JP7843959B2 - 人工股関節全置換手術に用いる手術台及びその使用方法 - Google Patents

人工股関節全置換手術に用いる手術台及びその使用方法

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Description

本発明は、人工股関節全置換手術に用いる手術台及びその使用方法に係り、より詳しくは、患者の股関節に身体の前方内側から股関節にアプローチする前方内側アプローチ法による人工股関節全置換手術に用いる手術台及びその使用方法に関する。
近年は、年間7万人以上ともいわれる股関節痛の患者が、外傷や、変形性関節症、大腿骨頭壊死症などの疾患によって、損傷し、機能が低下して、痛みが強くなった股関節の機能を回復させ、痛みを取るために、人工股関節全換手術(THA)を受けると言われている。
ここで、ヒトの股関節は、大腿骨の骨体の近位から上向き内側のやや後方に曲折され大腿骨頸部の先端に形成された球状の大腿骨頭が、骨盤の外側のやや下向きやや前方に向いて開口しているカップ状の寛骨臼に回転可能に挿入され、全体が関節包で囲まれている関節である(図10を参照)。
そして、人工股関節全置換手術(THA)とは、損傷した股関節を、外科/整形外科的手法によって切除し、大腿骨の球状の大腿骨頭を球状の金属またはセラミックに置換し、骨盤のカップ状の寛骨臼をポリエチレンなどの高分子樹脂に表面を覆われたカップに置換して、神経のない人工関節(インプラント)を構成して股関節に挿入することによって、股関節の機能を回復させると共に痛みを解消させることを目的とする手術である。
ところで、人工股関節全置換手術を大別すると、患者の股関節に、頭の方向を身体上方とした場合(身体方向に関しては、特記しない限り以下同じ)の身体前面側から到達する前方アプローチ法と、身体側面側から到達する側方アプローチ法とに分けられる。
これらのうち、側方アプローチ法は、30年以上も前から広く実施されており効果と実績がある方法である。
しかしながら、側方アプローチ法は、股関節の側方ないし後方の関節包、靭帯、及び殿筋等を切開し、手術後も関節包及び靭帯が切断されたままで回復しないために、患者が手術後に無理な姿勢を取ると、股関節が身体後方または身体側方に脱臼しやすいという後遺症を有している。
一方、身体前面の腰部には、鼠径靭帯・縫工筋・長内転筋で作られる大腿三角と呼ばれる器官が集中した部位があり、ここに大腿静脈、大腿動脈、リンパ管(大腿輪)、大腿神経、腸腰筋、外側大腿皮神経等の多くの器官が集中しているために、患者の身体前面から股関節にアプローチする前面アプローチ法は困難なものであった(例えば特許文献1を参照)。
しかしながら、近年、X線撮影法の急速な進歩によって、X線監視下に、身体前面の多数の器官の間隙を通る狭い経路から人工股関節全置換手術を行う前方最小侵襲手術(AMIS)が開発された(例えば特許文献2を参照)。そして、前方最小侵襲手術は、筋肉を切断せずしかも切開部分が小さいことから、手術後の痛み及び傷口が小さいこと及び脱臼が少ないという長所を有するといわれている。
しかしながら、AMISによる人工股関節全置換手術は、高価なX線撮影装置及び解析装置を必要とする手術であること、多くの器官が集中する部位の手術であって狭い術野から大手術を行うという高度な技術を有する難しい手術であること、患者の状態によっては適用できない手術方法であること、手術結果が一定しないこと、及び手術の予後の評価がまだ確定していないことなどの未解決の問題を有するものであり、人工股関節全置換手術に対する現在の大きな需要を充分に満たせるものではなかった。
特表2015-504766号公報 特開2020-99696号公報
かかる状況において、本発明の、患者の股関節に身体の前方内側からアプローチする人工股関節全置換術(THA)は、患者の下肢を大きく外旋させて患者の股関節前面の神経・血管を上方に移動させた上で患者の股関節に身体前方内側からアプローチすることによって、従来の側面アプローチ法で切断していた身体後方ないし側方の股関節の関節包・靭帯及び殿筋等を切断せずに温存し、手術後に股関節が身体後方または上方に脱臼しやすくなるという従来の側方アプローチ法による後遺症を軽減させた、下肢開脚前面アプローチ法による人工股関節全置換手術法に用いる手術台及びその使用方法を提供することを課題とする。
より具体的には、本発明の手術台は、患者の下肢を大きく開脚させ、恥骨筋を切断して更に下肢を大きく外旋させて固定し、患者の股関節全面の大腿三角の神経・血管を身体の上方に移動させた上で患者の身体前方内側から股関節にアプローチすることによって、従来は切断していた身体後方ないし側方の股関節の関節包・靭帯及び殿筋等を切断せずに温存することができる手術台を提供することを課題とする。
本発明の、人工股関節全置換手術の前方内側アプローチ法に用いる手術台1は、上面が、長方形の手術台本体100を有し、該上面が、患者が当接する作用面であり、
手術台本体100は、身体保持部110と下肢保持部120とに2分割され、
一方の下肢保持部120は、上面視長方形の平面の台であって、手術台本体100の、患者2が手術される側の下肢及び膝42に近接した隅部に配置され、上面に患者の手術される側の下肢及び膝42が、固定装置105によって固定されて保持され、除去自在に取り付けられた下肢保持部脚部126を備え、
他方の身体保持部110は、手術台本体100の下肢保持部120を除く残部であって、上面視カギ括弧型形状の平面の台であり、上面に患者2の手術されない側の下肢及び膝43が固定装置106によって固定され、前記患者2の身体の大部分及び体重を保持しており、下肢保持部脚部126と同じ長さの身体保持部脚部116が複数設けられ、
身体保持部110の上面視カギ括弧型形状の内側の手術台本体長辺101と同方向の身体保持部端縁部112と、下肢保持部120の手術台本体長辺101と同方向の下肢保持部端縁部121と、が当接されヒンジ113によって接合されて身体保持部110と下肢保持部120とが結合されて手術台本体100が一体化され、
下肢保持部固定装置122が、ヒンジ113の下方の身体保持部脚部116に設けられており、
手術台本体100の中央部に、患者2の手術されない側の下肢及び膝43を身体保持部110のカギ括弧型形状の手術台本体長辺101と同方向の内縁に添うよう伸身させて仰臥させ、固定装置106を用いて身体保持部110に固定し、患者2の手術される側44の下肢を、頭のある方向を身体上方とした場合の身体上方に80度乃至100度持ち上げ(屈曲)、外側方向に80度~100度回転(外旋)させ、膝を80度乃至100度屈曲させて下肢保持部120に固定装置105を用いて固定した状態で、
