以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。実施形態を説明する全図において、共通の構成要素には同一の符号を付し、繰り返しの説明を省略する。なお、以下の実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態に示される構成要素のすべてが、本開示の必須の構成要素であるとは限らない。また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。
また、以下の説明において、「プロセッサ」は、1以上のプロセッサである。少なくとも1つのプロセッサは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサであるが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサでもよい。少なくとも1つのプロセッサは、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。
また、少なくとも1つのプロセッサは、処理の一部又は全部を行うハードウェア回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサでもよい。
また、以下の説明において、「xxxテーブル」といった表現により、入力に対して出力が得られる情報を説明することがあるが、この情報は、どのような構造のデータでもよいし、入力に対する出力を発生するニューラルネットワークのような学習モデルでもよい。従って、「xxxテーブル」を「xxx情報」と言うことができる。
また、以下の説明において、各テーブルの構成は一例であり、1つのテーブルは、2以上のテーブルに分割されてもよいし、2以上のテーブルの全部又は一部が1つのテーブルであってもよい。
また、以下の説明において、「プログラム」を主語として処理を説明する場合があるが、プログラムは、プロセッサによって実行されることで、定められた処理を、適宜に記憶部及び/又はインタフェース部等を用いながら行うため、処理の主語が、プロセッサ(或いは、そのプロセッサを有するコントローラのようなデバイス)とされてもよい。
プログラムは、計算機のような装置にインストールされてもよいし、例えば、プログラム配布サーバ又は計算機が読み取り可能な(例えば非一時的な)記録媒体にあってもよい。また、以下の説明において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
また、以下の説明において、種々の対象の識別情報として、識別番号が使用されるが、識別番号以外の種類の識別情報(例えば、英字や符号を含んだ識別子)が採用されてもよい。
また、以下の説明において、同種の要素を区別しないで説明する場合には、参照符号(又は、参照符号のうちの共通符号)を使用し、同種の要素を区別して説明する場合は、要素の識別番号(又は参照符号)を使用することがある。
また、以下の説明において、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。全ての構成が相互に接続されていてもよい。
各情報処理装置は演算装置と記憶装置とを備えたコンピュータにより構成されている。コンピュータの基本ハードウェア構成及び、当該ハードウェア構成により実現されるコンピュータの基本機能構成は後述する。端末装置10、サーバ20のそれぞれについて、後述するコンピュータの基本ハードウェア構成及びコンピュータの基本機能構成と重複する説明は省略する。
[システム1]
<1.概要>
システム1は、従業員の悩み相談に応答して評価又はアドバイスを提示するAIメンターサービスにおいて、生成・記録された従業員の状況及び悩み等を表す「評価情報」と、当該従業員の性格特性や成長イメージといった「思考に関する情報」とを組み合わせ、生成AIを用いて、上司が部下との1対1面談で確認すべき「第1観点」や、個別最適化された「面談支援情報」(面談の具体的な進め方を含む)を生成する。この面談支援情報は、上司による効果的な面談実施を支援するために提供される。生成AIには大規模言語モデル(LLM)等を利用可能である。
<2.システムの全体構成>
図1は、システム1の全体構成の例を示すブロック図である。本開示では、AIメンターサービスを利用するためのシステムが企業組織内に導入されており、当該組織に所属する従業員がユーザとしてAIメンターサービスを利用し、その結果が組織運営にも活用される場合を例に挙げて説明する。AIメンターサービスは、例えば、従業員から本音を聞き出し易くするため、例えば特定の地域、又はキャラクターを想起させる親しみやすい口調、又は絵文字を交えたカジュアルな対話スタイルでコミュニケーションを行う機能を備えていてもよい。また、AIメンターサービスは、従業員の本音や具体的な課題を効率的かつ深く引き出すために、アンケート形式による初期の情報収集と、アンケート結果を踏まえた対話による詳細な情報収集を段階的に組み合わせてもよい。
図1に示すように、本実施形態は、例えば、端末装置10、サーバ20、生成AIシステム30、及び社内情報データベース40から構成されるシステム1を備える。システム1は、ネットワーク80を介して、別のシステムとして設けられたタレントマネジメントシステム50と通信可能に接続される。
図1では、図示の簡略化の観点から、システム1が端末装置10を1台含む例を示している。しかしながら、実際には、システム1は、複数のユーザが利用するための複数の端末装置10を含みうる。
図1において、システム1がサーバ20を1台含む例を示しているが、例えば複数の装置の集合体を1つのサーバ20としてもよい。サーバ20を実現するために要する複数の機能を1又は複数のハードウェアに配分する仕方は、各ハードウェアの処理能力及び/又はサーバ20に求められる仕様等に応じて適宜決定できる。
図1において、システム1が1つの生成AIシステム30を含む例を示しているが、システム1に含まれる生成AIシステム30は、2つ以上であってもよい。また、図1において、生成AIシステム30がサーバ20から独立している例を示しているが、サーバ20は、生成AIシステム30の機能を含んでいてもよい。つまり、サーバ20は、生成AIシステム30に含まれるLLMを記憶していてもよい。
図1において、社内情報データベース40がサーバ20から独立している例を示しているが、サーバ20は、社内情報データベース40の機能を含んでいてもよい。つまり、社内情報データベース40は、サーバ20の内部ストレージ等に構築されていてもよい。同様に、タレントマネジメントシステム50は、システム1の外部に存在する既存のシステムとして連携する場合もあれば、サーバ20の機能の一部として統合されている場合もあり得る。
端末装置10は、例えば、従業員が操作する情報処理装置である。端末装置10は、例えば、スマートフォン、タブレット等の携帯端末、又は、据え置き型のPC(Personal Computer)、ラップトップPC等により実現されてもよい。従業員は、端末装置10にインストールされた専用アプリケーション又はウェブブラウザ等を介してAIメンターサービスにアクセスし、AIメンターとの対話を行う。
端末装置10は、通信IF(Interface)12と、入力装置13と、出力装置14と、メモリ15と、ストレージ16と、プロセッサ19とを備える。入力装置13は、ユーザ(従業員)からの入力操作(悩み又は相談内容のテキスト入力、応答の選択、口調の指定等)を受け付けるための装置(例えば、タッチパネル、タッチパッド、マウス等のポインティングデバイス、キーボード等)である。出力装置14は、ユーザである従業員に対して、AIメンターからのコメント、質問、評価、アドバイス、要約等の情報を提示するための装置(ディスプレイ、スピーカー等)である。
サーバ20は、例えば、AIメンターサービスを管理及び運営するための情報処理装置であり、ネットワーク80に接続されたコンピュータにより実現される。サーバ20は、例えば、API(Application Programming Interface)サーバであってもよい。
サーバ20は、端末装置10からの要求(例えば、AIメンターサービスの開始指示、又は対話中のユーザからの入力)を受け付け、生成AIシステム30との間で必要な情報の送受信を制御する。
サーバ20の記憶部202(メモリ25及びストレージ26により実現される)は、AIメンターサービスを提供するために使用するデータ及びプログラムを記憶する。プログラムは、AIメンターサービスを提供するためのアプリケーションプログラムを含む。また、記憶部202は、この基本プロンプト定義の原本又はその一部、及びユーザごとの対話セッション又は生成AIシステム30によって生成された評価結果を格納する評価テーブル2021等を記憶しうる。サーバ20は、対話開始時又は対話の各ステップにおいて、必要に応じて基本プロンプト定義の一部又は関連するコンテキスト情報を、プロンプトの一部として生成AIシステム30に提供する場合がある。
図1に示すように、サーバ20は、通信IF22と、入出力IF23と、メモリ25と、ストレージ26と、プロセッサ29とを備える。入出力IF23は、AIメンターサービスの管理運営者からの入力操作を受け付けるための入力装置、及び、管理運営者に対して情報を出力するための出力装置のインタフェースとして機能する。
生成AIシステム30は、例えば、LLMを有するクラウドサーバである。生成AIシステム30に含まれるLLMの個数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
LLMは、大規模なテキストデータを学習して構築されたシングルモーダルの自然言語モデルであり、特定の問いへの応答生成、文章の自動生成、テキストの要約等、多くのNLG(Natural Language Generation)タスクで使用される。LLMは、生成AIモデルの一例である。LLMには、例えば、以下のようなものが存在する。
・OpenAI:GPT-4
・Google:Gemini 1.5 Flash
・Anthropic:Claude 3.5 Sonnet
生成AIシステム30は、例えばLLMを有し、予め設定された基本プロンプト定義に基づいて、対話全体の流れ(開始フェーズ、情報収集フェーズ、クロージングフェーズの管理、観点の遷移、終了要件の判断等)及び応答内容(従業員へのコメント、質問、評価、アドバイス、要約等)の生成を自律的に制御する。サーバ20から対話開始のトリガー、ユーザからの入力(クエリ)、及び必要に応じて関連コンテキスト情報(例えば、社内情報データベース40からの検索結果)がプロンプトの一部として入力されると、生成AIシステム30は、これらと内部の基本プロンプト定義とを統合的に解釈し、対話の次のステップに対応する応答(例えばJSON形式のデータ)を生成してサーバ20へ送信する。対話は、複数の主要な「観点」又は「トピック」に基づいて構成され、各トピック内でも関連する小項目へと段階的に深掘りするような「階層的」な構造で設計されていてもよい。また、各トピックに対する基本質問数が固定されていてもよい。
基本プロンプト定義は、生成AIシステム30が対話を自律的に制御するために用いる詳細な指示群(AIメンターの役割、会話の各フェーズの進行ロジック、情報収集の観点と確認項目、会話進行ルール、終了要件、評価基準、応答フォーマット(例:JSON)等の情報を含む。基本プロンプト定義は、生成AIシステム30の内部に予め設定されているか、又はサーバ20の記憶部202に記憶され、対話開始時又は必要に応じて生成AIシステム30にプロンプトの一部として提供されるものとする。
生成AIシステム30は、サーバ20から送信されるユーザのクエリ又は対話内容等の情報と、自身が内部で参照する基本プロンプト定義とに基づいて、ユーザへの回答(コメント、質問、評価、アドバイス等)を自律的に生成し、サーバ20へ出力する。基本プロンプト定義には、従業員との円滑な対話を実現し、適切な情報を収集・提供するための様々な指示が含まれ、その主要な構成要素として、役割指示、回答生成指示、参照情報指定、クエリ情報指定、出力フォーマット指示等を含む。
