤血球、より好ましくは網状赤血球を意図する。一実施形態において、赤血球細胞は赤血球前駆細胞である。他の実施形態において、赤血球細胞は(網状赤血球又は赤血球等の)脱核された赤血球細胞である。
脱核された赤血球細胞が本発明に係る方法により標的タンパク質又はポリペプチドのユビキチン化を妨げる又は防止することによって生成される場合、その赤血球細胞は、標的タンパク質又はポリペプチドのユビキチン化が妨げられていないことを除いて全ての点でそれと同一の方法により生成された脱核された赤血球細胞と比較して増大されたレベルの標的タンパク質又はポリペプチドを含むであろう。
阻害剤が内因性物質である場合、これは阻害剤の増大されたレベルを意図する。
一実施形態において、標的タンパク質は内因性タンパク質を含んでもよく、及び/又は標的ポリペプチドは内因性ポリペプチドを含んでもよい。他の実施形態において、標的タンパク質は過剰発現された内因性タンパク質若しくは外因性タンパク質を含んでもよく、及び/又は標的ポリペプチドは過剰発現された内因性ポリペプチド若しくは外因性ポリペプチドを含んでもよい。
阻害剤は、標的タンパク質若しくはポリペプチドの自然基質若しくは天然物であってもよく、又は標的タンパク質若しくはポリペプチドの自然基質若しくは天然物の可逆的阻害剤であってもよい。
一実施形態において、標的タンパク質は酵素である。特定の一実施形態において、標的タンパク質は、チミジンホスホリラーゼ、グルタミンシンターゼ、ヘキソキナーゼ/グルコキナーゼ、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、カタラーゼ、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、アデノシンデアミラーゼ、L-アスパラギナーゼ、ウリカーゼ、細菌のL-フェニルアラニンアンモニアリアーゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、アルギニンデイミナーゼ又はアルギナーゼである。好ましくは、標的タンパク質は、チミジンホスホリラーゼ、グルタミンシンターゼ、ヘキソキナーゼ/グルコキナーゼ、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、カタラーゼ、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、アデノシンデアミナーゼ、L-アスパラギナーゼ、ウリカーゼ又は細菌のL-フェニルアラニンアンモニアリアーゼである。より好ましくは、標的タンパク質はチミジンホスホリラーゼである。
標的タンパク質がチミジンホスホリラーゼである場合、チミジンホスホリラーゼのユビキチン化サイトは、チミジン、デオキシウリジン、チミン、ウリジン及び/若しくは2-デオキシリボース1-リン酸、又はそれらの誘導体若しくは類似体により、好ましくはチミジンにより阻害され得る。
赤血球細胞は単離された赤血球細胞であってもよい。
一実施形態において、ユビキチン化サイトを有しない標的タンパク質又はポリペプチドは、非真核生物タンパク質であってもよく、好ましくは細菌タンパク質であってもよい。
第4の態様において、本発明は、本発明の第1又は第2の態様の方法により得られ得る赤血球細胞を提供する。
第5の態様において、本発明は、本発明の第3又は第4の態様に係る赤血球細胞、並びに医薬的に許容可能なキャリア、賦形剤及び/又はアジュバントを含む医薬組成物を提供する。好ましくは、医薬組成物は、標的タンパク質又はポリペプチドの阻害剤をさらに含む赤血球細胞の保存バッファーに保存された赤血球細胞を含む。これは、標的タンパク質又はポリペプチドがユビキチン化サイトを含み、赤血球細胞が標的タンパク質又はポリペプチドのユビキチン化サイトの阻害剤をさらに含む条件下で適用される。保存は、短期間保存、長期間保存、極低温保存、病院での保存、輸送の際の保存、又は対象に投与する時点までの他の保存であってもよい。
第6の態様において、本発明は、ユビキチン化サイトを含む標的タンパク質又はポリペプチドを含む赤血球細胞、並びに医薬的に許容可能なキャリア、賦形剤及び/又はアジュバントを含む医薬組成物を提供する。通常、阻害剤は、外因性阻害剤、すなわち赤血球細胞に加えられる阻害剤であってもよい。阻害剤が赤血球細胞に自然に存在する場合、通常我々は、人為的に増大されたレベルの阻害剤を意図する。好ましい実施形態において、本発明の第6の態様に係る医薬組成物は、標的タンパク質又はポリペプチドのユビキチン化サイトの阻害剤を含む赤血球細胞保存バッファーに保存された赤血球細胞を含む。通常、赤血球細胞保存バッファー中の赤血球細胞は、短期間保存、長期間保存、極低温保存、病院での保存、輸送の際の保存、又は対象に投与する時点までの他の保存であってもよい。
第7の態様において、本発明は、標的タンパク質又はポリペプチドを含む赤血球細胞を含む医薬組成物を提供し、標的タンパク質又はポリペプチドは、ユビキチン化サイトを含む源タンパク質の変異体であり、標的タンパク質又はポリペプチドは、源タンパク質又はポリペプチドに対してユビキチン化を妨げる又は防止する変異を含む標的タンパク質又はポリペプチドであり、医薬組成物は医薬的に許容可能なキャリア、賦形剤及び/又はアジュバントを含む。
本発明の組成物は、本技術分野において理解されているような賦形剤、又は医薬的に許容可能なアジュバント、キャリア若しくはフィルタ、並びに安定剤、抗菌剤、抗凍結剤、抗酸化剤、フリーラジカル消去剤、可溶化剤、等張化剤及び界面活性剤等の試薬を含み得る。好ましい実施形態において、医薬組成物は、適切な網状赤血球保存培地において網状赤血球段階で細胞と共に保存されている。適切な培地は、本技術分野において周知であり、SAGM、PAGGM、AS1、AS3、ヒト血漿若しくは人口血漿溶液、及びリン酸緩衝生理食塩水等の生理学的に投与可能なバッファー、又はこれらのいずれかの混合液を含む。
第8の態様において、本発明は、治療に用いるための本発明の第3若しくは第4の態様に係る赤血球細胞、又は本発明の第5、第6若しくは第7の態様に係る医薬組成物を提供する。好ましくは、治療に用いられる赤血球細胞は脱核細胞である。治療における脱核細胞の一利点は、遺伝的に改変された材料が脱核の際に排出され、そのため、遺伝的に改変された材料を対象に投与する懸念がないことである。
一実施形態において、使用は、酵素補充療法、器官修復又は解毒における使用であり、好ましくは、ミトコンドリア神経性胃腸管系脳筋症、高アンモニア血症、高血糖症、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ酵素欠損症、アルコール毒性/解毒、カタラーゼ欠損症及び/若しくは活性酸素種による細胞傷害の防止、G6PD欠損症、アデノシンデアミナーゼ欠損症、急性リンパ芽球性白血病、高尿酸血症、フェニルケトン尿症/フェニルアラニンヒドロキシラーゼ酵素欠損症、又は高アルギニン血症の処置における使用である。好ましくは、その使用は、ミトコンドリア神経性胃腸管系脳筋症、高アンモニア血症、高血糖症、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ酵素欠損症、アルコール毒性/解毒、カタラーゼ欠損症及び/若しくは活性酸素種による細胞傷害の防止、G6PD欠損症又は高尿酸血症の処置における使用である。
第9の態様において、本発明は、治療に用いるための薬剤の製造のための、本発明の第3若しくは第4の態様に係る赤血球細胞、又は本発明の第5、第6若しくは第7の態様に係る医薬組成物の使用を提供する。
第10の態様において、本発明は、それを必要とする対象の治療の方法を提供し、その方法は、本発明の第3若しくは第4の態様に係る赤血球細胞の医薬的有効量、又は本発明の第5、第6若しくは第7に係る医薬組成物の医薬的有効量を投与することを含む。