患者2の恥骨筋107及び恥骨の表皮部分の皮膚が一時的に処置されて切断され、次いで、下肢保持部脚部126が除去された後に、ヒンジ113が下方に回転され、患者2の手術される側の下肢及び膝42と下肢保持部他端123とが、ヒンジ113の下方に設けられた下肢保持部固定装置122まで回動されて固定され、それによって手術される側44の下肢が更に外旋されて固定されることによって、手術される側44の下肢が更に外旋されて固定され、
施術者が、仰臥され下肢が大きく開脚された患者2の人工股関節全置換手術の術野50である股関節5に身体前方内側32からアプローチ可能とすることを特徴とする。
また、下肢保持部120は、患者2の左右双方の股関節を同時に、又はそれぞれを別個に手術できるように、左右2つの下肢保持部120が対向して設置され得る。
さらに、手術台1は、患者2の手術される側44が手術されない側45より10度~30度の角度で高くなるように傾斜された身体保持部210を有する手術台本体200を備えることが好ましい。
その上で、手術台本体200は、傾斜された身体保持部210に立設され、身体保持部210から患者2の身体が移動しないようにする滑り止め装置240が設けられていることを特徴とする。
ここで、身体保持部210には、滑り止め装置240の手術台本体短辺202方向の設置位置を設定できる滑り止め装置固定具241が更に設けられ、該滑り止め装置240は、身体保持部210が傾斜されるときに、滑り止め装置固定具241によって位置決めされることを特徴とする。
その上で、身体保持部210の、カギ括弧型形状の内側の手術台本体短辺202と直交する方向の身体保持部端縁部212と、下肢保持部220の、手術台本体短辺202と直交する方向の下肢保持部端縁部221と、が当接され、ヒンジ213によって接合されて身体保持部210と下肢保持部220とが接合されて手術台本体200が一体化され、
下肢保持部固定装置222が、ヒンジ213の下方の身体保持部脚部216に設けられ、
患者2を、手術台本体200の中央部に、患者2の手術されない側の下肢及び膝43を身体保持部210のカギ括弧型形状の手術台本体長辺201と同方向の内縁に添うよう伸身させて仰臥させて固定装置206を用いて身体保持部210に固定し、患者2の手術される側44の下肢を、頭のある方向を身体上方とした場合の身体上方に80度乃至100度持ち上げ(屈曲)、外側方向に80度~100度回転(外旋)させ、膝を80度乃至100度屈曲させて下肢保持部220に固定装置205を用いて固定した状態で、
患者2の恥骨筋107及び恥骨の表皮部分の皮膚が一時的に処置されて切断され、次いで、下肢保持部脚部226が除去された後に、ヒンジ213が下方に回転され、患者2の手術される側の下肢及び膝42と下肢保持部他端223とが、ヒンジ213の下方に設けられた下肢保持部固定装置222まで回動されて固定され、
それによって手術される側44の下肢が更に外旋されて固定されることによって、手術される側44の下肢が更に外旋されて固定され、
施術者が、仰臥され下肢が大きく開脚された患者2の人工股関節全置換手術の術野50である股関節5の身体前方内側32からアプローチ可能とすることを特徴とする。
一方、下肢保持部220は、患者2の左右双方の股関節を同時に、又はそれぞれを別個に手術できるよう、左右2つの下肢保持部220が対向して設置され得る。
それに加えて、手術台1は、更に、手術台本体300の身体保持部310の下面に配置され、患者2の体重を保持する体重保持部350を設置し得る。
ここで、体重保持部350の上面に、身体保持部310からヒンジ314で接続されて立設され、患者2の身体が傾斜された身体保持部310から移動しないようにする滑り止め装置340が設けられていることが好ましい。
さらに、体重保持部350は、更に、滑り止め装置340の手術台本体短辺302方向の設置位置を設定する滑り止め装置固定具341を有し、該滑り止め装置固定具341は、身体保持部310が傾斜されるときに、滑り止め装置340の手術台本体短辺(302)方向の設置位置を位置決めすることが好ましい。
その上で、身体保持部310のカギ括弧型形状の内側の手術台本体長辺301と同方向の身体保持部端縁部312と、下肢保持部320の手術台本体長辺301と同方向の下肢保持部端縁部321とが、当接され、ヒンジ313によって接合されて身体保持部310と下肢保持部320とが結合されて手術台本体100が一体化され、
下肢保持部固定装置322が、ヒンジ313の下方の身体保持部脚部326に設けられ、
手術台本体300の中央部に、患者2の手術されない側の下肢及び膝43を身体保持部310のカギ括弧型形状の手術台本体長辺301と同方向の内縁に添うよう伸身させて仰臥させて固定装置306を用いて身体保持部310に固定し、患者2の手術される側44の下肢を、頭のある方向を身体上方とした場合の身体上方に80度乃至100度持ち上げ(屈曲)、外側方向に80度~100度回転(外旋)させ、膝を80度乃至100度屈曲させて下肢保持部320に固定装置305を用いて固定した状態で、
患者2の恥骨筋107及び恥骨の表皮部分の皮膚が一時的に処置されて切断され、次いで、下肢保持部脚部326が除去された後に、ヒンジ313が下方に回転され、患者2の手術される側の下肢及び膝42と下肢保持部他端323とが、ヒンジ313の下方に設けられた下肢保持部固定装置322まで回動されて固定され、手術される側44の下肢が更に外旋されて固定されることによって、施術者が、仰臥され下肢が大きく開脚された患者2の人工股関節全置換手術の術野50である股関節5に身体前方内側からアプローチ可能とすることを特徴とする。
また、下肢保持部320は、患者2の左右双方の股関節を同時に、又はそれぞれを別個に手術できるように、左右2つの下肢保持部320を対向させて設置し得る。
一方、身体保持部110は、身体保持部110のカギ括弧型形状の内側の角に近接した位置に、患者2の骨盤を保持して固定する骨盤固定装置111を更に備えることができる。
また、請求項13に記載の人工股関節全置換手術の前方内側アプローチ法に用いる手術台は、患者2の股関節5を骨盤固定装置111に固定した後に、身体保持部端縁部112と下肢保持部端縁部121との間のヒンジ113を回転させて下肢保持部他端123及び患者2の手術される側の下肢及び膝42を下肢保持部固定装置122に固定することを特徴とする。
請求項1~14のいずれか1項に記載の人工股関節全置換手術の前方内側アプローチ法に用いる手術台の使用方法は、患者の手術されない側の下肢及び膝を、身体保持部のカギ括弧型形状の内側の手術台本体長辺と同方向の内縁に添うように伸身させ仰臥させ、手術台本体の中央部に固定装置を用いて固定し、患者の手術される側の下肢及び膝を、頭のある方向を身体上方とした場合の身体上方に80度~100度持ち上げ(屈曲)外側方向に80度~100度回転(外旋)させ、膝を80度~100度屈曲させて下肢保持部に固定装置を用いて固定した状態で、患者の恥骨筋及び該当部分の皮膚を一時的に処置して切断した後に、次いで、下肢支持部脚部を除去し、身体保持部端縁部と下肢保持部端縁部との間のヒンジを下方に回転させ、患者の手術される側の下肢及び膝と下肢保持部他端と、をヒンジの下方に設けられた下肢保持部固定装置まで回動させて固定し、手術される側の下肢を更に80度~100度外旋させて固定することによって、