役割指示は、LLMが回答を生成する際の役割(立場)を指示するテキストを含む。本実施形態における役割指示は、例えば、基本プロンプト定義内に「あなたは親しみやすいAIメンターです。従業員の言葉に深く共感し、安心感を与える対話を心がけてください。」といった形で定義され、AIメンターとしての適切なペルソナを指定する。この役割指示は、対話の全フェーズを通じて維持されるが、クロージングフェーズでは「これまでの対話の内容を整理し、従業員に寄り添ったフィードバックを行うまとめ役です」といった形で、フェーズの目的に応じて役割のニュアンスが調整されることもあり得る。
回答生成指示は、LLMに対してどのような回答を生成すべきかを指示するテキストを含む。本実施形態における回答生成指示は、基本プロンプト定義において、関連付けられる対話フェーズ(例:開始フェーズ、情報収集フェーズ、クロージングフェーズ)又は観点(例:やりがい、人間関係、給与)に応じて内容が大きく異なる。例えば、開始フェーズにおいては、「対話の目的と流れを説明し、初期アンケートの入力を促すコメントを生成してください」といった指示が含まれうる。情報収集フェーズにおいては、「従業員の感情に寄り添い、指定された観点に関する具体的なエピソード、又は要因を引き出すためのオープンな質問を行ってください」といった指示、又は会話進行ルール(例:「各応答は必ず質問で終わらせる」)が含まれる。また、情報が不十分な場合には「追加質問の許可を求めるコメントを生成してください」といった指示、又は具体的な回答が得られない場合に「選択肢を提示して理由を尋ねるコメントを生成してください」といった対応指示も含まれうる。クロージングフェーズにおいては、「これまでの対話内容を踏まえ、従業員の状況を各観点から評価し(例:6段階評価)、具体的なネクストアクション(アドバイスを3つ提案)を提案してください」、又は「対話協力への感謝と面談の終了を告げるコメントを生成してください」といった指示が含まれる。
参照情報指定は、社内情報データベース40から抽出された情報を利用するための指示、又は当該抽出情報を挿入する場所を示すプレースホルダーを含む。基本プロンプト定義において、このような外部情報を活用する際の一般的なフォーマット又は指示が定義されていてもよい。これは主に情報収集フェーズにおいて、従業員の特定の悩み、又は質問に対して、より具体的で社内事情に即した情報を提供したり、関連情報を踏まえた質問を生成したりする際に活用される。例えば、「以下の社内規定情報を参考にして、従業員の質問に回答してください:{抽出された社内規定情報}」といった形式でありうる。
クエリ情報指定は、ユーザである従業員からの入力テキスト(クエリ)を含める場合において、当該入力テキスト(クエリ)の内容をLLMが認識・利用するための指示、又は当該入力テキスト文字列を挿入する場所を示すプレースホルダーを含む。基本プロンプト定義において、ユーザからのクエリをどのように解釈し、応答生成に活かすかの一般的な指針が定義されていてもよい。これは対話の多くの場面、特に情報収集フェーズで従業員の応答を次のプロンプトに組み込む際に用いられる。例えば、「従業員の以下の発言「{従業員の入力テキスト}」に対して、共感的な応答と共に、さらに深掘りする質問を生成してください。」といった形式でありうる。
出力フォーマット指示は、LLMが生成する回答の出力フォーマット(雛型)、構造、スタイル、又は回答に含めるべき要素に関する指示を含む。本実施形態における出力フォーマット指示は、「基本プロンプト定義」において詳細に規定され、例えば、生成AIシステム30からの応答全体をJSON形式とし、その中に特定のキーと値のペアを含めるよう指示する。このJSON形式の応答に含まれうる特定のキーとしては、例えば、「type」(会話タイプ)、「emotionScore」(感情指数)、「progress」(進捗率)、及び「content」(会話内容テキスト)等が挙げられる。
「type」(会話タイプ)は、生成AIシステム30が出力した応答が対話の中でどのような種類の内容であるかを示す識別子であり、例えば「chat」(通常の会話継続)、「evaluation」(評価情報を含む応答)、「advice」(アドバイスを含む応答)といった値を取りうる。「emotionScore」(感情指数)は、ユーザの発言又は対話全体の雰囲気から、生成AIシステム30が推定したユーザの感情の状態を数値化したものであり、例えばポジティブな感情が強いほど高い値を取りうる。「progress」(進捗率)は、特に情報収集フェーズにおいて、予め定められた観点又は確認項目に対する対話の網羅度、又は達成度合いを示す数値であり、例えば0%から100%の値を取りうる。基本プロンプト定義において、「未確認項目がある場合は、progressは必ず80%以下にする」といった制御ルールが設けられることもある。「content」(会話内容テキスト)は、ユーザに提示される主要なテキストメッセージそのものであり、AIメンターの実際のセリフが文字列として格納される。基本プロンプト定義において、このcontent部分のテキストも「必ず?をつけて質問形式にしてください」といった特定のスタイルに従うよう指示される場合がある。
また、content内のテキストについても、開始フェーズにおいては「親しみやすいキャラクターとして、絵文字を交えたカジュアルな口調で応答してください」といったスタイル指示、情報収集フェーズにおいては「質問は一つずつ、簡潔に提示してください」といった指示が含まれうる。クロージングフェーズにおいては「評価とアドバイスをそれぞれ明確に区別して提示し、ネクストアクションは番号付きリストで示してください」といった、より構造化された出力を求める指示も含まれる。従業員が指定した口調に関する指示、対話内容の要約生成に関する指示、特定のアドバイス内容に関する指示も、この出力フォーマット指示の一部として、又は関連する指示として、「基本プロンプト定義」に組み込まれうる。
社内情報データベース40は、生成AIシステム30がより文脈に即した、又は社内情報に基づいた的確な応答を生成するために参照しうる社内情報を記憶するデータベースである。例えば、サーバ20は、生成AIシステム30からの要求、現在の対話の文脈、又はユーザクエリに応じて、情報検索モジュール2035を介して社内情報データベース40から関連情報を抽出し、抽出された情報をプロンプトの一部として生成AIシステム30へ提供する(RAG(Retrieval-Augmented Generation)技術の活用)。ここには、例えば、社内規定、福利厚生情報、キャリアパス事例、過去の匿名化されたQ&Aナレッジ等が、検索可能な形式で格納されうる。ただし、この社内情報データベース40の利用は本実施形態の必須の構成ではなく、AIメンターサービスの基本的な悩み相談機能は、このデータベースなしでも提供されうる。
タレントマネジメントシステム50は、従業員の人事情報、スキル、キャリアプラン、過去の評価等を一元的に管理する既存のシステムである。サーバ20は、その記憶部に記録されたユーザの評価情報をタレントマネジメントシステム50に送信し、関連付けて記憶させる機能を有する。また、サーバ20は、従業員の評価情報に基づき従業員の評価が所定の基準値を満たした場合に、その情報を基に所定の報告先へ通知を行う機能も有しうる。
端末装置10、サーバ20、生成AIシステム30、社内情報データベース40、タレントマネジメントシステム50等の各情報処理装置又はシステムは、演算装置と記憶装置とを備えたコンピュータ90により構成され得る。コンピュータ90の基本ハードウェア構成、及び当該基本ハードウェア構成により実現されるコンピュータ90の基本機能構成のそれぞれについては後述する。なお、各構成要素について、コンピュータ90の基本ハードウェア構成及びコンピュータの基本機能構成と重複する説明は省略する。
<3.端末装置の構成>
図2は、端末装置10の機能的な構成例を表すブロック図である。図2に示すように、端末装置10は、通信部120と、入力装置13と、出力装置14と、必要に応じて音声処理部17と、マイク171と、スピーカー172と、カメラ160と、位置情報センサ150と、記憶部180と、制御部190とを備える。端末装置10に含まれる各ブロックは、例えば、バス等により電気的に接続される。本実施形態における端末装置10は、主として、ユーザである従業員がAIメンターサービスを利用するためのインタフェースを提供する。
通信部120は、端末装置10が他の装置と通信するための変復調処理等の処理を行う。通信部120は、制御部190で生成された信号に送信処理を施し、外部(例えば、サーバ20)へ送信する。通信部120は、外部から受信した信号に受信処理を施し、制御部190へ出力する。これにより、従業員が入力した悩み相談の内容、又は各種指示がサーバ20へ送信され、サーバ20からAIメンターの応答、又は評価、アドバイス等が端末装置10で受信される。
入力装置13は、端末装置10を操作するユーザ(従業員)が指示、又は情報を入力するための装置である。入力装置13は、例えば、操作面へ触れることで指示が入力されるタッチ・センシティブ・デバイス131等により実現される。端末装置10がPC等である場合には、入力装置13は、リーダー、キーボード、マウス等により実現されてもよい。入力装置13は、ユーザから入力される指示(例えば、悩み内容のテキスト入力、対話の終了要求、提示されたアドバイスへのフィードバック、コメントの口調指定等)を電気信号へ変換し、電気信号を制御部190へ出力する。なお、入力装置13には、例えば、外部の入力機器から入力される電気信号を受け付ける受信ポートが含まれてもよい。
出力装置14は、端末装置10を操作するユーザ(従業員)へ情報を提示するための装置である。出力装置14は、例えば、ディスプレイ141等により実現される。ディスプレイ141は、制御部190の制御に応じたデータ(例えば、AIメンターからの最初のコメント、情報収集のための質問、対話終了の確認、従業員の評価、アドバイス、対話内容の要約等)を表示する。ディスプレイ141は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、又は有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等によって実現される。
音声処理部17は、例えば、音声信号のデジタル-アナログ変換処理を行う。音声処理部17は、マイク171から与えられる信号をデジタル信号に変換して、変換後の信号を制御部190へ与える。また、音声処理部17は、音声信号をスピーカー172へ与える。音声処理部17は、例えば音声処理用のプロセッサによって実現される。マイク171は、音声入力を受け付けて、当該音声入力に対応する音声信号を音声処理部17へ与える。スピーカー172は、音声処理部17から与えられる音声信号を音声に変換して当該音声を端末装置10の外部へ出力する。本実施形態においては、従業員が音声で悩み相談を入力したり、AIメンターからの応答を音声で受け取ったりする場合に、これらの音声関連コンポーネントが利用されうる。
カメラ160は、受光素子により光を受光し、撮影信号として出力するためのデバイスである。本実施形態のAIメンターサービスにおいて、カメラ機能は必須ではないが、例えばビデオ通話形式での対話を行う拡張機能等を想定する場合には利用されうる。
位置情報センサ150は、端末装置10の位置を検出するセンサであり、例えばGPS(Global Positioning System)モジュールである。GPSモジュールは、衛星測位システムで用いられる受信装置である。衛星測位システムでは、少なくとも3個又は4個の衛星からの信号を受信し、受信した信号に基づいて、GPSモジュールが搭載される端末装置10の現在位置を検出する。位置情報センサ150は、端末装置10が接続する無線基地局の位置から、端末装置10の現在の位置を検出してもよい。本実施形態のAIメンターサービスにおいて、位置情報センサは必須ではないが、例えば地域、又は拠点に応じたサポート情報を提供する際等に利用されうる。