第11の態様において、本発明は、赤血球細胞の成熟の際にユビキチン化により分解されるタンパク質又はポリペプチドのスクリーニング方法を提供し、その方法は、赤血球前駆体に試験タンパク質を発現することと、(a)ユビキチンリガーゼ活性を妨げ若しくは防止して赤血球前駆体を成熟すると、ユビキチンリガーゼ活性を妨げ若しくは防止していない赤血球前駆体を成熟した場合と比較して試験タンパク質の量が増大するかどうかを確認すること;(b)標識化ユビキチンコンストラクトを赤血球前駆体の成熟の際に提供する場合に試験タンパク質が標識されるかどうかを確認すること;又は(c)抗ユビキチン抗体標識を通して若しくは質量分析により試験タンパク質がユビキチン化されているかどうかを確認することとを含む。
この明細書の発明の詳細な説明及び特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」及び「含む(contain)」の語並びにそれらの語の変形、例えば「含む(comprising)」及び「含む(comprises)」は、「含むが限定されない(including but not limited to)」を意味し、他の構成要素、整数又はステップを排除しない。さらに、単数形は、文脈において他で要求しない限り複数形を含み、特に不定冠詞が用いられる場合に、明細書は文脈において他で要求しない限り複数形及び単数形を意図するものとして理解される。
本発明の各態様の好ましい特徴は、他の態様のいずれかに組み合わせて記載されてように扱われ得る。本願の範囲内において、種々の態様、実施形態、実施例及び代替案は、先の段落、特許請求の範囲及び/又は後の詳細な説明及び図面に提示されていると明確に考えられ、特に、それらの個々の特徴は、独立して又は組み合わせて採用され得る。すなわち、全ての実施形態及び/又はいずれかの実施形態の特徴は、いかなる方法でも組み合わせられることが可能であり、及び/又はそのような特徴が互いに矛盾しない限り組み合わせられ得る。
本発明の1つ以上の実施形態は、単なる例として、添付された図面を参照して説明される。
図1Aは、献血から単離されたCD34+幹細胞、単離された網状赤血球及び単離された赤血球細胞におけるフローサイトメトリーにより測定された内因性チミジンホスホリラーゼ(TP)の発現の一例を示し、濃い灰色はIgGアイソタイプの対照を示し、薄い灰色はTPの発現を示す。図1Bは、フローサイトメトリーグラフの定量化を示す(N=3)。図1Cは、献血から単離されたCD34+幹細胞、単離された網状赤血球及び単離された赤血球細胞、並びに対照としての単離された血小板で、分光光度計アッセイにより測定されたTP活性を示す。図1Dは、インビトロでの培養8日目(前赤芽球)、12日目(好塩基性赤芽球)及び網状赤血球におけるフローサイトメトリーにより測定された内因性チミジンホスホリラーゼ(TP)の発現の一例を示し、濃い灰色はIgGアイソタイプの対照を示し、薄い灰色はTPの発現を示す。図1Eは、フローサイトメトリーグラフの定量化を示す(N=3)。図1Fは、インビトロでの培養8日目(前赤芽球)、12日目(好塩基性赤芽球)及び網状赤血球において測定されたTP活性を示す。図1Gは、増やされたBEL-A、6日目の分化されたもの(多染性)及びBEL-A由来網状赤血球におけるフローサイトメトリーにより測定された内因性チミジンホスホリラーゼ(TP)の発現の一例を示し、濃い灰色はIgGアイソタイプの対照を示し、薄い灰色はTPの発現を示す。図1Hは、フローサイトメトリーグラフの定量化を示す(N=3)。
図2A-Dは、培養されたTPを発現するCD34+由来赤血球前駆体(cTP;図2A)及びTPを発現する増やされたBEL-A(bTP;図2B)におけるTPの外因性の過剰発現によるTPの発現の増大を示し、cTP細胞毎のTP活性のユニットを示し(図2C)、また、cTP由来網状赤血球の変形能を示す(図2D)。
図3は、cTP細胞におけるTPの発現に対する分解阻害の効果を示し(図3A)、ヒトTPのモデリング結果及び変異される必要があり得るユビキチン化サイトの位置を示す3Dモデルを示す(図3B)。
図4A-Dは、cTP細胞(図4A;cTP-mut)及びbTP細胞(図4B;bTP-mut)における変異されたTPの発現レベルを示し、cTP細胞(図4C;cTP-mut)及びbTP細胞(図4D;bTP-mut)における変異されたTPの活性レベルを示す。
図5は、cTP細胞(図5A)及びbTP細胞(図5B)におけるチミジン補充の存在下でのTPの発現レベルを示す。
図6は、造血幹細胞から赤血球への細胞分化の概要を示す。
図7は、造血幹細胞及びBEL-A前赤芽球のそれぞれから始まり、ウイルスベクターが加えられ得るインビトロの段階を例示した細胞分化系統の概要を示す。
図8は、2つの異なる培養においてフローサイトメトリーにより評価した、分化の際にレンチウィルスを用いたグルタミンシンターゼの過剰発現を示す棒グラフを示し、棒グラフはMG132の存在下及び不在下でのグルタミンシンターゼの発現レベルを示す。
図9は、2つの異なる培養においてフローサイトメトリーにより評価した、分化の際にレンチウィルスを用いたアデノシンデアミナーゼ(c-Mycでタグ化)の過剰発現を示す棒グラフ、及びインビトロ由来網状赤血球における発現を示すウエスタンブロットを示す。
図10は、2つの異なる培養においてフローサイトメトリーにより評価した、分化の際にレンチウィルスを用いたL-アスパラギナーゼ(c-Mycでタグ化)の過剰発現を示す棒グラフ、及びインビトロ由来網状赤血球における発現を示すウエスタンブロットを示す。
図11は、2つの異なる培養においてフローサイトメトリーにより評価した、分化の際にレンチウィルスを用いたウリカーゼ(c-Mycでタグ化)の過剰発現を示す棒グラフ、及びインビトロ由来網状赤血球における発現を示すウエスタンブロットを示す。
実施例1-赤血球前駆体、網状赤血球及び赤血球における内因性TPの発現
まず、我々は、単離された造血CD34+幹細胞(すなわち血液から単離された)、標準的ドナー由来の網状赤血球及び赤血球における内因性発現の基準線及びチミジンホスホリラーゼ(TP)の活性レベルを確認した。発現を、固定された透過性細胞に対するフローサイトメトリーにより評価し、TP活性を、分光光度計に基づくアッセイを用いて測定し、チミジンの吸光度レベルの差異を、TPの存在下において37℃で30分後に測定した。予想通り、両方のアッセイにおいて、低い内因性発現及びCD34+造血幹細胞及び網状赤血球におけるTP活性が確認され、また、赤血球におけるTPの発現又は活性が無いことが確認された(図1A、1B及び1C)。末梢血からの新鮮な単離された血小板を、これらの血液細胞がTPを含むため、活性アッセイ(1C)の陽性対照として含めた。次に、我々は、CD34+造血幹細胞からインビトロで分化された赤血球細胞における内因性TPの発現及び活性を試験した。以前に、我々は、我々のインビトロ培養系で赤血球成熟における種々の段階について報告した(Griffiths, R.E., et al., Blood, 2012, 119(26), p. 6296-306)。ここで我々は、この知見に基づいて、培養の日数及び枠組みにおけるそれらのおおよその分化段階を参照する。図1D、1E及び1Fは、内因性TPの発現並びに8日目(前赤芽球)及び12日目(多染性赤芽球)における活性が低いことを示す。また、これは、改変されず選別されていないインビトロ培養された網状赤血球の発現及び活性が、ドナーから単離された内因性網状赤血球と同程度であることを証明する。次に我々は、赤血球細胞株のBEL-A、網状赤血球への文化能を有する赤血球細胞下部における内因性TPの発現を試験し、それはインビトロで培養された網状赤血球と同程度であった(Trakarnsanga, K., et al., Nat Commun, 2017. 8: p. 14750)。BEL-A細胞を用いることの利点は、CD34+由来培養では有限で毎回再開する必要がある一方で、遺伝的に改変され得る及び無期限にその改変が維持される凍結保存が可能である細胞の持続可能な資源を提供できることである(Hawksworth, J., et al., EMBO Mol Med, 2018. 10(6); Trakarnsanga, K., et al., Nat Commun, 2017. 8: p. 14750)。増やされたBEL-A細胞(前赤芽球、赤芽球に相当する)は、低い内因性TP発現を有し(図1G及び1H)、BEL-A由来網状赤血球は測定可能なTP発現を示さず(図1H)、CD34+由来培養網状赤血球(図1E)及びインビボで単離された網状赤血球(図1B)に相当する。