施術者が、仰臥され下肢が大きく開脚された患者の人工股関節全置換手術の術野である股関節に、身体前方内側からアプローチすることを特徴とする請求項1~14のいずれか1項に記載の人工股関節全置換手術の前方内側アプローチ法に用いる手術台の使用方法。
本発明に係る前方内側アプローチ法による人工股関節全置換手術に用いる手術台1は、手術台1に患者2を仰臥させ、患者2の股関節5の手術される側44の大腿骨20を股関節5で80度~100度外転させ、80度~100度外旋させ、膝関節を80度~100度屈曲させた上で、順次に患者(2)の恥骨筋107を一時的に切断し、患者(2)の手術される側の下肢及び膝(42)を、下方に設けられた下肢保持部固定装置(122)まで回動させて更に80度~100度外旋させて固定する。
これによって、本発明に係る人工股関節全置換手術に用いる手術台1は、施術者が、本発明に係る手術台を用いて、仰臥した状態の患者2の股関節5に前面下方(足の方)から容易にアプローチし、患者2の股関節5の前面内側を切開して人工股関節全置換手術を行うことによって、患者2の股関節5の身体後面及び側面の関節包30を温存することができる。
なお、前方内側アプローチ法も切断位置32から関節包30及び靭帯31を切断するが、股関節5が前方乃至内側に脱臼する危険性は側方や後方に脱臼する可能性よりはるかに小さい。
これによって、本発明に係る人工股関節全置換手術は、手術後に股関節5が後方に脱臼することがあるという、従来の側面アプローチ法による後遺症が発症する危険性を大幅に減少させることができるという優れた特徴を有する。
また、本発明の人工股関節全置換手術は、患者2を、手術台本体100の中央部に伸身させて仰臥させて脚を大きく開かせるので、患者2の身体前面の神経や血管が上方に移動されて手術がやり易くなると共に、患者2への負担を軽減することができる。
更に、本発明の人工股関節全置換手術は、手術部位の近傍には恥骨筋以外には大きな器官はなく、また皮下脂肪層も他の部分に比べて薄いので、手術が行い易いという特徴を有する。
更に、本発明に係る人工股関節全置換手術に用いる手術台1は、患者2の手術される側44が、患者2の手術されない側45より10度~30度の傾斜で高くなるように設置された手術台200を使用することによって、施術者が、患者2の股関節5の寛骨臼17の内部及び大腿骨頭23を更に良く観察し得るという利点を有する。
そのうえで、本発明に係る手術台1は、傾斜した手術台本体200から患者2の身体が移動しないようにする滑り止め装置240、及び滑り止め装置の手術台本体短辺202方向の設置位置を設定して所定の位置に固定できる滑り止め装置固定具241を設け得る。
ることが好ましい。
また更に、人工股関節全置換手術の前方内側アプローチ法に用いる手術台本体100は、身体保持部110の下面に配置され患者2の体重を保持する体重保持部350が設置されたことを特徴とする。本実施例の場合は、滑り止め装置340と滑り止め固定具341とが体重保持部350に設けられて人体の重量を保持するので、手術台本体をより安定化させることができる。
そのうえで、本発明に係る手術台1は、傾斜した手術台本体300から患者2の身体が移動しないようにする滑り止め装置340、及び滑り止め装置の手術台本体短辺302方向の設置位置を設定して所定の位置に固定できる滑り止め装置固定具341を設け得る。
本発明の前方内側アプローチ法による人工股関節全置換手術の概略を示す工程図である。 図2(A)は、本発明の第1実施形態に係る手術台の正面図であり、図2(B)はその平面図である。 図2の手術台本体に患者を仰臥させ、手術される側の下肢及び膝を下肢保持部に固定した状態の俯瞰図である。 図3に記載した、患者の手術される側の下肢及び膝、及び下肢保持部を、恥骨筋を切断することにより手術台の下方に回動させて固定した状態の俯瞰図である。 図4に記載した状態の患者及び手術台を、患者の頭の方から見た図である。 本発明の第2実施形態に係る、身体保持部及び下肢保持部の、患者の手術される側を手術されない側より高くして傾斜させた手術台の図であって、図6(A)は患者を載せる前の手術台の俯瞰図であり、図6(B)は図6(A)に記載の手術台に患者を載せて固定し、下肢保持部を手術台本体の下方に回動させて下肢保持部固定装置に固定した状態の俯瞰図である。 図6(B)に記載した状態の患者及び手術台を、患者の頭の方から見た図である。 本発明の第3実施形態に係る、患者の手術される側を手術されない側より高くし、更に体重保持部を有する手術台本体の図であって、図8(A)は手術台本体を傾ける前の手術台の俯瞰図であり、図8(B)は、図8(A)に記載の手術台に患者を載せて固定し、身体保持部を傾け、下肢保持部を手術台本体の下方に回動させた状態の俯瞰図である。 図8(B)に記載した状態の患者を患者の頭の方から見た図である。 股関節の要部の右半分を正面から見た内視図である。
以下に、添付図面を参照して本発明の人工股関節全置換手術の前方内側アプローチ法に用いる手術台及びその使用方法について詳細に説明する。
この記載は、本発明を説明するためのものであって、この記載によって本発明の技術範囲を限定するものではない。本発明は、発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更して実施することが可能である。
図1は、本発明の前方内側アプローチ法による人工股関節全置換手術の概略を示す工程図である。
ここで、図1(A)は手術台本体(100)の中央部に患者2を伸身して仰臥させた図である。本発明は、図1(A)に示す患者2を、患者2の手術される側の下肢及び膝42を、身体上方に80度~100度持ち上げ、80度~100度回転させて外旋させ、膝を80度~100度屈曲させて固定して図1(B)の状態にする。なお、図1(B)は図3と同じ状態の図である。
次いで、図1(B)の状態の患者2の恥骨筋107及び恥骨の表皮部分の皮膚を一時的に切断し、下肢保持部脚部126を除去した後に、ヒンジ113を回動させて患者2の手術される側の下肢と膝42、及び下肢保持部他端123を、下肢保持部120の下方に設けられた下肢保持部固定装置122まで回動(X)させて固定することによって、図1(C)ないし図4の状態にする。
ここで、施術者は、仰臥され下肢が大きく開脚された患者2の人工股関節全置換手術の術野50である股関節5に前方内側の切開位置32からアプローチし、人工股関節全置換手術を容易に実施することができる。
以上のことを踏まえて、以下に本発明に係る前方内側アプローチ法を詳細に説明する。
[第1実施形態]