記憶部180は、例えば、メモリ15、及びストレージ16等により実現され、端末装置10が使用するデータ、及びプログラムを記憶する。記憶部180は、例えば、ユーザ情報181、及びAIメンターサービスを利用するためのアプリケーションプログラム、又は設定情報等を記憶する。
ユーザ情報181は、例えば、端末装置10を使用するユーザ(従業員)についての情報を含む。ユーザについての情報には、例えば、ユーザの氏名、年齢、住所、生年月日、連絡先、AIメンターサービスの利用履歴(ローカル保存される場合)、表示設定(文字サイズ、口調のデフォルト設定等)等が含まれる。
制御部190は、プロセッサ19が記憶部180に記憶されるプログラムを読み込み、プログラムに含まれる命令を実行することにより実現される。制御部190は、端末装置10の動作を制御する。制御部190は、プログラムに従って動作することにより、操作受付部191と、送受信部192と、提示制御部193としての機能を発揮する。
操作受付部191は、入力装置13から入力される指示、又は情報を受け付けるための処理を行う。具体的には、例えば、操作受付部191は、タッチ・センシティブ・デバイス131等から入力される指示、又は従業員の悩み相談に関するテキスト、対話の進行に関する選択、口調の指定といったAIメンターサービスに関する情報を受け付け得る。
また、操作受付部191は、マイク171から入力される音声指示を受け付ける。具体的には、例えば、操作受付部191は、マイク171から入力され、音声処理部17でデジタル信号に変換された音声信号を受信する。これにより、従業員は音声でAIメンターと対話することが可能となる。
送受信部192は、端末装置10が、サーバ20等の外部の装置と、通信プロトコルに従ってデータを送受信するための処理を行う。具体的には、例えば、送受信部192は、ユーザ(従業員)から入力された悩み相談の内容、対話の応答、各種指示(口調指定、終了要求等)をサーバ20へ送信する。また、送受信部192は、サーバ20から提供される情報(AIメンターからのコメント、質問、評価、アドバイス、要約等)を受信する。
提示制御部193は、サーバ20から提供された情報をユーザ(従業員)に対して提示するため、出力装置14を制御する。具体的には、例えば、提示制御部193は、サーバ20から送信されるAIメンターの応答、質問、対話の終了確認、従業員の評価、アドバイス、対話の要約といったAIメンターサービスに関する各種情報をディスプレイ141に表示させる。また、提示制御部193は、サーバ20から送信される情報をスピーカー172から出力させる。
<4.サーバの構成>
図3は、図1に示すサーバ20の機能的な構成例を示すブロック図である。図3に示すように、サーバ20は、通信部201、記憶部202及び制御部203としての各機能を発揮する。
通信部201は、サーバ20が外部装置、例えば端末装置10、又は生成AIシステム30、社内情報データベース40、タレントマネジメントシステム50との間で通信するための処理を行う。
記憶部202は、メモリ25及びストレージ26により実現され、サーバ20がAIメンターサービスを提供するために使用するデータ及びプログラムを記憶する。プログラムは、AIメンターサービスを提供するためのアプリケーションプログラムを含む。また、記憶部202は、例えば、評価テーブル2021を格納する。
評価テーブル2021には、従業員ごとの対話セッション、観点(やりがい、人間関係、給与等)、及びそれに対する評価テキスト、評価指標等が格納される。
制御部203は、プロセッサ29が記憶部202に記憶されたプログラムを読み込み、当該プログラムに含まれる命令を実行することにより実現される。制御部203は、サーバ20の動作を制御する。制御部203は、読み込んだプログラムに従って動作することにより、受信制御モジュール2031、送信制御モジュール2032、サービス処理モジュール2033、情報提示モジュール2034、及び情報検索モジュール2035としての各機能を発揮しうる。
受信制御モジュール2031は、サーバ20が外部装置から通信プロトコルに従って信号を受信する処理を制御する。例えば、端末装置10からの従業員のテキスト入力(クエリ)、対話終了の承諾等の操作情報を受信する。また、生成AIシステム30から出力された応答(チャットボットへの出力指示、評価、アドバイス、要約等のデータ、例えばJSON形式)も、サービス処理モジュール2033を介して間接的に、又は直接受信する。受信した情報は、関連する他のモジュール(主にサービス処理モジュール2033)に渡される。
送信制御モジュール2032は、サーバ20が外部装置へ通信プロトコルに従って信号を送信する処理を制御する。例えば、サービス処理モジュール2033からの指示に基づき、ユーザから入力されたクエリ、対話開始トリガー、若しくは必要なコンテキスト情報をプロンプトの一部として生成AIシステム30へ送信する処理、情報提示モジュール2034からの指示に基づき、生成AIシステム30からの応答(質問又はコメント等)を端末装置10(チャットボット)へ送信する処理、評価情報をタレントマネジメントシステム50へ送信する処理、又は所定の報告先への報告を制御する処理を実行する。
サービス処理モジュール2033は、生成AIシステム30との主要な通信インターフェースとしての役割を担う。具体的には、端末装置10から受信制御モジュール2031を介して受け取ったユーザの入力(クエリ)、対話開始のトリガー、又はその他必要な対話のテキスト情報をプロンプトの一部として整形し、送信制御モジュール2032を介して生成AIシステム30に入力する。また、生成AIシステム30から出力された応答(チャットボットへの表示用テキスト、又は評価・アドバイスといった構造化データ、対話制御に関する指示等、例えばJSON形式で返される)を受信制御モジュール2031を介して取得する。取得した応答データは、情報提示モジュール2034に渡されてチャットボットへの出力のために処理されたり、送信制御モジュール2032に渡されて記録又は外部連携のために処理されたりする。
情報提示モジュール2034は、サービス処理モジュール2033から受け取った、生成AIシステム30の出力内容(ユーザ向けの質問、コメント、評価、アドバイス、要約等)を、ユーザである従業員が利用するチャットボットインターフェース(端末装置10の表示画面等)に適した形式に整形し、送信制御モジュール2032を介して端末装置10に送信して提示する処理を行う。
情報検索モジュール2035は、社内情報データベース40から関連情報を検索し、生成AIシステム30が対話に活用するための情報を提供する処理を実行しうるオプションの機能である。この機能が利用される場合、具体的には、生成AIシステム30が、現在の対話の文脈、又はユーザから入力されたクエリを内部の基本プロンプト定義に基づいて分析し、社内情報の参照が必要であると判断した場合、その旨の要求、又は検索に必要な情報をサーバ20(例えばサービス処理モジュール2033)と連携する。サービス処理モジュール2033は、この生成AIシステム30からの要求、又は連携された情報に基づき、情報検索モジュール2035に社内情報データベース40の検索を指示する。情報検索モジュール2035は、指示された条件(例えば、特定のキーワード又はトピック)に従って関連情報を抽出し、サービス処理モジュール2033に提供する。サービス処理モジュール2033は、抽出された情報を次のプロンプトに含めて生成AIシステム30に送信する。これにより、生成AIシステム30は、より文脈に即した、又は社内情報に基づいた的確な応答を生成することが可能となる。情報検索モジュール2035は、ユーザから入力されたクエリが所定の要件を満たす場合、当該クエリと関連する情報を社内情報データベース40から検索し、サービス処理モジュール2033へ提供してもよい。所定の要件は、例えば、クエリが所定の文言を含む等である。ただし、この情報検索モジュール2035及び社内情報データベース40の利用は、AIメンターサービスの基本的な悩み相談機能にとって必須の構成ではなく、これらが存在しない場合でも、AIメンターサービスの主要な機能は提供されうる。
<5.データ構造>
システム1において用いられるデータ構造について説明する。なお、説明するデータ構造は一例であり、記載されていないデータを除外するものではない。また、同一のテーブルとして表現されるデータであっても、物理的には離れた記憶領域に記憶されていることもあり得る。本実施形態におけるAIメンターサービスで利用される主要なデータ構造として、社内情報データベース40、及び評価テーブル2021について説明する。
図4は、本実施形態においてAIメンターが応答を生成する際に参照しうる社内情報データベース40のデータ構造の一例を示す図である。この社内情報データベース40は、AIメンターが従業員に対してアドバイスを生成する際に、必要に応じて参照される社内情報を記憶することを目的とする。図4に示す社内情報データベース40は、例えば、情報カテゴリをキーとして、個別の情報項目を識別する情報項目ID、及び参照先を関連付けるデータ構造を持つ。
社内情報データベース40には、情報カテゴリ毎に、AIメンターが参照するのに適した単位で管理される複数の情報項目が蓄積されている。例えば、特定の情報カテゴリが「福利厚生」である場合、このカテゴリに含まれる情報項目の一つとして「育児休業制度に関する規定」があり、その内容として制度の概要、対象者、申請手続き等が記述されうる。これらの情報項目は、人事担当者、又はシステム管理者によって、必要に応じて適宜編集及び更新される。
項目「情報カテゴリ」は、例えば、個々の情報項目を特定のカテゴリ(例:「人事規定」、「福利厚生」、「業務手順」)毎にグループ化するための一意な識別情報(例:カテゴリ名、カテゴリコード)を記憶する項目である。
項目「情報項目ID」は、例えば、個々の情報項目を一意に識別するための識別情報(例:文書名、固有ID)を記憶する項目である。
項目「参照情報」は、例えば、項目「情報項目ID」で識別される情報項目の具体的な内容(テキストデータ等)、又はそれが格納されている場所(例:ファイルパス、URL、データベース内の特定レコード)を示す情報を記憶する項目である。
このように、図4に示す社内情報データベース40は、例えば、情報カテゴリと、そのカテゴリに属する個々の情報項目の識別情報、及び参照情報を関連付けて記憶する。これにより、サーバ20は、従業員との対話の内容に応じて関連性の高い社内情報を効率的に特定し、生成AIシステム30へのプロンプトに含めることが可能となる。
図5は、サーバ20の記憶部202に格納されうる評価テーブル2021のデータ構造の一例を示す図である。図5が示すように、評価テーブル2021は、例えば、対話ID、従業員ID、及び観点をキーとして、評価テキスト、及び評価指標の主要なカラムを有するテーブルとして構成されうる。このテーブルは、AIメンターとの対話を通じて生成された、従業員についてのやりがい、人間関係、給与等の各観点の評価を記憶する。
項目「対話ID」は、AIメンターとの一回の対話セッションを一意に識別するための識別子を記憶する項目である。
項目「従業員ID」は、評価対象の従業員を一意に識別するための識別子を記憶する項目である。
項目「観点」は、評価の対象となる観点を直接示す文字列、又はこれを一意に識別するための観点IDを記憶する項目である。
項目「評価テキスト」は、生成AIシステム30が、対話の内容に基づき、特定の観点について従業員の状況、又は感情、関連する対話の要点を説明するために生成したテキスト情報を記憶する項目である。これには、従業員との面接中の対話記録(例えば、文字起こしされたテキストデータ)が含まれてもよい。これは、従業員が対話の内容を振り返るための要約としても機能しうる。例えば、「やりがい」の観点であれば、「現在の業務において、新しい技術習得の機会が少ないことに不満を感じている様子が伺える」といった内容が記憶されうる。