まず、我々は、単離された造血CD34+幹細胞(すなわち血液から単離された)、標準的ドナー由来の網状赤血球及び赤血球における内因性発現の基準線及びチミジンホスホリラーゼ(TP)の活性レベルを確認した。発現を、固定された透過性細胞に対するフローサイトメトリーにより評価し、TP活性を、分光光度計に基づくアッセイを用いて測定し、チミジンの吸光度レベルの差異を、TPの存在下において37℃で30分後に測定した。予想通り、両方のアッセイにおいて、低い内因性発現及びCD34+造血幹細胞及び網状赤血球におけるTP活性が確認され、また、赤血球におけるTPの発現又は活性が無いことが確認された(図1A、1B及び1C)。末梢血からの新鮮な単離された血小板を、これらの血液細胞がTPを含むため、活性アッセイ(1C)の陽性対照として含めた。次に、我々は、CD34+造血幹細胞からインビトロで分化された赤血球細胞における内因性TPの発現及び活性を試験した。以前に、我々は、我々のインビトロ培養系で赤血球成熟における種々の段階について報告した(Griffiths, R.E., et al., Blood, 2012, 119(26), p. 6296-306)。ここで我々は、この知見に基づいて、培養の日数及び枠組みにおけるそれらのおおよその分化段階を参照する。図1D、1E及び1Fは、内因性TPの発現並びに8日目(前赤芽球)及び12日目(多染性赤芽球)における活性が低いことを示す。また、これは、改変されず選別されていないインビトロ培養された網状赤血球の発現及び活性が、ドナーから単離された内因性網状赤血球と同程度であることを証明する。次に我々は、赤血球細胞株のBEL-A、網状赤血球への文化能を有する赤血球細胞下部における内因性TPの発現を試験し、それはインビトロで培養された網状赤血球と同程度であった(Trakarnsanga, K., et al., Nat Commun, 2017. 8: p. 14750)。BEL-A細胞を用いることの利点は、CD34+由来培養では有限で毎回再開する必要がある一方で、遺伝的に改変され得る及び無期限にその改変が維持される凍結保存が可能である細胞の持続可能な資源を提供できることである(Hawksworth, J., et al., EMBO Mol Med, 2018. 10(6); Trakarnsanga, K., et al., Nat Commun, 2017. 8: p. 14750)。増やされたBEL-A細胞(前赤芽球、赤芽球に相当する)は、低い内因性TP発現を有し(図1G及び1H)、BEL-A由来網状赤血球は測定可能なTP発現を示さず(図1H)、CD34+由来培養網状赤血球(図1E)及びインビボで単離された網状赤血球(図1B)に相当する。
実施例2-レンチウィルスを用いたインビトロのCD34+細胞及びBEL-A由来細胞におけるチミジンホスホリラーゼの外因性過剰発現
TPを発現する培養赤血球前駆体(cTP)細胞及びTPを発現する増やされたBEL-A(bTP)細胞を、ヒトTPcDNAを発現するレンチウィルスを細胞に安定的に導入することにより作製した。FACSを用いて機械的な単一細胞のソーティングによってポリクローナルbTP群からサブクローンを作製した。6日目のcTP(前赤芽球)及び増やされたbTP細胞(前赤芽球)は、フローサイトメトリーによるTP酵素発現が内因性発現と比較してそれぞれ25倍及び45倍増大したことを示した(図2A及び2B)。活性アッセイは、ポリクローナルcTP細胞毎に約8.6×10-9ユニットの濃度の活性酵素の存在を確認し、それは、約10の単離された血小板の自然の内因性発現に相当する。
TPを発現する培養赤血球前駆体(cTP)細胞及びTPを発現する増やされたBEL-A(bTP)細胞を、ヒトTPcDNAを発現するレンチウィルスを細胞に安定的に導入することにより作製した。FACSを用いて機械的な単一細胞のソーティングによってポリクローナルbTP群からサブクローンを作製した。6日目のcTP(前赤芽球)及び増やされたbTP細胞(前赤芽球)は、フローサイトメトリーによるTP酵素発現が内因性発現と比較してそれぞれ25倍及び45倍増大したことを示した(図2A及び2B)。活性アッセイは、ポリクローナルcTP細胞毎に約8.6×10-9ユニットの濃度の活性酵素の存在を確認し、それは、約10の単離された血小板の自然の内因性発現に相当する。
cTP細胞を分化させ、TPの発現を10日目(好塩基性赤芽球)、14日目(多染性赤芽球)、16日目(正染色性赤血球)及び選別された網状赤血球で測定した(図2Aを参照)。bTP発現を4日目(好塩基性赤芽球)、6日目(多染性赤芽球)、10日目(正染色性赤血球)及び網状赤血球において分化の際に測定した(図2Bを参照)。cTP及びbTP網状赤血球における発現が内因性レベルと比較して6及び12倍増大したことが観察されたが、最終の分化の際に顕著な減少が観察された。選別されたcTP網状赤血球において測定されたTP活性は、4.4×10-9U/Cellであった(図2Cを参照)。cTP由来網状赤血球の変形能を、自動レオスコープ細胞分析機(ARCA)を用いて測定した。これは、サイズ及び変形能の両方において、cTP網状赤血球が改変されていないcTP対照網状赤血球に相当することを示した。
実施例3-チミジンホスホリラーゼは赤芽球においてユビキチン分解経路により分解される
分化の際のTP酵素の発現の実質的な欠損は、TPが末期の分化の際に活発に分解されることを意味する。分化の際の外因性TPの分解がユビキチン化又はリソソーム性分解によるかどうかを試験するために、我々は、ユビキチン化阻害剤のMG132又はリソソーム性分解阻害剤のロイペプチンを14日目のcTP細胞(正染色性赤血球)に処理した(Tsubuki, S., et al., J Biochem, 1996, 119(3), p. 572-6; Hershko, A. and A. Ciechanover, Annu Rev Biochem, 1982, 51, p. 335-64)。TPの発現を、まず14日目に阻害剤又は対照ビヒクルとのインキュベーション24時間後に測定した。ロイペプチンは分解を阻害しなかったが、分解の阻害はMG132の追加で観察された(図3A)。これは、分化の際のユビキチン化がヒトTPタンパク質の分解の重大な原因であることを示す。
分化の際のTP酵素の発現の実質的な欠損は、TPが末期の分化の際に活発に分解されることを意味する。分化の際の外因性TPの分解がユビキチン化又はリソソーム性分解によるかどうかを試験するために、我々は、ユビキチン化阻害剤のMG132又はリソソーム性分解阻害剤のロイペプチンを14日目のcTP細胞(正染色性赤血球)に処理した(Tsubuki, S., et al., J Biochem, 1996, 119(3), p. 572-6; Hershko, A. and A. Ciechanover, Annu Rev Biochem, 1982, 51, p. 335-64)。TPの発現を、まず14日目に阻害剤又は対照ビヒクルとのインキュベーション24時間後に測定した。ロイペプチンは分解を阻害しなかったが、分解の阻害はMG132の追加で観察された(図3A)。これは、分化の際のユビキチン化がヒトTPタンパク質の分解の重大な原因であることを示す。
実施例4-ヒトTPのモデリング及びユビキチン化サイトの変異誘発