図2(A)は、本発明の第1実施形態に係る手術台1の正面図であり、図2(B)はその平面図である。
図2(A、B)に示すように、本発明の第1実施形態に係る人工股関節全置換手術の前方内側アプローチ法に用いる手術台1は、上面が水平な長方形の台である手術台本体100を有することが好ましい。該手術台本体100は、上面が患者が当接する支持面であって、患者の身体の大部分及び体重を保持する身体保持部110と、患者の手術される側44の下肢を保持する下肢保持部120と、に2分割され、また、患者2が手術される側44と手術されない側45とを有する。
ここで、下肢保持部120は、手術台本体長辺101と同方向の長辺を有し、上面が水平な長方形の台であって、下肢保持部脚部126を有し、患者の手術される側の下肢及び膝を保持し、手術台本体100の患者の手術される側44の下肢に近接した隅部に配置される。また、下肢保持部脚部126は、ねじ込み式、差し込み式、移動式、あるいは折りたたみ式などの方法によって、必要に応じて下肢保持部120から除去可能に形成されることが好ましい。
一方、身体保持部110は、手術台本体100の下肢保持部120を除く残部であり、上面視がカギ括弧型形状の水平な台であって下肢保持部脚部126と同じ長さの身体保持部脚部116を有して患者の身体及び重量の大部分を載置し、下肢保持部120と当接され嵌合されて手術台本体100を形成し得る。
符号122は、下肢保持部120の下方に、身体保持部脚部116または床面に固定又移動自在に設けられた下肢保持部固定装置である。
図3は、図2の手術台本体100に患者2を仰臥させ、手術される側の下肢及び膝42を下肢保持部120に固定した状態の俯瞰図であり、図4は、図3に記載した患者2の、手術される側の下肢及び膝42及び下肢保持部120を手術台本体100の下方に回動させて固定した状態の俯瞰図である。
図3に示すように、本発明に係る人工股関節全置換手術に用いる手術台1は、患者を、身体保持部110の手術台本体100の中央部側の手術台本体長辺101に沿って、且つ患者2の手術されない側の下肢及び膝43が身体保持部110のカギ括弧型の手術台本体長辺101の方向の身体保持部端縁部112に添うように仰臥させることが好ましい。
その上で、患者2の腹部3及び上半身4を固定または安静にさせ、手術されない側の下肢及び膝43を身体保持部110に固定装置106で固定することが好ましい。
次いで、手術される側の下肢及び膝42を、股関節5において身体上方に80度~100度持ち上げて屈折させ、膝関節5を80度~100度屈曲させて立膝にさせ、更に略水平に開脚(外旋)させた状態で下肢保持部120に固定装置105で固定することによって図3に示す状態にすることが好ましい。
ここで、下肢を持ちあげる(屈折させる)角度及び膝関節を屈曲させる角度は、80度~100度の範囲内であることが好ましく、80度未満または100度を超えると身体の可動範囲を超えたり、確実に固定することが困難になったりするので好ましくない。
なお、図3、4の符号116は身体保持部脚部であり、符号113は、身体保持部端縁部112と下肢保持部端縁部121とを当接させて連結するヒンジ113である。ヒンジとは、上下左右には動かないが回転は自由にできるようにした接合の状態の部材と部材との継ぎ目であって多くの方式のものが公知である。代表的なヒンジとして、例えば蝶番を挙げることができるが、本発明のヒンジはこれに限られるものではない。
また、Xは、下肢保持部120の回転方向である。更に、図3、4の点線の円で囲った部分は、寛骨臼17、大腿骨頭23、及び恥骨筋107を含む人工股関節全置換手術の術野50及び骨盤固定装置111である。
本発明に係る人工股関節全置換手術に用いる手術台1は、図3に示した患者2の恥骨筋107を一時的に処置して切断し、下肢保持部脚部126を取り除いた後に、身体保持部端縁部112と下肢保持部端縁部121との間のヒンジ113をX方向に回転させて、図4に示すように、手術される側の下肢及び膝42と、下肢保持部他端123とを、手術台本体100の下方の下肢保持部固定装置122まで回動(外旋)させて固定することが好ましい。
即ち、本発明は患者2の大腿骨20を、股関節5で略直角に、より詳しくは大腿骨20を股関節5で80度~100度屈曲させ、80度~100度外旋させ、及び膝関節5を80度~100度屈曲させて図3に示す状態にした上で、更に、大腿骨20を股関節5で80度~100度外旋させて図4に記載した状態にさせることを特徴とする。
ここで、図5は、図4に記載した状態の患者及び手術台を、患者の頭の方から見た図である。
図5に示すように、患者2は、太腿46と足の甲とが身体後ろ向き上方に向き、足の親指47が身体外側に来るようになる。
これによって、図4に示すように、施術者が、下肢が大きく開脚された患者2の股関節5に、身体の前方内側の切断位置32(図10参照)にアプローチすることができるようになる。ここで、番号Xは、80度~100度の囲内であることが好ましい。
なお、図3、4の点線の円で囲った部分は、股関節5、寛骨臼17、大腿骨頭23、恥骨筋107及び骨盤固定装置111を含む人工股関節全置換手術の術野50である。
また、患者2の恥骨筋107を一時的に処置するとは、股関節5の恥骨筋107及び恥骨の表皮部位の皮膚を切断・移動させ、手術される側の下肢及び膝42を下方に回転自在な状態にさせる操作を含むことができる。更に、一時的に処置し切断した患者2の恥骨筋107及び恥骨の表皮部分の皮膚は、施術後に縫合することによって復元することができる。
なお、手術台1は、患者2の手術される側44と手術されない側45とのそれぞれの股関節5を別個に、及び左右双方の股関節5を同時に手術できるように、左右2つの下肢保持部120を設置することもできる。
更に、身体保持部110のカギ括弧型形状の内側の角部分に、患者2の骨盤10を固定する骨盤固定装置111を設けることが好ましい。ここで、骨盤固定装置111は、骨盤5を所定の場所に所定の角度で固定できるものであって、患者2の骨盤10を強固に固定することができるように配備され、その設置位置の少なくとも一部分が身体保持部110のカギ括弧型形状の内側の角部分を外れない範囲に含まれ、その設置角度の傾きが手術台本体の上面に対して30度以内の範囲であり、本発明の目的にかなうものであれば特に限定されない。また、符号50は、本発明の人工股関節全置換手術の術野であり、符号123は、下肢保持部他端である。
[第2実施形態]
図10は、人体の股関節5の右半分を正面から見た図であり、図面の上方が前方である。
図10に示すように、股関節5は、大腿骨20の骨体21から上向き内側やや後方に曲折した球状の大腿骨頭23が、骨盤10の外側のやや前方に下向き向いているカップ状の寛骨臼17に約2/3埋まって関節包30や靭帯31に包まれている回転可能な関節である。