項目「評価指標」は、生成AIシステム30が、対話の内容に基づき、特定の観点について従業員の状況を定量的に示すために生成した指標を記憶する項目である。指標の例としては、星評価(スターレーティング)、多段階の点数、満足度レベル等が挙げられる。
<6.動作>
本実施形態におけるシステム1の動作について説明する。図6は、本実施形態におけるサーバ20と生成AIシステム30との連携による処理の流れの一例を示すフローチャートである。サーバ20の制御部203は、例えば、受信制御モジュール2031、送信制御モジュール2032、サービス処理モジュール2033、情報提示モジュール2034、及び情報検索モジュール2035としての各機能を発揮しうる。本実施形態において、生成AIシステム30は、予め設定された基本プロンプト定義(これには、AIメンターとしての役割、会話の各フェーズの進行ロジック、情報収集の観点と確認項目、会話進行ルール、終了要件、評価基準、応答フォーマット(例:JSON)等の詳細な指示群が含まれる)を内部に保持又はアクセス可能であり、これに基づいて対話全体の流れ及び応答内容の生成を自律的に制御する能力を有するものとする。
ステップS11において、サーバ20は、ユーザである従業員が端末装置10を操作してAIメンターサービスを開始する指示を受け付ける(ユーザからの対話開始指示受付)。この指示は受信制御モジュール2031によって受け付けられ、サービス処理モジュール2033に連携される。
ステップS12において、サービス処理モジュール2033は、対話の「開始フェーズ」を起動するために、対話開始のトリガーとなるトリガー情報(例えば、ユーザ識別子又は対話開始コマンド)を含む初期プロンプトを生成AIシステム30に入力する。生成AIシステム30は、この入力と、内部に持つ基本プロンプト定義(特にAIメンターの役割設定、開始フェーズの進め方、又は「最近は調子どう?」といった軽い質問から開始する指示等)に基づいて、対話における最初のコメント(例えば、AIメンターの自己紹介、対話の目的説明、又は最初の問いかけ等)を自律的に生成し、サーバ20へ送信する。サービス処理モジュール2033は、生成AIシステム30から出力された最初のコメント(例えばJSON形式の応答データ)を受信制御モジュール2031を介して取得する。
ステップS13において、情報提示モジュール2034は、生成AIシステム30から出力された最初のコメントをチャットボットに適した形式に整形した後、送信制御モジュール2032を介して端末装置10へ送信し、従業員に提示させる(最初のコメント提示)。
ステップS14において、従業員が端末装置10から回答テキスト(クエリ)を入力すると、受信制御モジュール2031がユーザのクエリをサービス処理モジュール2033に渡す。サービス処理モジュール2033は、受信したユーザのクエリを、プロンプトとして生成AIシステム30に入力する。この際、生成AIシステム30が社内情報の参照が必要と判断した場合には、サービス処理モジュール2033が情報検索モジュール2035に社内情報データベース40からの関連情報抽出を指示し、抽出された情報を次のプロンプトに含めて生成AIシステム30に提供することもできる。
生成AIシステム30は、入力されたユーザクエリと、内部に持つ基本プロンプト定義に基づいて、自律的に対話の情報収集フェーズを進行させる。これには、基本プロンプト定義に従った現在の観点(例:やりがい)の設定、所定の観点に関する情報を引き出すための質問又は共感の言葉の生成(例:やりがいに関する確認項目「現在の仕事の手応え」等を聞き出す、会話進行ルール「各応答は必ず質問で終わらせる」に従う等)、対話の進捗(progress)又は感情スコア(emotionScore)といったメタデータの管理等が含まれる。特に、この対話の進捗(progress)の管理においては、「一方向進捗追跡システム」が活用されうる。このシステムは、ユーザの回答や行動によって進捗が後退することなく、常に前進又は維持される進捗指標を提供することを特徴とする。例えば、アンケート完了や各トピックの質問完了といったマイルストーンに基づいて進捗が明確に計算され、ユーザの回答修正や状態変更に対しても堅牢性を保つ。算出された進捗は、ユーザインターフェース上で視覚的に(例えばバーグラフとパーセンテージで)表示させてもよい。これにより、ユーザに対話の全体像と現在地を明確に示し、対話完了へのモチベーション向上や達成感の醸成に寄与する。また、生成AIシステム30は、情報収集フェーズにおいて、例えば初期のアンケートで低評価であった項目があった場合、対話を通じてその項目の具体的なエピソード又は要因を優先的に引き出す。
生成AIシステム30は、生成した返答をサーバ20へ送信する。サービス処理モジュール2033は、この返答(例えばJSON形式)を受信制御モジュール2031を介して取得する。情報提示モジュールが整形した返答は、送信制御モジュール2032を介して端末装置10へ提示され、従業員からのさらなる回答を待つ。ステップS14は、生成AIシステム30が基本プロンプト定義に定められた観点に関する全ての項目についてユーザから確認が取れ、かつ、各観点について少なくとも一つのエピソードが前記ユーザから得られたこと、又は、ユーザが前記対話の終了を希望したことを含む、対話の終了要件を満たすまで繰り返されうる(情報収集フェーズ)。情報収集フェーズでは、単なる段階評価では見えにくい具体的な悩みやネガティブな要因の詳細を明らかにし、評価値と実際の不満・課題との関連性を明確にすることを意図している。
ステップS15において、生成AIシステム30は、内部に持つ基本プロンプト定義とそれまでの対話内容に基づいて、情報収集フェーズが所定の終了要件を満たしたか否かを自律的に判断する。終了要件を満たしたと判断した場合、生成AIシステム30は、基本プロンプト定義(クロージングフェーズへの移行手順)に従い、従業員に対して対話を終了させる旨の確認を促すコメント(例:「さて、色々お話しいただいたばってん、そろそろまとめに入らせてもらってもよろしいですか?」といった確認)を生成し、サーバ20へ送信する。サービス処理モジュール2033は、この確認コメントを受信制御モジュール2031を介して取得する。情報提示モジュール2034は、整形した確認コメントを送信制御モジュール2032を介して端末装置10に提示させる(終了確認コメントをユーザに提示)。
ステップS16において、従業員が端末装置10を介して対話の終了を承諾した旨の情報が、受信制御モジュール2031を介してサービス処理モジュール2033に渡され、サービス処理モジュール2033から生成AIシステム30へその承諾情報が伝えられる。生成AIシステム30は、この承諾を受けて、内部に持つ基本プロンプト定義(これまでの対話内容の分析方法、評価観点、アドバイスの方向性、評価基準(例:6段階評価)、ネクストアクションの提案数(例:3つ)等を含む)に基づいて、従業員の状況又は悩みに関する評価及び今後の行動に関するアドバイスをそれぞれ自律的に生成し(例えばJSON形式で出力)、サーバ20へ送信する。生成AIシステム30は、対話内容を分析し、従業員が直面している可能性のある組織的制約(例:業務負荷、リソース不足)や個人的制約(例:スキル、時間、心理的障壁)を自動的に検出又は推定する。この検出された制約を考慮して、より現実的で実行可能なアドバイスを生成する。サービス処理モジュール2033は、この評価及びアドバイスを含む応答を受信制御モジュール2031を介して取得する(評価及びアドバイス取得)。また、提示される評価情報やアドバイスは、従業員が自身の状況を客観的に振り返り、具体的な行動に移すことを支援するための、実践的なフィードバックシートとしてまとめて提供されることもある。生成される評価情報は、従来の定量的アンケート調査だけでは捉えきれなかった課題の本質的要因や、非構造化された定性データの中に埋もれがちだった洞察を可視化し、データ収集と活用の分断を解消することを狙いの一つとする。
ステップS17において、サービス処理モジュール2033が取得した従業員の評価及びアドバイスは、記憶部202の従業員の評価情報として記録される(例えば評価テーブル2021に格納)。さらに、情報提示モジュール2034が整形した評価及びアドバイスは、送信制御モジュール2032を介して端末装置10へ送信され、従業員に提示される(評価とアドバイスの提示及び記録)。従業員自身への直接的なフィードバック(評価やアドバイスの提示)は、従来の仕組みでは不足しがちだった自己理解促進や気づきの提供を意図している。なお、生成AIシステム30は、基本プロンプト定義に基づき、対話の他の所定のタイミング(例:クロージングフェーズの最後)で、対話内容の要約を自律的に生成し、サーバ20を介して従業員に提示させることもできる。
また、送信制御モジュール2032は、従業員の評価情報、特に対話内容からシステム(例えば、情報処理層に備えられた緊急度判定エンジン)によって判定された緊急度が所定の基準値を満たす場合には、該当する従業員の存在、又はその評価の概要及び判定された緊急度(例:「高」、「中」、「低」等)を所定の報告先(上司、又は人事担当部署等)へ報告する。この際、所定の報告先からの要求に応じて、当該評価又は緊急度判定の根拠となった情報(例えば、具体的な発言内容や状況証拠)を報告先へ具体的に提示する処理も実行されうる。従業員の状況の緊急度が報告対象となるか否かを判断するための「所定の基準値」や判定ロジックは、例えば次に詳述するような、複数の判定基準に基づくエビデンスベースの緊急度判定によって決定されうる。
緊急度判定の具体的メカニズムとしては、まず、ユーザの対話内容から、特定のネガティブキーワード(例:ハラスメントを示唆する語句、強い退職意向を示す表現など)の出現頻度や種類、あるいは生成AIシステムによって推定されたユーザの感情スコアが所定の閾値を超えて否定的な状態であるか否かを評価する。次に、情報収集フェーズで得られた複数の評価観点における評価指標(例:星評価、点数)が、単独又は複合的に著しく低いか、あるいは前回比較において所定以上の悪化が見られるか否かを評価する。さらに、システムは、これらの明示的な情報だけでなく、対話の文脈全体から、従業員が深刻な悩み(例:メンタルヘルスの不調、業務遂行上の重大な支障など)を抱えている可能性を示唆する発言パターンや状況を検出することも試みる。これらの複数の判定基準 (キーワード、感情スコア、評価指標、発言パターン等)は、予め定義されたルールセットに基づいて、又は機械学習モデルを用いて総合的に分析・評価され、従業員の状況の緊急度が判定される。重要なのは、この判定が単なる結果だけでなく、その判定の根拠となった具体的な発言箇所、関連するデータ、又は状況証拠が明示的に記録され 、関連付けられることである。これにより、人事担当者や上司は、単に「緊急度が高い」という情報だけでなく、なぜそのような判断に至ったのかという背景情報(エビデンス)も合わせて把握でき、より客観的で迅速な状況理解と、適切な初期対応の判断を支援することが可能となる。
<7.画面例>
図7~図9を用いて、本開示における端末装置10のディスプレイ141の画面例を説明する。
図7は、ユーザである従業員が、生成AIシステム30を利用したAIメンターと悩み相談に関する対話を行うチャット形式のインタフェース画面の一例である。この画面は、端末装置10のディスプレイ141に表示され、従業員はAIメンターと対話を進めることができる。