TP二量体(2J0F.pdb)のヒト結晶構造の試験は、そのタンパク質が、それぞれ6αヘリックスαドメイン、並びにαヘリックスにより囲まれた逆平行のβシートからなるα/βドメインからなる2つのホモ二量体で構成されることを示した(Norman, R.A., et al., Structure, 2004, 12(1), p. 75-84.)。これらのドメインは、互いの基質結合に対して8°回転され得る。チミジン及びリン酸に結合することが酵素に対して閉鎖を引き起こすが、基質の存在無く、TPは開構造となる。E.coli及びウサギのTPタンパク質で行われた動態研究では、結合の連続的メカニズムがあることを示し、基質としてのチミジンがまず結合され、2-dR-1-Pが最後に脱離される(Krenitsky, T.A., J Biol Chem, 1968, 243(11), p. 2871-5)。
TP二量体(2J0F.pdb)のヒト結晶構造の試験は、そのタンパク質が、それぞれ6αヘリックスαドメイン、並びにαヘリックスにより囲まれた逆平行のβシートからなるα/βドメインからなる2つのホモ二量体で構成されることを示した(Norman, R.A., et al., Structure, 2004, 12(1), p. 75-84.)。これらのドメインは、互いの基質結合に対して8°回転され得る。チミジン及びリン酸に結合することが酵素に対して閉鎖を引き起こすが、基質の存在無く、TPは開構造となる。E.coli及びウサギのTPタンパク質で行われた動態研究では、結合の連続的メカニズムがあることを示し、基質としてのチミジンがまず結合され、2-dR-1-Pが最後に脱離される(Krenitsky, T.A., J Biol Chem, 1968, 243(11), p. 2871-5)。
ヒト及びマウスのTPタンパク質は、81.2%の同一性を有し、配列比較はマウスのTP酵素における115番目及び221番目の残基に配置された2つの周知のユビキチン化サイトがヒトTP構造に保存されていることを確認した。構造の試験は、両方の保存されたリシンがチミジン結合サイトの必須の部分であり、従ってこれらの重要な残基の変更は活性サイトが変更されるためTP活性又は安定性に影響し得ることを提示した(図3B)。ヒトTPにおける2つのリシン残基をアルギニン残基に置換して活性サイト構造を維持しながら、ユビキチン化サイトを除去してTP-mutを作製した。この酵素は、3日目のインビトロで培養された赤血球(cTP-mut)及び増やされたBEL-A細胞(bTP-mut)の両方で発現し、細胞はその後に分化した。達成されたTP-mutの発現レベルは、6日目のcTP及び増やされたbTP細胞(図4A及び4Bを参照)に相当したが、TP活性はcTP-mut網状赤血球で検出されなかった(図4C)。変異は、酵素活性及び安定性を損なわせた。これは、ユビキチン化サイトの変異は、脱核プロセスを通してタンパク質の分解を防止するのに用いられることができるが、それが所望のタンパク質活性を破壊しない変異を保証するために用いられなければならないことの概念実証を提供する。従って、酵素活性サイトは、活性を維持するがユビキチンサイトを除去するための再操作を必要とし得る、又はTPのユビキチン化を妨害する代替の手段が必要となる。
実施例5-チミジンホスホリラーゼの分解はチミジンの補充により低減される
ヒトTP分子の構造のさらなる試験の後、我々は、マウスTPに対応する2つのユビキチン化サイトが基質の不在下でのユビキチン化において利用可能となるであろうことを観察した。従って、我々は、TP酵素の基質であるチミジンを含む培養培地の補充がTP構造を閉鎖することを引き起こし、活性サイト内のリシンのユビキチン化サイトへのアクセスを抑制することによりその分解を抑制するという仮説を立てた。しかし、以前の報告では、チミジンの追加が1mMの濃度でK562細胞において細胞周期を停止でき、また細胞増殖を阻害したことを示す(Anisimov, A.G., et al., Izv Akad Nauk Ser Biol, 2003(3), p. 275-84; Thomas, D.B. and C.A. Lingwood, Cell, 1975, 5(1), p. 37-42)。我々の培養培地において増大されたチミジン濃度がTPの分解を防止できるかどうかを決定するために、培養プロセスの際の分化時点が開始する際に、培地に0.5mMのチミジンを毎日添加した。データを示さないが、我々は、チミジンがインビトロでの培養の早期、例えば分化の0日目に加えられた場合に、細胞死の増大及び分化の阻害を確認した。これを回避するために、分化の際にcTP細胞では14日目(多染性赤芽球段階)、bTP細胞では6日目(多染性赤芽球段階)から毎日0.5mMのチミジン補充を加え、それは通常、過剰発現されたヒトTPが分解されるおおよその時点である。この手技は、チミジンが補充されていない標準的な分化培地を用いて生成された細胞と比較して、cTP網状赤血球及びbTP網状赤血球の両方においてTP酵素の存在量を倍増させた(図5A及び5B)。
ヒトTP分子の構造のさらなる試験の後、我々は、マウスTPに対応する2つのユビキチン化サイトが基質の不在下でのユビキチン化において利用可能となるであろうことを観察した。従って、我々は、TP酵素の基質であるチミジンを含む培養培地の補充がTP構造を閉鎖することを引き起こし、活性サイト内のリシンのユビキチン化サイトへのアクセスを抑制することによりその分解を抑制するという仮説を立てた。しかし、以前の報告では、チミジンの追加が1mMの濃度でK562細胞において細胞周期を停止でき、また細胞増殖を阻害したことを示す(Anisimov, A.G., et al., Izv Akad Nauk Ser Biol, 2003(3), p. 275-84; Thomas, D.B. and C.A. Lingwood, Cell, 1975, 5(1), p. 37-42)。我々の培養培地において増大されたチミジン濃度がTPの分解を防止できるかどうかを決定するために、培養プロセスの際の分化時点が開始する際に、培地に0.5mMのチミジンを毎日添加した。データを示さないが、我々は、チミジンがインビトロでの培養の早期、例えば分化の0日目に加えられた場合に、細胞死の増大及び分化の阻害を確認した。これを回避するために、分化の際にcTP細胞では14日目(多染性赤芽球段階)、bTP細胞では6日目(多染性赤芽球段階)から毎日0.5mMのチミジン補充を加え、それは通常、過剰発現されたヒトTPが分解されるおおよその時点である。この手技は、チミジンが補充されていない標準的な分化培地を用いて生成された細胞と比較して、cTP網状赤血球及びbTP網状赤血球の両方においてTP酵素の存在量を倍増させた(図5A及び5B)。
実施例6-さらなる酵素の維持の検討
赤血球生成の際に外因性酵素発現が維持される程度を検討するために、4つの異なる酵素をCD34+造血幹細胞細胞に(レンチウィルスを用いて)発現し、その後に網状赤血球に分化させた:グルタミンシンターゼ(図8)、アデノシンデアミナーゼ(図9)、L-アスパラギナーゼ(図10)及びウリカーゼ(図11)。外因性タンパク質のウリカーゼ(細菌酵素)、ヒトL-アスパラギナーゼ(ASP)及びヒトアデニンデアミナーゼ(ADA)をc-Mycでタグ化して、フローサイトメトリー及びウエスタンブロットにより分化の際の発現の測定を容易にした。GAPDHは、いくつかの場合において、ブロットされた内因性酵素である。ヒトグルタミンシンターゼ(GS)において、このタンパク質に特異的な抗体をフローサイトメトリーによる発現の検出のために用いた。図8~11の棒グラフは、2つの異なる培養においてフローサイトメトリーにより評価された分化の際の指定した酵素の発現を示す。ウエスタンブロットは、インビトロ由来網状赤血球における酵素の発現を示す。ユビキチン化が培養の最後においてGS酵素の維持を増強するかどうかを調べるために、MG132(ユビキチン阻害剤)をGSを(過剰)発現する赤芽球に対して15日目に加えた。発現をフローサイトメトリーにより19日目に測定した。