ここで、本発明の前方内側アプローチ法による人工股関節全置換手術は、患者2の手術される側44を手術されない側45より高くした方が、手術の術野、特に寛骨臼17の内部及び大腿頸部22が良く観察できる。このため、本発明は、患者2の手術される側44を手術されない側45よりも高くした手術台本体200及び300を更に提供する。
図6は、本発明の第2実施形態に係る、身体保持部及び下肢保持部の、患者の手術される側を手術されない側より高くして傾斜させた手術台の図であって、図6(A)は患者を載せる前の手術台の俯瞰図であり、図6(B)は図6(A)に記載の手術台に患者を載せて固定し、下肢保持部を手術台本体の下方に回動させて下肢保持部固定装置に固定した状態の俯瞰図である。
図6(A)に示すように、本発明の第2実施形態に係る手術台1は、上面が傾いた長方形の台である手術台本体200を有し、該上面が患者2を当接する支持面であり、患者2の手術されない側45の身体の大部分及び体重を保持する身体保持部210と、手術される側44の下肢及び膝42を保持する下肢保持部220と、に2分割される。そして、身体保持部210の手術される側44が手術されない側45より10度~30度の傾斜角度で高くなるように傾斜して設置されたことを特徴とする。なお、水平に設置された手術台本体200に患者を載置した後に、手術台本体200を、身体保持部210の手術される側44が手術されない側45より10度~30度の傾斜角度で高くなるように傾斜させることもできる。
ここで、下肢保持部220は、手術台本体短辺202と直角な(図示しない手術台本体長辺と同方向の)長辺を有する傾斜された長方形の台であって、手術台本体200の患者2の手術される側の下半身に近接した隅部に配置され、患者の手術される側の下肢及び膝を保持し、ねじ込み式や差し込み式、移動式あるいは折り曲げ式などの方法によって、必要に応じて取り外し可能な下肢保持部脚部226を有することが好ましい。
一方、身体保持部210は、手術台本体200から下肢保持部220を除いた残部であって、上面視カギ括弧型形状の傾斜した台であり、上面に患者2の身体及び重量の大部分を固定装置206を用いて保持し、複数の身体保持部脚部216を有し得る。そして、身体保持部210と下肢保持部220とが手術台本体200の上面と同一平面内に配置され、相互に嵌合して手術台本体200が一体化され得る。
更に、身体保持部210は、該傾斜した身体保持部210に略90度の角度を有して立設され、ヒンジ214で連結されて患者2の身体が移動しないようにする滑り止め装置240を有し得る。
その上で、身体保持部210は、滑り止め装置240を固定する滑り止め装置固定具241を有し得る。ここで、滑り止め装置固定具241は、手術台本体短辺202方向の位置が、その側面や裏面に設けられた移動装置に操作されるか、あるいはねじに螺合されるか、又はラチェットに係合されるかして位置自在に設置可能であって、身体保持部210が傾斜されるときに、身体保持部210の手術されない側45を位置決めすることができる。
ここで、手術台本体200は、身体保持部210のカギ括弧型形状の内側の手術台短辺202と直角方向(図示しない長辺と同方向)の身体保持部端縁部212と、下肢保持部220の手術台本体短辺202と直角方向の下肢保持部端縁部221と、が当接されヒンジ213によって接合されて身体保持部210と下肢保持部220とが連結され、手術台本体(100)が一体化されることを特徴とする。
また、手術台本体200の下方の身体保持部脚部(216)または床面に、下肢保持部220を固定する下肢保持部固定装置(222)が設けられることが好ましい。
図6(B)は、図6(A)に記載の手術台200に患者を載せて固定し、下肢保持部220を手術台本体の下方に回動させて下肢保持部固定装置220に固定した状態の俯瞰図である。
すなわち、図6(B)に示すように、患者2を手術台本体200の中央部に、手術台本体短辺202と直角の向き(図示しない手術台本体長辺と同方向)に沿って、患者2の手術されない側の下肢及び膝43が身体保持部210のカギ括弧型の手術台本体200短辺202と直角方向の身体保持部端縁部212に添うように載置された状態に仰臥されることが好ましい。
その上で、手術される側の下肢及び膝42を身体上方に80度~100度持ち上げ、膝関節を80度~100度屈曲させて立膝にさせ、更に略水平に開脚(外旋)させた状態で、下肢保持部220に固定装置205で固定することが好ましい。
ここで、下肢を持ちあげる角度、股関節で脚を外旋させる角度、及び膝関節を屈曲させる角度は、80度~100度の範囲内であることが好ましい。
次いで、患者2の恥骨筋107及び恥骨の表皮部分の皮膚を一時的に処置して切断し、下肢保持部脚部226を除去した後に、ヒンジ213を下方に回転させ、患者2の手術される側の下肢及び膝42と下肢保持部他端223とを、ヒンジ213の下方に設けられた下肢保持部固定装置222まで回動させて固定し、図6(B)の姿勢に固定することができる。
図7は、図6(B)に記載した状態の患者及び手術台を、患者の頭の方から見た側面図である。
図7に示すように、患者2の手術される側の下肢及び膝42は、合計で、160度~230度(股関節の傾斜角度を含む)外旋され80度~100度外旋され、脚が身体後ろ向きになり、太腿と足の甲が身体上方に向き、足の親指47が身体外側に来るようになる。
これによって、施術者が、人工股関節全置換手術の術野50である下肢5が大きく開脚された患者2の股関節5に、身体の前方内側の切開位置32にアプローチすることができる。
ここで、符号211は骨盤固定装置であり、216は身体保持部脚部である。
なお、手術台1は、患者2の手術される側44と手術されない側45とのそれぞれの股関節、及び左右双方の股関節を同時に手術できるように、左右2つの下肢保持部220を設置することもできる。
[第3実施形態]
図8は、本発明の第3実施形態に係る、患者の手術される側を手術されない側より高くし、更に体重保持部を有する手術台本体の図であって、図8(A)は手術台本体を傾ける前の手術台1の俯瞰図であり、図8(B)は、(A)に記載の手術台に患者を載せて固定し、身体保持部を傾け、下肢保持部を手術台本体の下方に回動させた状態の俯瞰図である。
図8(A)に示すように、本発明の第3実施形態に係る人工股関節全置換手術の前方内側アプローチ法に用いる手術台本体300は、2層を有する手術台であって、上面が長方形であって、該上面が患者2が当接する支持面である。ここで、手術台本体300は、患者2の手術される側44が手術されない側45より10度~30度の傾斜角度で高くなるように傾斜され、患者2の手術されない側45の身体及び体重を保持する身体保持部310と、手術される側の下肢及び膝42を保持する下肢保持部320と、に2分割された上層と、身体保持部310の下側に設けられ身体保持部310から体重を受取る体重保持部350からなる下層と、を有することを特徴とする。