領域1411、1413、1415、1417、1419は、AIメンター(生成AIシステム30)が従業員に対して送信したコメント、又は質問を表示する領域である。図7の例では、対話の開始フェーズ及び情報収集フェーズにおいて、AIメンターが従業員の状況又は悩み、具体的なエピソードを引き出すための質問を順次表示している。例えば、領域1411では「従業員がもっと気持ちよく働けるようにするために、どうしたらいいのかのヒントがほしいです。対話の準備はいいですか?」という対話開始の問いかけが表示され、領域1413では「最近はどんな感じですか?」、領域1415では「最近、仕事で何か大変なことがありましたか?」、領域1417では「最近、仕事で特にやりがいを感じられなかった具体的なエピソードを教えて下さい。」、領域1419では「それはやりたいことと、現実のギャップが大きいかもしれません。エンジニアとして具体的にどのような仕事がしたいのですか?」といった、従業員の悩み及び「やりがい」といった観点に関する情報を深掘りするための質問が表示されている。これらのコメント及び質問は、生成AIシステム30がユーザからのクエリと基本プロンプト定義に基づいて出力したものである。
領域1412、1414、1416、1418は、従業員がAIメンターの質問、又はコメントに対して入力し、送信した応答内容を表示する領域である。図7の例では、領域1412で「OK!」という対話開始への同意が、領域1414では「結構疲れています」という現在の状況が、領域1416では「仕事にやりがいを感じられません。」という具体的な悩みが、領域1418では「自分がやりたいことは、コンサルとではなく、もっとエンジニアよりの仕事ですが、全然できてないです。」という、やりがいを感じられない具体的な理由やエピソードが、それぞれ従業員によって入力され、表示されている。これらの従業員からの入力テキストはサーバ20に送信され、次のAIメンターからの応答を生成AIシステム30が生成するための情報となる。
本実施形態のインタフェース画面では、図7に示すような基本的なチャットボットの画面に加え、例えば、対話の開始前にAIメンターの口調を選択できる領域、又は対話のクロージングフェーズの最後に従業員の内省を促すために、対話の内容の要約を表示する領域等が設けられていてもよい。
図8は、AIメンターとの対話が終了した後、従業員に対して対話の内容に基づく評価及び推奨されるネクストアクションを提示する画面の一例である。この画面は、端末装置10のディスプレイ141に表示され、従業員は対話の振り返り及びAIからのフィードバックを確認することができる。
図8に示す画面の上部には、例えば「本日聞いた話を、まとめました。」といった、画面の目的を示す導入テキストが表示されうる。その下に、複数の評価領域が設けられる。領域1421は、所定の観点「やりがい」に関する評価を表示する領域である。ここには、観点名「やりがい」と共に、生成AIシステム30が対話の内容に基づいて算出した評価指標と、当該観点に関する従業員の状況、又は対話の要点をまとめた評価テキストが表示される。図8の例では、評価指数が、5段階の星評価にて示されている。
同様に、領域1422は、所定の観点「人間関係」に関する評価を表示する領域であり、観点名「人間関係」、評価指標、及び評価テキストが表示される。領域1423は、所定の観点「給与」に関する評価を表示する領域であり、観点名「給与」、評価指標、及び評価テキストが表示される。これらの評価指標及び評価テキストは、サーバ20からの指示に基づき、生成AIシステム30が対話の内容を分析して生成したものである。
領域1424は、従業員に対して推奨される具体的な行動計画、又は助言である「ネクストアクション」を表示する領域である。図8の例では、「ネクストアクション」という見出しの下に、番号付きリスト形式で複数のアクションが表示されている。これらのネクストアクションは、サーバ20からの指示に基づき、生成AIシステム30が対話の内容及び評価結果を総合的に判断して、従業員一人ひとりに合わせて生成したものである。
図9は、特定の従業員に関する満足度評価及び退職確率の情報を一覧表示する画面の一例である。この画面は、管理者が従業員の状況を把握し、適切な対応を検討するために利用される。
領域1431は、「満足度」として示される、従業員の各観点における満足度評価をテーブル形式で表示する領域である。このテーブルには、観点として「やりがい」、「人間関係」、「給与」が列挙されている。各観点に対して、「本人」の評価スコアと、「上長」の評価スコアがそれぞれ表示される。図9の例では「6/6」、「5/6」、「1/6」等といった6段階のうちの何段階であるかで評価スコアが表示されている。「本人」のスコアは、例えばAIメンターとの対話を通じて収集された情報に基づいて生成AIシステム30が出力した評価指標であり、「上長」のスコアは、例えば上長による評価、又は目標値等が表示されうる。各スコアの下には、「前回比」として、前回評価時からの変動が表示され、時系列での変化を把握することが可能となっている。なお、図示されていないが、各満足度スコアに関連して、その評価に至った「要因」を表示するためのインタフェースが設けられていてもよい。
領域1432は、「退職確率」として示される、当該従業員の退職する可能性の度合いを表示する領域である。領域1432には、例えば、サーバ20が、記憶部に保存された従業員との評価情報を基に推定した退職に関する指標が表示されうる。この退職確率は、AIメンターとの対話の内容、又は各観点の満足度評価等を総合的に分析して算出されたものであり、管理者が従業員の離職リスクを早期に察知するための重要な情報となる。
このように、図9に示す画面を通じて、管理者は配下従業員の「やりがい」、「人間関係」、「給与」といった複数の観点における満足度の現状及び変化、さらには退職の可能性を客観的なデータに基づいて把握することができる。これらの情報は、タレントマネジメントシステム50に集約され、従業員への適切なフォローアップ、1対1面談の質の向上、配置転換又は育成計画の検討等、人事戦略上の意思決定を支援するために活用される。また、特定の基準(例えば、満足度が著しく低い、退職確率が高い等)を満たす従業員については、システムから所定の報告先へ通知が行われる契機となりうる。
<8.小括>
以上のように、システム1では、サーバ20は、まずユーザである従業員との間で、対話の開始フェーズにおいて、従業員から個人情報を聞き出すための初期コメントを生成AIシステム30に生成させる。次に、情報収集フェーズにおいて、従業員の応答に基づき、所定の観点(やりがい、人間関係、給与等)に関する情報を引き出すための質問、又は応答を生成AIシステム30に生成させる。そして、対話が所定の終了要件を満たし、従業員の同意が得られた後、クロージングフェーズにおいて、それまでの対話の内容に基づいて従業員の評価及び具体的アドバイスを生成AIシステム30に生成させ、これらを従業員に提示する。このように、構造化された対話フェーズと、観点に基づく情報収集、個別化された評価とアドバイスの生成を組み合わせることで、従業員が抱える悩みに対して、より深く、かつ効率的に相談に応じることが可能となる。これにより、悩み相談を可能なチャットボットシステムを提供することができる。さらに、従業員自身への直接的なフィードバック(評価やアドバイスの提示)は、従来の仕組みでは不足しがちだった自己理解促進や気づきの提供を意図している。AIメンターとの対話や、提示される評価・アドバイス・要約を通じて、従業員は自身の状況や感情、課題について客観的な視点から新たな気づきを得ることができ、それが具体的な行動指針を見出す上で役立つ。
[システム1で得られた評価情報の活用例]
次に、AIメンターサービスによって得られた評価情報の活用例について説明する。生成される面談支援情報は、従来の人事・上司が介入すべき優先度判定の客観性の欠如といった課題に対応するため、AIによる分析に基づいた客観的な観点を提供する。また、上司向けの面談支援情報は、生成AIシステム30と人間の面談者との連携を強化し、従来のフォローアップ面談のための具体的ガイダンス不足を補うことを目的とする。
ここでは、AIメンターサービスによって従業員から取得された悩みに対する評価情報に、従業員の性格特性又は成長イメージといった従業員の思考に関する情報を組み合わせて、サーバ20Aが生成AIシステム30に指示を出し、面談で確認すべき「第1観点」、又は個別最適化された面談支援情報(開始方法、解決策の探り方、アクションの促し方、クロージング方法を含む)を生成させ、当該従業員の上司が行う1対1面談をより効果的にするための面談支援情報を生成させる例を説明する。第1観点とは、AIメンターサービスによって収集された従業員の評価情報を基に、生成AIシステム30が出力する、上司が部下との1対1面談において特に確認したり深掘りしたりすべき複数の重要なポイント又はテーマであって、従業員のやりがいを感じる要因の特定、従業員の新たな挑戦に対する興味若しくは希望の確認、及び従業員の現在の業務内容の見直しのうち少なくともいずれか一つを含む。また、本活用例では、面談支援情報として、「開始方法」「解決策の探り方」「アクションの促し方」「クロージング方法」の項目からなる面談支援情報を生成する例を説明するが、面談支援情報として生成する項目はこれらに限られない。また、AIメンターとの対話から抽出された従業員の制約(例:時間がない、特定のスキルがない等)、又は上司側の制約(例:面談時間が短い等)を考慮して、現実的な面談の進め方や話題の優先順位を提案してもよい。
面談支援情報に含まれる各項目の概要は次の通りである。「開始方法」(アイスブレイク)は、面談の開始にあたり、上司が部下とのコミュニケーションを円滑に始めるための導入段階でのアドバイスである。生成AIシステム30は、部下の性格特性(例:FFS診断結果)、成長イメージ、又はAIメンターとの対話で得られた情報(例:部下が表明した特定の感情又は状況)を踏まえ、効果的な面談の開始方法、又は具体的な声かけの例を提案する。例えば、「最近、仕事にやりがいを感じる時間が少ないと聞いたけど、具体的にどんな時にそう感じる?」といった現状把握を促す問いかけ、又は「責任感が強いからこそ、いろいろ抱えちゃってるんじゃないかなって感じて。」といった部下の特性に配慮した言葉かけ等が提案され、部下が安心して話しやすい雰囲気を作ることを目的とする。
「解決策の探り方」は、面談の本論部分であり、事前に特定された観点(例:部下の悩み、又は生成AIシステム30が提示した確認すべき重要ポイント)について、上司と部下が共に解決策を見つけ出すための段階でのアドバイスである。生成AIシステム30は、部下の性格又は成長イメージを考慮し、上司がどのように質問し、部下と共にどのように解決策を探るかについて、具体的な問いかけの例、又はアプローチ方法を提示する。例えば、「今の業務内容を少し見直して、あなたがもっと楽しめるようにできる部分があるか一緒に考えてみよう」といった協調的な提案、又は「今の状況で最も改善したい点は何?」といった問題点を明確化する質問等が、部下の特性に合わせて提案される。解決策の提案においては、組織的制約を考慮しない理想論や自助努力のみに頼る一面的アドバイスに陥ることを避け、より具体的で実行可能なアプローチを提示するよう設計されている。
「アクションの促し方」は、「解決策の探り方」で話し合われた内容、又は見出された解決策を、部下が実行可能な具体的な行動計画に落とし込み、その実行を促す段階でのアドバイスである。生成AIシステム30は、話し合いの結果をどのような具体的なアクションに繋げるかのヒント、部下にアクションを促す際のポイント、さらには部下の成長イメージ、又は特性に合わせた具体的な行動提案(例:「今の業務の中で、少しでも新しい視点を取り入れる方法を考えてみようか」といった無理のない範囲での挑戦)等を提示する。
「クロージング方法」では、面談を効果的に締めくくるための最終段階である。生成AIシステム30は、部下の特性、成長イメージ、又は面談で話し合われた内容等を踏まえて、面談を総括するための言葉かけの例、合意したアクションの再確認、又は次回のフォローアップに関する提案等を提示する。例えば、「自分のペースを大切にしながら、少しずつ新しいことに挑戦していこう。無理しなくていいからね」といった相手の成長イメージを尊重する言葉かけ、又は「今日話してくれたアイデア、面白いと思う!すぐに試してみよう。」といった行動を後押しする言葉かけ等が、部下のタイプに応じて提案される。