赤血球生成の際に外因性酵素発現が維持される程度を検討するために、4つの異なる酵素をCD34+造血幹細胞細胞に(レンチウィルスを用いて)発現し、その後に網状赤血球に分化させた:グルタミンシンターゼ(図8)、アデノシンデアミナーゼ(図9)、L-アスパラギナーゼ(図10)及びウリカーゼ(図11)。外因性タンパク質のウリカーゼ(細菌酵素)、ヒトL-アスパラギナーゼ(ASP)及びヒトアデニンデアミナーゼ(ADA)をc-Mycでタグ化して、フローサイトメトリー及びウエスタンブロットにより分化の際の発現の測定を容易にした。GAPDHは、いくつかの場合において、ブロットされた内因性酵素である。ヒトグルタミンシンターゼ(GS)において、このタンパク質に特異的な抗体をフローサイトメトリーによる発現の検出のために用いた。図8~11の棒グラフは、2つの異なる培養においてフローサイトメトリーにより評価された分化の際の指定した酵素の発現を示す。ウエスタンブロットは、インビトロ由来網状赤血球における酵素の発現を示す。ユビキチン化が培養の最後においてGS酵素の維持を増強するかどうかを調べるために、MG132(ユビキチン阻害剤)をGSを(過剰)発現する赤芽球に対して15日目に加えた。発現をフローサイトメトリーにより19日目に測定した。
実施例7-本発明に適合するさらなる酵素の同定
本発明者らは、以下の方法に従った重要な酵素におけるユビキチンコンセンサス配列について配列サイトスキャンを行った。アラニンアミノトランスフェラーゼにおいて、コンセンサス配列のためのサイトスキャンは両方のヒトアイソフォームにおけるユビキチンサイトを提示する。グルタミン酸デヒドロゲナーゼにおいて、サイトスキャンは2つの酵素のうちの1つにおけるユビキチンサイトを提示する。アルギニンデイミナーゼにおいて、6つのヒトアイソフォームがあり、サイトスキャンはユビキチンコンセンサスサイトを有する3つのアイソフォームを同定した。アルギニンにおいて、2つのアイソフォームのうちの1つがユビキチンコンセンサスサイトを有するものとして同定された。
本発明者らは、以下の方法に従った重要な酵素におけるユビキチンコンセンサス配列について配列サイトスキャンを行った。アラニンアミノトランスフェラーゼにおいて、コンセンサス配列のためのサイトスキャンは両方のヒトアイソフォームにおけるユビキチンサイトを提示する。グルタミン酸デヒドロゲナーゼにおいて、サイトスキャンは2つの酵素のうちの1つにおけるユビキチンサイトを提示する。アルギニンデイミナーゼにおいて、6つのヒトアイソフォームがあり、サイトスキャンはユビキチンコンセンサスサイトを有する3つのアイソフォームを同定した。アルギニンにおいて、2つのアイソフォームのうちの1つがユビキチンコンセンサスサイトを有するものとして同定された。
材料及び方法
抗体
モノクローナルチミジンホスホリラーゼ抗体(クローンP-GF.44C)を、1/10希釈で用いた(Thermo scientific)。用いた二次抗体は、APCコンジュゲートモノクローナル抗マウスIgG若しくはポリクローナル抗IgG(Biolegend)又はアレクサ647抗ヒト(Jackson Laboratories)であり、1:50(v/v)で用いた。
抗体
モノクローナルチミジンホスホリラーゼ抗体(クローンP-GF.44C)を、1/10希釈で用いた(Thermo scientific)。用いた二次抗体は、APCコンジュゲートモノクローナル抗マウスIgG若しくはポリクローナル抗IgG(Biolegend)又はアレクサ647抗ヒト(Jackson Laboratories)であり、1:50(v/v)で用いた。
BEL-A細胞培養
BEL-A細胞を、以前に説明されているように培養した(Trakarnsanga, K., et al., Nat Commun, 2017, 8, p. 14750)。簡単に言うと、細胞を、50ng/mLのSCF(miltenyi)、3U/mLのEPO(Roche, Welwyn Garden City, UK)、1μMのデキサメタゾン(Sigma-Aldrich)及び1μg/mLのドキシサイクリン(Sigma-Aldrich)が添加された拡大培地StemSpan SFEM(Stem Cell Technologies)において、1~3×105cells/mLで維持した。完全培地の交換を48時間毎に行った。分化を以前に説明されたように誘導した:3%(v/v)のAB血清(Sigma-Aldrich, Poole UK)、2mg/mlのHSA(Irvine Scientific, Newtown Mount Kennedy, Ireland)、10μg/mlのインスリン(Sigma-Aldrich)、3U/mlのヘパリン(Sigma- Aldrich)、500μg/mlトランスフェリン(Sanquin Blood Supply, Netherlands)、及び1ng/mLのIL-3(R&D Systems, Abingdon UK)、10ng/mLのSCF及び1μg/mLのドキシサイクリンが添加された3U/mlのEpo(Roche, Welwyn Garden City, UK)を含む分化培地(イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)、Source BioScience, Nottingham UK)に1.5×105/mLで細胞を播種した。2日後に、細胞を新鮮な培地に3×105/mlで改めて播種した。分化4日目に、細胞をドキシサイクリン無しの新鮮な培地に5×105/mlで改めて播種した。分化6日目に、完全培地の交換を行い、細胞を1×106/mlで改めて播種した。8日目に細胞を分化培地(SCF、IL-3又はドキシサイクリンを含まない)に移し、12日目まで2日毎に完全培地を交換して1×106/mLに維持した。
BEL-A細胞を、以前に説明されているように培養した(Trakarnsanga, K., et al., Nat Commun, 2017, 8, p. 14750)。簡単に言うと、細胞を、50ng/mLのSCF(miltenyi)、3U/mLのEPO(Roche, Welwyn Garden City, UK)、1μMのデキサメタゾン(Sigma-Aldrich)及び1μg/mLのドキシサイクリン(Sigma-Aldrich)が添加された拡大培地StemSpan SFEM(Stem Cell Technologies)において、1~3×105cells/mLで維持した。完全培地の交換を48時間毎に行った。分化を以前に説明されたように誘導した:3%(v/v)のAB血清(Sigma-Aldrich, Poole UK)、2mg/mlのHSA(Irvine Scientific, Newtown Mount Kennedy, Ireland)、10μg/mlのインスリン(Sigma-Aldrich)、3U/mlのヘパリン(Sigma- Aldrich)、500μg/mlトランスフェリン(Sanquin Blood Supply, Netherlands)、及び1ng/mLのIL-3(R&D Systems, Abingdon UK)、10ng/mLのSCF及び1μg/mLのドキシサイクリンが添加された3U/mlのEpo(Roche, Welwyn Garden City, UK)を含む分化培地(イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)、Source BioScience, Nottingham UK)に1.5×105/mLで細胞を播種した。2日後に、細胞を新鮮な培地に3×105/mlで改めて播種した。分化4日目に、細胞をドキシサイクリン無しの新鮮な培地に5×105/mlで改めて播種した。分化6日目に、完全培地の交換を行い、細胞を1×106/mlで改めて播種した。8日目に細胞を分化培地(SCF、IL-3又はドキシサイクリンを含まない)に移し、12日目まで2日毎に完全培地を交換して1×106/mLに維持した。