ここで、上層の下肢保持部320は、傾斜された長方形の台であって、手術台本体300の患者2の手術される側の下肢及び膝42が近接する隅部に配置され、取り外し可能な下肢保持部脚部326を有し、手術される側の下肢と膝44を固定装置305で固定することができる。なお、下肢保持部脚部326は、ねじ込み式や差し込み式、移動式あるいは折り曲げ式などの方法によって、必要に応じて排除することが可能であるように配備されることが好ましい。
一方、身体保持部310は、手術台本体300から下肢保持部320を除いた残部であって、上面視カギ括弧型形状の傾斜された台であり、複数の体重保持部脚部317を有し、手術されない側の下肢及び膝43を固定装置306で固定することができる。そして、身体保持部310と下肢保持部320とが手術台本体300の上面と同一の斜面内に配置され相互が嵌合されて手術台本体300の上層を一体化することが好ましい。
なお、手術台本体300は、患者2の手術される側44と手術されない側45とのそれぞれの股関節、及び左右双方の股関節を同時に手術できるように、左右2つの下肢保持部320を設置することもできる。
図8(A)に示すように、手術台本体300は、下層に身体保持部310の下側に水平に設けられて身体保持部310から体重を受取る体重保持部350を有することを特徴とする。
また、手術台本体300の下方の身体保持部脚部317または床面に、下肢保持部320を固定する下肢保持部固定装置322を設けることが好ましい。
なお、身体保持部310は、当初は水平に設けられ、患者2を載置した後に傾斜されることが好ましい。
図8(B)は、図8(A)に記載の手術台本体300に患者2を載せて固定し、身体保持部310を傾け、下肢保持部320を手術台本体300の下方に回動させた状態の俯瞰図である。
図8(B)に示すように、体重保持部350と身体保持部310との間に、ねじ込み式、差し込み式、移動式、あるいは折り曲げ式などの方法によって、必要に応じて着脱自在な身体保持部支持具351を設け、身体保持部310の手術される側44を、手術されない側45より10度~30度の角度で高くなるように傾斜させることを特徴とする。
ここで、身体保持部支持具351の長さは、身体保持部310と体重保持部350との角度に対応するように、身体保持部支持具351とヒンジ314との距離に比例して設けられることが好ましい。
更に、手術台本体300は、図8(B)に示すように、滑り止め装置340の手術台本体短辺302方向の設置を固定する滑り止め装置固定具341を有することが好ましい。なお、滑り止め装置固定具341は、例えば、身体保持部310又はその側面や裏面に設けられた移動装置に操作されるか、あるいはねじに螺合されるか、又はラチェットに契合されるかして身体保持部310の所定の位置に位置決めすることが好ましい。
ここで、手術台本体300には、身体保持部310のカギ括弧型形状の内側の手術台本体長辺301と同方向の下肢保持部端縁部321と、身体保持部310の手術台本体長辺301と同方向の身体保持部端縁部312と、が当接されて形成されたヒンジ313、並びに身体保持部310の下方の身体保持部脚部(317)または床面に設けられ下肢保持部320を固定する下肢保持部固定装置322と、を有することが好ましい。なお、符号311は骨盤固定装置である。
更に、図8(B)に示すように、患者2を、手術台本体300の中央部の手術台本体長辺301に沿って、患者2の手術されない側の下肢及び膝43が身体保持部310のカギ括弧型の手術台本体長辺301の方向の身体保持部端縁部312に添うように固定装置305で固定して仰臥させることが好ましい。
その上で、患者2を固定または安静にさせ、手術されない側の下肢及び膝43を身体保持部310に固定装置306によって固定し、次いで、手術される側の下肢及び膝42を上方に80度~100度持ち上げて立膝にさせ、膝関節5を80度~100度屈曲させ、更に水平に開脚させた状態で下肢保持部320に固定装置305で固定することが好ましい。
次いで、恥骨筋107を一時的に処置して切断し、下肢保持部脚部351を取り外し、身体保持部端縁部312と下肢保持部端縁部321との間のヒンジ313をX方向に回転させて、手術される側の下肢及び膝42及び下肢保持部他端323を手術台本体300の下方の下肢保持板固定位置322まで回動させて固定し、手術される側44の下肢を更に80度~100度外旋させることによって患者2の股関節5の大腿骨20を股関節で80度~100度外転させ、160度~200度外旋させ、膝関節を80度~100度屈曲させることが好ましい。
図9は、図8(B)に記載した状態の患者2及び手術台1を、患者2の頭の方から見た図である。
図9に示すように、患者2の手術される側の下肢及び膝は、合計で160度~200度外旋され80度~100度外旋され、爪先が身体後ろ向きになり、太腿46と足の甲が身体上方に向き、足の親指47が身体外側に来るようになる。
図8(B)及び図9に記載した状態の患者2に、施術者が、股関節5が大きく開脚された患者2の股関節に患者2の前方内側32からアプローチすることができる。
このように、施術者は、本発明に係る人工股関節全置換手術の前方内側アプローチ法に用いる手術台1を用いて患者2の股関節5に前方内側32からアプローチし、当業者周知の方法で、関節包30の切開、大腿骨頚部22の骨切り、大腿骨頭23の寛骨臼17からの抜去、寛骨臼17内の処理、カップの設置、大体骨頭23の置換及びカップへの挿入、一時的に処置し排除した患者2の恥骨筋107及び恥骨の表皮部分の縫合を行うことによって人工股関節全置換手術を行うことができる。
以上、発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は実施形態に限定されず、本発明の属する技術範囲を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
符号 名称 図番 記載段落
1 手術台 図2 0038
2 患者 図3 0043
3 腹部 図3 0043
4 上半身 図3 0043
5 股関節 図10 0050
10 骨盤 図10 0050
17 寛骨臼 図10 0050
20 大腿骨 図10 0050
21 骨体 図10 0050
22 大腿骨頸部 図10 0050
23 大腿骨頭 図10 0050
29 切開位置(側方アプローチ法) 図10 0050
30 関節包 図10 0050
31 靭帯 図10 0050
32 切開位置(前方内側アプローチ法) 図10 0048
42 手術される側の下肢及び膝 図2 0042
43 手術されない側の下肢及び膝 図2 0043
44 手術される側 図2 0039
45 手術されない側 図2 0039
46 太腿 図9 0073
47 親指 図5 0048
50 術野 図3 0045
100 手術台本体 図3 0039