本活用例において、図1に示したシステム1と同様のシステム構成を利用できる。ただし、制御部203における情報検索モジュール2035は任意の構成である。サーバ20Aは、本活用例を実行するためのプログラムを記憶部202に有し、プロセッサ29がこれを実行する。ただし、図10に示すように、サーバ20Aの記憶部202Aには、AIメンターサービスから得られた従業員の評価情報を格納する評価テーブル2021に加え、本活用例に特有のデータとして、思考情報テーブル2022、面談支援用指示文テーブル2023、及び面談支援情報テーブル2024等が記憶されうる。なお、AIメンターサービスで参照される基本プロンプト定義は、生成AIシステム30の内部に保持されるか、サーバ20Aの記憶部202Aから適宜提供される。
<活用例におけるデータ構造>
次に、本活用例で用いられる主要なデータ構造について説明する。
図11は、サーバ20Aの記憶部202Aに格納されうる、又はタレントマネジメントシステム50等外部システムから取得されうる思考情報テーブル2022のデータ構造の一例を示す図である。このテーブルは、従業員の性格及び成長イメージといった、面談の進め方をパーソナライズするために有用な情報を記憶する。図11が示すように、思考情報テーブル2022は、例えば、従業員IDをキーとして、性格パラメータ情報、及び成長イメージ情報を関連付けるデータ構造を持つ。
項目「従業員ID」は、対象となる従業員を一意に識別するための識別子を記憶する項目である。
項目「性格パラメータ情報」は、従業員の性格特性を記憶する。例えば、FFS(Five Factors & Stress)診断等の特定の手法に基づいて得られた複数のパラメータ値、又はそれらを解釈したテキスト記述等が格納されうる。従業員の性格を表す情報としては、FFS診断以外にも、他の標準化された性格検査の結果、上司や同僚などからの多面的な評価に基づく性格に関する記述的フィードバック、又は従業員自身による自己分析や日々の行動記録から推定される性格傾向など、多様な情報源から得られる情報が広く含まれうる。FFS(Five Factors & Stress)診断とは、個人の思考行動特性又はストレス反応を「五つの因子」(一般的に凝縮性・受容性・弁別性・拡散性・保全性)に基づいて分析する理論及び診断手法であって、個人の潜在的な強み又は個性を客観的に把握し、自己理解又はコミュニケーション改善、能力開発等に用いられる。
項目「成長イメージ情報」は、従業員が志向するキャリア成長のイメージ又は価値観を示す情報を記憶する。例えば、「急速な成長を望む」、「着実な成長を望む」、「現状維持を望む」といった区分、又はそれに関する自由記述等が、所定のサーベイ結果に基づいて格納されうる。
図12は、本活用例において、サーバ20Aの記憶部202Aに格納されうる面談支援用指示文テーブル2023のデータ構造の一例を示す図である。図12が示すように、面談支援用指示文テーブル2023は、例えば、指示文IDをキーとして、指示種別、及び指示文(プロンプトテンプレート)のカラムを有するテーブルとして構成されうる。このデータベースは、AIメンターサービスで得られた従業員の評価情報及び別途取得される従業員の思考に関する情報に基づき、サーバ20Aが上司向けの面談支援情報(第1観点(面談で確認すべき観点)及び面談の進め方)を生成AIシステム30に生成させるための指示内容(プロンプトの構成要素)を定義する。
項目「指示文ID」は、上司向け面談支援情報生成における各指示タスク(例:「第1観点(面談で確認すべき観点)生成タスク」、「面談進め方生成タスク」)に応じた指示文を一意に識別するための識別子を記憶する項目である。
項目「指示種別」は、当該指示文が、例えば「第1観点(面談で確認すべき観点)の生成」を目的とするものか、「面談の進め方の生成」を目的とするものかといった、指示の種別を示す。
項目「指示文(プロンプトテンプレート)」は、サーバ20Aが生成AIシステム30に対するプロンプトを構成する際に組み込まれる指示文の雛形を記憶する項目である。具体的に、指示文はプロンプトに含めるべき文字列情報であり、以下に説明する役割指示、回答生成指示、参照情報指定(AIメンターサービスから得られた評価情報又は従業員の思考に関する情報等を挿入)、クエリ情報指定(この場合は上司からの具体的な要求又は状況設定等)、出力フォーマット指示といった各部分の情報を含みうる。
役割指示は、LLMが回答を生成する際の役割(立場)を指示するテキストを含む。役割指示は、例えば、「あなたは経験豊富なマネージャー育成コンサルタントです。部下の状況と特性を深く理解し、上司が効果的な面談を行えるよう具体的アドバイスを生成してください。」のように、面談支援情報の生成に適したペルソナを指定する文章を含む。
回答生成指示は、LLMに対してどのような回答(面談支援情報)を生成すべきかを指示するテキストを含む。例えば、「指示種別」が「第1観点生成」の場合、回答生成指示は「以下の従業員の評価情報に基づいて、上司が次回の面談で部下の悩み解決と成長支援のために深掘りすべき重要な観点を、具体的な問いかけの形で3つ提案してください。」といった指示が含まれうる。また、「指示種別」が「面談進め方生成」の場合、回答生成指示は「提示された『確認すべき第1観点』及び以下の『従業員の思考に関する情報』に基づいて、面談の始め方、各観点に対する解決策の探り方、具体的なアクションの促し方、そしてクロージングに至るまでの具体的な面談の進め方を、従業員の性格特性と成長イメージに合わせて提案してください。」といった指示が含まれうる。これらの指示に基づき、サーバ20Aは適切なプロンプトを組み立て、生成AIシステム30に送信する。
参照情報指定は、サーバ20Aが生成AIシステム30へ送信するプロンプトに入力される、サーバ20Aの記憶部202に記憶された従業員の評価情報、及び思考情報テーブル2022から取得された従業員の性格特性・成長イメージ等をLLMが認識・利用するための指示、又は当該情報を挿入する場所を示すプレースホルダーを含む。例えば、「従業員の評価情報要約:{評価情報要約テキスト}」「従業員の性格特性(FFS):{FFS分析結果}」「従業員の成長イメージ:{成長イメージ情報}」といった形式で、具体的なデータがプロンプトに組み込まれる。
クエリ情報指定は、プロンプトに入力される、この面談支援情報生成のトリガーとなった上司からの特定の要求、対象となる部下従業員のID等、処理の実行に必要なパラメータをLLMが認識・利用するための指示、又は当該情報を挿入する場所を示すプレースホルダーを含む。
クエリ出力フォーマット指示は、LLMが生成する面談支援情報(第1観点及び面談の進め方)の出力フォーマット、構造、スタイル、又は回答に含めるべき要素に関する指示を含む。例えば、「第1観点は番号付きリストで提示してください。」、又は「面談の進め方は、『面談の始め方』『解決策の探り方』『具体的なアクション』『クロージング』の各項目に分けて、それぞれ具体的な推奨フレーズを交えながら記述してください。」といった指示が含まれうる。
図13は、サーバ20Aの記憶部202Aに格納されうる面談支援情報テーブル2024のデータ構造の一例を示す図である。このテーブルは、思考情報テーブル2022の情報に基づき、生成AIシステム30が出力した上司向けの面談支援情報内容を記憶する。面談支援情報テーブル2024は、例えば、対象従業員IDと関連付けて、生成された第1観点(面談で確認すべき観点)、及び具体的な面談支援情報を記憶する。
項目「対象従業員ID」は、この面談対象となる部下従業員を一意に識別するための識別子を記憶する項目である。
項目「第1観点リスト」は、生成AIシステム30が出力した、面談で確認すべき複数の第1観点のリスト又は各観点のテキスト情報を記憶する。例えば、「やりがいを感じる要因の特定」、「新しい挑戦に対する興味や希望の確認」といった観点が複数格納されうる。
項目「面談支援情報」は、生成AIシステム30が出力した、具体的な面談の進め方に関する構造化された情報又はテキスト情報を記憶する。これには、少なくとも「面談の始め方」、「解決策を探るステップ」、「具体的なアクションを促すステップ」、「クロージングのステップ」に関する具体的な指示、又は推奨されるコミュニケーション方法が含まれる。この情報は、例えばJSON形式でステップごとの詳細な指示を格納したり、整形されたテキストとして格納されたりしうる。
<活用例における動作>
次に、サーバ20Aが実行する、上司向け面談支援情報生成に関する処理の流れについて説明する。図14は、本活用例における処理の流れの一例を示すフローチャートである。本処理は、例えば、従業員の上司が、部下との面談を効果的に行うための支援をシステムに要求した際、又は所定のタイミング(例:定期的な面談前)で起動されうる。サーバ20Aの制御部203は、サービス処理モジュール2033を中心として、受信制御モジュール2031、送信制御モジュール2032、及び情報提示モジュール2034等のモジュールが連携し、本活用例における面談支援情報を出力させるためのプロンプトを構成し、生成AIシステム30との間で情報の送受信を行うことにより、本フローの処理を実行する。
ステップS21において、サービス処理モジュール2033は、面談対象となる部下従業員に関する評価情報を取得する。この評価情報は、AIメンターとの対話を通じて得られた当該ユーザの悩みに関するものであり、例えば、サーバ20Aの記憶部202Aに評価テーブル2021等として記憶されている。具体的には、AIメンターによって生成された、やりがい、人間関係、給与等の観点に関する評価テキストや指標、又は従業員へ提示されたアドバイス(ネクストアクション)等が含まれうる。提案されるアドバイスは、単一の視点に偏るのではなく、従業員自身が個人として取り組めること(個人レベル)、他者との関係性の中で改善できること(対人レベル)、そして必要に応じてチームや組織全体としての取り組みに繋がるような提案(組織レベル)といった、多層的な解決アプローチを含むよう構成されうる。また、提案される解決策やネクストアクションは、一つの方法に限定されず、状況に応じて実行可能な複数の代替案が提示される場合がある。また、提案されたアクションを実行に移しやすくするために、具体的なステップに分解された段階的な実施計画(例えば、短期的に取り組めること、中長期的に目指すことなど)として提示されることもある。
ステップS22において、サービス処理モジュール2033は、ステップS21で取得した従業員の評価情報と、記憶部202Aの面談支援用指示文テーブル2023に予め定義された、複数の第1観点の出力を指示する指示文とを含む第1プロンプトを生成する。そして、サービス処理モジュール2033は、送信制御モジュール2032を介して、この第1プロンプトを生成AIシステム30に入力し、生成AIシステム30から複数の第1観点を出力させる。出力された複数の第1観点は、受信制御モジュール2031を介して受信され、サービス処理モジュール2033によって後続の処理で使用するために保持される。
ステップS23において、サービス処理モジュール2033は、対象従業員の思考に関する情報を取得する。この思考に関する情報には、少なくとも、当該従業員の性格を表す情報(例えば、FFS診断結果等の個人特性情報)と、当該従業員の成長イメージを表す情報(例えば、成長への価値観に関するサーベイ結果)とが含まれる。これらの思考に関する情報は、タレントマネジメントシステム50、又はサーバ20Aの記憶部202Aに別途記憶されている思考情報テーブル2022等から取得されうる。
ステップS24において、サービス処理モジュール2033は、ステップS22で出力された複数の第1観点、ステップS23で取得した従業員の思考に関する情報、及び記憶部202Aの面談支援用指示文テーブル2023に予め定義された、面談支援情報の出力を指示する指示文とを含む第2プロンプトを生成する。サービス処理モジュール2033は、送信制御モジュール2032を介して、この第2プロンプトを生成AIシステム30に入力し、生成AIシステム30から面談支援情報を取得する。出力された面談支援情報は、受信制御モジュール2031を介して受信され、サービス処理モジュール2033によって後続の処理で使用するために保持される。