CD34細胞培養
以前に説明されているように(Griffiths, R.E., et al., Blood, 2012. 119(26), p. 6296-306)、CD34+造血幹細胞(HSC)を、製造者の指示書に従って磁気ビーズ分離(Miltenyi Biotech Ltd, Bisley UK)によりヒト血液ドナーの単核細胞から又は融解された凍結保存臍帯血ユニットから単離した。CD34+細胞を、3%(v/v)のAB血清、2mg/mlのHSA、10μg/mlのインスリン、3U/mlのヘパリン、500μg/mlのトランスフェリン及び3U/mlのEpoを含むIMDM(Source BioScience)からなるベース培地を用いて2×105cells/mlの密度で増殖させた。第1段階において、これに10ng/mlの幹細胞因子及び1ng/mlのIL-3を添加し、第2段階において10ng/mlのSCFを添加した。19日目までの最終段階において、ベース培地のみを用いた。10μMのロイペプチン(Sigma-Aldrich)又は5μMのMG132(Sigma-Aldrich)を1×106の分化している赤芽球に加え、37℃で5%CO2下で24時間処理した。細胞をパラホルムアルデヒドで固定し、フローサイトメトリーによって分析した。
以前に説明されているように(Griffiths, R.E., et al., Blood, 2012. 119(26), p. 6296-306)、CD34+造血幹細胞(HSC)を、製造者の指示書に従って磁気ビーズ分離(Miltenyi Biotech Ltd, Bisley UK)によりヒト血液ドナーの単核細胞から又は融解された凍結保存臍帯血ユニットから単離した。CD34+細胞を、3%(v/v)のAB血清、2mg/mlのHSA、10μg/mlのインスリン、3U/mlのヘパリン、500μg/mlのトランスフェリン及び3U/mlのEpoを含むIMDM(Source BioScience)からなるベース培地を用いて2×105cells/mlの密度で増殖させた。第1段階において、これに10ng/mlの幹細胞因子及び1ng/mlのIL-3を添加し、第2段階において10ng/mlのSCFを添加した。19日目までの最終段階において、ベース培地のみを用いた。10μMのロイペプチン(Sigma-Aldrich)又は5μMのMG132(Sigma-Aldrich)を1×106の分化している赤芽球に加え、37℃で5%CO2下で24時間処理した。細胞をパラホルムアルデヒドで固定し、フローサイトメトリーによって分析した。
レンチウィルスによる形質導入
ヒトTPcDNA配列を注文し、Genscript(Genscript, Leiden NL)によりXLG3ベクターにクローニングした。以前に公開されたプロトコール(Satchwell et al Haematologica, 2015 100;133-142 Doi:10.3324/haematol.2014.114538)に従って、元のTP配列に対して、115番目及び221番目のサイトのリシンをアルギニンに変異させ、それにより作製したTP-mutレンチウィルスを調製した。BEL-A及びCD34+造血細胞の形質導入のために、8μg/mlのポリブレンの存在下で2ml培地中の2×105cellにウイルスを加えて24時間処理した。細胞を3回洗浄し、新鮮な培地に再懸濁した。
ヒトTPcDNA配列を注文し、Genscript(Genscript, Leiden NL)によりXLG3ベクターにクローニングした。以前に公開されたプロトコール(Satchwell et al Haematologica, 2015 100;133-142 Doi:10.3324/haematol.2014.114538)に従って、元のTP配列に対して、115番目及び221番目のサイトのリシンをアルギニンに変異させ、それにより作製したTP-mutレンチウィルスを調製した。BEL-A及びCD34+造血細胞の形質導入のために、8μg/mlのポリブレンの存在下で2ml培地中の2×105cellにウイルスを加えて24時間処理した。細胞を3回洗浄し、新鮮な培地に再懸濁した。
フローサイトメトリー及びFACS
未分化のBEL-Aにおけるフローサイトメトリーにおいて、1×105cellsを1%のパラホルムアルデヒド、0.0075%のグルタルアルデヒドで固定し、0.1%のTritonX-100で透過処理し、PBSAG(PBS+1mg/mlのBSA、2mg/mlのグルコース)+1%BSAで再懸濁し、4℃で30分間の一次抗体処理で標識化した。細胞をPBSAGで洗浄し、適切なAPCコンジュゲート二次抗体と共に4℃で30分間インキュベートし、洗浄し、プレートリーダーを用いてMacsQuant VYB Analyserでデータを得た。網状赤血球をヘキスト陰性群でのゲーティングにより識別した。細胞のFACSソーティングにおいて、BDInflux Cell Sorterが、96ウェルプレートにおける陰性群としてのヨウ化プロピジウムをソーティングすることにより単一クローンを単離するために用いられた。
未分化のBEL-Aにおけるフローサイトメトリーにおいて、1×105cellsを1%のパラホルムアルデヒド、0.0075%のグルタルアルデヒドで固定し、0.1%のTritonX-100で透過処理し、PBSAG(PBS+1mg/mlのBSA、2mg/mlのグルコース)+1%BSAで再懸濁し、4℃で30分間の一次抗体処理で標識化した。細胞をPBSAGで洗浄し、適切なAPCコンジュゲート二次抗体と共に4℃で30分間インキュベートし、洗浄し、プレートリーダーを用いてMacsQuant VYB Analyserでデータを得た。網状赤血球をヘキスト陰性群でのゲーティングにより識別した。細胞のFACSソーティングにおいて、BDInflux Cell Sorterが、96ウェルプレートにおける陰性群としてのヨウ化プロピジウムをソーティングすることにより単一クローンを単離するために用いられた。
TP活性アッセイ
溶解バッファー(50mMのTris-HCl、pH7.2、1%(w/v)のTritonX-100、2mMのフェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)、0.02%(v/v)の2-メルカプトエタノール)に細胞を1×106cellsで再懸濁した。溶解物に対して16000g、4℃で30分間の遠心分離処理をし、その後に上清に対して176mMのチミジン及び5×TP反応バッファー(0.5MのTris-ヒ酸、pH6.5)を加えた。用いられた対照は、溶解バッファーのみ又は周知の濃度の精製TPタンパク質(Sigma-Aldrich, Poole UK)を含む溶解バッファーである。37℃で30分間のインキュベートで反応させ、その後、0.3MのNaOHの追加により終了させた。分光光度計を用いて299nmで吸光度を測定し、TP酵素の濃度の検量線と比較した(Marti, R., L.C. Lopez, and M. Hirano, Methods in Molecular Biology (Clifton, N.J.), 2012. 837: p. 121-133)。
溶解バッファー(50mMのTris-HCl、pH7.2、1%(w/v)のTritonX-100、2mMのフェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)、0.02%(v/v)の2-メルカプトエタノール)に細胞を1×106cellsで再懸濁した。溶解物に対して16000g、4℃で30分間の遠心分離処理をし、その後に上清に対して176mMのチミジン及び5×TP反応バッファー(0.5MのTris-ヒ酸、pH6.5)を加えた。用いられた対照は、溶解バッファーのみ又は周知の濃度の精製TPタンパク質(Sigma-Aldrich, Poole UK)を含む溶解バッファーである。37℃で30分間のインキュベートで反応させ、その後、0.3MのNaOHの追加により終了させた。分光光度計を用いて299nmで吸光度を測定し、TP酵素の濃度の検量線と比較した(Marti, R., L.C. Lopez, and M. Hirano, Methods in Molecular Biology (Clifton, N.J.), 2012. 837: p. 121-133)。