101 手術台本体長辺 図3 0040
105 固定装置(下肢保持部) 図3 0042
106 固定装置(身体保持部) 図3 0044
107 恥骨筋 図3 0045
110 身体保持部 図2 0039
111 骨盤固定装置 図3 0045
112 身体保持部端縁部 図3 0045
113 ヒンジ 図3 0045
116 身体保持部脚部 図3 0041
120 下肢保持部 図2 0039
121 下肢保持部端縁部 図3 0042
122 下肢保持部固定装置 図3 0041
123 下肢保持部他端 図3 0041
126 下肢保持部脚部 図3 0040
200 手術台本体 図6 0053
202 手術台本体短辺 図6 0056
205 固定装置(下肢保持部) 図6 0058
206 固定装置(身体保持部) 図6 0054
210 身体保持部 図6 0053
211 骨盤固定装置 図6 0061
212 身体保持部端縁部 図6 0056
213 ヒンジ 図6 0056
214 ヒンジ 図6 0055
216 身体保持部脚部 図6 0056
220 下肢保持部 図6 0054
221 下肢保持部端縁部 図6 0056
222 下肢保持部固定装置 図6 0056
223 下肢保持部他端 図6 0059
226 下肢保持部脚部 図6 0054
240 滑り止め装置 図6 0055
241 滑り止め装置固定具 図6 0055
300 手術台本体 図8 0063
301 手術台本体長辺 図8 0069
302 手術台本体短辺 図8 0068
305 固定装置(下肢保持部) 図8 0064
306 固定装置(身体保持部) 図8 0065
310 身体保持部 図8 0063
311 骨盤固定装置 図8 0069
312 身体保持部端縁部 図8 0069
313 ヒンジ 図8 0069
314 ヒンジ 図8 0067
317 身体保持部脚部 図8 0069
320 下肢保持部 図8 0063
321 下肢保持部端縁部 図8 0069
322 下肢保持部固定装置 図8 0069
323 下肢保持部他端 図8 0072
326 下肢保持部脚部 図8 0064
340 滑り止め装置 図8 0068
341 滑り止め装置固定具 図8 0068
350 体重保持部 図8 0067
351 身体保持部支持具 図8 0067
X 回転方向 図3 0045


Claims (14)

  1. 人工股関節全置換手術の前方内側アプローチ法に用いる手術台(1)は、上面が長方形の手術台本体(100)を有し、該上面が、患者(2)が当接する作用面であり、
    前記手術台本体(100)は、身体保持部(110)と下肢保持部(120)とに2分割され、
    前記下肢保持部(120)は、上面視長方形の平面な台であって、前記手術台本体(100)の、前記患者(2)が手術される側の下肢及び膝(42)に近接した隅部に配置され、上面に前記患者(2)の手術される側の下肢及び膝(42)が固定装置(105)によって固定されて保持され、除去自在に取り付けられた下肢保持部脚部(126)を備え、
    前記身体保持部(110)は、前記手術台本体(100)の前記下肢保持部(120)を除く残部であって、上面視カギ括弧型形状の平面の台であり、上面に前記患者(2)の手術されない側の下肢及び膝(43)が固定装置(106)によって固定され、前記患者(2)の身体の大部分及び体重を保持しており、前記下肢保持部脚部(126)と同じ長さの身体保持部脚部(116)が複数設けられ、
    前記身体保持部(110)の上面視カギ括弧型形状の内側の手術台本体長辺(101)と同方向の身体保持部端縁部(112)と、前記下肢保持部(120)の前記手術台本体長辺(101)と同方向の下肢保持部端縁部(121)と、が当接されヒンジ(113)によって接合されて前記身体保持部(110)と前記下肢保持部(120)とが結合されて前記手術台本体(100)が一体化され、
    下肢保持部固定装置(122)が、前記ヒンジ(113)の下方の前記身体保持部脚部(116)に設けられており、
    前記手術台本体(100)の中央部に、前記患者(2)の手術されない側の下肢及び膝(43)を前記身体保持部(110)のカギ括弧型形状の手術台本体長辺(101)と同方向の内縁に添うよう伸身させて仰臥させ、前記固定装置(106)を用いて前記身体保持部(110)に固定し、前記患者(2)の手術される側(44)の下肢を、頭のある方向を身体上方とした場合の身体上方に80度乃至100度持ち上げ(屈曲)、外側方向に80度~100度回転(外旋)させ、膝を80度乃至100度屈曲させて前記下肢保持部(120)に前記固定装置(105)を用いて固定した状態で、
    前記患者(2)の恥骨筋(107)及び恥骨の表皮部分の皮膚が一時的に処置されて切断され、次いで、前記下肢保持部脚部(126)が除去された後に、前記ヒンジ(113)が下方に回転され、前記患者(2)の手術される側の下肢及び膝(42)と下肢保持部他端(123)とが、前記ヒンジ(113)の下方に設けられた前記下肢保持部固定装置(122)まで回動されて固定され、それによって前記手術される側(44)の下肢が更に外旋されて固定されることによって、前記手術される側(44)の下肢が更に外旋されて固定され、
    施術者が、仰臥され下肢が大きく開脚された前記患者(2)の人工股関節全置換手術の術野(50)である股関節(5)に身体前方内側(32)からアプローチ可能とすることを特徴とする人工股関節全置換手術の前方内側アプローチ法に用いる手術台。
  2. 前記下肢保持部(120)は、前記患者(2)の左右双方の股関節を同時に、又はそれぞれを別個に手術できるように、左右2つの前記下肢保持部(120)が対向して設置されていることを特徴とする請求項1に記載の人工股関節全置換手術の前方内側アプローチ法に用いる手術台。
  3. 前記手術台(1)は、前記患者(2)の手術される側(44)が手術されない側(45)より10度乃至30度の角度で高くなるように傾斜された身体保持部(210)を有する手術台本体(200)を備えることを特徴とする請求項1に記載の人工股関節全置換手術の前方内側アプローチ法に用いる手術台。
  4. 前記手術台本体(200)は、傾斜された前記身体保持部(210)に立設され、前記身体保持部(210)から前記患者(2)の身体が移動しないようにする滑り止め装置(240)が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の人工股関節全置換手術の前方内側アプローチ法に用いる手術台。
  5. 前記身体保持部(210)には、前記滑り止め装置(240)の手術台本体短辺(202)方向の設置位置を設定できる滑り止め装置固定具(241)が更に設けられ、前記滑り止め装置(240)は、前記身体保持部(210)が傾斜されるときに、前記滑り止め装置固定具(241)によって位置決めされることを特徴とする請求項4に記載の人工股関節全置換手術の前方内側アプローチ法に用いる手術台。