面談支援情報には、少なくとも、面談の始め方(アイスブレイク)、解決策の探り方、アクションを促す方法、及びクロージングに関するアドバイスが含まれ、これらは従業員の性格特性(例えば、FFS(Five Factors & Stress)診断に基づく凝縮性(A特性)、受容性(B特性)、弁別性(C特性)、拡散性(D特性)、保全性(E特性)といった特性)及び当該従業員が志向する成長イメージ(例えば、「がむしゃら」、「着実」、「ゆるやか」、「現状維持」といった区分)の組み合わせに応じて、よりきめ細かく個別最適化されたものとなりうる。 この個別最適化は、生成AIシステム30が、対象従業員のFFS特性と成長イメージの情報を統合的に分析し、それぞれの組み合わせパターンに最適なコミュニケーションシナリオを生成することによって実現される。生成AIシステム30は、従業員の性格を表す情報又は成長イメージを表す情報(価値観)に基づいて、面談支援情報を出力する第1観点の選定・優先順位付けをしてもよい。
ステップS25において、サービス処理モジュール2033は、ステップS24で取得した面談支援情報を、ユーザの上司へ提示するために、サーバ20Aの記憶部202A(例えば、面談支援情報テーブル2024として)、又は送信制御モジュール2032を介してタレントマネジメントシステム50に、対象従業員及びその上司と関連付けて記憶させる。その後、情報提示モジュール2034は、記憶された面談支援情報(又はサービス処理モジュール2033から直接連携された面談支援情報)を、上司が利用する端末装置10の画面に適した形式に整形し、送信制御モジュール2032を介して当該端末装置10に送信して提示する。これにより、当該上司は、対象従業員との面談時に必要に応じて面談支援情報を閲覧することができる。
<具体的活用事例>
サーバ20Aによって生成される上司向けの面談支援情報は、実際の多様なマネジメントシーンで活用されうる。以下に具体的な事例を挙げる。
事例1:多忙な上司と部下のコミュニケーション課題への対応
ある新入社員(部下)が、上司が常に多忙で相談時間が確保できず、1対1面談も頻繁にキャンセルされることに悩んでいる状況を、AIメンターとの対話で表明したとする。この情報を基に、サーバ20Aは、上司に対し次のような面談支援情報を生成し提示する。確認すべき観点(第1観点)の提案として、例えば、「部下が感じる相談タイミングの確保の難しさ」「過去に部下との短時間コミュニケーションで効果的だった方法」「部下が求める指導又はフィードバックの具体的な種類」等を提案する。面談の進め方の提案として、例えば、時間的制約を考慮し、「短時間で成果を出すための面談プラン」を提案する。また、部下の性格特性(例えば、FFS診断におけるD特性(拡散性)が強いと分析された場合)を考慮し、「すぐに実行可能な具体的なアクションプランを中心に議論する」といったアプローチを推奨する。
事例2:部下のスキル不足に起因する業務負荷増大への対応
ある中堅社員(部下)が、新システム導入に伴うスキル不足から業務負荷が増大し、恒常的な残業に悩んでいる状況を、AIメンターとの対話で明らかにしたとする。サーバ20Aは、上司に対し次のような面談支援情報を生成し提示する。確認すべき観点(第1観点)の提案として、例えば、「部下が具体的に感じている学習上の障壁」「部下が過去に効果を実感した学習方法」「本人が認識している業務の優先順位」等を提案する。面談の進め方の提案として、例えば、「短期的な業務負荷軽減策と長期的なスキル向上策のバランスを探るための面談構成」を提案する。さらに、部下の性格特性(例えば、FFS診断におけるE特性(保全性))と成長イメージ(例えば、「着実な成長」を志向)を考慮し、「一つ一つのスキルを確実に習得していく方法を共に検討する」といった対話の進め方を推奨する。
事例3:多様な性格特性を持つ部下を抱える新任マネージャーの支援
新任マネージャーが、それぞれ異なる性格特性を持つ複数の部下との効果的な1対1面談の進め方に苦慮しているとする。サーバ20Aは、各部下とのAIメンターサービスにより出力された評価情報及び別途取得された性格特性・価値観情報(FFS特性及び成長イメージ等)を基に、新任マネージャーに対し、部下ごとにパーソナライズされた次のような面談支援情報(面談の進め方)を生成し、FFS特性に応じたコミュニケーションを提案する。面談の始め方(アイスブレイク例)としては、例えば、E特性の部下に対しては「最近、仕事にやりがいを感じる時間が少ないと聞いたけど、具体的にどんな時にそう感じる?」といった、現状を把握し改善点を見つけるための問いかけから始めることを提案する。解決策を探る(質問例)としては、D特性の部下に対しては「新しいプロジェクトに参加することで、どんなスキルを伸ばしたいと思っている?」といった、新たな挑戦への興味を引き出す質問を提案する。具体的なアクションの提案としては、「ゆるやかな成長イメージ」を持つE特性の部下に対しては、「今の業務の中で、少しでも新しい視点を取り入れる方法を考えてみようか」といった、無理のない範囲での新しい挑戦を提案する。クロージング例としては、「ゆるやかな成長イメージ」を持つE特性の部下に対しては、「自分のペースを大切にしながら、少しずつ新しいことに挑戦していこう。無理しなくていいからね」といった、相手の成長イメージを尊重する言葉かけで締めくくることを提案する。 これにより、新任マネージャーであっても、各部下の特性に合わせた効果的なコミュニケーションを短期間で実践できるよう支援する。
これらの活用例に示すように、AIメンターを通じて得られた従業員の内面的な情報と、個人の性格特性、又は価値観といった情報を組み合わせることで、上司は画一的ではない、個々の部下に最適化されたコミュニケーションを行うための具体的な手がかりを得ることができ、より質の高い1対1面談の実施に貢献する。これにより、団体のメンバーの悩みをチャットボットシステムにより取得し、取得した情報を団体活動のために活用できる。
<活用例における画面例>
図15は、特定の部下従業員との面談に際して、上司に提示される面談支援情報画面の一例である。この画面には、AIメンターとの対話を通じて得られた情報、及び別途収集された従業員の特性情報に基づいて、サーバ20Aが生成AIシステム30に生成させたアドバイス内容が表示される。
画面上部には、対象となる部下従業員の氏名、又は面談日時等の基本情報が表示されうる。領域1441は、AIメンターが従業員との対話から抽出した悩み又は懸念事項の要約を表示する領域である。これにより、上司は面談前に部下の現在の主要な関心事を把握できる。
領域1442は、「個人の性格特性」として、対象従業員の性格分析結果(例えば、FFS診断に基づく特性:凝縮性、受容性、弁別性、拡散性、保全性の傾向等)を表示する領域である。
領域1443は、「個人の成長イメージ」として、対象従業員が志向するキャリア成長のタイプ(例えば、がむしゃら、着実、ゆるやか、現状維持等)を表示する領域である。
領域1444は、「部下の悩み解決につなげるために面談で深掘って確認すべき観点」として、サーバ20Aが生成AIシステム30に生成させた、今回の面談で特に確認すべき重要なポイント(第1観点)を提示する領域である。例えば、「現在の業務内容の見直しについて」「新しい挑戦に対する本人の興味又は希望の度合い」「やりがいを感じる具体的な要因」といった観点がリストアップされうる。
領域1445は、面談支援情報として、具体的なコミュニケーションプランを提示する領域である。これには、例えば、面談の始め方(アイスブレイク)、解決策の探り方、クロージングといったサブセクションが含まれうる。より具体的に、面談の始め方(アイスブレイク)としては、領域1442及び領域1443で示された部下の性格特性及び成長イメージに基づき、効果的な面談の開始方法、又は声かけの例を提示される。例えば、A特性(凝縮性)の部下には「責任感が強いからこそ、いろいろ抱えちゃってるんじゃないかなって感じて。」といった配慮を示す言葉かけをすることが提示される。解決策の探り方としては、領域1444で提示された観点について、部下の性格、及び成長イメージを踏まえつつ、どのように質問し、共に解決策を探るかの具体的な問いかけ例、又はアプローチ方法が提示される。例えば、C特性(弁別性)の部下には「今の状況で最も改善したい点は何?」といった具体的な問題点を明確化する質問が提案される。具体的なアクションとしては、話し合いの結果、どのような具体的なアクションに繋げるかのヒント、又はアクションを促す際のポイントが提示される。クロージングとしては、部下の特性、成長イメージ、又は話し合われた内容を踏まえて、面談を効果的に締めくくるための言葉かけ、又は次回のフォローアップに関する提示等がなされる。例えば、D特性(拡散性)で「がむしゃら」な成長を望む部下には、「今日話してくれたアイデア、面白いと思う!すぐに試してみよう。」といった行動を後押しする言葉かけすることが提示される。
以上のように、本活用例では、サーバ20Aは、まずAIメンターとの対話を通じて得られた従業員の悩みに関する「評価情報」及び当該従業員の「思考に関する情報」(性格特性又は成長イメージ等)を取得する。次に、これらの多角的な情報を基に、サービス処理モジュール2033が中心となり、生成AIシステム30に指示を出し、面談で重点的に確認すべき複数の「第1観点」を生成させ、続いてこの「第1観点」と「思考に関する情報」を組み合わせることで、具体的な面談の進め方(面談の始め方、解決策の探り方、アクションの促し方、及びクロージング方法を含む)が示された、従業員ごとに個別最適化された「面談支援情報」を生成させる。そして、生成された「面談支援情報」を、従業員の上司による1対1面談の準備又は実施に活用できるよう提示するために記憶する。このように、生成AIが従業員一人ひとりの詳細な情報に基づいて面談の具体的な指針又は問いかけのヒントを上司へ提供することで、単に生成AIが一般的な解決策を提示する場合に生じがちな、表面的で「刺さりづらい」回答に陥ることを避けられる。その結果、上司は各従業員の特性又は状況に深く寄り添った、より効果的で質の高い1対1面談を実施することが可能となる。また、本発明の活用例における面談支援では、組織規模の拡大や価値観の多様化に伴い困難となっていた、従業員の多様な性格・価値観に対応する個別化コミュニケーションの課題に対処できる。また、部下の性格特性や価値観をデータとして効果的に活用し、画一的ではない、個々の心理状態に合わせたコミュニケーションを支援することで、エンゲージメント低下や離職リスクの軽減を図れる。
<コンピュータの基本ハードウェア構成>
図16は、コンピュータ90の基本的なハードウェア構成を示すブロック図である。コンピュータ90は、プロセッサ901、主記憶装置902、補助記憶装置903、通信IF991(インタフェース、Interface)を少なくとも備える。これらは通信バスにより相互に電気的に接続される。
プロセッサ901とは、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアである。プロセッサ901は、演算装置、レジスタ、周辺回路等から構成される。
主記憶装置902とは、プログラム、及びプログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものである。例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。
補助記憶装置903とは、データ及びプログラムを保存するための記憶装置である。例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
通信IF991とは、有線又は無線の通信規格を用いて、他のコンピュータとネットワークを介して通信するための信号を入出力するためのインタフェースである。