ARCAを用いた網状赤血球の変形能の測定
1×106の網状赤血球を200μlのポリビニルピロリドン溶液(PVP、粘度28.1;Mechatronics Instruments, The Netherlands)に再懸濁した。Linkamイメージングステーションアセンブリに搭載されたプレート-プレートオプティカルシヤリングステージ(model CSS450)からなるACEC(Dobbe, J.G.G., et al., Measurement of the distribution of red blood cell deformability using an automated rheoscope. 2002. 50(6), p. 313-325)でサンプルをアッセイし、温度はLinksys32ソフトウェア(Linkam Scientific Instruments, Surrey, UK)を用いて制御した。顕微鏡は、バンドパス干渉フィルタ(CWL 420 nm, FWHM 10 nm; Edmund Optics, Poppleton, UK)を通してX-1500ストロボスコープ(PerkinElmer, The Netherlands)により照射される10.6mmの作動距離の対物レンズ(Olympus, Essex, UK)を有するLMPlanFL 50×を備えている。uEyeカメラ(UI-2140SE-M-GL; IDS GmbH, Obersulm, Germany)を用いて画像を得た。サンプル毎に少なくとも1000cellの画像を得、オーダーメードのARCAソフトウェアを用いて分析した。
1×106の網状赤血球を200μlのポリビニルピロリドン溶液(PVP、粘度28.1;Mechatronics Instruments, The Netherlands)に再懸濁した。Linkamイメージングステーションアセンブリに搭載されたプレート-プレートオプティカルシヤリングステージ(model CSS450)からなるACEC(Dobbe, J.G.G., et al., Measurement of the distribution of red blood cell deformability using an automated rheoscope. 2002. 50(6), p. 313-325)でサンプルをアッセイし、温度はLinksys32ソフトウェア(Linkam Scientific Instruments, Surrey, UK)を用いて制御した。顕微鏡は、バンドパス干渉フィルタ(CWL 420 nm, FWHM 10 nm; Edmund Optics, Poppleton, UK)を通してX-1500ストロボスコープ(PerkinElmer, The Netherlands)により照射される10.6mmの作動距離の対物レンズ(Olympus, Essex, UK)を有するLMPlanFL 50×を備えている。uEyeカメラ(UI-2140SE-M-GL; IDS GmbH, Obersulm, Germany)を用いて画像を得た。サンプル毎に少なくとも1000cellの画像を得、オーダーメードのARCAソフトウェアを用いて分析した。
TPモデリング
ユビキチン化サイトを、哺乳動物タンパク質のユビキチン化サイトのデータベース(http://202.195.183.4:8000/BroGo3_data.php?name=0016154)であるmUbiSiDaから予測した。マウスのユビキチン化サイトの詳細は、Wagner等によって分析された(Mol Cell Proteomics, 2012, 11(12), p. 1578-85)。ヒト及びマウス配列をアライメントするためにClustal Omega(DOI: 10.1093/nar/gkz268)を用いた。タンパク質構造を可視化し、UCSFキメラソフトウェア(DOI: 10.1002/jcc.20084)を用いて画像を生成した。
ユビキチン化サイトを、哺乳動物タンパク質のユビキチン化サイトのデータベース(http://202.195.183.4:8000/BroGo3_data.php?name=0016154)であるmUbiSiDaから予測した。マウスのユビキチン化サイトの詳細は、Wagner等によって分析された(Mol Cell Proteomics, 2012, 11(12), p. 1578-85)。ヒト及びマウス配列をアライメントするためにClustal Omega(DOI: 10.1093/nar/gkz268)を用いた。タンパク質構造を可視化し、UCSFキメラソフトウェア(DOI: 10.1002/jcc.20084)を用いて画像を生成した。
ユビキチンサイトのコンセンサス配列の同定
多くのタンパク質配列を、2つの配列探索プログラムを用いたユビキチンコンセンサス配列の探索の対象とした。1つ目が、http://www.ubpred.org/でオンラインアクセス可能なUbPred(Radivojac, P., Vacic, V., Haynes, C., Cocklin, R. R., Mohan, A., Heyen, J. W., Goebl, M. G., and Iakoucheva, L. M. Identification, Analysis and Prediction of Protein Ubiquitination Sites. Proteins: Structure, Function, and Bioinformatics. 78(2):365-380. (2010))であり、2つ目が、https://www.phosphosite.org/でオンラインアクセス可能なPhosphoSite(“Hornbeck PV, Zhang B, Murray B, Kornhauser JM, Latham V, Skrzypek E PhosphoSitePlus, 2014: mutations, PTMs and recalibrations. Nucleic Acids Res. 2015 43:D512-20.”)である(後者は、アセチル化及びユビキチン化を含む全ての潜在的翻訳後サイトを提供する)。
多くのタンパク質配列を、2つの配列探索プログラムを用いたユビキチンコンセンサス配列の探索の対象とした。1つ目が、http://www.ubpred.org/でオンラインアクセス可能なUbPred(Radivojac, P., Vacic, V., Haynes, C., Cocklin, R. R., Mohan, A., Heyen, J. W., Goebl, M. G., and Iakoucheva, L. M. Identification, Analysis and Prediction of Protein Ubiquitination Sites. Proteins: Structure, Function, and Bioinformatics. 78(2):365-380. (2010))であり、2つ目が、https://www.phosphosite.org/でオンラインアクセス可能なPhosphoSite(“Hornbeck PV, Zhang B, Murray B, Kornhauser JM, Latham V, Skrzypek E PhosphoSitePlus, 2014: mutations, PTMs and recalibrations. Nucleic Acids Res. 2015 43:D512-20.”)である(後者は、アセチル化及びユビキチン化を含む全ての潜在的翻訳後サイトを提供する)。