  6. 前記身体保持部(210)の、カギ括弧型形状の内側の前記手術台本体短辺(202)と直交する方向の身体保持部端縁部(212)と、下肢保持部(220)の、前記手術台本体短辺(202)と直交する方向の下肢保持部端縁部(221)と、が当接され、ヒンジ(213)によって接合されて前記身体保持部(210)と前記下肢保持部(220)とが結合されて前記手術台本体(200)が一体化され、
    下肢保持部固定装置(222)が、前記ヒンジ(213)の下方の前記身体保持部脚部(216)に設けられ、
    前記患者(2)を、前記手術台本体(200)の中央部に、前記患者(2)の手術されない側の下肢及び膝(43)を前記身体保持部(210)のカギ括弧型形状の手術台本体長辺(201)と同方向の内縁に添うよう伸身させて仰臥させて固定装置(206)を用いて前記身体保持部(210)に固定し、前記患者(2)の手術される側(44)の下肢を、頭のある方向を身体上方とした場合の身体上方に80度乃至100度持ち上げ(屈曲)、外側方向に80度~100度回転(外旋)させ、膝を80度乃至100度屈曲させて前記下肢保持部(220)に固定装置(205)を用いて固定した状態で、
    前記患者(2)の恥骨筋(107)及び恥骨の表皮部分の皮膚が一時的に処置されて切断され、次いで、前記下肢保持部脚部(226)が除去された後に、前記ヒンジ(213)が下方に回転され、前記患者(2)の手術される側の下肢及び膝(42)と下肢保持部他端(223)とが、前記ヒンジ(213)の下方に設けられた前記下肢保持部固定装置(222)まで回動されて固定され、
    それによって前記手術される側(44)の下肢が更に外旋されて固定されることによって、前記手術される側(44)の下肢が更に外旋されて固定され、
    施術者が、仰臥され下肢が大きく開脚された前記患者(2)の人工股関節全置換手術の術野(50)である股関節(5)に身体前方内側(32)からアプローチ可能とすることを特徴とする請求項5に記載の人工股関節全置換手術の前方内側アプローチ法に用いる手術台。
  7. 前記下肢保持部(220)は、前記患者(2)の左右双方の股関節を同時に、又はそれぞれを別個に手術できるよう、左右2つの前記下肢保持部(220)が対向して設置されていることを特徴とする請求項6に記載の人工股関節全置換手術の前方内側アプローチ法に用いる手術台。
  8. 前記手術台(1)は、更に、手術台本体(300)の身体保持部(310)の下面に配置され、前記患者(2)の体重を保持する体重保持部(350)が設置されていることを特徴とする請求項3に記載の人工股関節全置換手術の前方内側アプローチ法に用いる手術台。
  9. 前記体重保持部(350)の上面に、前記身体保持部(310)からヒンジ(314)で接続されて立設され、前記患者(2)の身体が傾斜された前記身体保持部(310)から移動しないようにする滑り止め装置(340)が設けられていることを特徴とする請求項8に記載の人工股関節全置換手術の前方内側アプローチ法に用いる手術台。
  10. 前記体重保持部(350)は、更に、前記滑り止め装置(340)の手術台本体短辺(302)方向の設置位置を設定する滑り止め装置固定具(341)を有し、該滑り止め装置固定具(341)は、前記身体保持部(310)が傾斜されるときに、前記滑り止め装置(340)の前記手術台本体短辺(302)方向の設置位置を位置決めすることを特徴とする請求項9に記載の人工股関節全置換手術の前方内側アプローチ法に用いる手術台。
  11. 前記身体保持部(310)のカギ括弧型形状の内側の前記手術台本体長辺(301)と同方向の身体保持部端縁部(312)と、前記下肢保持部(320)の前記手術台本体長辺(301)と同方向の下肢保持部端縁部(321)と、が当接され、前記ヒンジ(313)によって接合され、前記身体保持部(310)と前記下肢保持部(320)とが結合されて前記手術台本体(100)が一体化され、
    下肢保持部固定装置(322)が、前記ヒンジ(313)の下方の前記身体保持部脚部(326)に設けられ、
    前記手術台本体(300)の中央部に、前記患者(2)の手術されない側の下肢及び膝(43)を前記身体保持部(310)のカギ括弧型形状の前記手術台本体長辺(301)と同方向の内縁に添うよう伸身させて仰臥させて固定装置(306)を用いて前記身体保持部(310)に固定し、前記患者(2)の手術される側(44)の下肢を、頭のある方向を身体上方とした場合の身体上方に80度乃至100度持ち上げ(屈曲)、外側方向に80度~100度回転(外旋)させ、膝を80度乃至100度屈曲させて下肢保持部(320)に固定装置(305)を用いて固定した状態で、
    前記患者(2)の恥骨筋(107)及び恥骨の表皮部分の皮膚が一時的に処置されて切断され、次いで、前記下肢保持部脚部(326)が除去された後に、前記ヒンジ(313)が下方に回転され、前記患者(2)の手術される側の下肢及び膝(42)と下肢保持部他端(323)とが、前記ヒンジ(313)の下方に設けられた前記下肢保持部固定装置(322)まで回動されて固定され、前記手術される側(44)の下肢が更に外旋されて固定されることによって、施術者が、仰臥され下肢が大きく開脚された前記患者(2)の人工股関節全置換手術の術野(50)である股関節(5)に身体前方内側からアプローチ可能とすることを特徴とする請求項10に記載の人工股関節全置換手術の前方内側アプローチ法に用いる手術台。
  12. 前記下肢保持部(320)は、前記患者(2)の左右双方の股関節を同時に、又はそれぞれを別個に手術できるように、左右2つの前記下肢保持部(320)が対向して設置されていることを特徴とする請求項11に記載の人工股関節全置換手術の前方内側アプローチ法に用いる手術台。
  13. 前記身体保持部(110)は、前記身体保持部(110)のカギ括弧型形状の内側の角に近接した位置に、前記患者(2)の骨盤を保持して固定する骨盤固定装置(111)を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の人工股関節全置換手術の前方内側アプローチ法に用いる手術台。
  14. 前記患者(2)の股関節(5)を前記骨盤固定装置(111)に固定した後に、前記身体保持部端縁部(112)と前記下肢保持部端縁部(121)との間のヒンジ(113)を回転させて前記下肢保持部他端(123)及び前記患者(2)の手術される側の下肢及び膝(42)を前記下肢保持部固定装置(122)に固定することを特徴とする請求項13に記載の人工股関節全置換手術の前方内側アプローチ法に用いる手術台。
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