ネットワークは、インターネット、LAN、無線基地局等によって構築される各種移動通信システム等で構成される。例えば、ネットワークには、3G、4G、5G移動通信システム、LTE(Long Term Evolution)、所定のアクセスポイントによってインターネットに接続可能な無線ネットワーク(例えばWi-Fi(登録商標))等が含まれる。無線で接続する場合、通信プロトコルとして例えば、Z-Wave(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等が含まれる。有線で接続する場合は、ネットワークには、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等により直接接続するものも含む。
なお、各ハードウェア構成の全部又は一部を複数のコンピュータ90に分散して設け、ネットワークを介して相互に接続することによりコンピュータ90を仮想的に実現することができる。このように、コンピュータ90は、単一の筐体、ケースに収納されたコンピュータ90だけでなく、仮想化されたコンピュータシステムも含む概念である。
<コンピュータ90の基本機能構成>
コンピュータ90の基本ハードウェア構成(図16)により実現されるコンピュータの機能構成を説明する。コンピュータは、制御部、記憶部、通信部の機能ユニットを少なくとも備える。
なお、コンピュータ90が備える機能ユニットは、それぞれの機能ユニットの全部又は一部を、ネットワークで相互に接続された複数のコンピュータ90に分散して設けても実現することができる。コンピュータ90は、単一のコンピュータ90だけでなく、仮想化されたコンピュータシステムも含む概念である。
制御部は、プロセッサ901が補助記憶装置903に記憶された各種プログラムを読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って処理を実行することにより実現される。制御部は、プログラムの種類に応じて様々な情報処理を行う機能ユニットを実現することができる。これにより、コンピュータは情報処理を行う情報処理装置として実現される。
記憶部は、主記憶装置902、補助記憶装置903により実現される。記憶部は、データ、各種プログラム、各種データベースを記憶する。また、プロセッサ901は、プログラムに従って記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置902又は補助記憶装置903に確保することができる。また、制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ901に、記憶部に記憶されたデータの追加、更新、削除処理を実行させることができる。
データベースは、リレーショナルデータベースを指し、行と列によって構造的に規定された表形式のテーブル、マスタと呼ばれるデータ集合を、互いに関連づけて管理するためのものである。データベースでは、表をテーブル、マスタ、表の列をカラム、表の行をレコードと呼ぶ。リレーショナルデータベースでは、テーブル、マスタ同士の関係を設定し、関連づけることができる。
通常、各テーブル、各マスタにはレコードを一意に特定するための主キーとなるカラムが設定されるが、カラムへの主キーの設定は必須ではない。制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ901に、記憶部に記憶された特定のテーブル、マスタにレコードを追加、削除、更新を実行させることができる。
また、記憶部に、データ、各種プログラム、各種データベースを記憶させることにより、本開示にかかる情報処理装置、情報処理システムが製造されたものとして捉えることができる。
なお、本開示におけるデータベース、マスタは、情報が構造的に規定された任意のデータ構造体(リスト、辞書、連想配列、オブジェクト等)を含み得る。データ構造体には、データと、任意のプログラミング言語により記述された関数、クラス、メソッド等を組み合わせることにより、データ構造体と見なし得るデータも含むものとする。
通信部は、通信IF991により実現される。通信部は、ネットワークを介して他のコンピュータ90と通信を行う機能を実現する。通信部は、他のコンピュータ90から送信された情報を受信し、制御部へ入力することができる。制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ901に、受信した情報に対する情報処理を実行させることができる。また、通信部は、制御部から出力された情報を他のコンピュータ90へ送信することができる。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、本発明は、実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードによっても実現できる。この場合、プログラムコードを記録した記憶媒体をコンピュータに提供し、そのコンピュータが備えるプロセッサが記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施例の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそれを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM、ハードディスク、SSD、光ディスク、光磁気ディスク、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等が用いられる。
また、本実施例に記載の機能を実現するプログラムコードは、例えば、アセンブラ、C/C++、perl、Shell、PHP、Java(登録商標)等の広範囲のプログラム又はスクリプト言語で実装できる。
さらに、実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを、ネットワークを介して配信することによって、それをコンピュータのハードディスクやメモリ等の記憶手段又はCD-RW、CD-R等の記憶媒体に格納し、コンピュータが備えるプロセッサが当該記憶手段や当該記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行するようにしてもよい。
本明細書中に記載されている構成要素により実現される機能は、当該記載された機能を実現するようにプログラムされた、汎用プロセッサ、特定用途プロセッサ、集積回路、ASICs (Application Specific Integrated Circuits)、CPU (a Central Processing Unit)、従来型の回路、及び/又はそれらの組合せを含む、circuitry又はprocessing circuitryにおいて実装されてもよい。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含み、circuitry又はprocessing circuitryとみなされる。プロセッサは、メモリに格納されたプログラムを実行する、programmed processorであってもよい。
本明細書において、circuitry、ユニット、手段は、記載された機能を実現するようにプログラムされたハードウェア、又は実行するハードウェアである。当該ハードウェアは、本明細書に開示されているあらゆるハードウェア、又は、当該記載された機能を実現するようにプログラムされた、又は、実行するものとして知られているあらゆるハードウェアであってもよい。
当該ハードウェアがcircuitryのタイプであるとみなされるプロセッサである場合、当該circuitry、手段、又はユニットは、ハードウェアと、当該ハードウェア及び又はプロセッサを構成する為に用いられるソフトウェアの組合せである。
以上、本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
(付記)
以上の各実施形態で説明した事項を以下に付記する。
(付記1)
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータを動作させるためのプログラムであって、前記プログラムは、
前記プロセッサに、ユーザとの対話を通じて得られた当該ユーザの悩み対する評価情報を取得するステップと、
前記評価情報と、面談で確認すべき複数の第1観点の出力を指示する第1指示文とを含む第1プロンプトを生成AIに入力し、前記生成AIから前記複数の第1観点を出力するステップと、
前記ユーザの思考に関する情報を取得するステップと、
前記複数の第1観点と、前記思考に関する情報と、面談の進め方を示す面談支援情報の出力を指示する第2指示文とを含む第2プロンプトを前記生成AIに入力し、前記生成AIから前記面談支援情報を取得するステップと、
前記面談支援情報を、前記ユーザの上司へ提示するために記憶するステップと、を実行させる、プログラム。
(付記2)
前記評価情報には、前記ユーザとの前記対話を通じて得られた、やりがい、人間関係、及び給与の少なくともいずれかに関する前記ユーザの評価が含まれる、(付記1)に記載のプログラム。
(付記3)
前記評価情報が、前記ユーザから個人情報を聞き出すように調整された基本プロンプト定義が生成AIに入力され、前記対話における最初のコメントが前記生成AIから出力される開始フェーズと、前記ユーザから入力されるテキストが前記生成AIに入力され、所定の観点に関する情報を前記ユーザから引き出すための返答が前記生成AIから出力される情報収集フェーズと、前記対話の会話内容が所定の終了要件を満たした場合に前記対話を終了させるためのクロージングフェーズへ移行し、前記ユーザが前記対話の終了を承諾した場合における前記ユーザとの対話の内容に基づいて生成AIにより出力された情報である、(付記1)又は(付記2)に記載のプログラム。
(付記4)
前記複数の第1観点は、前記ユーザのやりがいに関する要因の特定、前記ユーザの人間関係に関する要因の特定、及び前記ユーザの給与に関する要因の特定のうち少なくともいずれか一つを含む、(付記1)から(付記3)の何れかに記載のプログラム。
(付記5)
前記思考に関する情報には、ユーザの性格特性、及び、ユーザの成長イメージを含む、(付記1)から(付記4)の何れかに記載のプログラム
(付記6)
前記ユーザの成長イメージは、前記ユーザの成長への価値観に関するサーベイに基づいて得られる情報である、(付記5)に記載のプログラム。
(付記7)
前記面談支援情報は、少なくとも、面談の始め方、解決策の探り方、アクションの促し方、及びクロージング方法を含む、(付記1)から(付記6)の何れかに記載のプログラム。
(付記8)
前記面談の始め方には、前記ユーザの性格特性に基づいて、前記ユーザに合わせたコミュニケーション方法を提案する内容を含む、(付記7)に記載のプログラム。
(付記9)
前記解決策の探り方には、前記ユーザの性格特性及び前記ユーザの成長イメージに基づいて、前記ユーザが受け入れやすい解決策の探索方法を提案する内容を含む、(付記7)に記載のプログラム。
(付記10)
前記プロセッサに、前記面談支援情報を、タレントマネジメントシステムにおける前記ユーザと紐けして記憶するステップをさらに実行させる、(付記1)から(付記9)の何れかに記載のプログラム。
(付記11)
前記プロセッサに、前記ユーザの上司による面談実施前に、前記上司が閲覧可能な状態で前記面談支援情報を提示するステップをさらに実行させる、(付記1)から(付記10)の何れかに記載のプログラム。
(付記12)
プロセッサと、メモリとを備える情報処理装置であって、前記プロセッサが、(付記1)から(付記11)の何れかに記載のプログラムにおける全てのステップを実行する情報処理装置。
(付記13)
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータに実行される方法であって、前記プロセッサが、(付記1)から(付記11)の何れかに記載のプログラムにおける全てのステップを実行する方法。
(付記14)
(付記1)から(付記11)の何れかに記載のプログラムにおける全てのステップを実行する手段を備えるシステム。