Claims (22)
- 増大されたレベルの標的タンパク質を含む網状赤血球を製造する方法であって、前記方法は、
(a)前記標的タンパク質を発現できる赤血球前駆体を準備することと、
(b)前記標的タンパク質を発現させることと、
(c)前記赤血球前駆体を網状赤血球に成熟させることと、を含み、
前記赤血球前駆体を前記網状赤血球に成熟させる際に、前記標的タンパク質のユビキチン化を妨げる又は防止し、
前記標的タンパク質は、源タンパク質の変異体であり、
前記源タンパク質は、ユビキチン化サイトを含むタンパク質又はポリペプチドであり、前記源タンパク質の変異体は、ユビキチン化サイトに少なくとも1つのアミノ酸変異を含む、方法。 - (d)前記網状赤血球を赤血球へ成熟させることをさらに含み、
前記赤血球への成熟の際に、ユビキチン化を妨げる又は防止する、請求項1に記載の方法。 - 前記標的タンパク質は外因性タンパク質を含む、及び/又は外因性ポリペプチドを含む、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記赤血球前駆体は、幹細胞、造血幹細胞、誘導された多能性幹細胞、赤血球不死化細胞株又は赤芽球細胞である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
- 前記標的タンパク質は酵素である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
- 前記標的タンパク質は、チミジンホスホリラーゼ、グルタミンシンターゼ、ヘキソキナーゼ/グルコキナーゼ、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、カタラーゼ、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、アデノシンデアミラーゼ、L-アスパラギナーゼ、ウリカーゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、アルギニンデイミナーゼ又はアルギナーゼである、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
- 前記網状赤血球又は前記赤血球は、単離された網状赤血球又は単離された赤血球である、請求項2に記載の方法。
- 標的タンパク質を含む赤血球細胞であって、
前記標的タンパク質は、源タンパク質の変異体であり、
前記源タンパク質は、ユビキチン化サイトを含むタンパク質又はポリペプチドであり、
前記源タンパク質の変異体は、ユビキチン化サイトに、ユビキチン化を妨げる又は防止する少なくとも1つのアミノ酸変異を含む、赤血球細胞。 - 赤血球前駆体である、請求項8に記載の赤血球細胞。
- 脱核された赤血球細胞である、請求項8に記載の赤血球細胞。
- 前記標的タンパク質は外因性タンパク質を含む、及び/又は外因性ポリペプチドを含む、請求項8~10のいずれか1項に記載の赤血球細胞。
- 前記標的タンパク質は酵素である、請求項8~11のいずれか1項に記載の赤血球細胞。
- 前記標的タンパク質は、チミジンホスホリラーゼ、グルタミンシンターゼ、ヘキソキナーゼ/グルコキナーゼ、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、カタラーゼ、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、アデノシンデアミラーゼ、L-アスパラギナーゼ、ウリカーゼ、細菌のL-フェニルアラニンアンモニアリアーゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、アルギニンデイミナーゼ又はアルギナーゼである、請求項8~12のいずれか1項に記載の赤血球細胞。
- 単離された赤血球細胞である、請求項8~13のいずれか1項に記載の赤血球細胞。
- 請求項8~14のいずれか1項に記載の赤血球細胞、並びに医薬的に許容可能なキャリア、賦形剤及び/又はアジュバントを含む医薬組成物。
- 標的タンパク質を含む赤血球細胞と、医薬的に許容可能なキャリア、賦形剤及び/又はアジュバントとを含み、
前記標的タンパク質は、源タンパク質の変異体であり、
前記源タンパク質は、ユビキチン化サイトを含むタンパク質又はポリペプチドであり、
前記源タンパク質の変異体は、ユビキチン化サイトに、源タンパク質に対してユビキチン化を妨げる又は防止する少なくとも1つのアミノ酸変異を含む、医薬組成物。 - 前記赤血球細胞は、脱核された赤血球細胞である、請求項16に記載の医薬組成物。
- 前記脱核された赤血球細胞は、網状赤血球又は赤血球である、請求項17に記載の医薬組成物。
- 治療に使用するための、請求項8~14のいずれか1項に記載の赤血球細胞、又は請求項15~18のいずれか1項に記載の医薬組成物。
- 前記使用は、酵素補充療法、器官修復又は解毒における使用であり、ミトコンドリア神経性胃腸管系脳筋症、高アンモニア血症、高血糖症、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ酵素欠損症、アルコール毒性/解毒、カタラーゼ欠損症及び/若しくは活性酸素種による細胞傷害の防止、G6PD欠損症、アデノシンデアミナーゼ欠損症、急性リンパ芽球性白血病、高尿酸血症、フェニルケトン尿症/フェニルアラニンヒドロキシラーゼ酵素欠損症、又は高アルギニン血症の処置における使用である、請求項19に記載の赤血球細胞又は医薬組成物。
- 治療に用いるため薬剤を製造するための、請求項8~14のいずれか1項に記載の赤血球細胞、又は請求項15~18のいずれか1項に記載の医薬組成物の使用。
- 処置を必要とする対象の処置に用いるための、
請求項8~14のいずれか1項に記載の赤血球細胞、又は請求項15~18のいずれか1項に記載の医薬組成物。
Applications Claiming Priority (3)
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|---|---|---|---|
| GB1913592.0 | 2019-09-20 | ||
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Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
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| JP2022549213A JP2022549213A (ja) | 2022-11-24 |
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2017504568A (ja) | 2013-11-18 | 2017-02-09 | ルビウス セラピューティクス, インコーポレイテッド | 合成膜−レシーバー複合体 |
| JP2019520829A (ja) | 2016-07-07 | 2019-07-25 | ルビウス セラピューティクス, インコーポレイテッド | 外来性rnaを発現する治療的細胞系に関連する組成物及び方法 |
Patent Citations (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2017504568A (ja) | 2013-11-18 | 2017-02-09 | ルビウス セラピューティクス, インコーポレイテッド | 合成膜−レシーバー複合体 |
| JP2019520829A (ja) | 2016-07-07 | 2019-07-25 | ルビウス セラピューティクス, インコーポレイテッド | 外来性rnaを発現する治療的細胞系に関連する組成物及び方法 |
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